Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

靖国参拝、新聞あれこれ

2013-12-30 12:13:38 | 時事
安倍首相の靖国神社参拝を受けて、中国や韓国は反発、米国が公式に遺憾を表面するなど、日本の孤立状況の恐れもある。
29日付朝日新聞は「耕論」で、元外交官の東郷和彦氏とコラムニストの小田嶋隆氏の考えを紹介している。

東郷氏の考えは、外務省の考えに沿っていて、特に中国、周恩来が靖国参拝を、A級戦犯の合祀をどう見ていたのか、よく整理されているので分かりやすい。「日本の戦争で亡くなった英霊を」という日本での考え方のほかに、外国がどう見ていて、なぜ反対するのかということを理解するには好例だろう。

もうひとつの小田嶋氏の記事は、安倍首相の政策に対して「ネット右翼」たちが、なぜ周りを見ることもせず一貫して支持していくのか、が分かったような気がした。安倍首相が批判が書き込まれないフェイスブックの世論をよりどころにしている、というのは、それだけとは考えにくいが。
「参拝の是非より、首相が信念を持ってやったことを支持する。事の善し悪しはどうあれ、きっぱりした決断力、実行力に国民が反応する」「中国や韓国にいろいろ言われるのは不愉快だという気分、『そこ、もめないで』と学校の先生みたいなことを言っている米国も面白くない。諸外国の顔色をうかがったりせず、毅然として参拝したことにたくましさを感じる」。
ここには、東郷氏が憂いをしめしているように、靖国参拝や尖閣問題の深刻化で、中国や韓国がどう抗議して、その結果アジアに緊張をもたらしても、関係ない、という結論を支持していると言うことだ。対中関係が悪くなっても、悪いのは中国側であって、日本に非はない、非がなければケンカして関係悪化して、アジアがギスギスしてもいいのだ、という無責任な考え方が横行する理由が分かったような気がした。

そこには、経済の急成長で世界の巨大市場となった中国と経済交流を進めることで日本の経済再生を進めようとの考えや、中国とともに発展しようというウィンウィン(双赢)の関係を維持するために、政治的な軋轢を排除しようとの努力を認めないということだ。

毎日は30日、国際面に程永華・中国駐日大使の「『不戦の誓い』場所が違う」とする寄稿を掲載した。中国が靖国参拝やA級戦犯についてどのような考え方を持っているのか、中国側の言い分を十分に理解することができるが、朝日の小田嶋氏の記事のところで触れたように、中国側の立場を理解して、中国との関係改善を試みよう、という考えのないネット右翼に対しては、極論すればなんの意味もない記事だ。その辺の見せ方が毎日はヘタだ。逆に中国の言い分を大きく載せることで「やっぱり毎日は親中か」と、ネット上であらぬ誤解が広がってしまう可能性さえある。

その場のスタイルがきっぱりとしている、ということで後先考えず、周辺諸国と軋轢を生むことも辞さない政治スタンスが支持されている。しかし、米国は中国の経済成長の恩恵に期待し、アジアにあらぬ軋轢を生んで緊張感が高まることで、そのチャンスを逸するとして、遺憾の意をしめしている。アジアに紛争が勃発することを望まないだけでなく、中国との関係を維持するために、日米安保条約で触れられている尖閣防衛や、日本の立場を支持するスタンスさえ消極的に放棄するかもしれない。頼りにしたい米国さえ、日本から離れていくだろう。
日本はアジアの、世界の孤児になりかかっている。アメリカの態度を注視し、もう少し後先を考えるべきだろう。