Takepuのブログ

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重慶の薄煕来

2011-07-01 17:44:54 | 時事
7月1日は中国共産党結党90周年記念日で、中国各地で大イベントの連続。中国新幹線もこれに合わせて前日の6月30日に北京-上海間を開業させた。で、重慶では29日、10万人が参加しての「紅歌会」(革命歌大会)イベントが開かれた。なんじゃこりゃ?

写真は重慶市党委書記(重慶の共産党組織のトップ、事実上市長より偉い)の薄煕来。「紅歌会」での1シーンだが、文化大革命時代の毛沢東のつもりか。
薄煕来は父親が元老の薄一波元副首相。大連市長として港湾開発地区の大連を国際都市に育て上げ環境対策を進め、遼寧省長に転身、商務部長(経産相)を務めてのち、重慶市のトップに赴任した。大連時代に江沢民に近づき、重慶では大規模な汚職取締りキャンペーンや暴力団排除、風俗業界取り締まりなどで成績をあげ、前任者の汪洋・広東省党委書記を蹴落とそうとしたとの憶測が流れている。中央から習近平・国家副主席が重慶に視察に来るなど、太子党の結びつきを深め、権力中枢への意欲を強めているのではないか、と見られる。保守派に取り入り、2012年の党大会で政治局常務委員会入りを狙っているのは明らか。ただ「やりすぎ」「ええカッコしい」との悪い評判もたくさん聞くので、どうなるか。

紅歌とは、毛沢東時代に共産党や中国をたたえて歌われた革命歌や軍歌で、文革を彷彿とさせると嫌う人も少なくないという。薄煕来が提唱し紅歌を歌う歌声喫茶のようなレストランができるなど、文革期に青春時代を送った団塊の世代に、懐かしさなどから流行し始めている。

なぜ紅歌なのか、文革期懐古なのか。経済発展が進む現代、これだけ貧富の差が激しくなり、貧しくてもきわめて平等だった当時を懐かしむ人が増えている。中国共産党創設90周年だが、別に党が偉大だと尊敬の念で歌っているわけではないだろう。戦争が嫌いでもカラオケで軍歌を歌ってしまうおじさんたちみたいなものか。ただ、中国指導部は、1978年12月の十一期三中全会で断固として文革否定、毛沢東は文革発動という謝りも犯した、と総括しているわけで、いまさら文革を権力闘争の道具として使うこともなかろう。そういう中国になっている、という現状が危険な感じもする。
薄煕来は29日午後の会見で、「左」への回帰とか「文革」肯定では談じてない、と話したと言うが、あまり説得力がない。