A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

一流のスタジオミュージシャンの技が存分に・・・

2015-05-17 | MY FAVORITE ALBUM
Everything’s Gonna Great / Sal Lozano



この顔に見覚えのある方は多いかと思う。西海岸のビッグバンドで最近は毎年のように来日しているゴードングッドウィン率いるBig Fhat Bandのリードアルトのサルロザノ。
このバンドのサックスセクションではエリックマリエンサルのソロ方が目立つが、このロザノもなかなか素晴らしいプレーを聴かせてくれる。ラプソディーインブルーではクラリネットを存分に披露してくれたが、クラリネットの腕前も一流だ。

というのも、ゴードングッドウィンのバンド以外の普段の活動を日本では知ることはできないが、サルロザノはロスのスタジオミュージシャンの中ではファーストコールの第一人者だそうだ。映画音楽、有名ミュージシャンや歌手のレコーディング、コンサート、そして舞台に数多く出演している。そして、大学で音楽を教える教育者でもあるようだ。

このようなトップクラスのスタジオミュージシャンの本気のジャズプレーの凄さを、身を持って体験したのが、数年前来日したカールサンダースのトランペットだった。西海岸のビッグバンドのアルバムでサンダースの名前は良く見かけるが、実際にライブでステージのサンダースのトランぺットを目の当たりにした時は、ソロでもアンサンブルでもその迫力と素晴らしさに度肝を抜かれたものだ。

実は、このサルロザノが4月から5月にかけて単身来日していた。日本の各地を回って地元のビッグバンドとの共演を行ったようだが、東京では何回かのコンボでのライブがあった。普段のスタジオワークやゴードングッドウィンのバンドでの演奏ではなく、そこではソリストとしてストレートなジャズのプレーをたっぷりと聴けた。

自分が聴きに行ったのはトロンボーンの片岡雄三との共演。ピアノの野口茜との共演もあったが、残念ながらこちらは聴きには行けなかった。片岡雄三も自分は普段はビッグバンドで聴く事が殆どなので、彼のソロプレーも合わせて堪能できたのが大収穫であった。
このような実力者ともなるとたいしたリハーサルも無く、ぶっつけ本番のプレーだったようだが、呼吸はピッタリ。お互いのソロだけなく2人の掛け合いもレギュラーバンドのようにスムースであった。

このサルロザノが新しい自分のCDということで、会場で紹介していたのを早速購入したのがこのアルバム。中身も知らずに買い求めてみたが、中を開けて聴いてみるとびっくり。
ロザノのリーダーアルバムではあるが、中身は彼のプレー仲間のTom Kubisの作品集であった。クビスがファイブサックス用のアレンジができたので、ロザノにそれをレコーディングしたいと相談に来たのがきっかけだったそうだ。最初はメンバーへの参加要請だったかもしれないが、話をきいたロザノは、「それであれば5本のサックスは全部自分が吹くよ」と言って、できたのがこのアルバムである。

まさにマルチリードプレーヤーであるロザノの本領発揮となった。ソプラノからバリトンまで、ファイブサックス用のアンサンブルパートは、リズムセクション以外はすべてロザノ一人で多重録音をした。
それに、ソロ部分はロザノのサックスやフルートだけでなく、曲によってトランペットや他のサックス、トロンボーンなどが適宜参加する形となった。
曲想は、4ビートから8ビートまで。ラテン調があったり、シャッフルのリズムに乗せた軽快なものまで色とりどり。肝心なサックスアンサンブルはソプラノリードが多く、重厚な厚みのあるサックスというよりは明るく軽やかなサウンドだ。
こんなアルバムを作り上げてしまうというのは、まさにどんな演奏でもこなすスタジオワークの強者の技があるからこそだろう。サックスアンサンブル好きとしては、予想外の好アルバムを手に入れることができたが、ライブで聴かせてくれたソリストとしての迫力は残念ながらこのアルバムでは味わうことが出来ない。やはりライブならではの演奏だったのか・・・。

このライブの会場であった芝崎の「さくらんぼ」は、亡くなった名アルト奏者、堀恵二さんが率いていたメロウサキソフォンアンサンブルの本拠地だった。あのファイブサックスのサウンドをもう聴けないと思うと、一度このロザノが加わって再演して欲しいものだ。

1. I Love Sax
2. Graduation Waltz
3. Hey Sal,Get Your Soprano Out
4. Beat Down And Broken Blues
5. Maraba
6. I Wanna Hear Beer
7. Takin’ The A Sax
8. Romance
9. You Say Partido, I say Perdido
10. Bar B Oue
11. A New Sheen On Shine
12. Still
13. There’ll Never Be Another Sax

Sal Lozano (ss,as,ts,bs,fl)
Tom Ranier (p)
Trey Henry (b,eb)
Ray Brinker (ds)
Mike Higgins (g)
Joey De Leon (per)

Ron Stout (tp)
Dave Moody (ts)
Tom Kubis (ts,arr)
Brian Williams (bs)
Andy Martin (tb)
Alex Iles (tb)
Charlie Norllas (tb)

Recorded July 2013,July 2014 at MAPS and House of Syn
Recording Engineer : Mike Willson, Andrew Synowiec
コメント
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