A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

「世界は日の出を待っている」・・・来年こそ本当の夜明けが来てほしいものだ

2013-12-31 | MY FAVORITE ALBUM
Jass At Ohio Union / Geroge Lewis

いよいよ今年も今日で終わりである。

歳をとると一年経つのが早いとよくいうが、確かにたいしたことをやっていないのにあっと言う間に一年が過ぎ去る。子供の頃一日は長かった。一年経つのをすごく長く感じたものだ。
確かに、生まれてからの延べ時間に占める絶対時間の一時間の割合は、遥かに子供の頃の方が大きいので長く感じるのかもしれない。あるいは子供の方が何事も同じ時間で吸収する情報量が多いので、一日が盛りだくさんに感じたのかもしれない。

新年を迎える準備も昔の方がきちんとけじめを付けていた。今より新たな年を迎える心構えもできていたように思う。大掃除も単に綺麗にするだけではなく一年の棚卸でもあった。最近はけじめもなく新年に突入してしまうので、年の区切りも不明確になる。あの出来事は去年だっけ、一昨年だっけということは良くあることだ。
今年は年末に引越しもあり掃除どころかまだ片付けも終わっていないが、少しはけじめをつけようと今日は最後の足掻きをした。何とかけじめを付けて正月を迎えられそうだ。

そして、せっかくのけじめを設けたので、買い置きをしてあったレコード針を久しぶりに交換した。アナログディスクを聴く機会も一時減っていたので彼是2年ぶりかもしれない。新しい針で新年の「初聴き」を迎える緊張感はいいものだ。子供の頃、新しい下着で新年を迎えたのと同じで。

愛機はYAMAHAのGT-2000、カートリッジはShureのV15typeⅢ。当時のベストセラーだが、もう30年近く使っているのにまだまだ元気に動いている。最近の電気製品は安くなった半面、壊れたら使い捨てが大部分。その点、昔のメカ物は大事に使うといつまでも持つし、修理で蘇るので感動ものだ。



先日も、17年乗った車を買い替えたが愛着があった車なので別れが寂しかった。今のオーディオ機器もあと何年もつか分からないが、かなり愛着が沸いているのでもう少し頑張ってもらいたい。しばらく前にShureの交換針がメーカーで純正品が製造中止になって一時はもう使えなくなるのでは?と心配したが、しっかりサードパーティーが供給してくれている。有難いことだ。

自分が最近使っているのはJICOのSAS針。JICOとは日本精機宝石工業。兵庫の日本海側に工場がある小さな会社だと聞く。そこがすでに製造されていない2000種類近いカートリッジの針を今でも提供している。すべて手作り、工具も自前で作っているそうだ。製品には一本一本特性の検査データがついてくる。作った人の真心を感じる。このような会社があるからこそ、昔の愛着ある製品を今でも使える訳で感謝感激だ。粗製濫造&利益追求型の企業とは基本的にスタンスの異なる会社だが、もう一度このような会社を大事にする社会になって欲しいものだ。

日本では大手のメーカーの多くが利益追求型経営に走ったために大事な技術を失った。特にオーディオの世界ではそれが顕著だと思う。アナログ高級オーディオが最近復活しているようだが、その中に日本メーカーの名前は聞かない。このJICOも頑張って欲しい。

さて、大晦日となると、昔はラジオ番組では必ずといっていいほど「世界は日の出を待っている」がリクエストされた。
今年、自分は久々にトラッドジャズに復帰したが、トラッドジャズの世界ではこの曲はどのバンドも十八番にしている。最近では、青木研のバンジョーのプレーが印象に残る。CDも出たし、ライブでもこの曲で彼の技のすべてを披露してくれる。



自分のジャズの原点はジョージルイス。そしてジョージルイスといえばオハイオユニオンのコンサート、そしてこのライブにローレンス・マレロのバンジョーをフィーチャーした「世界の日の出を待っている」が入っている。



このアルバム自体、昔は幻の名盤といわれた。このアルバムの再発に当時尽力したのは、評論家で研究家であった河野隆次氏。苦労の末やっと再発にあたっては、当時の名だたる評論家の皆さんが揃って解説を書き下ろした名盤である。その中でもこのマレロの「世界は日の出を待っている」のために、このアルバムを買って損は無いといわれた名演だ。

改めてこのアルバムを聴き返すと、コンサートの最初のメンバー紹介からイントロへ、途中の会場の雰囲気の変化も手に取るようにわかる。そしてこの「世界は日の出を待っている」では、マレロが技を駆使して「これでどうか」とソロを続けると、会場は否が応でも盛り上がる。イントロからこれらの演奏に加え、そしてアンコールの雰囲気まで、ニューオリンズジャズの醍醐味をたっぶり味あわせてくれる。会場の雰囲気をそのままの姿で収録した完全ライブアルバムだ。時は1954年、ジャズの世界はビバップで賑やかだった頃、ニューオリンズに残されたジャズの古き伝統が再び陽の目を浴びた。

今日は、この曲をもう一度聴いて新年を迎えることにする。
長く暗いトンネルを通り続けている「平成の時代」、来年こそは本当の夜明けを迎えたいものだ。日本の良き伝統が陽の目を見ることを願って。

Disc1
1. Introduction (Basin Street Blues)   Spencer Williams 3:33
2. Salute to Ohio State        Traditional 1:33
3. Collegian              Traditional 3:44
4. Mama Don't Allow It Cow      Cow Davenport 6:32
5. Climax Rag            James Scott 4:05
6. Lord, Lord, You Sure Been Good to Me    Traditional 4:43
7. High Society         Armand Piron / Clarence Williams 4:56
8. If I Ever Cease to Love            Traditional 1:47
9. The World Is Waiting for the Sunrise  Eugene Lockhart / Ernest Seitz 6:33
10. Maryland, My Maryland           Traditional 2:53
11. Funeral Sequence:
    Just a Little While to Stay Here
    Flee as a Bird
    I'll Be Glad When You’re Dead You Racal You Traditional 5:24
12. Burgundy Street Blues             George Lewis 4:30

Disc2
1. Over the Waves               Juventino Rosas 5:56
2. Bugle Boy March               Traditional 5:05
3. Doctor Jazz Walter              Melrose / King Oliver 4:30
4. Red Wing Thurland              Chattaway / Kerry Mills 3:55
5. Sensation Rag                Eddie Edwards 3:29G
6. Corrine, Corrina         Mitchell Parish / J. Mayo Williams 6:50
7. Ice Cream      Howard Johnson / Robert A. King / Billy Moll 6:08
8. Chimes Blues                    King Oliver 4:23
9. When the Saints Go Marching In        James Black / Traditional 5:33
10. Muskrat Ramble              Ray Gilbert / Kid Ory 2:47
11. Finale                   George Lewis 1:17

Kid Howard (tp,vol)
George Lewis (cl)
Jim Robinson (tb)
Alton Purnell (p)
Laurence Marrero (bjo)
Alcide Pavageau (b)
Joe Watkins (ds)

Recorded live at Ohio State University on March 3, 1954


ジャズ・アット・オハイオ・ユニオン
George Lewis
徳間ジャパンコミュニケーションズ
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