A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

たった1枚のリーダーアルバムでも、残っていて良かった・・・・

2012-03-16 | Thad Jones & Mel Lewis & VJO
New Horn in Town / Richard Williams

今では、ネット時代になって自分の演奏を世にアピールするのは誰でも簡単にできるよういなった。しかし、昔はレコードになって初めて世に出ていくしかない。そして、多くのミュージシャンにとって自分のリーダーアルバムを作ることは駆け出し時代の夢であったろう。もちろん自主制作のアルバムという手はあるが、やはりそれなりに名の売れたレーベルで。

一昨年、ウェストコーストでスタジオワークを長くやっているカールサンダースというトランペッターが来日した。マイナーレーベルからアルバムを出してはいるが、けっしてメジャーなプレーヤーではない。しかし、その演奏を生で聴いてぶっ飛んだ。歌心あるプレーが印象的で、ソロであってもセッションプレーであっても、その迫力は並みのものではなかった。本番のスタジオミュージシャンの実力というものを肌で感じて久々に感激した。

サド・メルオーケストラの初代のメンバーはニューヨーク在住のスタジオミュージシャンの集まりが発祥だが、トランペットセクションにリチャードウィリアムスがいた。本名をRICHARD GENE WILLIAMSという。1931年生まれなので、サドメルのオーケストラができたときには30代半ばの一番脂がのって来たとき。日本にも1968年に来日して素晴らしいプレーを聴かせてくれた。そのウイリアムのプレーをじっくり聴きたいと思っても、今のようなネットが充実している時代ではなく、アルバムが簡単に見つかるものではなかった。ミンガスのグループにもいてサイドメンやセッションプレーヤーとしては見かけることができたが。

それから大分月日が経ち、唯一のリーダーアルバムがあるのを知って、それを実際に買い求めたのは比較的最近の事である。改めてこのリチャードウィリアムスのプレーを聴くと、実に歌心のあるプレーで素晴らしい。このアルバムの録音は1960年。クリフォードブラウンが逝ってから5年近く経ち若手のトランペッターが育ってきた中での演奏だが、ブラウンの流れを引き継ぐプレーだ。トランペット吹きの課題曲ともいえる、”I Remember Clifford“やスタンダードの”Over the Rainbow”もなかなかいい感じだ。カールサンダースにしてもこのウィリアムスにしても、もっと聴かれていいプレーヤーだと思うが、残念ながらウィリアムスのリーダーアルバムはこの一枚。その後もスタジオやミュージカル中心の仕事が多く、クラークテリーのBigbandでは名前を見かけたが、スタジオのセッションワークだけでは彼の良さは分からない。世の中には一枚のアルバムも作れずに消えていった実力者はきっと多いのだろう。でも、一枚でも残っていて良かった。68年の来日時の記憶を思い出すためにも。

アルトのレオライトも特徴ある音色で好演だ。レオライトのプレーが印象に残ったアルバムが確かあったと思ったが、このアニーロスのアルバムだった

1. I Can Dream, Can't I?    Fain, Kahal 6:16
2. I Remember Clifford     Golson 6:25
3. Ferris Wheel         Wyands 5:01
4. Raucous Notes        Williams 4:45
5. Blues in a Quandary     Williams 4:38
6. Over the Rainbow       Arlen, Harburg 8:44
7. Renita's Bounce       Williams 5:25

Richard Gene Williams (tp)
Leo Wright (as,fl)
Richard Wyands (p)
Reggie Workman (b)
Bobby Thomas (ds)

Bob d'Orleans Engineer
Nat Hentoff Liner Notes, Supervisor

Recorded at Nola Penthouse Studio, New York City on November 19th, 1960

New Horn in Town
Rechard Williams
Candid Records
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