立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

後期高齢者医療制度等の中止・撤回を求める請願書 <賛成討論>

2008年06月23日 | Weblog
 後期高齢者医療制度等の中止・撤回を求める請願書 <賛成討論(不採択とした厚生文教委員長報告に反対)>

 後期高齢者医療制度の本質的問題は,75歳以上の高齢者だけを制度の対象にしたことにあります。

 多くの自治体では「老人保険制度が後期高齢者医療制度に変わっただけだ」と説明しています。しかし,これは誤った認識です。これまでの老人保険制度においては,75歳以上の高齢者にも国民健康保険や政府管掌保険,組合健康保険といった,もともとの自分の所属がありました。加入している医療保険の資格はそのまま残りました。一方,後期高齢者医療制度では,一律にこれまでの所属から切り離されました。その点が決定的に違います。

 75歳以上の高齢者と65歳から74歳までで一定の障害のある人たちは,医療にかかる機会が一番多い人たちで,いわば弱者連合です。保険制度は支える側と支えられる側の両者が存在して初めて成り立ちます。そして,リスクを社会で分け合うことに保険制度の意義があります。こうした人たちを別枠にして切り離したことは,まさに排除の論理そのものです。「姥捨て山」に他なりません。

 保険料については,「低所得者は負担が軽減され,高所得者は負担が増える」と厚生労働省が説明してきましたが,その実態は説明とは全く逆になっていることが判明しました。

 保険料は医療費や高齢者人口に連動して2年後に改定される仕組みとなっています。保険料を値上げするか,あるいは医療給付内容を劣悪化するか,どちらにとっても高齢者にとっては「痛み」しか選択できない,あるいはその両方を促進する仕組みです。

 すでに,医療の内容を決める診療報酬に,75歳以上の高齢者だけの項目が作られています。受けられる医療を制限し,医療費を抑制しようとしていう意図が明白です。

 糖尿病や高血圧など慢性疾患の高齢者に「主治医」が治療すると,定額制(月額6,000円,自己負担600円)の「後期高齢者医療診療料」が支払われます。その算定については,1ヵ月間,1人の患者が1つの慢性疾患を持ったとみなされ,それを管理するのは1つの医療機関,主治医に限られるという「主病ルール」が持ち出されています。

 いくら検査や処置をしても医療機関への支払いは定額制です。検査や処置をするほど赤字になる仕組みですから,手抜き治療や粗末な治療になりかねません。

 そもそも,主病は1つという厚生労働省の考え方に全く医学的根拠がないという批判もあります。病気ごとに異なる医師にかかっている現状では,「主病」を1つに限定し,「主治医」を決めることは困難です。

 「相談支援料」(1人2,000円,自己負担200円)についても,生前の意思(リビング・ウィル)は尊重されるべきですが,75歳以上だけ,しかも終末期に限るという意味は何でしょうか。生きる意思を奪いたいのでしょうか。医療費がかかる延命治療を中止させること以外に考えられません。

 増加する医療費の伸びをどうするかは避けて通れない課題です。しかし,医療費抑制のみを目標として医療政策を推し進めていくことは非常に危険です。日本は,すでに世界の先進国と比べ,異常に医療費を抑えすぎています。そのツケが,医師・看護師不足,医療事故の多発,病院の閉鎖,患者のたらいまわし,無保険者の急増になって現れています。

 日本の対GDP医療費は8.0パーセントと,OECD先進7カ国(平均10.2パーセント)の中で,医療改革を断行したイギリスに越され最下位となっています。日本の国民医療費は約33兆円で,先進7カ国並に医療費を確保するとすれば,あと9兆円不足しいます。これ以上の医療崩壊を食い止め,高齢者が安心して医療を受けられるようにするために,国は早急に財源を投入すべきです。

 医療,健康は人権です。命の格差を認める「後期高齢者医療制度」は即刻廃止すべきです。国民的議論を通じて,後期高齢者医療制度に代わる,命と生活を守る持続可能な医療体制を実現していくべきです。

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