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接待

2021-02-23 10:54:57 | 日記
ノミニケーションという言葉はまだ無かったが、下請け会社の経営者や営業の連中と酒を呑む機会はよくあった。私は、いすゞ自動車やキャタピラー三菱社の一次下請けの購買課の責任者だった。仕事の相手は二次下請けの町工場のオッチャンが主である。自動車業界は好況だった。毎日が忙しかった。1月の残業が100時間を超えるのが当然の時代だった。

下請との交渉は主として、工賃、納期で、品質については別の部署が管理していた。工賃の方はあまり問題がなかった。つまり下請から来る見積りと、こちらの予算に大きな差があるケースはほとんどないのだ。問題は納期である。繰り返すが好景気の最中である。例は異なるが、ラーメン店の繁盛風景を思い浮かべてみていただきたい。店は満員である。出前の催促の電話が鳴る。「ハイハイ、いま出ます」と答える。3軒の客に同じ返事をする。もちろんウソだ。ウソだが仕方がない。ああ忙しい、忙しい・・・、あれと同じだ。だから下請にもムリをしてもらう。日曜出勤を頼み、徹夜作業をお願いする。

その無茶苦茶な依頼の後には、酒が要る。酒を仲立ちとする人間関係が要る。下請から接待されることもあるし、上司からは「こちらからもごちそうしろ」と言われる。町工場のオッチャンの中には酒豪もいる。1軒2軒ではオヒラキにしてもらえなかったりする。今から考えれば、とにかくよく呑んだ。よく働いた。よく呑めた。よく働けた、と感心するほかはない。

菅首相の長男が、役人を接待したということが問題になっていて、そのことに関する委員会のテレビ中継があったのを、ちょっと見た。遠い昔の、酒が作る人間関係のことを、ふと思い出した。

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