Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

香港、いよいよ強制排除

2014-10-15 14:55:49 | 時事
香港の行政長官普通選挙を求めるデモに対して、15日未明、警官隊が催涙スプレーを使うなどして強制排除した。金鐘(アドミラリティー)の行政長官官邸前に14日夜からデモ隊約1000人が集まり占拠したが、警官隊数百人が強制排除、バリケードを撤去し40数人を逮捕したとのこと。

15日付の人民日報国内版は1面の左下に「堅持支持特区政府依法施政」(特区政府の法による施政を断固支持する)との本紙評論員論文を掲載、香港の一部による「占中」違法集会は香港特別行政区政府が法によって処置し、穏当な対応をしており、市民の広範な同意をえており、中央政府も十分に肯定している、と評価している。



さらには、「安定は福であり、動乱は禍である。香港の民主制度の発展についていろいろな意見があり、意見を異にしたり、各種の合法な表現方法を用いるのはかまわない。梁振英行政長官の指導の下、法に基づき香港が安定を維持することが、良好な商業環境を維持することにつながり、国際金融、貿易、運行のセンターとしての地位を保持でき、香港社会の各層、各界、各方面、外部からの投資者の共同利益につながる」と、間接的ながら国内版でも「動乱」の言葉を使い、香港のデモについての認識を示した。北京政府は早期に解決を図ろうと実力行使に出たのではないか。

11月7日から12日まで北京で開かれるAPECに、中国は力を入れている。この間、北京は休日にして警備をやりやすくするだけでなく、交通渋滞やPM2.5が喧伝される大気汚染を軽減し、各国の批判を受けないように最大限の努力をしているようだ。この時期に、西側諸国から香港の民主化について口を挟まれるのは本意でない。いちいち「内政干渉だ」と言い訳すると、話が先に進まない。APECのころには香港問題は解決しておきたい。そのためにはそろそろ、デモを片付けてしまわないと、というタイミングに入ったのだろうか。

蘋果日報に反対行動

2014-10-14 16:40:24 | 時事
香港におけるセントラル占拠(占中)を好意的に伝えてきた、として香港大衆紙「蘋果日報」と系列の週刊誌「壱週刊」に嫌がらせが続いている。香港の報道によると、50人の記者や編集者の携帯電話に対して無言電話が続けられているという。ある編集幹部には1日に250件の無言電話がかかっているという。社屋は大勢の反対者に囲まれ、新聞を運搬するトラックを足止めするなど、妨害活動を続けている。
香港の記者協会、撮影記者協会、壱労組、香港ラジオ局製作者労組と香港有力紙「明報」の労働組合は13日、共同で生命を発表し、報道記者・編集者や報道機関への妨害は報道の自由に反するもので、公共の知る権利を奪うものだ、と抗議したという。

九竜地区での行政長官普通選挙実現を訴えるデモに黒社会の構成員をけしかけて暴力で阻止を求めたり、バリケード撤収で暴力的な行動を警察当局が取ったりと、デモは長期化するなかで香港市民にも厭世感が出ているが、そこでさらにデモの学生やその協力者を追い込むような二の手、三の手を出してきている。

蘋果日報のオーナーだった黎智英(ジミー・ライ)は、アパレルブランドの「ジョルダーノ」を展開し財をなし、かつて1989年の北京の第2次天安門事件の際に、戒厳令を発布した当時の李鵬首相を公然とバカにし、天安門事件に反対するTシャツを売り出すなど、反中国の姿勢を貫いた。大陸では露骨なジョルダーノ排斥運動が起きて、オーナーを退任、いまは何とか持ち直しているようだ。ユニクロなどが大展開するより前から、ジョルダーノは質のよい安価なカジュアルウエアを提供しており、僕も綿パンをずっと愛用しているのだが、ユニクロに負けずにがんばってほしい。

梁振英・行政長官は出張先の広東省で、普通選挙の決定は全人代の決定であり香港の学生のデモがあっても変更することはできない、と断言した。これはかつてここで指摘したとおりで、政府と学生の対話に問題解決を果たす効果はない。香港政府当局者は事実上開き直って、学生たちを突き放す形で事を収めようとし始めるようだ。

また、人民日報の海外版が、占中を「動乱」と評したそうな。香港の著名なジャーナリストは、人民日報が1989年の「六四」いわゆる第2次天安門事件のときに、「旗幟鮮明に動乱に反対しなければならない」とする「四二六社論」でも、学生運動を「動乱」とみなしたことを取り上げ、
「北京の高層部は、香港の情勢をますます憂慮して見ているとの現れであり、香港の状況をマイナスに捉えている。もしすぐに解決できないなら彼らの目には動乱との見方が広がり、動乱ととらえているなら、解決はますます困難になる」と警鐘を鳴らしている。
ただ、この文章が人民日報の海外版にのみ掲載されていることで、当局は、中国大陸の人々が天安門事件を連想するなど、影響を及ぼすつもりはないのではないか、と見ている。

中国国内の媒体は、占中活動を敵視するような文章を載せ続け、香港で騒いでいるのは一部だ、などと大陸の人々の目が向かないように努めているが、一方で香港の人々の感情は理解できないようだ。


香港「占中」は長期戦、というか北京の牛歩戦術

2014-10-11 02:10:04 | 時事
10日、香港政府は、当初取り決めていた学生らとの対話を中止することを決めた。学生団体幹部が道路封鎖を呼びかけたことで、話し合いをできる情勢ではない、と受け取ったためという。というか、当初は行政長官選挙の制度についても話し合いのテーマに上っていた、と報じられていたが、全人代の決定を香港政府の権限で覆すことができるわけもなく、あくまでも交渉の席につかせるためのブラフだろう。これによって、香港市民に厭戦感が出て、デモへの賛同者が減ればしめたもので、さらに学生たちを孤立させるためにも、具体的な話し合いができないことをごまかすためにも、今回の対話を中止したとみるべきだろう。以前に触れた、長期戦になるだろう、という予測のとおりになりつつあるのではないか。

実際、一時十万人が中環(セントラル)に集まった状態から、今は金鐘(アドミラリティ)の前の道も抗議の学生たちがガラガラの状態になっている。香港の熱気は徐々に薄れ、市民たちは経済的損失を語り始め、デモは潮を引くように沈静化する、北京はそのようなシナリオを狙い、ゆっくりと状況を見守っているのではないか。

一方で、人民日報や新華社は、デモが違法であり、香港経済を混乱に陥れており、多くの香港市民は迷惑している、特に、香港で一番デモをあおっている、として反中香港紙リンゴ日報の社屋に多くの市民が詰め掛けて抗議活動を行った、ことなどを事細かに報じている。大陸の人民には香港のデモが人心を得ておらず一部の跳ね返り者による仕業だ、と強調して、大陸からの協調者を増やさないように細心の注意を払っている。

また、人民日報が「西側の“民主”が中国の“実事求是”と出会ったとき」として、香港の学生らが求める民主的な普通選挙、というものが英米の価値観に基づく民主主義による押し付けで、いかに中国の実情に合っていないか、とする論文を長々と載せている。北京は香港デモの背後には英米がいて、中国を転覆させたり混乱に陥れようとする企みから、彼らをコントロールしようとしている、という理屈を提示して、「民主主義は人類普遍の基本的人権によるもの」という前提条件を実感できない大陸の人民たちが、西側民主主義に浸からないように方向性を示している。

さらに、“大陸御用芸人”ジャッキー・チェン(成龍)をして、彼の微博に「報道によると、占中による経済的損失は3500億香港ドルだという。香港を愛する香港の人々が願わくは皆さんが理性をもって撤収するように」などと書かせて、香港の老百姓の興味を引こうとしている。
いうまでもなくジャッキー・チェンは息子のジェイシー・チャン(房祖名)が大麻使用容疑で当局に逮捕されており、北京に忠誠を誓うためにも、何でもする状況にある。ジャッキー・チェンのバックにいるボスだった江沢民派の大番頭、曽慶紅らと習近平の権力闘争の目に見えるところが、今回の房祖名逮捕だという見方もあり、北京の権力にすがるためジャッキー・チェンは求めに応じて何でもする状況下にある。

福建省で長く仕事をして、台湾問題には造詣が深い、といわれていた習近平だが、「台湾との統一にも一国二制度を用いる」との見解を示し、台湾から総スカンを食っている。実は感覚的に台湾問題、というか台湾の感覚がわかっていないのか、あるいはわざと台湾を刺激しているのか。

実際、11月29日に行われる台湾の統一地方選挙で、台北市長選に立候補している連勝文が苦戦している。国民党名誉主席にして国民党で共産党の幹部となんども大陸で会談するなど、親中の色のついた連戦の息子だ。台北市長選で注目されているのは無所属で立候補予定の政治的には素人の台湾大学病院の外科医、柯文哲が世論調査では圧倒的な支持を得ている。連勝文は中国の太子党とつながりがある、などと報道され、ムキになって否定するなど、いま、台湾で大陸と太いパイプがある、などと喧伝されると選挙には勝てない、という雰囲気になっている。最新の世論調査でも台北市長選では、柯文哲が大勝する勢いだ。おそらく国民党のネガティブキャンペーンだろうが、柯文哲が台湾大学病院にプールしていた民間口座、いわゆる「MG149」問題を俎上に上げて攻撃している。それでも世論調査では柯文哲が圧倒的に支持されている。

香港のデモが世界で報じられ、北京の悪者さ加減が人々に伝わる現在、北京の共産党政府と仲良くしていた、という連戦とその息子は、選挙で不利になれども有利にはならないのではないか。

台湾の対岸で心情的には台湾と近しい福建省で勤務経験のある習近平は台湾問題に造詣が深いと思われていたが、功を焦るがあまり台湾に警戒心を抱かせるような雰囲気を作ってしまっている。


泥沼香港

2014-10-05 01:19:44 | 時事
2017年に予定されている香港のトップ・行政長官を選出する方法で、中国の息のかかった推薦者による候補者しか認めない中国当局の決定に反発した人々による抗議行動が続いている。どのような収め方をするのか、現状では中国側はデモ隊を暴れすぎないほどに放置して、疲れを待って自然消滅を狙う作戦なのではないか。

当初は梁振英長官が北京に武力行使のお伺いをたてたが北京側に真っ向から否定された、との報道が出ていた。梁長官の統治能力に疑問符がつけられたようだが、習近平・国家主席(党総書記)が、「梁振英長官を信頼する」などとのコメントを出し、このような一部報道を否定、首はつながったようだ。

香港当局ナンバー2とデモ隊側の交渉を認めたのも、この日を期限に行政長官の辞任を求めていたことをうやむやにするためで、解決を求めたり譲歩をするつもりはまったくない。

デモ隊側は梁長官の辞任を求めているようだが、何の解決にもならない。香港のトップが、中国の国会にあたる全人代が決定した香港行政長官選挙の選出方法を変える権限などなく、もしデモ隊がそれで収まるなら、梁長官のクビを差し出してもいいかな、と中国側が考えていたのではないか、と思っていた。ただ、デモ隊の要求で香港トップが辞任すれば、中国側の面子は丸つぶれ。デモ隊に一歩も引かない態度が鮮明になったといえるだろう。梁長官の首は最後の切り札になるかもしれない。

ということで、3日になって温和な方法で活動していたデモ隊に喧嘩を吹っかけた反対派、と称する輩が、実は黒社会(暴力団組織)の一員らだと香港警察当局が発表した。当局側が裏に手を回したような気もする。人民日報の評論員論文が連日、香港で混乱が生じている、デモは違法活動だ、経済活動に大きな影響を与えている、などとネガティブキャンペーンを張り続け、大陸の読者、香港の無関心派らに訴えている。

国慶節の稼ぎどきなのに、大陸から香港への観光客をストップさせる措置もとり始めた。一番怖いのは香港の動きが大陸の若者に飛び火することだろう。

武力行使はもちろんできない。1989年の天安門事件の二の舞になる。幸いにしてデモ隊は穏健に活動しているので、突発的に衝突が起きる可能性は低いと思うが。

そもそも、香港の地方議会選挙などの投票率は10%台ときわめて低く、商売はするが政治に首を突っ込まない、というのが多くの香港市民のスタンスだ。政治活動をしているのは一部である、というのは間違いない。商売に不利になれば運動への支持は得られにくい。

今後は香港で経済的損失、違法、背後に英米がいてコントロールしている、などとのネガティブキャンペーンを張り続け、香港でデモ隊へのシンパシーを奪い、国際社会が目をそらすようになることように努めていくだろう。

習近平が「台湾にも一国二制度を適用」などと無責任な発言をしたが、この一国二制度に強い拒否反応を示していた台湾も注視している。大陸は香港や台湾がこの点に過敏になっていることを、まったく感じていないのだろう。民主的な手続きで長官を選ぶことの意味も、ただ1人1票で選挙をやらせればいいだろう、程度の民主観なのだと見られる。無神経で無感覚な発言なのだろう。もしこの時期に大陸の主張に台湾の国民党など親中派が乗るなら、年末の台北市長選をはじめとする選挙で、危機感を持った独立系、中間派の台湾市民の顰蹙を買い、大きな打撃を受けることになるだろう。国民党はそれを恐れて、馬英九が香港のデモを理解できる、などと発言している。香港の動きは台湾にも意味をもつものであり、北京はこの点でも解決が極めて難しい。

国慶節の料理も節約?

2014-10-02 00:34:10 | 飲食

10月1日は中華人民共和国の建国記念日、いわゆる国慶節。人民大会堂で宴会をやるのだが、習近平・国家主席が主導する「ぜいたくはやめよう」キャンペーンの一環で、宴会料理がショボショボになってきている、との報道がある。


今年の国慶節の宴会の様子を記した人民日報の1面。

中国の大衆紙が、外交部の礼賓司(局)の前司長に聞いたところ、最近は基本的に三菜一湯(おかずが3品にスープがつく=普通の豪華でない中華料理の定番)なのだそうだ。茅台酒のような50度を超える白酒も最近は出ないという。

北京、上海、四川、広東と大きく四大料理に区分されるなかでは、淮揚菜と呼ばれる上海周辺の料理が主体になるという。味付けが濃くなく、口当たりがよくて癖がなく、多くの人々が食することができるからだという。唐辛子や花椒と呼ばれる山椒の一種など刺激的な香辛料で有名な四川料理はあまり出ないようだ。

淮揚料理のなかでは「獅子頭」と呼ばれる肉団子や、「佛跳墻」(貝柱や干ししいたけ、干しエビなど高級な乾物や鶏肉、野菜などを煮込んで素焼きの壷で蒸すスープ。あまりのおいしさに、匂いにつられて修行中の僧侶が寺の壁を乗り越えてまで食べに行く、とのいわれからこの名がついた)、「三宝鴨」(鴨肉を棗や栗などと一緒に素焼きの壷に入れて蒸す料理の模様)などが国宴の定番だそうな。


「佛跳墻」の写真。


「獅子頭」ですけど、これは上海蟹専門店で食べたもの。もっと大きな肉団子を醤油と酒と砂糖で甘辛く煮たものも食べたことがある。

で、イスラム教徒の国賓なども配慮して魚やエビ、鶏肉が多く、基本的に豚肉は食べないそうな。獅子頭は鶏肉で作るのかなあ。で、今年の主食は卵チャーハンだったそうな。