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22日夜放送したNHKのドキュメンタリー「チャイナパワー」一回目は中国映画についてだった。香港にいたとき一番好きだった陳可辛(ピーター・チャン)監督を追いかけていた。
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今は亡き張国栄(レスリー・チャン)と袁詠儀(アニタ・ユン)が共演した香港芸能界と同性愛を描いた「金枝玉葉」「金枝玉葉2」や、中国大陸からの移民を描いた藜明(レオン・ライ)と張曼玉(マギー・チャン)による「甜蜜蜜(ラブソング)」、香港版バック・トゥー・ザ・フューチャーとも言える「新難兄難弟(月夜の願い)」など、香港の土地柄を生かして、おしゃれで可笑しく甘くて切ない映画は絶品だった。その後ハリウッドに行ってどんな映画を撮っていたのか知らないが、金城武と周迅によるミュージカル仕立ての「如果・愛」は、実験的であることは認めるが作品として思い入れを強くできるものではなかった。
番組ではクリスマスに中国で封切られる「十月囲城」の撮影風景とプロモーション戦略などを紹介していた。
ちょっとガッカリだった。香港では映画人による映画人のための映画制作会社、ということでUFO(United・filmmakers・Organization=電影人製作有限公司)を設立、活動して自分が撮りたい映画を撮っていたと思っていたのに、中国大陸を市場と考えるようになると、どれだけ宣伝して注目を浴びて多額の金を稼ぐか、ということばかり考えているように見えてきた。もちろん、若いときのようにスマッシュヒットでOKという立場から、世界的な大ヒットを得なければいけない大御所になってしまった部分はある。中国大陸の映画プロモーションは、「英雄」「赤壁(レッドクリフ)」や「建国大業」でも見られたように、テレビなどの媒体を総動員して社会現象化して売らなければならないようだ。品のいい小作品がそれなりの地位を得られるような市場ではないのかもしれない。
一方で、以前このブログでも
触れたジャッキーチェン主演・プロデュースで爾冬陞(イー・トンシン)監督が撮った「新宿インシデント」は、中国大陸進出を意識せず、結果として検閲に引っかかり中国大陸で上映できず、興行的には散々だったようだ。そうならないために、世界中で多くの人に見られるような映画にするためには、陳可辛監督のようなやり方しかないのか、とも思ってしまう。
中国人は何でも金儲けなのか。大好きだった映画監督が金に振り回されている様子を見るのは、ちょっと残酷だった。でも「十月囲城」は見よう。命を狙われた孫文を、カンフーの達人たちが追っ手から守り、無事広州に逃がす、という映画らしい。