Iridescence / Warren Vache
タイトルの“IRIDESCENCE”。まずは、この単語の意味を知らなかった。さっそく辞書を引くと、虹色の輝きという意味だそうだ。ジャケットの孔雀の羽の意味も納得。言われてみれば自然界の中には、空の虹だけでなく虹色の輝きというものはいくつもある。共通して言えるのは、いつも正面から同じものが見えるのではなく、微妙な角度でその輝きが多彩に変化するものだ。その微妙な変化が美しさを増す。
ウォーレンバッシェはコンコルドの若手看板スターの一人。オールスターでは欠かせない人材になっていた。スコットハミルトンとのコンビもこなれてきた。しかし、多くのメンバーの中に入ってしまうと、その個性は見えなくなりがちだ。北村英治のアルバムにもゲストで招かれ参加したが、ついつい張り切ってソロが長くなりすぎて、ジェファーソンから「今日の主旨は分かっているだろうな」と言われてNGが出たとか。ソロの出番があっても個性を出すには至らないことが多い。
とすると、個性をたっぷりと味わうにはワンホーンになる。ヴァッシェもコンコルドですでに、2枚のワンホーンアルバムを出していた。JillianとPolished Brassの2枚だ。彼の楽器はコルネット、どちらもトランペットは違った味わいを聴かせてくれた。今回は3枚目。果たして前作を上回る何かを聴かせてくれるかが楽しみだ。
共演メンバーを見渡すと、ちょっと興味を引く。ピアノがハンクジョーンズ。ジョーンズ自身は数多くのセッションに顔を出しているので珍しくはないが、アネスティンアンダーソンのバックを除けはコンコルドには久々の登場だ。ベースのジョージデュビビエ、ドラムのアランドーソン、どちらも実に渋い人選だ。このメンバーを誰が薦めたかというと、スコットハミルトン。もちろん2人で一緒に演奏している仲なので、誰と相性がいいかは分かってのお勧めだったそうだ。ヴァッシェとハンクジョーンズは一緒にベニーグッドマンのコンボでもプレーをしたので、全く知らない間柄では無かったそうだが、その後殆ど一緒にやることはなかった間柄だった。
このアルバムが録音された1981年といえば、ハンクジョーンズは’77年のGreat Jazz Trioで大きく脚光を浴びた後だ。ただの伴奏での参加という訳にはいかない状況だったと思う。
一曲目の「朝日の如く・・・」。いきなり、今までに無くパンチのある演奏だ。若者が大先輩と一緒にやるとなると、先輩が古き良き伝統の教えを守り、若者は今までの枠を超えたサムシングをぶつけ合うのが普通だ。こ今回の場合は立場が逆だ。若いヴァッシェのほうが古いスイングスタイルを守り、ジョーンズが百戦錬磨のモダンアプローチのぶつかり合いだ。ヴァッシェのコルネットが今までに無い、モダンな響きだ。2曲目では形勢が逆転する、古い1930年代の曲らしいが、ヴァッシェが最近良くやっていた曲だそうだ。一転少し古めかしい響きに、ジョーンズのピアノもファッツウォーラー風になる。そして、このアルバムではフリューゲルホーンも多用する。タイトル曲のIRIDESCENCでは、その名の通りフルーゲルホーンでのバラードプレーで多彩な音色を聴かせてくれる。
なるほど、今回のアルバムではハンクジョーンズを起用して、いつものモダンスイングとは一味違う雰囲気を作り出すということだったのか。人一倍音色には気を遣っているヴァッシェだが、音色だけでなくプレー自体も七色の変化を楽しませてくれる。ワンホーンのアルバムというのは、時には単調になりがちだがヴァッシェの場合は余計な心配だった。
このアルバムから30年。そういえば最近のヴァッシェのアルバムは全然聴いていない。きっと枯れた良さが出ているに違いない。何か聴いてみることにしよう。
さっそく、比較的最近の演奏を
1. Softly, As in a Morning Sunrise Hammerstein, Romberg 4:41
2. Sweet and Slow Dubin, Warren 4:55
3. Between the Devil and the Deep Blue Sea Arlen, Koehler 4:35
4. Iridescence Jones 4:17
5. The Song Is You Hammerstein, Kern 4:59
6. No Regrets Ingraham, Tobias 4:32
7. The More I See You Gordon, Warren 3:29
8. Autumn in New York Duke 7:04
Warren Vaché Cornet, Flugelhorn
Hank Jones Piano
George Duvivier Bass
Alan Dawson Drums
Produced by Carl Jefferson
Phil Edwards Recording Engineer
Recorded at Soundmixers, New York City, January 1981
Originally released on Concord CJ-153
タイトルの“IRIDESCENCE”。まずは、この単語の意味を知らなかった。さっそく辞書を引くと、虹色の輝きという意味だそうだ。ジャケットの孔雀の羽の意味も納得。言われてみれば自然界の中には、空の虹だけでなく虹色の輝きというものはいくつもある。共通して言えるのは、いつも正面から同じものが見えるのではなく、微妙な角度でその輝きが多彩に変化するものだ。その微妙な変化が美しさを増す。
ウォーレンバッシェはコンコルドの若手看板スターの一人。オールスターでは欠かせない人材になっていた。スコットハミルトンとのコンビもこなれてきた。しかし、多くのメンバーの中に入ってしまうと、その個性は見えなくなりがちだ。北村英治のアルバムにもゲストで招かれ参加したが、ついつい張り切ってソロが長くなりすぎて、ジェファーソンから「今日の主旨は分かっているだろうな」と言われてNGが出たとか。ソロの出番があっても個性を出すには至らないことが多い。
とすると、個性をたっぷりと味わうにはワンホーンになる。ヴァッシェもコンコルドですでに、2枚のワンホーンアルバムを出していた。JillianとPolished Brassの2枚だ。彼の楽器はコルネット、どちらもトランペットは違った味わいを聴かせてくれた。今回は3枚目。果たして前作を上回る何かを聴かせてくれるかが楽しみだ。
共演メンバーを見渡すと、ちょっと興味を引く。ピアノがハンクジョーンズ。ジョーンズ自身は数多くのセッションに顔を出しているので珍しくはないが、アネスティンアンダーソンのバックを除けはコンコルドには久々の登場だ。ベースのジョージデュビビエ、ドラムのアランドーソン、どちらも実に渋い人選だ。このメンバーを誰が薦めたかというと、スコットハミルトン。もちろん2人で一緒に演奏している仲なので、誰と相性がいいかは分かってのお勧めだったそうだ。ヴァッシェとハンクジョーンズは一緒にベニーグッドマンのコンボでもプレーをしたので、全く知らない間柄では無かったそうだが、その後殆ど一緒にやることはなかった間柄だった。
このアルバムが録音された1981年といえば、ハンクジョーンズは’77年のGreat Jazz Trioで大きく脚光を浴びた後だ。ただの伴奏での参加という訳にはいかない状況だったと思う。
一曲目の「朝日の如く・・・」。いきなり、今までに無くパンチのある演奏だ。若者が大先輩と一緒にやるとなると、先輩が古き良き伝統の教えを守り、若者は今までの枠を超えたサムシングをぶつけ合うのが普通だ。こ今回の場合は立場が逆だ。若いヴァッシェのほうが古いスイングスタイルを守り、ジョーンズが百戦錬磨のモダンアプローチのぶつかり合いだ。ヴァッシェのコルネットが今までに無い、モダンな響きだ。2曲目では形勢が逆転する、古い1930年代の曲らしいが、ヴァッシェが最近良くやっていた曲だそうだ。一転少し古めかしい響きに、ジョーンズのピアノもファッツウォーラー風になる。そして、このアルバムではフリューゲルホーンも多用する。タイトル曲のIRIDESCENCでは、その名の通りフルーゲルホーンでのバラードプレーで多彩な音色を聴かせてくれる。
なるほど、今回のアルバムではハンクジョーンズを起用して、いつものモダンスイングとは一味違う雰囲気を作り出すということだったのか。人一倍音色には気を遣っているヴァッシェだが、音色だけでなくプレー自体も七色の変化を楽しませてくれる。ワンホーンのアルバムというのは、時には単調になりがちだがヴァッシェの場合は余計な心配だった。
このアルバムから30年。そういえば最近のヴァッシェのアルバムは全然聴いていない。きっと枯れた良さが出ているに違いない。何か聴いてみることにしよう。
さっそく、比較的最近の演奏を
1. Softly, As in a Morning Sunrise Hammerstein, Romberg 4:41
2. Sweet and Slow Dubin, Warren 4:55
3. Between the Devil and the Deep Blue Sea Arlen, Koehler 4:35
4. Iridescence Jones 4:17
5. The Song Is You Hammerstein, Kern 4:59
6. No Regrets Ingraham, Tobias 4:32
7. The More I See You Gordon, Warren 3:29
8. Autumn in New York Duke 7:04
Warren Vaché Cornet, Flugelhorn
Hank Jones Piano
George Duvivier Bass
Alan Dawson Drums
Produced by Carl Jefferson
Phil Edwards Recording Engineer
Recorded at Soundmixers, New York City, January 1981
Originally released on Concord CJ-153
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