A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

SOLID STATEには、コリアの名盤も・・

2007-03-06 | MY FAVORITE ALBUM
NOW HE SINGS NOW HE SOBS / CHICK COREA TRIO

最初に聴いた時、「今まで聞いたことのないような感覚」、というよりは衝撃に近いものを感じるアルバムはそうそうある訳ではない。
最近では、そのような聴き方をしないで聞き流しているだけ。
なかなか、このような経験をする機会がない。
もっとも、最近では、昔のレコードを聞き直しながら、新たな発見はしているが。

このような感じを受けた一枚が「サド・メル」のアルバムであるが、実は、SOLID STATEレーベルにはもう一枚ある。それがこのチックコリアのトリオアルバム。
SOLID STATEは知らなくとも、このアルバムを知っている人は多いと思う。
有名なアルバムだ。

ハービーマンや、モンゴサンタマリアのグループでの録音は、このアルバム以前にも何枚かあるが、全編オリジナルで、ピアノトリオで取組んだのは、このアルバムが多分最初であろう。実質的なトリオのデビューアルバムだ。
全体が、ピアノトリオ用の組曲で編成されているような作品。SOLID STATEのアルバムの中でも異質の一枚だろう。

コリアは、いわゆるハードバップの流れとはとは違う、ビルエバンスの流れを汲んだ新しいピアノスタイルだ。そして、それまで一緒にプレーをしていた、ハービーマンなどの影響を受けたのだろう、JAZZ本来の伝統、ブルースだけではなく、ラテンあるいはクラッシックの影響なども受けている。それは、この後の彼のバンドRETURN TO FOREVERにも続いて今日に至っている。

このアルバムのもう一人の主役は、ベースのミロスラフヴィトウスだ。チェコ出身の彼は、この時まだ21歳。いわゆる4ビートを刻むベースとは次元の異なり、ギターのようにベースを操る。彼のプレーもスコットラファロのプレーの発展系であろう。
この頃の若手のベースプレーヤーが何人もこのようなプレーにチャレンジしている。

ドラムは、ベテランのロイヘインズ。
録音の良さのせいもあるかもしれないが、粒立ちのよいシンバルワークは、これも新しいドラミングにベテランが素晴らしく順応し、3人のコラボレーションを生み出している。

1968年の録音。
この当時、日本では、学生運動の嵐が吹き荒れ、海外ではベトナム戦争が泥沼に。なんとなく殺伐とした時代に、彼らの新しい試みの中にある種の「清涼感」を感じたものだ。
当時からJAZZ喫茶ではよくかかっていたし、その後、今に至るまでこのアルバムの評価は高く、Jazzの歴史に残る一枚であるのも間違いないであろう。

基本的には「4ビート」が好きな自分だが、この頃のコルトレーンやフリーから一歩進んだいわゆる新主流派、そしてフュージョンに繋がるJazzも嫌いではない。

STEPS-WHAT WAS
MATRIX
NOW HE SONGS-NOW HE SOBS
NOW HE BEATS THE DRUM-NOW HE STOPS
THE LAW OF FALLING AND CATCHING UP

CHICK COREA(p)
MIROSLAV VITOUS(b)
ROY HAYNES(ds)

Recorded Mar 14, 1968,Mar 27, 1968
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする