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2002年1月、カンボジア北部の森林にアンコール朝(802~1431年)時代に建立された石窟寺院アンコール・ワットに行った。
1月は乾季。洪水で道路が封鎖されることもなく、アンコール観光には最適という。それでも日中は30度を超え日差しも強いが、木陰に入ると風が涼しい。
シェムリアップ空港から市内に続くメイン・ストリートの空港通りは、日本の資金と技術援助で作られた。街道沿いには大きなホテルが次々に建設されている。日本語学校の看板も多い。ガイドのセン・ポーピシットさん(24)は「私も2年間勉強してガイドになりました。93年ごろから日本人観光客が増え、日本語学習熱も盛んです」。
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観光第1日目午前はアンコール・トム。南大門から中心寺院バイヨンに入ると、回廊壁面には象に乗った王の進軍、闘鶏をする人々の姿などが生き生きと彫られている。
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52基の塔には165の巨大な人面像が彫られ、つりあがった目と厚い唇がクメール人の特長を表している。少女や子供たちが遺跡の中で遊んでいたが、顔の特徴に巨石遺跡との関連性が見られると思う。
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午後、西大門からアンコール・ワットに入る。第一回廊の彫刻は圧巻だ。バラモン教の天地創造神話「乳海攪拌」、アンコール・ワットを建設したスーリヤバルマン2世の坐像、天国と地獄図など、壁面いっぱいに神話や伝説が広がる。
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2日目は周辺遺跡。アンコール朝最盛期のジャヤバルマン7世が作った当時の病院ニャック・ポアンには奇妙な石の彫刻がたくさんある。動物や王様の口の部分から流れる水が病気を治すと信じられていたらしい。
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王の沐浴池スラ・スランでは、少女たちが水遊びをしていた。ジャヤバルマン7世が仏教徒の母のために作ったタ・プロームは巨大な樹木の根に侵食されていた。
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3日目はアンコール・ワットの日の出を見る。空の色が次々に変化した後、遺跡の裏から太陽が顔を出し、池のハスの花を照らした。「東洋のモナリザ」と呼ばれるレリーフで有名なバンテアイ・スレイは改修がほぼ終ったという。バンレアイ・サムレにはシアヌーク国王の息子、ラナリット殿下がいた。
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4日目は、メコン川につながるトンレサップ湖をボートでクルーズ。雨季には琵湖の10倍、乾季でも5倍の面積で、湖畔には水上生活者がボート上に家を建て、漁をしたり日用品を売って生活している。学校や病院も湖上に浮いている。
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午後は、フランス植民地時代の趣を残した建物があるオールドマーケット。魚や野菜、果物や、腸詰などの乾物、生春巻きなどの料理も売っていて活気がある。
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フランス植民地だったゆえにフランスパンもおいしく、火にあぶってソーセージとキュウリなどの野菜をはさんで食べる。キャベツの酢漬けがつく。別の日にデザートで食べたカボチャプリンも秀逸。かつて代々木にあるカンボジア料理専門店「アンコールワット」で食べた味が忘れられなかった。くりぬいたカボチャにプリンの元を入れ、丸ごと蒸す。カボチャごと食べられる。
ポル・ポト派に虐殺された人々を葬った寺を参観した。75~79年に殺された数百もの白骨がガラス張りの塔の中に奉られていた。寺院では僧侶たちが大声でカラオケを楽しんでいた。
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アンコール遺跡のあるシェムリアップへは、日本からはタイ・バンコク経由が便利。カンボジア入国にはビザが必要。空港でも取れるが、カンボジア大使館(03・5412・8521、東京都港区赤坂8-6-9)なら3日で取れる。
(当時書いた記事に加筆した)