Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

中国の人口問題

2011-04-28 15:33:03 | 時事
4月21日の人民日報に中国の人口問題についての論文が掲載されていたので、書かなきゃ書かなきゃと思っていたら時間がたっていた。28日の人民日報は1面トップで「経済社会の発展がよりよい人口環境を作り上げるため、人口政策を強化する」と、胡錦濤総書記が中央政治局の人口問題の会議での演説を載せていた。筋はこの21日の論文に沿ったものだ。


21日の論文は結構辛辣なもので、「人口の素質と構造、分布問題は経済社会の持続的発展できるかどうかに影響を与えるボトルネックだ」と警鐘を鳴らしている。

簡単に紹介すると、(1)人口は増えるのに質は低下(2)年齢、性別に偏りが生じている(3)人口の地域分布が不均衡--をあげている。

(1)は、中国は毎年800万人ずつぐらい人口が増えているが、このうち80万-120万人は障害を抱えており、労働力の質に悪い影響を与え、家庭と社会の負担になるだろうと予想している。
20歳の貴州省の農村出身の趙華という高卒の女性を例に挙げ、江蘇省常州市の紡績工場に出稼ぎに出たが、1年前にリストラに遭い、本来働いて高齢者や子供の世代を食べさせるべき世代に属する彼女が、失業したことで他人に養われ食べさせてもらう対象となってしまった、と憂いている。

相当乱暴な議論だ。そもそも農村の低学歴の単純労働者を沿海地区の工場に出稼ぎさせ、低賃金の労働力を武器に、安い生産物を海外に売って外貨を稼ぐ、という構造は中国当局が奨励したものだ。その結果、中国が「世界の工場」となる基礎を築いたはずだ。世界の経済需要や産業構造の変化で、安価な単純労働力が不要になると、「質が低い。困ったことだ」との一言で片づける。本来、教育水準を向上させ、良質な労働力としての大衆の知的水準、技術水準を上げるのは中央政府、地方政府の仕事のはずだ。出稼ぎの農民工が都会で戸籍を与えられず、その子供が学校に満足に通えないことも、この労働力の質の低下を助長している。

また障害児が多く生まれるのも、彩色饅頭や毒入り牛乳、豚肉を牛肉の風味に変える薬など、得体のしれない食品偽装事件が次から次へと起こること、また、衛生状態も芳しくなく、医療体制も十分に整備出来ないことと関連しているのは否定できないだろう。論文が嘆く話ではない。当局の失政が招いた結果だ。

(2)の年齢、性別の偏りは、もっぱら「一人っ子政策」の産児制限による偏りだ。跡取り息子を求める農村部などでは、あからさまに「間引き」が行われ、男女の人口比は男のほうが圧倒的に多い。論文でも、結婚適齢期の男女比は男のほうが120万人も多く、10年後の予想では2400万人の男が結婚できないという事態になる、と予想している。

一人っ子政策は、高齢者の扶養問題にも影響を及ぼし、2人で4人分の高齢者を養わなければならない構造になる。

(3)は、農村部から都市部への人口流入が激しいということだが、中国当局は基本的に農民に都市戸籍を与えないから、かれらの身分は宙ぶらりんのままだ。地方都市に魅力的な雇用を多く創出しなければ、この問題は解決しない。

と、いずれも中国が、目先の発展と金稼ぎを優先して、地方や弱い者への配慮をしてこなかったツケだ。自業自得といってよい。人口問題を云々することでは何の解決にもならず、社会福祉や産業構造の全面的な改革をもって初めて解決に至る問題だ。

28日の人民日報の記事ではさすがにそこまで深入りせず、これらの深刻な問題に直面して人口問題を解決しましょう、と胡錦濤総書記が演説したことに触れている。

ついに、鼎泰豊

2011-04-26 22:18:24 | 飲食
最寄り駅の駅ビル内のデパートにできた、台湾でも超有名な小籠包屋さん「鼎泰豊」の支店。やっと立ち寄った。台湾本店には実は行ったことはなくて、上海新天地の店には行った。このとおり

小麦粉の印は右側のひとつが蟹味噌小籠包。無印が豚肉小籠包。左の印2つがホタテ小籠包。

蟹味噌をかじったところ。スープはかじって吸った後。あまり黄色い蟹味噌の部分は見えない。

ホタテのかじったところ。わかりにくいが、真ん中手前にある白いのがホタテのブロックのよう。結構大きい。特別の味がするというほどではないが。
この三つの味のセットが2個ずつ6個で1000円。まあリーズナブルかな。前も書いたけど、上海の有名な小籠包の南翔饅頭店に比べると、歯ごたえを楽しむというより、スープを楽しむという感じで、アンはどろどろでしっかりしていない。南翔饅頭店は餃子の中身のように肉団子のようにしっかりしている。

餃子や包子の種類は結構あり、マンゴーが中に入っているものやアンコのものもある。それに対しておかずの種類はそんなに多くない。

油淋鶏(ユーリンチ)。ちゃんとおいしい。香菜もいい。日本の味じゃないんだ、と実感。


久々に食べた牛バラ肉入り麺、醤油味に香辛料が結構効いていて台湾風を堪能できる。わかりやすく言えば、台湾や最近は中国にもたくさんあるカップめんの「康師傅牛肉麺」の味だ。台湾の牛肉麺にはもっと辛いのもあるけど、食べやすくなっている。あまりしつこくもない。


上海の鼎泰豊では卵炒飯がものすごく有名らしいけど(上海では食べた)、こっちではガッツリ食べたくて排骨乗せを食べた。五香粉の香りがして、これも台湾風。上海の炒飯はもっとシンプルで繊細でさらさらしていたけど、こっちは、おいしいけど全体的に大味。

2人分で5000円ぐらいしてしまうけど、仕事帰りに自分へのご褒美で気軽に台湾を堪能できるのはいいなあ。午後8時で終わりだけど。あまり頻繁には無理だけど選択肢がひとつ増えた。

艾未未拘束を新華社報道したが・・・

2011-04-08 01:55:04 | 時事
北京五輪会場となった「鳥の巣」設計に携わった、中国の著名な前衛芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏が3日、香港へ向かおうとして北京国際空港で身柄を拘束された。英国BBCや台湾の中央通信は、7日未明に中国国営新華社通信が英文のみで「艾氏は経済犯罪の疑いで取り調べを受けている」と報じ、その後、その記事が取り消された、と伝えた。


艾氏は四川大地震の際に倒壊し生徒が下敷きになった学校について手抜き工事だとして当局の責任を追及、昨年の上海のマンション火災の際にも犠牲者の氏名公表を求めるなど、反体制活動が当局ににらまれていたという。

前日、香港の中国系紙「文匯報」は経済事案で取り調べ中、と伝えた。また、人民日報サイトで「艾未未」を検索すると、検索画面で7日の人民日報系の「環球時報」で掲載された評論記事が出る。

一瞬見えた文章をコピペすることができた。「艾未未が警察に“ついて行った”事案はまだ原因は分からないが、すぐに判明するだろう。西側の一部の国や政府、人権団体は、すぐに干渉する。直ちに釈放しろ、とか、中国の人権は悪化している、だの、彼は人権闘士だ、など。彼は人と違うことばかり言ったり、法律違反ギリギリのところを歩む男だ。西側の概念では即、人権侵害だ、とか言うが、中国の事情は違う。西側が中国に人権がない、と圧力をかけることが、中国の民衆をもっとも不快にさせることなのだ。中国人民の福祉は公権力が監督すればするほどよくなっている」というようなことが書かれている。

中央通信は、新華社が英文ニュースを取り消した理由について、中国当局が発表を決めて新華社に流した後、何らかの理由で方針が変更され取り消したものと推測される、と記している。環球時報も同様の理由だろう。

ちょうど時を同じくして7日夜、北京や上海にある米インターネット検索大手、グーグルの関連企業3社が、脱税容疑で中国当局から捜査を受けたとのニュースが流れた。グーグルのGmailは、セキュリティーが強力なことから中国の民主活動家にもっとも信頼されていたが、昨年のグーグルの中国撤退をめぐって、それが槍玉に挙げられている。なんか関係があるのではないか、と思ってしまう。

40歳で5億円稼がないと

2011-04-07 15:05:14 | 時事
中国の名門大学のひとつ、北京師範大の不動産研究センター主任の董藩教授が中国版ツイッター(微博)で、「私の生徒で40歳になって4000万元(約5億円)の資産を持ってないような奴は顔も見たくない。私の学生だと他人に言わないでくれ」とつぶやいて、中国で話題になっているという。
新華社のサイトは、地方紙などに掲載されたさまざまな意見を載せて読者に考えさせている。

大卒40歳で5億円とは、日本人だってなかなか難しいとは思うが。また、これが「不動産研究センター」などという、胡散臭い学問の場で、金稼ぎの方法を伝えているのだろうか? 
拝金主義の中国で、この発言に問題がある、と感じ、騒いで話題になるというのが、まだ救いがある、ともいえるのか?

董教授も北京師範大からの給料で5億円分稼いだわけではあるまい。バブル華やかな中国で悪質な不動産投資を続け、蓄財したことは明らかだ。中国は実学、というか、専門バカ、というか、細かく専攻がわかれ、その分野のみの専門家を多く育成することで、それ以外のことに関心を向けさせず、体制の敵を作らせない傾向が強い。いいかえればゼネラリストといえるようなオールラウンドな知識を持つ人間が多くない。

この話題、ちょっと体制側が故意に流したような“ガセネタ”っぽい匂いさえする。

リーマンショックからいち早く立ち直った中国経済の繁栄は、中国政府が大規模公共投資をした反映だ。地方政府は自分たちの裁量で「公有」の土地を外国企業などに長期間で貸し出し(社会主義ゆえ「売却」はできないが、事実上の土地売買)、なんの資本も持たずアブク銭を生み出している。このような地方政府の役人やその周辺の人々、関係者のみが、この不動産バブルによる経済成長の恩恵を受けることができ、その結果、貧富の格差が拡大している。

董教授はしかるべく特権を手にこの「成功組」に入ったわけで、貧しい中国人民の多くは、優秀でも望んでも大学にさえ入ることもできず、ましてや董教授の教え子になることさえできない。

さすがに中国当局は不動産投機に警鐘を鳴らし、税金を科したり複数の不動産購入を禁止するなどの対策を講じている。すると、行き場を失った投機筋の資金は穀物や原油などに殺到、食料品価格やガソリン価格の高騰を招いている。6日、中国人民銀行は今年二回目の利上げを行い、インフレ抑止を狙った。ただ、地下経済が莫大なこともあり、西側先進諸国ほどに金融政策が効果を発揮するとは思えず、さらなるインフレが社会不安を招く恐れがある。

7日の日経新聞は、北京市の約100社の外資企業が共同で労使交渉を行い、最低賃金の1.5倍で妥結したと報じた。北京市当局も外資企業については最低賃金の1.5倍に定めるよう指導していく方針という。外資企業が普通の中国企業より1.5倍の賃金を支払うことを強制されるようになれば、賃金上昇がさらにインフレを招く恐れもある。逆に、低賃金のメリットが少なくなったと見た外資の多くが中国を撤退する可能性も否定できない。

中国茉莉花革命首謀者?

2011-04-06 21:20:19 | 時事
6日付日経新聞が、「中国民主化運動 発起人は米在住」との記事を掲載した。ネットを利用して中国各都市で集会を起こした「中国茉莉花(ジャスミン)革命」は、在米の中国人留学生ら数十人がネットを通じて呼びかけたものだ、という。
以前、このブログで「海外で操っている民主活動家が……」と書いたが、どうやらあたりだったみたいだ。

日経によると、「グループは選挙制度の導入や国民による権力の監督など欧米型民主主義の普及を求めている」という。やはりなるほど。日経に書かれているように、中国国内から遠く離れた安全なところから、摘発されるリスクも負わず、留学したことで“かぶれた”西欧的民主主義の実現を目指そうと、中国の現状も、民主化活動の成否への戦略もなにもなく、無責任に行動を呼びかけるやり方には感心しない。このような行動によって、中国におけるネット管理はますます厳しくなり、国内で決死の覚悟で活動する人々の行動にも当局側の監視が厳重になり、思うように動けなくなっていることは明白だ。もちろん、常に中国当局に対して民主化要求をすることは大事なことだが、何の青写真もなく民衆をあおってデモを起こし、その結果、事情も知らない人々が身柄拘束されたり、監視される事態を招いてしまっている。

もちろん、現在の中国のネット監視や、不徹底な政治体制改革には多くの不満はあるが、もし、本当にそれを変えたいと願うなら、もっと慎重にして効果的なやり方を考えるべきであった。