立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

一般質問 子どもの貧困について(原稿)

2009年12月07日 | Weblog
 3日に行った一般質問ですが、その質問原稿をアップします。必ずしもこの通り、議場で発言しているわけではないので、参考までに。



【一般質問 子どもの貧困について】

子どもの貧困

 行き過ぎた市場原理主義、雇用法制の規制緩和、さらに世界的な経済危機が追い打ちをかけ、格差が固定化し貧困層が拡大しています。
 その影響をまともに受けているのが子どもです。子どもが経済的困難と社会生活に必要なものの欠乏状態におかれ、発達の諸段階におけるさまざまな機会が奪われた結果、人生全体に影響を与えるほどの多くの不利を負ってしまうこと、それがいわゆる「子どもの貧困」です。
 厚生労働省は10月20日、低所得者の占める割合を示す「相対的貧困率 」について、2007年は15.7%であり、またひとり親家庭を含む18歳未満の子どもの相対的貧困率は14.2%であると発表しました。実に、子どもの約7人に1人が貧困状態に置かれているという衝撃的な事実です。さらに11月13日には、子どもがいるひとり親家庭の貧困率は54.3%であると発表しました。
 人間形成の重要な時期である子ども時代を貧困のうちに過ごすことは、成長や発達に大きな影響を及ぼし、子どもの未来をも脅かします。進学や就職における選択肢を狭め、自ら望む人生を選び取ることができなくなる「ライフチャンスの制約」をもたらすおそれがあります。さらに、貧困が次世代に連鎖するという指摘もあります。
 本人の努力では乗り越えられない格差の責任を子どもに負わせてはいけません。「自己責任」ばかり強調するのではなく、子どもの誕生、乳幼児期、就学期にわたる連続性を持った総合的な子ども・家族への政策を実行し、子どもの貧困に取り組むことは急務の課題です。

就学援助制度

(就学援助の現況)

 江南市における近年の就学援助の実施状況(就学援助率など)について所見をうかがいます。
 なお、就学援助率と子どもの相対的貧困率の間に差があることを申し上げておきます。

(国庫補助廃止の影響)

 いわゆる三位一体の改革で2005年度以降の準要保護者に対する使途を限定した国庫補助金制度が廃止され、使途を限定せずに国から自治体に交付される交付税として一般財源化されました。一般財源化の理由として、準要保護者への就学援助には生活保護法のような全国共通の基準がなく、その認定が市町村教育委員会独自の基準と方法で行われていたことがあげられています。当時の文部科学大臣は「(一般財源化しても)市町村における事業が縮小することはない」と答弁しています(2005年3月16日)。
 しかし、文部科学省「就学援助に関する調査結果について」(2006年6月)によると、国庫補助廃止後105市区町村で「他市町村との比較」「財政上」「市町村合併」などを理由に、準要保護者の認定基準の厳格化、援助支給額の減額が行われています。2008年度も74市町村で認定基準の引き上げによる支給抑制が行われています。
 就学援助費は地方交付税を算定する際の基準財政需要額(歳出)に算入されます。2007年度の準要保護者に対する就学援助分の基準財政需要額は、720人の小学校で1,650,000円、600人の中学校で1,980,000円と算定されています。児童生徒一人あたりに換算すると小学校では2,300円、中学校では約3,300円にしかなりません。この算定額では十分な就学援助費を支給することはできません。
 具体的に試算すると、2008年度の江南市の就学援助費(決算額)は49,829,910円でした。これに対する基準財政需要額はいくらであり、それは決算額の約何%にあたりますか?

(就学援助制度の改善)

 経済不況の中、これ以上の保護者負担を求めることはもはや限界です。また国庫補助金制度が廃止され一般財源化されたため、地方自治体に対する財源保障が弱く、地方交付税をあてにすることもできません。
しかし、そうした厳しい状況下でも、就学援助制度を改善、充実させていかなければなりません。

※ プライバシーに配慮した申請方法による申請率、捕捉率向上

 東京都大田区では、区立小中学校に通う児童生徒を通じて希望調査書を保護者全員に渡しています。
 調査書の最初の質問は、「就学援助費の受給を 1、希望します 2、希望しません」。2に○をつけた場合はそれで終わり。1に○をつけたら、続けて申請に必要な事項を記入していきます。プライバシーに配慮して、全員に書類提出を求めています。
 このような申請方法を採れば、全員提出のため、申請しようかどうかというためらいをあまり感じずにすみますが、所見をうかがいます。

 日本語を母語としない、理解できない保護者(外国人)も増えてきています。文部科学省通知において外国人への配慮が求められていますが、所見をうかがいます。

※ 行政、学校の努力

 市役所(教育委員会)が就学援助制度の周知・広報、制度拡充に向けて努力することは当然ですが、制度を浸透させていくには教職員の協力が欠かせません。教職員が就学援助制度を学び、保護者へ周知すること(給食費などの滞納者への対応を含む)についての所見を伺います。
 また現在、新入生に対して「就学援助費について」という説明書と申請用紙を配布しています。しかし入学後は、学校側からその説明書、申請書を改めて配布していません。
 学習塾経営者の湯田伸一氏「市区町村における就学援助制度の運用実態に関する全国調査」(2007年7月現在の全1827自治体を対象) によると、説明書の全数配布と受給率には強い関連があります。入学時一回だけではなく、年度や学期の変わり目などの節目の時期にも配布すべきではないでしょうか。また、ホームページで制度についてもっと丁寧に説明すべきではないでしょうか。

 就学援助制度は申請主義が原則ですが、文部省(当時)は「市町村は保護者の申請の有無にかかわらず、真に就学援助を必要とする者については援助を行なう必要がある」「申請の有無のみによって就学援助の対象となる者の認定を行なうことは法の趣旨に適合しないこととなる」(1966年8月16日、東京都教育委員会の照会に対する文書回答)という見解を示しています。文部科学省も「保護者の申請の有無のみによって認定することのないようにすること」(平成14年度要保護及準要保護児童生徒援助費補助金の事務処理について、2002年10月22日)と通知しています。
 実際、「校長が保護者に代わり教育委員会に申請することができる」と規定している自治体もあります。
 家庭の事情も考慮して、校長などが代理申請することについての所見をうかがいます。

※ 支給時期

 修学旅行費、野外教育活動費については、実績をもとにおおよそ1か月から2か月遅れの支給となっています。そのため、学校で分割徴収が行われているとはいえ、いったん自分でお金を用意しなくてはなりません。概算払いなどで支給方法を改善することはできないでしょうか?

※ 援助対象者と認定基準

 「就学援助費認定取扱要領」第2条で援助対象者が定められています。援助対象者は生活保護法の規定による「要保護者」と、要保護者に準ずる程度に困窮している「準要保護者」とされています。
 準要保護者については7つの基準がありますが、そのうち「その他経済的理由」に該当した人は何人いて、どのような理由でしたか?昨今の経済不況による家計急変への対応についても、あわせて所見をうかがいます。

 保護者が就学援助制度の利用を希望する場合、「自分は受給対象なのか」「申請していいのか」、判断に迷うことがないよう、就学援助が認定される所得基準の目安を明らかにすることで、制度が有効に活用されます。
 湯田氏の全国調査によると、自治体からの、就学援助が認定される所得基準の目安の提示と就学援助率の関係について、「所得基準例を示していない」自治体の就学援助受給率が8.6%に対し、「所得基準例を示している」と回答した自治体では15.2%で約1.8倍になっています。
 実際、世帯人員モデルで所得基準が示されなければ、受給要件に該当するか否かの個人的判断は難しく、世帯構成例による収入(所得)基準が示されて然るべきです。
 最近、要綱などで「生活保護基準の○○倍」などと基準を明確化する自治体が増えています。生活保護基準をもとに一定割合の所得基準の世帯を対象とする基準をつくることについて、所見をうかがいます 。県内各市においてはこのような取り決めがなされているか、その水準についても説明してください。

 不認定となった場合の対応について所見をうかがいます。不認定通知に、行政不服審査法に基づく審査請求などの手続きを記載しておくべきではないでしょうか?

 就学援助制度が子どもの学ぶ権利を保障する制度であることを明確化するという観点から、「就学援助費認定取扱要領」の妥当性について所見をうかがいます。

(就学援助制度の法外扶助の拡充など今後の取り組み)

 自治体独自の措置として、卒業アルバム購入費、水着代、ヘルメット購入費、修学旅行支度金、めがね・コンタクトレンズ購入費を就学援助として給付している自治体もあります。
 特に、めがねは子どもの健康に密接に関わります。近年、子どもの視力は低下しています。文部科学省の調査によると、中学生の2人に1人が1.0未満です。生活保護を受けていれば、めがね購入費は保護費として支給されます。
 現在、神奈川県大和市、東京都墨田区、静岡県三島市などでは、就学援助の法外扶助でめがね購入を認めています。
 子どもの貧困が政治・社会問題となる中で、就学援助制度が果たす役割は極めて重要です。就学援助制度(特に法外扶助)を拡充すべきと考えますが所見をうかがいます。
 また、子どもの貧困解消に向けた取り組みを強化することと予算との関係について、所見をうかがいます。
 市民満足度調査において、子どもの貧困という視点を取り入れる必要があるという意見を申し上げてこの質問を終わります。
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