A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

アダムスのバリトンはバックでは目立たないが、ソロになると違いが分かる・・・

2014-06-09 | PEPPER ADAMS
A Sure Thing / Blue Mitchell and Orchestra

1962年の春、ドナルドバードとのコンビを解消したペッパーアダムスはフリーランスとしてレコーディングに誘われることが多かった。それも、ポニーポインデクスターのアルバムと同様、メインのソリストというよりはアンサンブルワークを求められるバックを務めることが。しでに、ソリストとしても十分に世に知れ渡ったとは思うのだが。

1962年は政治的には秋に米ソの対立はキューバ危機を迎え、そして音楽界ではいよいよビートルズが登場した年だ。世の中は変革が起こる予兆を感じさせる事が多かった。ジャズの世界でもコルトレーンやマイルスがいよいよ本領発揮をし始めた頃。しかし、アダムスを取り巻く環境はレギューラーグループの仕事が無くなった分、どうも気楽な年になったようだ。

自己のグループだと自分で取り仕切らねばならないことが多く、まして相方がいると、相手との意識合わせも気苦労が多いものだ。自分も、どちらかというとどうしてもという事が無いと、基本は誘われるタイプ。なおかつ、嫌いな人間とは付き合わないのをモットーにしているので、あまり人間関係で悩むこともない。アダムスも本当の所は良く分からないが、決して愛想を振りまいて人付き合いをしたり、自ら先頭を切って突っ走るタイプではなさそうだ。

さて、レコーディングの方は、ポインデクスターの録音には、2月、4月と2回参加したが、3月にはブルーミッチェルのリバーサイドのセッションへの参加だった。ブルーミッチェルはこの当時ホレスシルバーのグループに加わる一方、自分のアルバムはリバーサイドで出していた。
今回のアルバムはポインデクスター同様ミッチェルをフューチャーして6管のアンサンブルがバックにつく編成。ミッチェルのアルバムとしてはあまり目立たないアルバムだ。アレンジはジミーヒースが担当し、セッションリーダーはクラークテリーが務める。テリーはエリントン、ベイシー、そしてクインシージョンズと渡り歩いてきた中堅、ソロもアンサンブルも得意だが、今回はセクションワークに徹している。リバーサイドではこの役割が多かった様だ。

そして、アレンジを担当したジミーヒースも同様。
此の頃から単なるジャムセッション風のブローイングセッションから、アレンジ物が増えてくる。ウェストコーストでは50年代からアレンジ物が多かったが、ハードバップ系が多い東海岸のレーベルでも徐々に増えてきた。このリバーサイドもカタログにもちらほら。ヴァーブやインパルスといったメジャー系のレーベルでも、その後オーケストラやビッグバンドをバックにしたアルバムも増えてきた。しかし、どうも日本のジャズファンはこの手のアレンジ物は好みでは無いらしくジャズ喫茶でもかかることは少なかった。

ジミーヒースは、ビッグバンドだけでなくこのような編成のアレンジも多く手がけていた。このアルバムでもクラークテリーのトランペットに、サックス3本、そしてフレンチホルンを加えた「まろやかサウンド」のバックを加えている。ブルーミッチェルのトランペット自体も派手なタイプであり「マイルドなサウンド」、バックに上手く溶け込んでいる。ここでは、テナーのソロでもヒースは大活躍。ケリーのピアノが上手く味付けになっている。

クレジットではアダムスが参加しているのは1曲目のウェストコーストブルースと記されているがソロは無し、ブルースオンブルーでのバリトンソロもアダムスの様だが。ヒップツゥーイットのバリトンはもう一人のバリトンパット・パトリック。明らかに音色と切れ味がアダムスとは異なる。このアルバムへのアダムスの参加はあくまでもチョイ役であった。



1, West Coast Blues                Wes Montgomery 5:40
2. I Can't Get Started         Vernon Duke / Ira Gershwin 3:48
3. Blue on Blue                   Jimmy Heath 4:48
4. A Sure Thing            Ira Gershwin / Jerome Kern 4:34
5. Hootie Blues                    Jay McShann 5:24
6. Hip to It                      Blue Mitchell 5:00
7. Gone With the Wind          Herbert Magidson / Allie Wrubel 5:57

Blue Mitchell (tp)
Clark Terry (flh, tp)
Julius Watkins (French horn)
Jerome Richardson (as, fl)
Jimmy Heath (ts)
Pepper Adams (bs)
Pat Patrick (bs)
Wynton Kelly (p)
Sam Jones (b)
Albert Heath (ds)

Produced by Orin Keepnews
Recording Engineer : Ray Fowler
Recorded in NYC, March 7, 8, & 28, 1962


ア・シュア・ソング(紙ジャケット仕様)
ブルー・ミッチェル,クラーク・テリー,ジミー・ヒース,ジュリアス・ワトキンス,ウィントン・ケリー,ジェローム・リチャードソン,サム・ジョーンズ,アル・ヒース,ペッパー・アダムス,パット・パトリック
ビクターエンタテインメント
コメント (2)
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