来年1月に迫る台湾総統選挙に向けて、野党・民進党の総統候補である蔡英文主席が中台両岸交渉の前提条件となっている「九二共識」(92年コンセンサス)を「存在しない」と発言したことについて、馬英九総統(国民党主席)は直ちに反論、「九二共識は確かに存在する。私はそこにいた」と語った。
台湾からの報道によると、馬総統は28日、官邸で会見し、92年の中国側の海峡両岸関係協会と台湾側の海峡交流基金会の交渉で、中国側からの提案で、「双方はひとつの中国の原則を受け入れる」との文書が出来た。馬総統は92年8月1日に、当時の李登輝総統が国家統一委員会の席上、この大陸から来た「ひとつの中国の原則」決議を承認している、私もそこにいた、と話した。
ただ、中国・新華社通信のサイトで、このニュースを伝える記事がおそらく配信されていたのだろうが、実際に「馬英九引資料証“九二共識”存在」と書かれた部分をクリックすると、「この記事は削除されたか、すでに掲載時間を過ぎました」との中国語の説明が出ただけで、どうやら記事を削除したようだ。一つの中国の原則について、台湾側の解釈をサービスしすぎて掲載し、従来からの中国の見解を超越してしまったのではないか。
すでに配信済みの記事なので、とりあえず、検索してその記事を別の媒体のサイトで見つけ出し、読んでみると、
馬英九がいうには、香港での中台の談判で出たこの文書を持ち帰り、台湾側の海基会は11月3日、「ひとつの中国の原則について主管機関の同意を経て、口頭声明なら受け入れ可能」と大陸側にファクスするとともに文書で発表した。13日後、大陸の海協会から回答があり、11月3日に台湾側機関から「台湾側関係部門が同意し、口頭での声明というやり方で各自表現するこということに、わが方も、そちらの提案を十分尊重し受け入れる」の通知を受け取った。
と書かれていた。
おそらくこの部分だろう。「一個中国、各自表達」縮めると「一中各表」。つまり、中台双方は一つの中国の前提下で、その「一つ」についてはそれぞれ異なった2つの表現方式を認めるということ。言い換えると、中台が交渉する前提条件としての「中国は一つ」と中台ともに認める。ただその「中国」は大陸では「中華人民共和国」で、台湾では「中華民国」と考えてよい--というものだ。
前も書いたが、台湾側はこの後ろ側を付け加えることによって「一つの中国」の解釈を認めている。ただ、これは「暗黙の了解」であって成文化されてはいない。大陸側はこれを表面的には否定しているが、独立派・民進党の陳水扁総統をスケープゴートにして国民党側と交渉を進めるために、認めてはいるが表立ってはまったく触れていない。
それなのに、この記事では、大陸側が「各自表達」について通知、つまり文章で「認める」としたと書かれていることから、中国側の大原則に外れていることになり、ただちに削除したのだろう。
この映像は交渉窓口機関の台湾側の辜振甫・海基会理事長(左)と中国側・海峡会の汪道涵会長。ちなみに辜理事長は生前、この「九二共識」の存在を否定していたという。
蔡英文主席の声明に対して、中国共産党側も直ちに九二共識を擁護する立場を表明して、馬政権を支持し民進党を攻撃するスタンスを示しているが、あまり深追いすると、事実上の「1つの中華民国」の立場を追従してしまうことになる。その無様なやり方がどこまで続くか。
台湾からの報道によると、馬総統は28日、官邸で会見し、92年の中国側の海峡両岸関係協会と台湾側の海峡交流基金会の交渉で、中国側からの提案で、「双方はひとつの中国の原則を受け入れる」との文書が出来た。馬総統は92年8月1日に、当時の李登輝総統が国家統一委員会の席上、この大陸から来た「ひとつの中国の原則」決議を承認している、私もそこにいた、と話した。
ただ、中国・新華社通信のサイトで、このニュースを伝える記事がおそらく配信されていたのだろうが、実際に「馬英九引資料証“九二共識”存在」と書かれた部分をクリックすると、「この記事は削除されたか、すでに掲載時間を過ぎました」との中国語の説明が出ただけで、どうやら記事を削除したようだ。一つの中国の原則について、台湾側の解釈をサービスしすぎて掲載し、従来からの中国の見解を超越してしまったのではないか。
すでに配信済みの記事なので、とりあえず、検索してその記事を別の媒体のサイトで見つけ出し、読んでみると、
馬英九がいうには、香港での中台の談判で出たこの文書を持ち帰り、台湾側の海基会は11月3日、「ひとつの中国の原則について主管機関の同意を経て、口頭声明なら受け入れ可能」と大陸側にファクスするとともに文書で発表した。13日後、大陸の海協会から回答があり、11月3日に台湾側機関から「台湾側関係部門が同意し、口頭での声明というやり方で各自表現するこということに、わが方も、そちらの提案を十分尊重し受け入れる」の通知を受け取った。
と書かれていた。
おそらくこの部分だろう。「一個中国、各自表達」縮めると「一中各表」。つまり、中台双方は一つの中国の前提下で、その「一つ」についてはそれぞれ異なった2つの表現方式を認めるということ。言い換えると、中台が交渉する前提条件としての「中国は一つ」と中台ともに認める。ただその「中国」は大陸では「中華人民共和国」で、台湾では「中華民国」と考えてよい--というものだ。
前も書いたが、台湾側はこの後ろ側を付け加えることによって「一つの中国」の解釈を認めている。ただ、これは「暗黙の了解」であって成文化されてはいない。大陸側はこれを表面的には否定しているが、独立派・民進党の陳水扁総統をスケープゴートにして国民党側と交渉を進めるために、認めてはいるが表立ってはまったく触れていない。
それなのに、この記事では、大陸側が「各自表達」について通知、つまり文章で「認める」としたと書かれていることから、中国側の大原則に外れていることになり、ただちに削除したのだろう。
この映像は交渉窓口機関の台湾側の辜振甫・海基会理事長(左)と中国側・海峡会の汪道涵会長。ちなみに辜理事長は生前、この「九二共識」の存在を否定していたという。
蔡英文主席の声明に対して、中国共産党側も直ちに九二共識を擁護する立場を表明して、馬政権を支持し民進党を攻撃するスタンスを示しているが、あまり深追いすると、事実上の「1つの中華民国」の立場を追従してしまうことになる。その無様なやり方がどこまで続くか。