Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

香港で出産しても処罰の対象

2012-02-21 02:36:58 | 時事
香港人が大陸の中国人を疎ましく思い、香港人アイデンティティーを実感する人々が増えている最大の原因となっている、子供に香港居住権を与えて教育や福祉で恩恵を受けたいと、大陸の妊婦が香港での出産を目指して大挙香港を訪れ、香港の産婦人科医院のベッドが足りなくなっている状況について。親中国系香港紙「文匯報」が2面全面を割いて特集で報じた。

そのなかで、香港で子供を産んでも杭州に戻ってきて長期間杭州で暮らすことになれば、一人っ子政策に違反し多額の罰金を支払わなければならない、という事例を紹介している。香港で出産を目指す妊婦に警鐘を与えるための記事と見られる。

「文匯報」は、杭州市人口計画出育委員会政策法規所の李研究員からの情報として、杭州地区から香港に赴いて出産した子供が、杭州に戻った場合、審査の対象となり、「浙江省人口と計画生育条例」の関連規定に基づき、一人っ子政策を超えた子供を出産した家庭に対しては処罰の対象として、夫婦に対して教育や医療などの問題についてじっくり考えさせる、との事例を紹介している。
この李研究員によると、上海や杭州、広州などの大都市では、香港で出産したあと内地に戻って育てるケースが普通にあるが、それらは法が未整備なために取り締まるのは困難だとしている。仮に外国の戸籍を得ていたとしても国内で育てていたのなら、国内の戸籍がなく処罰の対象となる、としている。

もし違法だと分かれば、1年の可処分所得の数倍もの社会養育費を払わなければならない事態となり、またそれが一人っ子政策に違反していれば、その2倍から4倍の罰金を支払わなければならない、という。
「国家人口計画出産情報ホットライン」のスタッフによると、夫婦が大陸内の住民なら、国外、あるいは香港など圏外で産み育てた子供が中国大陸内の戸籍に編入するなら、あるいは24カ月で18カ月以上大陸内に住んでいるなら計画出産政策の対象になる、との見解を示している。言い換えれば、父母が大陸の戸籍なら、どこで産み育てても計画出産政策の対象になり、処罰の対象になるということだ。

このほかの記事では、「香港がダメなら米国に」と、米国やカナダに目を向ける人々が増えており、米国での2カ月間の交通費と食住の費用に15万元から20万元(約220万円から300万円)の費用がかかる、としている。紹介業者もこのところ30%程度値をつり上げているという。

一人っ子政策の結果、中国の人口の年齢構成が極めていびつになって将来、高齢者福祉への負担が子供たちにのしかかるため、最近、親が一人っ子同士の場合は二人目もOKなど、緩和策が出てきているが、中国大陸内の夫婦にとって一人目とか二人目とかということよりも、よりよい教育環境や社会福祉環境を求めて香港や米国、カナダで出産し居住権を得ようというものであって、先立つものは財力であり、結局金を持たないものが香港で暮らせなくなって大陸に戻ってきて、法律違反と処罰され、罰金を支払うことになるだけだ。確かに香港住民にとっては迷惑な話だろうが、中国大陸ではしょせん、金を持つ者が常に幸せになれる、というだけのことだ。

多くの大陸の人々が香港居住権を求める大前提として、大陸の教育水準や条件、社会福祉制度の不備などが問題であり、行政側は単に政策違反云々と批判できる立場ではないだろう。

日本の場合は血統主義をとっているため、父母のどちらかが日本の居住権を得ていないと基本的には子供に日本国籍は与えられない。日本に来て産むだけでは日本の居住権は得られないため、香港のように産婦人科病院に中国人が殺到する事態は防げるだろう。ただ、中国の富裕層がよりよい医療環境を求めて、日本の病院で健康診断をしたり治療をするケースはこれからもっと増えるだろう。

薄煕来まで及ぶのか?

2012-02-14 14:38:23 | 時事
重慶市公安局長だった王立軍・副市長が公安局長の職を解かれ、成都にある米総領事館に逃げ込もうとして身柄が北京と重慶との取り合いになり、北京の規律検査委で取り調べを受けている、とされる事件。
香港英字紙の「サウスチャイナ・モーニングポスト」は14日、重慶市の最高実力者、薄煕来・市党委書記が依然として市の実権を握っている模様だ、と報じている。
サウスチャイナは重慶テレビ局の13日夜の報道を引用し、薄書記が12日の市委員会常務委員会会議を主催し、幹部たちの前で大胆な改革を進めるべきだ、と檄をとばしたと報じた。ただ、この日曜日のニュースを翌日夜になってやっと報じたのはちょっとおかしい、との見解も示している。重慶市党委機関紙の「重慶日報」も14日付の新聞で初めて、このニュースを1面トップで報じている。


サウスチャイナは、重慶を訪問したカナダのハーバー首相と11日夜に会談したときも、翌日の地元紙は二人の写真を掲載せず、2日後になって初めて二人の写真入りの記事を1面トップで報じたという。同じニュースを2度載せるのも尋常でなく、さらに行方を見守る必要があるとしている。

香港紙「明報」は、薄煕来が9日、雲南省の視察から重慶の空港に戻った後、直接北京に向かった、と報じている。党中央から王立軍問題で説明を求められたものと見られる。

政治局常務委員会入りが取りざたされていた中央直轄市トップの政治局委員が、その直前に失脚した例としては、95年の陳希同・北京市党委書記と、2006年の陳良宇・上海市党委書記(いずれも当時の肩書)。いずれも部下の汚職問題の発覚から当人の問題に発展してきたもので、いずれも、当時の党中央の権力闘争と関係があると見られていた。
今回の重慶の事案も、サウスチャイナが「薄氏はまだ健在」と報じていたとしても、まだ判断するのは早く、事態が急展開する可能性がないとはいえない。今回の事件も、党大会前のタイミングといい、それぞれの立場といい、陳希同、陳良宇両元書記の事件と極めて似通っている。


王立軍は8日朝北京へ

2012-02-11 17:23:05 | 時事
失脚の可能性が高い重慶市の王立軍副市長は、8日にすでに国家安全部に伴われ北京に送られ取り調べを受けているとみられ、重慶市による「病気療養」の発表は本人が北京に送られた後で本人不在のまま出されたものだった、と11日付の香港紙「明報」などが報じた。明報は「読者からの情報による王立軍と同行した国家安全部の邱進副部長の名前入り航空券」を写真掲載し、それによると、8日午前8時の成都発の北京便になっていた。

明報が重慶当局筋の情報として報じたところによると、王副市長が6日に成都の米総領事館を訪れた原因などがわかってきた。薄煕来が王を重慶につれてくる前に遼寧省鉄嶺市で公安局長をしていたときに疑われた汚職案件について、重慶では薄煕来が見逃し、中央規律委員会の調査から王を守っていたのを、二人の路線対立で薄が王の庇護をやめ、春節前に規律委の調査グループが重慶を訪れたことで、王は身の危険を感じ薄と決別しようと思い立ったという。
2人の対立は、王のいとこが昨年の全国的なマフィア摘発活動の際に重慶に逃げてきて王の庇護を求めたころから、王と薄の意見が合わなくなったという。王は拳銃を取り出して激高するほどだったという。

王自身も情緒不安定になり、その結果、公安局長の任を解かれ、王は重慶ナンバーの公用車でない車を飛ばして成都まで赴き、米総領事館に逃げ込んだ。重慶当局は王の逃走に備えて鉄道駅や空港などを監視していたが、外国公館を煩わせるわけにはいかず、まんまと逃げられたという。

重慶市当局は米総領事館に王の返還を求めたが、王自身は重慶に連れ戻されれば生命に危険がおよぶと感じ、それなら北京に引き渡される方がましだ、として北京への連絡を求め、総領事館員が北京の米国大使館と連絡を取り、大使館から中国当局上層部に連絡、北京から国家安全局幹部が来てから、重慶市当局者に強奪されないように身柄を北京側に委ねたようだ。7日深夜に王が総領事館を出るときは、周辺の道路は封鎖され、北京当局と重慶市の対峙もあったようだ。

総領事館内で王が米国といかなる情報で取引しようとしたか、薄の汚職問題や重慶市の機密関連も含まれると見られるが、次期最高指導者の習近平・国家副主席の訪米が13日と迫っていることから、大きな政治問題化させないように、亡命申請は受け入れず、北京当局に引き渡したのだろう。米国はこれらを公にしないで、中国に貸しを作ると見られる。また、薄個人の汚職問題程度なら、スムーズな米中関係のほうが優先されるだろう。

このニュースが本当なら、薄煕来の今秋の最高指導部入りは極めて難しいと考えていいだろう。

薄煕来の側近失脚か

2012-02-09 02:50:34 | 時事


重慶市政府は8日、王立軍副市長(52)が「長期にわたる仕事上の過重な負担と精神面の緊張で身体が極度の不調に陥っており、休暇治療を受け入れた」と中国版ツイッター「新浪微博」を通じて発表した。重慶市のトップである薄煕来・市党委書記(政治局委員)は、父親が薄一波・副首相という中国共産党の元老という太子党で、本人も大連市長時代に江沢民・前総書記との関係を築き、次期政治局常務委員会入りを狙っている。その側近として王副市長は暴力団一掃や汚職撲滅に力を入れ、薄氏の実績作りに大きな役割を果たしてきた。

英BBCのサイトによると、中国のツイッターなどでは「(重慶市の隣の四川省)成都市の米国総領事館に7日夜、保護を求めたが拒否された」などの情報も出回っている。米国側はこのニュースを否定したという。王副市長はすでに北京に送られているとも言われ、汚職事案で取り調べを受けている可能性もある。

BBCは、ネット上に流れている情報として、王副市長は兼任する公安局長の任を解かれる際に、薄煕来との決別を公表しており、中央規律検査部門に対して薄煕来の妻子の腐敗問題を報告した、と伝えているという。
台湾の中央通信は中国大陸のネットメディアの報道を引用し、薄煕来が4日の市宣伝文化工作会議の席上、「敵対勢力が情報世論部門にのさばっており、デマをとばし人心を乱している。この『戦場』は隠れているが、闘争は激烈だ」と講話したと伝えている。
重慶市政府のサイトを見ると、2月6日の地元紙・重慶日報を引用する形で、科学技術の専門家会議に出席し発言する王立軍副市長の動静を伝えている。その2日後の「病気療養」は、対応が突然だったことを示しているのかもしれない。

暴力団打倒、汚職一掃と「紅歌」と呼ばれる革命歌を市民総出で歌わせて愛国心と共産党への忠誠を鼓舞するキャンペーンで得点を稼ぎ、中央最高指導部入りを狙う薄煕来にとって、側近の失脚は打撃となるのか。あるいは自分に火の粉が降りかかる前にトカゲのしっぽを切って、何食わぬ顔をして中央最高指導部へ進もうとするのか。来月上旬には全人代(全国人民代表大会)と全国政協(政治協商会議)がある。あるいは、今秋には党大会がある。薄煕来の命運はどうなるか。答えはそれまでにはわかるだろう。

P.S.9日付の朝日新聞夕刊によると、米国務省報道官は、王立軍副市長が6日に成都市の米総領事館を訪問したことを認めたという。訪問目的などについては言及を避けたというが、副市長としての立場での面会を求め、領事館員が対応したという。その後、自らの足で総領事館を出たとしている。亡命要請を断られて出てきたということか。

さらに9日深夜、中国外交部は報道官の談話として、新華社を通じて、王副市長が6日に成都の米総領事館を訪れ、一晩滞在した後、翌日に離れたことを公式に認めた。関連部門がこの問題について調査中である、としている。

また、ネット上などに、王立軍副首相が海外の友人に拘束前に託した、とされる「公開書簡」なるものも出回っている。内容は、薄煕来を批判し薄煕来の腐敗や汚職の数々を、この書簡を発表した後に公表するとしている。真偽は定かではないが、二の矢三の矢が出てきたときの中国側の対応を見れば、ある程度判断できるかもしれない。