去る2月8日(水)、9日(木)に実施した視察の報告書を作成しましたので、アップします。
視察報告書
江南市議会議員
山 登志浩
視察先:埼玉県所沢市議会
視察日:2012年2月8日(水)
視察テーマ:「議会改革について」
説明担当者:浅野美恵子・市議(議会運営委員長)
(1)議会改革の概要
所沢市議会は、議会基本条例制定を地方分権時代における議会改革の重要事項と位置づけ、2009年2月に条例案を可決し、翌3月に公布・施行した。
しかし、議会改革という一種の“ブーム”にのって条例を制定したわけではない。そこに至るまでに独自の議会改革の営みがあった。
1997年、「ダイオキシンを少なくし所沢にきれいな空気を取り戻すための条例」を議員提案で制定した。また、2003年総選挙の選挙違反事件で市議に大量の逮捕者を出し、政治倫理に対する意識が高まっていた。さらに、行政との緊張感を保つため、法定以外の審議会等から議員を引き上げていた。議会閉会中の委員会審査を活発に行なっていた。
その集大成として議会基本条例が制定された。
以下、条例の主な内容を列挙する。
○ 議会報告会
市政の課題全般について、議員と市民が自由な意見交換ができる場として位置づけられている。2010年度より、3月、9月定例会終了後、2か所ずつで開催している。
議員を4班に編成し、できるだけ自分の地域に行かないよう配慮している。市広報、回覧文書などを通じて案内する他、市広報車で住民に知らせている。終了後、主な意見・要望等を記した報告書を議長に提出する。
○ 参考人制度(後述)
○ 政策討論会
議員間の自由討議が発展したものであり、今年2月に初めて実施した。初回ということで、「地域活性化とブランドの創造」というソフトなテーマを設定した。
○ 専門的識見の活用
地方自治法第100条の2の規定を念頭に置いたものである。議会基本条例制定前の2008年度、同条例制定について大学教授に調査を依頼するなど3件について調査を行なった実績がある。
(2)考察
1 議会基本条例の制定の意義
「議会は一体何をやっているのか」-地方自治の先行きに不透明感が増す中で、有効な処方箋を示せない議会に対して、市民の不満が爆発寸前である。さらに、強いリーダーシップで市民を惹きつける首長が台頭し、二元代表制の一翼を担う議会の存在感が一層希薄となっている。
これに対して、議会側は議員定数や議員報酬を削減し、「身を切る」改革を必死にアピールしている。にもかかわらず、市民の視線は非常に厳しいままである。
なぜだろうか。市民に議会の姿が見えないところに大きな要因がある。議員が議会報告のビラを地域に配布したり、各種会合に出席したりしても、それはあくまでも一個人の活動でしかない。議員は議会組織の一員であるとの自覚を強く持つべきである。議会の情報公開を積極的に進め、説明責任を果たすことで、市民に身近な議会を作っていかなければならない。
この点、所沢市議会基本条例は「議会と市民の双方向の関係構築を目指すため」(浅野美恵子)に制定されたものであり、議会の意思が明確となっている。
江南市議会も議会基本条例を早期に制定することが望ましい。その前提として、全議員に議会活動を活発化させるという意思がなければいけない。当然、条例は事務局任せではなく、議員自らの手で作成すべきである。
2 参考人制度
所沢市議会基本条例第6条に、市民参加及び市民との連携を進めるために、参考人制度の活用が規定されている。具体的には、常任委員会で請願を審査するにあたって、請願者の代表者に意見を述べてもらう制度であり、必ず出席を依頼している。ただし、欠席しても不利に扱われるわけではない。
制度のメリットは、請願者が切実な思いを議員に直接聞いてもらうことができ、会議録に残せることである。しかも、議員との質疑応答が認められているため、「議会が聞く耳を持たない」ということにはならない。また議員も、書面だけでは理解しづらい請願趣旨を確認することで、責任ある態度を表明することができる。
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