Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

温家宝首相の“小芝居”?

2011-07-30 09:21:29 | 時事
温州の中国高速鉄道追突事故で28日、温家宝首相が現地を訪問、入院中の被害者や遺族を見舞った後、記者とのやり取りで「11日間病床にあり、現地に来ることが出来なかった。今日も医者の警告を押し切って来た」と話していたことを取り上げたが、中国のネット上では、「うそつくな」「中国第一影帝」(中国一の映画スター)と批判する発言が目立っているという。
「今日新聞網(NOWNEWS)」によると、中国の新華社や中国新聞社の報道を調べると:
28日の11日前から考えると、18日にはイラク首相と会見、19日には国家気候変動変化と排出制限工作指導グループの会議を主催、21日はカメルーン大統領と会見、事故発生翌日の24日には日本国際貿易代表団と会見--と、「病床にあったわけでなく、活動しているではないか」と記している。
好意的に解釈すれば、病床からこれらの会見に出席したと考えることも出来る。医者が止めたのは北京を離れることで、医者の反対を押し切って温州に来た、という風に。いずれにしても政治家たる者、「病気だった」というのは本当だとしても仮病だとしてもいかがなものか、なのだろう。

香港紙「りんご日報」は、事故現場前で実施した温首相とメディアのやり取りについて、質問者をあらかじめ決めておいて、おそらく質問状を提出したうえで、想定問答を作っていたのではないかと報じている。質問したのは、新華社、CNN、ロイター、香港商業テレビ局、中国中央テレビ局、共同通信、地元の温州日報だ。りんご日報は、サイトに会見中の記者団の後ろからの写真をアップ、チェックの帽子をかぶっている記者が、温首相側からあてられて質問した記者だとして、チェックの帽子が当局側が配った目印ではないか、としている。
昨日、中央テレビ局の女性記者の質問が「現場から事故車を埋めてしまうなら、早々に片付けてしまったのはどういうことか」とか「『公開透明に原因究明する』といったが、政府はどのようにやるのか」などと、かなり辛辣だったが、これも想定内、というか当局が許したレベルの質問であり、あるいはこれも「やらせ」だった可能性さえ考えられる。
「りんご日報」によると、これまで現場で生中継していた中央テレビ局が、この記者会見は生中継していなかったとも指摘している。もちろん、混乱した場合、あとで編集できるようにだ。
中国に限らずよくあることだ。日本などならこのあと自由質問を受け付けるが、当然温首相のときはなかった。メンツを見れば通信社と米のテレビ、地元新聞と、あらかじめ申し合わせていたことは用意に想像できる。
また、中国大陸報道を得意とする台湾紙「旺報」は、この記者会見に「台湾メディアははずされた。秘密裏に当局の管理下で行われた」と怒っている。
「旺報」によると、温首相は28日午前10時半に温州市医院着、被害者や家族と会ったが、これは報道陣シャットアウト、12時半に事故現場に来たが、現場では午前7時ごろから厳戒態勢に入ったという。国務院新聞弁公室(政府広報室)は温州水心賓館の門の前から5台の大型バスに200人の記者を乗せて現場に運んだという。これらについて、台湾メディアには中国当局から一切連絡はなかったという。

香港の鳳凰電視台(フェニックステレビ)の評論員は、この会見について「英語の通訳が入り時間がかかりすぎた。現場の外国人記者もほとんどが中国駐在で中国語がわかるのだから、通訳は必要なかった。中国当局担当者の国際感覚に問題があり、台湾メディアをはずし、一方で、外国の目を意識した会見だったのだろう」との見方を示したという。

ということで、昨日は温家宝首相に同情したが、もしかすると、単なる仮病による“やらせ”だったのかも。温家宝も落ちたものだ、というか、混乱収束のためには、なりふり構っていられないのだろうか。回りが気を使いすぎて、やらせ会見をセッティングして温首相は客寄せパンダとして「悲しみ憂う病気の指導者」を演じただけかもしれない。

温家宝首相「11日間病床に」

2011-07-28 18:30:02 | 時事
浙江省温州の中国版新幹線追突脱線事故から6日目の28日、温家宝首相が事故現場にやってきた。花をたむけ深々と一礼するさまは痛々しいほどだ。

新華社のサイトに現場での記者との質疑の様子が掲載された。それによると、まず病院に行って負傷者を見舞ったあと、遺族とも対面したと話し、「この機会を借りて記者の皆さんに心のうちをちょっと話したい」と低姿勢で話し始めた。「最も重要なことは人の生命、安全なのだということを、この事故は改めて気づかせてくれた。そして政府にとって最も大きな責任とは人の生命安全を保護することだと気づかせてくれた。私は最近病気で11日間病床にあり、今回、医師の反対を押し切ってやってきた。事故発生から6日目になってやっと私が現場に来たのはこのためだ」

中国の指導者にとって、自分が病気だ、と告白することは、きわめて稀だ。病気で体が悪い、と広まれば一気に政治的影響力を失うからだ。中国のほとんどの指導者が黒髪だ。江沢民も李鵬も胡錦濤も、違和感を持つほど真っ黒な髪だ。もちろん染めているのだろう。白髪は老いを連想させ、自らの健康問題について、他人からいろいろ言われてろくなことがないからだ。

人民宰相として、中国の庶民にもっとも親しまれている温家宝首相が、自らの健康問題について告白したことはどういうことなのか。温首相の現場入りが遅れたことについて、いろいろ揶揄する論調もあった。それに対する言い訳なのか。あるいは本当に病気だと、これは来年の権力継承までもつのか。ある意味、中国の現指導部の中で、最も親日的で常識的で、政治体制改革について積極的な姿勢を見せている温首相が任期途中で病に倒れて職務遂行できないことになると、胡錦濤国家主席兼党総書記も太子党、上海閥に歩み寄りつつある中、中国指導部の中の最後の良心が失われる危険がある。
自分が病気だ、と発言することで同情を得て、事態を沈静化させようとしただけなのか。温首相の性格的にはあまり考えられない。本当に11日間寝込むような、外出にドクターストップがかかるような病気だとすると、中国政局が心配だ。

記者との一問一答を見てみると、この事故の収束へ並々ならぬ決意を表明している。

まず新華社の、「関係者の引責についてはどのように考えているか」との質問に対し:
 この事故処理については多くの疑念がある。責任者の交代も検討する。事故後、国務院はすぐに事故調査グループを結成した。これは独立した組織で安全監督部門、監察部門、検察部門を含む。法律に基づき直接の責任者と指導責任を追及していく。調査の全過程を公開透明にする。

次に米CNNの「中国は米国を含む世界各国に高速鉄道技術を輸出することを急いでいるように見える。中国政府、および温首相本人は国際社会に対して、具体的にどのような方法で高速鉄道の技術が非常に先進的かつ安全だ、と説明するのか」に対し:
 口先だけでなく実践で答えなければならない。安全性を失えば信頼性も失う。今回の事件が我々に気づかせてくれたのは、高速鉄道建設においては安全が第一だ、ということだ。今回の事故を教訓に多くの分野で改善し、管理を強め、本当の安全を実現して世界の信頼を勝ち得なければならない。

ロイターの「今回の事故の今後の鉄道建設への影響は」に対しては:
 科学的な計画を練り、合理的に配置し、順序だてて発展させ、早ければ早いほどよいでは駄目で速度と質、効率と安全を有機的に結びつけて、安全第一にやらなければならない。

香港商業テレビの、今回の事故は天災か、人災か、との質問には、
 調査の結果、人災なら責任者を処分し、もし機械設備の問題、管理の問題、生産工場の製造上の問題なら解決に努力する。もし隠蔽が発覚したならば法により処理しいっさい手は抜かない。そうしなければ犠牲者が安らかに眠れないだろう。

中国中央テレビ局は「現場でもう事故の痕跡は見えない。事故現場の処理が早すぎるのではないか、と疑念を抱いている。先ほど公開透明とおっしゃったが、大事故が発生したあと、政府はどのように公開、透明を示していくのか」。結構きつい質問だ。
 事故発生後、胡錦濤国家主席は、直ちに救出第一と指示した。私は鉄道部の責任者にすぐに電話をして「人命救助」を確かに伝えた。先ほど遺族の方々と会ったときも同じようなことを聞かれた。事故処理の大原則は救出だ。2つ目の原則は安全検査だ。調査と分析を経て問題のある列車を動かすかどうか決めた。当然、事故現場の処理は被害者を考慮しなければならない。合理的な賠償をしなければならない。事故処理をうまくする鍵は大衆に正確に情報を伝えられるかどうかだ。

共同通信の「中国民衆や海外の人々が中国への信頼を回復させるために、鉄道部はどのような改革をするのか」との質問には:
 特に科学技術事業では、自らの発明、ブランド、知識財産権、これらをもって国際競争力のある生産品ができる。技術や設備には安全性をもってこそ競争力を得られる。中国の未来に対して私は十分な自身を持っていて、今後も目標実現のために努力奮闘を続ける。

……………………………
温首相の回答が本当なら、調査グループは独立している(中国ではそんなの絶対無理だ)という。責任者の処分もする。安全対策を最優先し、スピードばかり気にする開発もしないという。本当にできるのだろうか。もし温首相が病気なら、絵に描いた餅にしかならないような気もする。
事態収拾と民衆の不満を緩和するため現場にやってきて、理想的な解決方法について語るが、実際は高速鉄道政策を強引に進めている江沢民系上海閥の抵抗に遭い、温首相はその板ばさみになって、結局何も出来ないのではないか。


事故原因落としどころか

2011-07-28 13:46:18 | 時事
浙江省温州で23日起きた中国高速鉄道の追突脱線事故。新華社は28日午前、事故の原因は信号機の設計上の重大な欠陥により、落雷で故障した後、本来赤にならなければいけない区間で間違って青になったままで、後続列車が突っ込んだ、と上海鉄路局の安路生局長の、事故に対する初期的な原因についての分析を紹介した。

新華社のサイトによると、安局長は温州で開かれた事故調査グループの全体会議で、北京の研究設計院が設計した09年9月29日から使用している信号について、設計上の重大な欠陥があると話した。

また、地元の温州南駅の電気部門の当直者が、新しい設備に対する理解が足らず問題を軽視し欠陥を放置したままで、鉄道行政部門の職員に対する教育訓練がいたらなかったことも認めた。

と、なんとなくもっともらしそうな原因が出てきたが、昨日ブログで書いたように、落雷によって容易に電気系統の故障を招き停車してしまう中国版新幹線の車体の構造上の欠陥や、今回の事故で明らかになったダイヤ上は本来後ろを走っていたはずの列車が停車、微速前進中に、本来前を走るべき列車に追突されたという、管制システム上の問題、自動列車制御装置がうまく機能しなかったと見られる問題については触れられていない。これらの中国版新幹線システムの根幹をなす、より大きな欠陥を隠すために、とりあえず生贄の欠陥として、信号機の設計上の欠陥という、それほど全体状況に関係ないような「小さな」原因を持ち出してきたのではないか。
ついでに、温州南駅の担当者が不具合や故障を放置したという人為ミスを加え、落雷の影響もあったとした複合的な原因、という方向に持ってきているのは、昨日書いたとおりだ。

本当に早朝から会議をしたのだろうか。新華社のサイトのこの記事の配信時間は午前9時23分。中国人は早起きだ。というか前日までの事故をめぐる報道などに対応するため、前日から用意していた一定の途中経過での結論なのだろう。普通、日本での事故調なら、会議が終わった後で記者会見して、そこで発表する、という形だが、そこは「国営」新華社。会議に同席して局長のセリフをその場で記事化して配信しなければ、あるいは、事前に結論を教えてもらっていなければ、こんな早業は普通出来ない。

さらに、遺族に600万円の賠償金を支給するという、従来より厚めの補償対応も、温州駅や南駅などで遺族たちが集まって抗議をしていることに対して、体制を批判する様相がうかがえるという危機感を得たことで、まずこの動きを沈静化しよう、との出方に見える。都市部でデモなどの鎮圧に当たる武装警察らによる治安維持の予算に、防衛費と同等程度の予算を投入している中国において、大規模なデモになる前に未然に防ぐことが出来るのなら、破格の600万円など安い安い、と考えているのだろう。

ただ今のところは100人程度と、遺族関係者だけで抗議しているようで、ほかの不満分子を巻き込んでの大きなうねりになるような気配はない。中国当局は先手必勝だろう。あるいは中国のやり方に批判的な一部の西側メディアが彼らをあおって、より大げさに抗議を扱って何らかの動きを招くように仕組んでいるのではないか、と見るのは考えすぎだろうか。ややメディアスクラムが過ぎるように見える。

中国新幹線事故

2011-07-27 02:43:45 | 時事
温州で発生した中国高速鉄道の追突脱線事故。死者数も当局の思惑で新華社が数を減らす訂正を出したり、現場では、先頭車両を埋めちゃったり、また掘り返したり、事故発生後1日半で運行を再開したり、と中国鉄道省のやることは我々の常識をはるかに超えている。

埋めちゃって本当に事故原因の検証ができるのか、という疑問、また、掘り出して温州西駅に運び出されたことで、徹底的な原因究明が望まれる、とか報じる日本メディアもあるが、想像するに、検証をしてもしなくても、事故原因は中国当局的には最初から決まっているんだろう。26日は「専門家」が現場検証したようだが、中国に第三者機関の事故調査委員会など存在するわけもなく、当局の言いなりになるお手盛り調査に過ぎない。

原因は、おそらく「運転士の居眠り運転かよそ見、運転ミス。これに管制センターの指示が的確でなく、落雷などの天災が加わった複合的なもの」となるのではないか。原因は人為ミスであって、新幹線の車体の落雷に対する弱さという構造上の欠陥や、自動列車制御装置の不備、あるいは運行システムの不備、など設計上の問題は提起されない。
そもそも自動列車制御装置を導入しているのなら衝突は起こらない。中国が“独自”開発した制御装置のスイッチを何者かが切っていたのか、ダイヤの遅れを取り戻すために警報がなる装置がうざったくて切ってしまっていたのか。また装置を切ることが常態化していたのか。あるいはそもそも自動制御装置などないんじゃないか、とまで思える。

中国高速鉄道事業は国家の威信をかけて進めている。もっというと江沢民系の上海閥が牛耳る、巨額な汚職も伴った巨大プロジェクトだ。劉志軍・前鉄道相は収賄容疑で更迭されている。片腕の張曙光・運輸局長も数千億円という蓄財をして停職処分となり取り調べ中だ。温州の現場に真っ先に駆けつけた高速鉄道担当の張徳江副首相も江沢民系だ。江沢民の事業をポシャらせて顔に泥を塗るわけにはいかない。国から多額融資を引き出した結果、事業として成り立たなければ、また莫大な利益を得られる海外売り込みに失敗すれば、中国の国家財政に大きな損失を与える。高速鉄道事業は後戻りすることはできない。ましてや、この期に及んで、システム上に欠陥があったなどと認めれば、海外への売り込みが不可能になる。あくまでも人為ミスで起きた事故で、中国“独自開発”の車体やシステムそのものにはなんら問題がない、とシラをきり通さなければならない。
だから事故発生直後の当局側のコメントも、「運転士の養成に万全を期し、技術向上や安全運用を徹底しなければならない」とシステムそのものの欠陥にはまったく触れていない。

何か日本の原発問題に似てるぞ。原発をやめようとは日本政府の誰も思っていない。レイムダックの菅首相が思いつきで言って、官僚やほかの政治家、財界とつながりのある(政治献金をもらっている)人々から総スカンを食っているだけだ。

人のうわさも七十五日、喉元過ぎれば熱さ忘れる。しばらくしたら中国当局はまた平然と中国高速鉄道の海外売り込みに力を入れるだろう。ただ、米国やブラジルなどはどう見るか。中国高速鉄道が順調に進んだ段階でなく、まだこのような早期に“欠陥”と思える事態が明らかになったのだから、世界各国はその評価のために十分な時間を得ることができるだろう。

事故車両を穴に埋めた、というのも驚きだ。鉄道省の王勇平報道官も会見で「空港に着いたとき、このことを聞き、『なぜそんなことをしたのだ』と聞くと、『地盤が軟らかくて救出作業に支障をきたす』と言われた。それなら仕方ない。信じるも信じないも自由だ。私は信じる」と開き直った。現地の考えでは、事故車両を西側メディアや当局のいうことを聞かない人民に写真撮影されたりすると、自分たちが隠そうとしている本当の事故原因のヒントを与えてしまうのではないか、と思って、シートをかぶせるなどの露骨な方法では非難を浴びるので、埋めてしまえ、というのが理由ではないか。実際掘り起こした車両はシートをかぶせて運搬したのだから。地元が勝手にやった、とも思えるし、実は中央指導部の指示だったが、あまりに批判が多くて地元に責任を押し付けたのが王報道官の発言だった、との見方もできる。

掘り起こしたのは、あまりに国内外から批判を受けて、引っ込みがつかなくなった、というところだろう。中央宣伝部から事故報道は独自取材を許さず新華社の原稿を使え、と指示があったと報じられているが、実際、メディアのサイトにアップされた原稿でも独自取材や独自の見解を示すものが少なくない。中国メディアの記者たちまでもが、今回の事故の対応には相当腹を立てていると思わざるを得ない。
下の写真は24日の王勇平報道官の記者会見の様子を写した新華社のサイトの写真だが、王報道官が頭を下げて謝罪をしている写真が2枚もアップされている。


中国人記者が一番腹を立てたのは、救出作業を終了した後の25日になって、2歳8カ月の女児が救出されたこと。「当局は被害者を見殺しにするのか」と記者のヒューマニズムが、当局の報道規制も恐れず、各媒体で当局も抑えられないほど、巧みにこの事件を報じていることで、中国当局も「隠し通すことはできない。このままだともっと大きな中国共産党指導体制を揺るがす原因になる可能性もある」と判断、車体を掘り起こしたのだろう。

実際、この事故の処理を誤れば、そうでなくても不満がたまった民衆の中国当局への不信感はますます強まり、体制維持もままならなくなる。ましてや「党の舌」といわれるメディアを敵に回せば世論コントロールさえできない。外国のメディアが、温州での遺族の抗議の様子を撮影して報じ始めており、指導部に楯突く抗議の様子が国内にも広まることがあったら、指導部の脅威になりかねない。今後、事故現場でのメディア規制はますます進むだろう。四川大地震での校舎倒壊が当局も手を貸した違法建築によるものだとした遺族らの抗議や、チベット、新疆ウイグル自治区のデモの再来になりかねない。しかも、今度は中国の多数を占める漢民族が快く思わない少数民族の問題ではなく、シンパシーを抱きやすい事故被害者だ。中国指導部のお手並み拝見だ。

中国新幹線の体験

2011-07-26 14:39:15 | 時事
ついに予期していたことが起きてしまった、というのが、7月23日に浙江省温州市で起きた「動車」(中国新幹線)の追突脱線事故。7月1日の党創立記念式典に間に合わせようと、6月末に急ピッチで開通させた北京-上海間の高速鉄道が「4日間で3度の故障停車」と問題視され、「落雷で電気系統が故障したが電車そのものに問題はない」と居直って問題を放置した結果の惨劇だろう。

実際、落雷による故障はあちこちで頻発している。そもそも新幹線には避雷針があるのは当たり前なのに、落雷が起きるごとに毎度毎度停車していては商売にならない。鉄道省は「あくまでも電気系統のみの故障で、新幹線の車体そのものの安全性に問題はない」と発表したようだが、新幹線を導入するなら車体だけでOKというのは、ソフトを重視しない中国らしい考え方が出ている典型だ。車体の安全性と運行システムのスムーズさ、管制部門が全体を掌握するための情報集約、そして車内サービスなどを加えた総合力が、新幹線を運行させるための条件だろう。
分かってないのは、やっぱりな、当たり前だろうな、と思ってしまうぐらい、目先のスピードのことしか頭にないのだろう。


2008年4月に最初に乗った中国新幹線は、上海から南京。見た目も日本の新幹線そっくりだが、人件費が安い中国ゆえ、車内サービスの服務員の女性はうようよいて、何をしているか分からないほどだった。全員にペットボトル入りの水を配っているところもあった。これは座席カバーにこのミネラルウォーターの広告があり、スポンサーなのだろう。

車内にはスピードメーター。この新幹線は最速200キロ超程度だった。このころは、まだ中国でもスピード一辺倒ではなかったのかもしれない。それで命が助かったか。


スピードばかり重視する傾向は上海の浦東空港から地下鉄の龍陽路駅までを8分ほどで結ぶリニアモーターカーもそうだ。中間地点でほんの少しだけ時速430キロを超えるが、たった10分弱でどれほどの効果があるのか。朝晩の利用者が少ない時間は250キロ程度しか出さず、それでも所要時間はほとんど変わらない。


そもそも時速350キロ、といっても、おそらく日本の新幹線でも可能な速度なのだろう。日本では安全性を確保するためにギリギリまで速度を出さない「伸びシロ」の部分を、中国では目一杯の速度まで上げることで“独自開発”と称しているようだ。日本の新幹線システムを中国に導入しようと提案したときには、最高時速200㌔程度で、安全性を確保した運用を提案したらしいが、中国側は「最新技術ではない」とより早い速度を求めたとも聞く。日本の新幹線でも速度を示すことがあったらしいが、われわれは今何キロ出ているか、というこことよりも、予定通り、時間通り目的地に着くことのほうが大事だ。中国新幹線は時として予定時刻より早くついてしまいこともあった。「?」だが、ダイヤというものは実は存在しないのだろう。

2009年3月に乗った、JR九州の「ソニック」みたいな“なんちゃって”新幹線は、上海南から杭州をノンストップで結ぶ。

とはいっても時速170キロ程度。早いといえば早いが、これを200キロ以上までスピードアップしているとすると、恐ろしいと思わざるを得ない。

車内の写真はスポンサーの水を乗客全員に一人ずつ愚直に配る女性乗務員。ご苦労なこった。「さっき1本もらったよ」と自己申告すると、「もう、忙しすぎて分かんなくなっちゃうわよ」とキレかかっていた。ご苦労様。

新幹線は速くて便利だが、安全じゃない、と乗らないとなると、長距離バスか。でも河南省でつい最近40人が死亡する事故が起きている。バス事故も頻発している。ゆっくり揺られて車窓を楽しむ昔の中国旅行が懐かしくなってくる。

7月19日シソも発芽

2011-07-19 12:24:58 | ゴーヤ日記
12日にまいたシソ(大葉)の種も発芽して数日。ちっちゃいのがたくさん生えてきた。これでも百均で買った種の袋に入っていたものの半分程度なのだが、結構順調に発芽した。

アップにするとこんな感じ。まだシソ特有の葉っぱは出ていない。これだけ密集して生えてくるとそのうち、間引きしなければならないだろうけど、そのとき、最初のシソの葉を味わうことができるかな。

ゴーヤの方は芯芽を摘んでから、それなりにほかの芽が伸びてきて、そろそろネットにかかってきた。ただ、まだグリーンカーテンを作るほどではない。まだ1ヶ月ぐらいかかるのかなあ。そうすると夏が終わってしまうかも。

一番長いのは、プランターに2つ植えたほうのひとつ。一番西側にあるので、太陽の光が一番最後まで当たっているのかな。

花が咲くまではまだまだかな。市内のあちこちのホームセンターとかに行くと、ゴーヤが十分に伸びていて花が咲いていたり、実がついているのも見ることが出来るが、そもそもスタートが遅かったからなあ。


7月12日芯芽摘み

2011-07-12 16:22:02 | ゴーヤ日記
結構ゴーヤが大きくなってきた。で、そろそろ芯芽を摘んだほうがいいんじゃないの、と言われたので、「は?」1メートルぐらい伸びたら、最初のツルをとるんじゃないの、と聞いたら、テレビでは葉が8枚ぐらいになったら中心の芽を摘む、と紹介していたらしい。そうするとゴーヤのツルが左右に広がって生えるらしい。

いま、こんな感じ。まだ早いんじゃないかなあ、とも思った。百均で買ったネットを支柱3本を組み合わせて、張ってみたが、まだツルがやっとネットに絡みだしたという感じ。休みなのでやっちゃおうと最初にプランターに植えた5本については芯芽を手で摘んだ。

こんな感じですかね。ちょっとかわいそうな気もしたけど、芯芽にはあまり実がならない、ともネットに書いてあった。

で、伸びてきたゴーヤの苗のうち4本は数日前に会社の人に差し上げた。で、なんとなく2、3本残っていたのも、かわいそうなのでちょっと小さめのプランターを百均で買ってきて植えてみた。

双葉だけで成長がとまっていたやつと、一番元気がなさそうなやつは、残念だが捨てることにした。プランターの土が少ない劣悪条件でどれだけ育つだろうか。小さなトマトのパックの中で育っていたので、太陽に向かってまっすぐ伸びていなかった。これからまっすぐなるだろうか。

ということでゴーヤの苗7本。あとシソ(大葉)の種を適当に蒔いてみた。実家の庭には何にもしなくても夏になるとびっくりするほどたくさん生えるが、プランターの土だとどうだろうか。夏の間の薬味になればいいなあ。

江沢民死去報道打ち消し

2011-07-08 10:25:16 | 時事
前日、江沢民死去を報じた香港の亜洲電視(ATV)は、報道を取り消した。「新華社が江氏死亡はまったくのうわさだ、と報じたことをわれわれは重視している。視聴者と江氏、その家族に謝罪する」と放送した。

亜視のサイトからこのニュース動画を見ると、このあと、亜視のオーナーで中国の若手実業家、王征・政協委員への記者のぶら下がりが映され、王氏は、「テレビを見てこのニュースを知った」、中国当局からののお叱りはとの質問には「ない。亜視のこのニュースへのコメントの放送をみてください」「あなたたちもメディアなら過度に反応しないでほしい」「香港の報道媒体ならこういう事態は避けられないこともある」「私自身もこのニュースは真実であってほしくない」などとのやり取りを放映していた。

香港の記者たちが敏感に反応するのはもちろん、中国当局が、一国二制度の原則の下運営されているはずの香港の民間テレビ局に対して、報道規制や管制をしいているのか、ということ。ただ、新華社の江沢民死去を否定する報道や、中国外交部の定例会見でスポークスマンが、「新華社が報じているとおりだ」と言っているのなら(新華社は中国国営の通信社)、中国当局が江沢民の死去を数十時間、数日間も隠し続ける理由は特にないと思われるわけで、誤報だ、と考えていいだろう。それならば報道の訂正を出すべきで、江沢民の家族なり、所属する関係機関(この場合は中国共産党、あるいは中国政府)が亜視に対して抗議、あるいは意見を述べることは当然のことで、これは報道管制とは別のものだと思う。

もちろん報道管制の圧力の意味合いのあるものになるかもしれないが、この期に及んでも王氏が「香港の報道媒体ならこういう事態も避けられない」と述べていること自体、香港に中国当局の管理を離れて、一定の報道の自由は維持されていると考えていいのではないか。もちろん、宗主国に対して香港のテレビ局側が自主規制をすることはありえるし、たぶんあると思うが。

これに対して、7日の夕方段階で江沢民死亡を伝える号外をPDFでサイト上に載せた産経新聞は依然として報道を取り消していない。PDF号外もサイト上に残ったままだ。

紙の新聞を見ることが出来ないため、サイト上での報道でしかわからないが、「生命維持装置で生かさず殺さずの状態を維持して、政治の風向きとタイミングを見て死亡を発表することがある。毛沢東も小平もそうだった」などと、どこから聞いてきたかわからないような「屁理屈」原稿を流している。

すくなくとも小平の場合は死去(と中国側が発表した時間)から5時間後には公表しているわけで、かつて林彪がモンゴルで墜落死したあと公表までに10ヶ月を要したのは、文化大革命時期という「報道の鎖国」の特殊状況にあったことなども考えられ、今の中国とは違うだろう。産経新聞は中国を敵視するような報道で右寄りの意見を持つ人々の支持を得ているようだが、今回ばかりは人の生死に関する情報なので、素直に訂正をだすべきだろう。

産経新聞が中国に対して強気の報道をし続けているのは、台湾との関係も考えられる。そもそも文化大革命期に北京を追放されて以降、他紙が北京に支局を置く中、唯一台湾に支局を構えていた産経が北京に「総局」を置いたのは98年。中台両岸の交流が進むにつれて、中国当局が産経に支局開設許可を与えた。条件は北京の支局の名称を「中国総局」として、台湾の支局をその配下を意味する台北「支局」として、北京が中国の総元締めだ、と支局名にあらわすこと。これは「台湾は中国の一部」との中国当局側の主張と一致する。産経は親台湾の建前より北京に支局を置くメリットを選び、文革期以来約30年ぶりに北京支局(中国総局)が復活した。逆に、中国当局に遠慮して台北の支局を開設していなかった産経以外のメディアは次々に台北支局を開設、北京支局を中国総局と改名した。

中国当局は産経がまた北京の支局を閉鎖して大陸を飛び出し、台北のみに特化するなら、「台湾は中国の一部」の原則を外れる存在になるのではと恐れて、産経の報道を大目に見る、あるいは産経側も大目に見てもらえる、との考えがあるのではないか。

7日夕刊で「危篤」とうった毎日新聞は朝刊には続報記事はなしだ。「危篤」と報じたからにはその後どうなったのか、すくなくとも香港のテレビが誤報だったと認めたこと、新華社が否定し外交部会見でも否定した事実のみは報じるべきなのではないか。

江沢民死去報道

2011-07-07 10:54:11 | 時事
7月1日の中国共産党創立90周年記念式典の場に一人、姿を現さなかったことから健康状態が取りざたされていた江沢民・前総書記兼国家主席について、6日の香港亜洲テレビ(ATV)が午後6時(日本時間同7時)のニュースで「死亡した」と報じたという。

中国や台湾、香港の情報を調べていくと、出所はどうやら米国を拠点にする中国反体制系のニュースサイト「博訊新聞網」で、日本時間の早朝、「江沢民死亡」と短く速報したらしい。

博訊網によると、「昼ごろ北京のある有名人から電話があり、江沢民の身体状態はよいと保証する、と自ら語った」という。この北京の有名人は昨年6月に江沢民の重病説が出回ったときにも電話をしてきて、博訊網も「現在のところ最も信頼できる最も直接的な情報だ」とした。
また、午後6時過ぎにATVが「江沢民死亡。84歳。ただ中国の公式報道はない。午後9時半から特別報道番組を予定している」と報じたという。ただ、この時間に江沢民の特別番組は放送されず、韓国ドラマに替わっていたという。
博訊網には午後9時45分にも、北京の情報筋から電話があり、「ATVの報道は絶対に間違いだ。江沢民は確かに以前風邪を引いたが、現在は回復している」と話したと伝え、事実上、死亡説を撤回した。

確かに江沢民が入院したと伝えられる北京の長安街にある解放軍301総合病院は厳戒態勢が高まっているという。台湾の「中国時報」によると、3日午後5時、301病院は突然戒厳状態になり、20両の軍ナンバーの車両が病院に入っていったという。4日になると、江沢民が肝臓がんや肺腺がんで死亡した、との情報がネット上などに流れ始めたという。

ただ、新華社や人民日報、外交部のネットの中共最高指導者の動静を調べてみると、習近平国家副主席は欧州の来賓と人民大会堂で会見している。周永康・中央政法委員会書記は上海に出張中。江沢民派で中国の高速鉄道担当の張徳江副首相は10日から13日まで北朝鮮を訪問すると正式発表された。
かつて?搶ャ平(トウ小平)が死去したとき(1997年2月19日午後9時8分)は、当日夜になって銭其シン・外交部長(外相)の外遊が急遽取りやめられた、と発表されるなど、中央指導者の動静に具体的な変化が見られたが、今回はそれがないということから、確かに、江沢民死亡は事実ではない、と考えるべきだろう。

?搶ャ平の場合でも、死亡から発表まで5時間程度だった。現段階でそれより長いうえ、?搶ャ平と江沢民の重さを考えても、まだ死亡を発表していないのなら、それはまだ死んでいない、と考えるのがいいだろう。ただ、もちろん病状は芳しくなく、いつ死んでもおかしくない状況であることは確かだ。人工呼吸器をつけているとの情報もあるという。

中国当局も敏感に反応しており、香港紙「明報」によると、中国国内のツイッターやネットなどでは「江沢民」「301医院」「亜視」などの字句が検索できないようになっているという。これらを検索すると「関係法規や政策に基づき、検索結果は表示されません」と出るという。
「ネットの自由をないがしろにして」との意見もあるだろうが、中国当局としてはガセネタが蔓延して人心が混乱するぐらいなら、とめるほうがいいというのが正直な発想なのだろう。理解できなくもない。

ただ、米国の反体制ニュースサイトが報じたからといって、本国の前の最高指導者の「死亡」のニュースをたいした確認もせずに報じるとは、玉石混交、トバシの香港情報といえども何か理由があるのだろうな。

ゴーヤ移植7月2日

2011-07-02 15:47:18 | ゴーヤ日記
3、4本が芽吹いただけだったのか、と思っていた我が家のゴーヤだが、暑くなってくると次々と生えてきた。
で、葉が3、4枚出てきたり、ツルが出てきたものもあるので、ついにプランターに移植することにした。

結局、10個種をまいてたぶん全部芽吹いたみたいだなあ、そのあと根つきが悪いのか、双葉段階であまり変化がないのもあるけど。で、プランターの底に百均で買った水きりシートを置き、その上に水はけのよい小石を敷き、その上から野菜用の土(10キロ50円)を20キロ分入れた。

で、プランターにもったいないから3本植えてみたけど、「2本ぐらいにして栄養をたくさんあげたほうがいい、とテレビで見た」といわれたので、片方は3本、片方は2本で様子を見ることにした。確かにネットとかでも、あまり欲張って密に植えないほうがよいと出ている。

ツルも結構伸びてきている。急に元気に生え始めて、あれよあれよと伸びてきた。もともとのスーパーで買ったトマトのパックの底に穴を開けていた小さな植木鉢(?)から、これでプランターで広くなったのでもう少し太く元気に育ってくれればいいなあ。

まだ、ゴーヤの苗はこれだけ残っている。結構強い植物のようだ。水をあげるだけでベランダに放っておいただけなのに。

重慶の薄煕来

2011-07-01 17:44:54 | 時事
7月1日は中国共産党結党90周年記念日で、中国各地で大イベントの連続。中国新幹線もこれに合わせて前日の6月30日に北京-上海間を開業させた。で、重慶では29日、10万人が参加しての「紅歌会」(革命歌大会)イベントが開かれた。なんじゃこりゃ?

写真は重慶市党委書記(重慶の共産党組織のトップ、事実上市長より偉い)の薄煕来。「紅歌会」での1シーンだが、文化大革命時代の毛沢東のつもりか。
薄煕来は父親が元老の薄一波元副首相。大連市長として港湾開発地区の大連を国際都市に育て上げ環境対策を進め、遼寧省長に転身、商務部長(経産相)を務めてのち、重慶市のトップに赴任した。大連時代に江沢民に近づき、重慶では大規模な汚職取締りキャンペーンや暴力団排除、風俗業界取り締まりなどで成績をあげ、前任者の汪洋・広東省党委書記を蹴落とそうとしたとの憶測が流れている。中央から習近平・国家副主席が重慶に視察に来るなど、太子党の結びつきを深め、権力中枢への意欲を強めているのではないか、と見られる。保守派に取り入り、2012年の党大会で政治局常務委員会入りを狙っているのは明らか。ただ「やりすぎ」「ええカッコしい」との悪い評判もたくさん聞くので、どうなるか。

紅歌とは、毛沢東時代に共産党や中国をたたえて歌われた革命歌や軍歌で、文革を彷彿とさせると嫌う人も少なくないという。薄煕来が提唱し紅歌を歌う歌声喫茶のようなレストランができるなど、文革期に青春時代を送った団塊の世代に、懐かしさなどから流行し始めている。

なぜ紅歌なのか、文革期懐古なのか。経済発展が進む現代、これだけ貧富の差が激しくなり、貧しくてもきわめて平等だった当時を懐かしむ人が増えている。中国共産党創設90周年だが、別に党が偉大だと尊敬の念で歌っているわけではないだろう。戦争が嫌いでもカラオケで軍歌を歌ってしまうおじさんたちみたいなものか。ただ、中国指導部は、1978年12月の十一期三中全会で断固として文革否定、毛沢東は文革発動という謝りも犯した、と総括しているわけで、いまさら文革を権力闘争の道具として使うこともなかろう。そういう中国になっている、という現状が危険な感じもする。
薄煕来は29日午後の会見で、「左」への回帰とか「文革」肯定では談じてない、と話したと言うが、あまり説得力がない。