A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

 ハーマンオーケストラのステージは、OBを交えて一段と迫力も増して・・・

2015-05-12 | CONCORD
World Class / Woody Herman Big Bnad

1982年、第2回のオーレックスジャズフェスティバルが開かれた。この年の目玉はJ&Kを含むオールスターズ、単独グループとしてはデイブブルーベックカルテット、そしてウディーハーマンオーケストラであった。
このウディーハーマンのオーケストラにはゲストが加っていた。この時はよくある歌手ではなく、4人のテナー奏者。ウディーハーマンといえばレパートリーの中でテナーをフィーチャーしたFour Brothersが有名だが、このフォーブラザースを意識した人選であった。

ハーマンのフォーブラザースバンドといえば、セカンドハード時代で、スタンゲッツ、ズートシムス、アルコーンなどが在籍した時代。ただしこの3人が一緒いた期間は短く、メンバーの入れ替わりは激しかった。最初のフォーブラザースが録音されたのは1947年、その時はゲッツ、シムス、ハービースチュアートとサージチャロフの4人組であった。



その後、いつの時代でもこのFour Brothersはハーマンオーケストラのメインレパートリーとして生き続け、ハーマンオーケストラに在籍したテナー奏者は誰もがプレーした曲となる。

この1982年に来日したメンバーではアルコーンがこの時代に在籍したメンバーであったが、他のメンバーもハーマンオーケストラの他の時代のOB達。フリップフィリップスが40年代に活躍した最長老、そして50年代を代表してメッドフローリー、そして60年代のサルニスティコの4人であった。

よく学生の運動部だと先輩達を招いてOB戦が行われる。毎日一緒に練習をしている現役は若さとチームプレーでは勝るものの、個人技ではOB達の老練なプレーに軍配が上がるものだ。

この当時のハーマンオーケストラ、というよりビッグバンド事情も同じようなものであった。リハーサルオーケストラやレコーディングのための臨時編成のオーケストラではベテラン中心に編成できても、ツアー主体のレギュラーバンドは経済的な面からも無名の若手が中心となって編成されていた。ウディーハーマンのオーケストラが素晴らしかったのは、そのようなメンバーで演奏しても昔からの譜面を繰り返し演奏するだけではなく、メンバーの中から新たなアレンジジャーを登用し、常に新しいレパートリー、アレンジを採用していたことにある。そのために、70年代はジャズロック風の演奏も良く行っていた。

このオーレックスでのステージではレギュラーオーケストラと、このOB4人が上手く組み合わされて演奏を繰り広げている。ハーマンのオーケストラの定番ともいえる懐かしい曲に加えて、チックコリアの曲なども交えて上手くミックスされ。そして、Rockin’ ChairではハーマンのボーカルにトランペットのGeoge Rabbaiがサッチモ張りの歌とトランペットを披露して、ライブ演奏のステージを沸かしている。

アレンジも、看板になるフォーブラザースは定番のジミージュフリーによるもの、さらにゲストに敬意を表してアルコーンがアレンジしたWoody’s Lament、フリップフィリップスがアレンジしたThe Clawでは4人がソロを繰り広げる。



更に、エリントンナンバーのPedidoは、現役のピアノのJohn Oddoがアレンジしたものを、OBのフリップフィリップスがソロをとるというような組み合わせもある。もちろん、看板替わりのフォーブラザースも演奏されたが、ここでのソロの取り回しはOBではなく現役メンバーで行われている。

このようにお互い同じ釜の食べた仲間同士、単に現役チームとOBチームに分かれるのではなく、うまくミックスチームを編成しそれぞれの得意技を披露し合うと一段と一体感のある演奏が聴けるように思う。

その時のライブ録音は日本では東芝からリリースされたが、当時、コンコルドは東芝と提携していた。東芝で制作した北村英治山本剛などの何枚かのアルバムがアメリカでもコンコルドレーベルを通じて発売されたが、このアルバムも日本のスタッフによる制作で、その一枚となった。
日米交流が盛んな頃のアルバムで、アメリカのファンも本国でも滅多に聴けないこのステージの演奏を興味津々で聴いたことであろう。

Al Cohn, Med Flory, Sal Nistico, Flip Phillips (ts)
Woody Herman (cl,as)
Bill Byrne, Mark Lewis, Brian O'Flaherty, George Rabbai, Scott Wagstaff (tp)
John Fedchock, Randy Hawes, Gene Smith (tb)
Jim Carroll, Paul McGinley, Frank Tiberi (ts)
Mike Brignola (bs)
John Oddo (p)
Dave Shapiro (b)
Dave Ratajczak (ds)

Produced by Yoichi Kikuchi
Recording Engineer : Yoshihisa Watanabe & Yutaka Tomioka
Recorded at Osaka Festival Hall, Osaka on September 3, 1982
   & at Tokyo Budo Kan, Tokyo on September September 2, 1982

Originally released on Concord CJ-240

World Class
クリエーター情報なし
Concord Records
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