Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

ダライ・ラマ台湾訪問

2009-08-28 12:57:25 | Weblog

 台湾の馬英九総統は27日、陳菊・高雄市長ら民進党籍の7首長が台湾へ招待しているチベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ14世=写真=の台湾入りを認めた。中国との関係改善で自らの地位と指導力を誇示しようとしてきた馬総統は、過去、中国側に配慮してダライ・ラマの台湾入りを許可してこなかった。今回、台風被害への対応のまずさを批判され求心力を失っている中、少しでも支持を得ようと許可したと見られる。ダライ・ラマの活動を支持する米国にも配慮したものだろう。ダライ・ラマは、台風8号による犠牲者追悼と被害者ケアのため、として31日から9月3日まで台湾を訪問する予定。
 ダライ・ラマの台湾訪問について、新華社は27日、中国国務院(内閣)で台湾問題を担当する台湾事務弁公室の報道官の発言を紹介、民進党の一部勢力が招待しているとして、ダライ・ラマは単なる宗教家ではなく、宗教活動名目で国家分裂運動をしてきており、どんな身分での訪問でも断固反対する、としている。
 報道官は、台湾の台風被害に大陸各界が手を差し伸べているときに、このような機会を利用して民進党の一部がダライ・ラマが台湾で活動するよう画策するのは、救援のためでなく中台両岸関係を破壊しようと試みる悪しき局面であり、このような悪巧みは両岸同胞の反対を招く、としている。
 ここに、ダライ・ラマの台湾訪問を許可した張本人・馬英九の名前はまったく出てこない。あくまでも民進党の一部に責任を押し付けて、大陸側が関係改善のよりどころとしている馬総統の責任隠しをしている。また、民進党の「一部」と限定しているのは、5月に民進党籍の市長級として初めて大陸訪問した陳菊・高雄市長のような「親中派」とは区別しようとしているためだ。中国共産党当局は、声高に台湾独立を叫ばない一部の穏健的な民進党幹部を取り込んで民進党分裂を招こうとしており、今回もその意図が見える。
 実際はダライ・ラマ招待の言いだしっぺが、まさにその陳菊市長だったのだが、大陸側の困惑が想像できる。ただ、新華社の報道では、そこまで分からないようにあいまいな表現で逃げている。
 ということで、中国当局は原則的・建前ではダライ・ラマの活動を批判、規制しようと各国に圧力をかけるのだが、結果としてダライ・ラマ訪問を受け入れたとしても大局的見地から、その国(地域)との関係が完全に悪化するものではないことを示している。

日中共同世論調査

2009-08-27 04:03:24 | Weblog
 中国の英字紙「チャイナ・デイリー」と日本の「言論NPO」が共同で行った日中世論調査の結果が26日、発表された。新華社は「日中双方の相手国家に対する好感度はやや上がった」と題して世論調査についての記事を配信している。ただ、「言論NPO」のHPに掲載された調査結果の詳細と照らし合わせてみると、日本側の中国への印象として触れてほしくないとみられるものは、露骨に無視して記事では外されている。

 新華社が報じている調査結果で日本側の反応について触れている項目は、「日本人が中国について最初に思いつくもの」として、世論調査は「中華料理」(52.0%)、「万里の長城」(37.9%)となっている。日本側には財界や学術関係など有識者にも聞いていて、彼らは「経済成長と経済過熱」(40.6%)、「中華料理」(34.6%)、「共産党と共産主義」(29.6%)となっている。日中関係については「とてもよい」と「比較的よい」は15%、有識者は同じ項目で昨年の44.8%から今年は39.8%に下がったとしている。
 え、こんなつまんないことしか聞いてねえのかよ、と思って言論NPOのほうを見たら、両国関係の発展を阻害する主問題として、日本側は「中国産品の安全性」(46.2%)、「領土問題」(39.1%)、「中国の反日教育」(36.1%)の順にあげている。中国側は「領土問題」(49.2%)、「日本の歴史認識」(38.2%)、「海洋資源などをめぐる紛争」(29.3%)の順だった。ちなみに日本側が多かった3項目について、中国側は「中国産品の安全性」については1.2%、「中国の反日教育」については5.2%だった。
 互いの国に行きたくない理由で一番多かったのは日本側が「安全、衛生上の問題があり安心できないから」の71.7%。中国側は「お金がかかるから」の50.4%と安直とはいえ現実的な回答だった。
 新華社は中国人側の回答については、歴史問題や靖国神社参拝問題などが多かったと報じている。当局の“洗脳”が結果としてあらわれてるなあと思わせるが、毒入り冷凍餃子事件にともなう中国の食の安全や、中国で反日デモなどが発生する原因となった反日教育などに対する日本側の反応については触れていない。
 本当に相互理解を進めたいなら、相手が何を考えているか、ということをまず伝えるべきなのに、日本人が中国についてどう思っているのか、このような調査結果さえ中国人は知らされないのか。

外国籍中国人俳優

2009-08-22 00:52:01 | 映画鑑賞
 中華人民共和国建国60周年の国慶節(建国記念日=10月1日)に併せて制作された愛国映画「建国大業」について、出演している約20人の俳優たちが、中国国籍でなく、米国、カナダなど外国籍を持っているとして「愛国映画に出演する資格があるのか」と、バッシングを受けている。
 新華社によると、この映画には、毛沢東役で有名な唐国強や「初恋の来た道」でスターダムにのし上がった章子怡(チャン・ツィイー)のほか、香港から劉徳華(アンディ・ラウ)、成龍(チャッキー・チェン)、黎明(レオン・ライ)らの超有名スターが「友情出演」しているという。最近、中国の芸能界では多くの映画監督や俳優らが外国籍をとるのが一種の流行になっていて、陳凱歌監督と陳紅夫婦、蔣雯麗(NHKドラマ「大地の子」で主人公の陸一心の妻を演じた)が米国籍、徐帆や陳明がカナダ国籍をとっており、外国籍を取る能力がないものは湯唯(「色戒=ラスト・コーション」で衝撃的な濡れ場を演じた)のように香港の市民権を得たりしている。
 そうはいっても流行というより、日本に来るにもビザが必要だったりするなど、諸外国からの信用に乏しい中国のパスポートだけでは、国際的に活躍する野心を持っている俳優らにとっては、まことに不便だ。可能ならば、ノービザで多くの国にいける米国やカナダ、日本などのパスポートを便宜的に手に入れたいのは理解できる。
 それと、中国人としてのアイデンティティーはまったく別の話で、中国人は古来、外国に出稼ぎに行って、その場に住み着いて華僑、あるいは華人として生活していても、中国人であるとの考えを捨ててはいない。それと同じことだと思うのだが。六四(1989年6月4日の天安門事件)以降の偏狭な愛国主義教育を受けた視野の狭い一般中国人民は、外国籍をとるための経済的、文化的条件も持っておらず、単にひがんでいるだけなのか、中国共産党が好きなのか、余計なお世話である。
 さらに、そもそも「愛国映画」に出演するためには政治審査が必要なのだろうか。俳優たちだって共産党による政権が出来たことに喜ぶ、ということよりも、大きなマーケットを予想できる映画に出演することでお墨付きをもらい、今後の中国大陸での仕事をスムーズにやりたい、と考えているのでは。

満蒙開拓団

2009-08-20 03:32:33 | 映画鑑賞
 映画「嗚呼 満蒙開拓団」を見た。自身、大連生まれの羽田澄子監督によるドキュメンタリー。残留孤児が生まれるような絶望的な逃避行を、満州最南端の大連では思いもしなかったのだという。映画では実際に軍属や官僚とその家族を優先的に列車に乗せ、駅にたむろする逃げ惑う開拓民には何の関心も払わなかったことに、当時何も違和感も感じなかったという憲兵隊や鉄道局職員もいた。

 満州のソ連との国境付近から逃げ出した開拓民たちは、関東軍の物資補給基地があると聞いた方正に大挙終結し始める。ところが関東軍はすでに逃げ出していて(棄民)もぬけの殻。多くの日本人が飢えと寒さと発疹チフスなどで亡くなり、2度にわたって遺体を焼いた。日本帰国を諦め、途中で中国人に嫁いだ残留夫人の松田ちゑさんが戦後、食糧増産をはかろうと荒地を開墾していた際にたくさんの遺骨を掘り出し、なんとか埋葬したい、整理のために日本人墓地を作ろうと県政府に請願した。最終的に国務院総理の周恩来の決裁で1963年、方正県に日本人公墓が中国人によって建てられた。
 松田さんは、文化大革命の時、紅衛兵によって拘束され、死刑を求刑されたという。外国人の刑事処分については中央に上げる必要があったため、この死刑許可申請は周恩来総理の眼にするところとなり、周総理が「日本人公墓はよいことだ。ただちに無罪放免にせよ」と指示したことで、危うく死刑を免れたという。
 残留孤児の運命を見ても、養父母がりっぱでやさしい人で、学校に行かせてくれたり日本人の肉親の証拠の品を大事に保管しておいてくれ日本行きにも賛成してくれるなどした人と、暴力をふるい学ぶ機会も与えてもらえない人では、絶望的に異なった運命になってしまった。
 映画館には中国語で話すお年寄りが何人も来ていたが、やはり残留孤児らだったのかな?

 映画を見終わり、また性懲りもなく小籠包を食べた。そのあと埼玉西武ライオンズが福岡ドームに来ていたので見る。おかわりくんこと中村剛也が先制2ラン、片岡易之も3ランを放つなど9点とり、先発・石井一久も8回途中までがんばった。グラマンの後釜も考えられる途中入団のベイリス、阪神からシーズン途中に入った藤田太陽も登板、まあまあだった。

 1回、デッドボールで出塁した片岡は、次打者・栗山の初球に盗塁。リードからスタート、スライディングに至る動作をビデオに撮ることができた。ラッキー。


野人参上

2009-08-16 13:18:04 | Weblog

 浦和レッズで活躍した野人こと岡野雅行が来るのでJFLとはいえ、ニューウェーブ北九州対ガイナーレ鳥取の試合を見に行った。
 野人・岡野といえば、後に「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるようになった1997年のフランスW杯アジア第3代表決定戦(対イラン)で延長前半から出場、決勝ゴールを決め、日本をW杯初出場に導いた。あのときは中田ヒデのパスで作り出した数々のチャンスをことごとくシュートミス、最後にあきらめたヒデが自ら放ったシュートをGKがはじき、岡野が滑り込みながら押し込んだんだなあ。直前まで香港でプレーしてたんだ。もう37歳だって。がんばるなあ。
 試合会場の北九州市八幡西区、本城陸上競技場へはJR黒崎駅から無料の送迎バスが出ていた。スタッフが一生懸命観客を迎えていて好感が持てた。雨もやんで風も気持ちよかった。芝の状態は悪くなく、少なくとも大分の九石ドームよりは圧倒的によい。少しは反省しろ、トリニータ。

 J2昇格へカウントダウン中のニューウェーブの試合を初めて見たが、なるほどJFLだな。いわゆるキックアンドラッシュで中盤のつなぎや戦術などない。センターバックにヘディングの強い選手をおいて、守備でがんばって、まぐれで点を取って逃げ切り、という感じかな。監督はあのジョージ与那城(元読売クラブ、日本代表)なのに、観客をうならせるプレーは皆無だった。勝負に徹してるんだな。この日の観客は2500人余り。J2は無理じゃないか?
 で、野人の出番は結局なかった。髪は短くなっていて、ベンチ裏で一生懸命アップしていた。ま、腐らずにレッズ魂を忘れずに鳥取でがんばってほしい。写真はハーフタイムでアップする野人・岡野。
 ところで知らない人のために、なぜ「野人」かというと、大学時代、野良犬に突然追いかけられ走って逃げたら振り切った。「野犬より速い“野人”」になったとのエピソードがある。快足の持ち主で「自分から自分へスルーパス」との逸話もある。

漢字統一への道

2009-08-15 03:28:33 | Weblog
 中国と台湾、香港は違う漢字を使っている。つい数十年前まで4人に1人が文盲という状態だった中国大陸では、なんとか新聞など簡単な文章が読める1000字をまず覚えさせようと、従来の漢字を簡略化した「簡体字」を普及させた。一方、台湾や香港は従来からの簡略化されていない「繁体字」を使用している。パソコン上では文字コードも別々で、漢字を使う日本も含めて、3種類の文字コードがある。簡体字は「GB」など、繁体字は「BIG5」など。
 かつては書くのに大変だということで文字の画数を簡略化してきた中国大陸では、パソコンの普及で画数が多くてもそれほど大変でない状況になってきていることから、これらを統一しようという動きが出ている。
 中国教育省と国家語言文字工作委員会は12日、標準漢字表について今月31日まで広く意見を求めるとした。一方で、教育省語言文化情報管理局の李宇明局長は、社会が混乱しないために繁体字を復活させることなく、ただ漢字の簡体化は限定的なものとすると言明した。

 大陸のこのような動きを報じた台湾紙・中国時報によると、最近、中国の中央電視台(テレビ局)が繁体字を復活させるか否か、専門家の討論番組を放送したことを紹介している。「50年以内に簡体字を廃止してはどうか」「簡体字は山賊版漢字」などの文章を発表した「中華文学選刊」の王乾編集長によると、簡体字は漢字の本来の表意文字としての形状や意義を失ってしまい、文化を語る資格はない、と考えている。ただ現在すでに簡体字に慣れている大陸の人々が混乱しないように「識繁書簡」、すなわち「読むのは繁体字、書くのは簡体字」とし、読み間違いを招きかねない簡体字のギャップを埋めるためにも繁体字を理解する必要がある、との結論に達している。
 正論だと思う。このままでは大陸の中国人は、漢字を忘れハングル文字しか読めなくなって自国の古典を理解できなくなった韓国人と同じ道をたどるだろう。

 台湾では馬英九総統が「正字」運動として繁体字の普及と世界遺産登録を目指している。
 以下は台湾総統府の広報文の抜粋。
 台湾の馬英九総統は今年の元日、台北市政府文化局が主催する「第5回漢字文化フェスティバル―2009新春書初め大会」に出席、他の政府関係者15名と共同で「天開一筆、潤澤蒼生、漢字文化、廣被四海」(天が一筆書けば、人々は潤い、漢字文化は、世界に広がる)の16文字を揮毫し、馬総統は「漢」の字を書いた。
 馬総統はあいさつのなかで「数年前に中国大陸湖南省長沙を訪れた劉兆玄・行政院長が、展覧会場にあった一枚の漢の時代の国書を見て一文字ずつ声に出して読んだところ、後ろにいた米国人の夫婦が『どうして2000年も前の文字を現代人が読めるのか』と驚いた。それに対して劉院長は『台湾では誰もが読めます』と答えた。ところが、大陸のガイドは読めなかった。なぜならかれらは正体漢字ではなく、簡体字しか知らなかったからであった」とのエピソードを紹介し、馬総統が台北市長時代に始めた「漢字文化フェスティバル」の開催目的が、これら人類の貴重な文化を保存するためであることを力説した。また、馬総統は、台北市長時代に漢字を「世界遺産」として国連に申請しようとしていたことを明らかにした。
 馬総統は「われわれが台湾で用いている漢字は『繁体字』ではなく『正体字』と呼ぶべきだ。少しも繁雑でないからだ。正体字を理解したうえで、書くときの字体は漢字であればどちらでもよいという方式で、両岸の差異を縮めていきたい」との考えを示した。【総統府 09年1月1日】

 一方で、台湾側は中国語のローマ字表記を中国大陸で使われている表記に統一する通達を出し、歩み寄りを見せている。これまで英字新聞などで見られる中国語のローマ字表記がばらばらで、混乱していた。たとえば毛沢東は中国大陸では「Mao Zedong」だが、台湾などでは「Mao Tsetung」だ。とか言いながら馬英九は自分の名の英語表記を「Ma Ying-jeou」としているなあ。大陸では「Ma Yingjiu」だ。
 中国語をご存じない方のために書くと、このローマ字表記は大陸では「ピンイン」と呼ばれる発音記号で、漢字はすべてこのローマ字で表記できる。ローマ字と声調記号「 ̄」「/」「V」「\」さえあれば、中国語は正確に音読できる。

検閲ソフト見送り

2009-08-15 03:05:06 | 時事
 中国政府は、国内で販売するすべてのパソコンに官製検閲ソフト「グリーン・ダム」搭載を義務づけるとして6月に発表した方針を見送ることを決めた。新華社によると、李毅中・工業情報化相は13日記者会見し、このソフトについて、各方面の意見を広く聞いて、強制的に搭載を義務づけないことにした、と語った。
 李工業情報化相はこのソフトを搭載する理由はあくまで、未成年に有害なわいせつ画像を見せないためで、政府には親たちから「子どもを救ってほしい」と、涙ながらの要望があったとして、2006年からこのソフトを入れ始めたことで、学校やネットカフェなどの公共の場所ではこのソフトを入れたパソコンは有害なサイトを遮断できることになったという。これらは公共の利益のためであり、責めを負う物でないと言い訳している。
 李工業情報化相は、このようなソフトはあくまでも広範な消費者の選択の自由を尊重し、市場原理に沿って個人の希望で入れるべきもので、6月の政府の発表はその辺について十分に考慮されておらず、多くの人々に強制的なものとの印象を与えてしまった、とある意味、政府の「拙速」な方針を反省した。発表段階では7月1日からこの規則を適用するとしていたが、前日の6月30日になって急きょ延長を決めていた。ただ、今後も学校やネットカフェのパソコンには搭載を義務づけることにしており、いつまた中国当局がこの問題を持ち出すか、警戒が必要だ。
 グリーン・ダムは、3分ごとに画面をキャプチャーしてどのサイトを見たかソフト管理者が把握できたり、中国当局が定めた特定のキーワードのサイトを遮断する機能があるという。まさに中国当局が隠ぺいしたい少数民族の独立問題や西側の反中国情報を遮断しようとする意図がみえみえで、さすがに西側の大手パソコンメーカーもこのソフト搭載拒否を表明するなど、中国での商売の障害となる可能性が出てきて、中国当局も泣く泣く「見送り」を発表したようだ。

 イラストは中国のヲタクの手によるグリーン・ダムを風刺するもので、もちろんガンダムのパクリ。「RX-78」とせず、「68」としているのは、中国語の発音で68はLu(Liu)・Baで、グリーン・ダムの中国語「緑●(土へんに貝)」と同じというところから来ているとみられる。女の子の「風紀」の腕章が笑えるね。やるな中国のヲタク。

ハイジャック騒ぎ続報

2009-08-13 05:13:34 | Weblog
 9日夜に発生したアフガニスタン機のウルムチ空港着陸拒否問題について、人民日報系の国際問題専門紙「環球時報」は11日、この事件全体を担当した新疆ウイグル自治区当局者が事件の詳細について語った内容を「特ダネ」として報じた。「新疆ウイグル自治区で旅客機がハイジャックされた」と新華社が誤報した事件だが、誤報の経緯や原因については触れていない。

 この当局者によると、事件がおきたカム航空は6月19日に運航申請の認可を得て、8月9日にカブール-ウルムチ間の初フライトを計画した。9日午前、新疆ウイグル自治区当局は、「東トルキスタン組織」(ウイグル人の独立を主張する国際組織)がこの初フライトを妨害する恐れがある、との情報を入手、少なくとも3回の対策会議を開き、国側と協力してさらなる状況把握に努める一方、航空会社や空港と同便初フライトの受け入れ準備を進めることを決めた。
 中国の関係当局はアフガニスタン政府と協力し、安全確保のため出発を1時間遅らせ、中国時間9日午後9時(日本時間同午後10時)、同機はカブール空港を出発、ほどなく新疆ウイグル自治区側に同機を爆破させる計画があるとの情報が入った。ウルムチ空港では直ちに武装警察、公安、消防を配置させ、ハイジャック、爆破に備えた。最終的に乗客の安全を最大限に考慮し、中国当局が着陸を許可せず同機をアフガニスタンに戻すことを決めたという。
 午後11時20分、同機はカンダハル空港に無事着陸。検査の結果、爆破物は発見されず、ウルムチ空港も警戒態勢を解いた。
 この当局者は同紙に「今回の措置はウルムチの安全情勢とは無関係で、神経過敏になっていたわけでもない。どんな国でも旅客機テロの情報を受けたら同じことをするだろう」と語り、「7・5ウルムチ騒動」は関係ないと暗に示した。
 あまり重要でないとの判断なのか、誤報の上塗りをしたくないのか、人民日報はともかく新華社も、この「特ダネ」ニュースを転電していないようだ。

新疆ハイジャック誤報

2009-08-11 10:49:47 | Weblog
 新疆ウイグル自治区で旅客機がハイジャックされた、と中国国営・新華社通信が9日深夜に速報、10日未明に入って「爆弾を仕掛けたと脅された」、さらに「機械の異常」と2度にわたり訂正を出し、新華社を引用する内外メディアを混乱させた。ウルムチ空港には武装警察や消防・救急車両が待機するなど緊迫した状況となった。写真は新華社のサイト、ウルムチ空港から撤収する軍用車両。

 新華社は中国国営の唯一無二の大通信社で、重要ニュースの配信には当局の許可が必要だ。競争相手もいないため、速報合戦に神経をすり減らす必要もない。実際、報道には時間がかかるのが普通で、今回のハイジャックのような重大事件を、裏取り(確認)もなく誤報するのはきわめて異例だ。香港メディアの報道などを集めて考えてみた。

 ハイジャックと「誤報」されたのは、アフガニスタンの民間航空会社、カム航空が運航するカブール発ウルムチ行きボーイング767型旅客機で、乗客170人を乗せ、この路線の初フライトだった。新華社は9日午後11時40分(日本時間10日午前0時40分)過ぎ、航空会社や行き先などには触れず新疆ウイグル自治区でハイジャックされた、とのみ英文でのみ報じた。
 新華社は中国語と英語のニュース配信があり、国際ニュースや国内にはあまり伝えたくない重大ニュースは、英文の方が早いことが多い。英文のみ配信し海外の反応を見て、国内向けに中国語で流すことも少なくない。
 ハイジャック報道からしばらくして、武装警察筋の情報として、航空機はハイジャックではなく、爆弾を仕掛けたと脅迫があり、ウルムチ空港当局が着陸を拒否したと訂正の電文を流した。新華社は午前2時になって、カム航空のカムジャール総裁の発言として、ハイジャックではなく、カブールが天候不良のためカンダハルの空港に着陸したと伝えた。その後、カブール空港当局者は「技術的原因」で引き返したと語った。
 同機は10日午前、カンダハルからカブールに戻り、カムジャール総裁は空港で記者会見し「検査の結果、爆弾は発見されなかった。中国当局の許可も得て、再びウルムチに向かう。爆弾騒ぎは同業の競争相手によるデマだ」と述べた。
 新華社は10日に入っても、アフガニスタンに引き返した乗客が再度荷物検査をし翌日再びウルムチに向かい無事着陸したと伝えるなど、「爆弾を仕掛けた疑い」は訂正しないまま、写真付きで報じている。

 新華社が速報をあせって誤報した原因は何だろう? 新疆ウイグル自治区という場所が場所だけに最初は「本当はハイジャックがあって、張り切って速報したら犯人は漢民族だったから伏せたのでは」とも考えたが、航空機は無事、アフガニスタンに戻ったので、それも考えにくい。ただ、カブール発ウルムチ着という刺激的なコースの航空機ゆえ、新華社記者も「ウイグル族がまたやらかした!」と気負って飛ばした可能性はある。いずれにしても「7・5ウルムチ騒乱」以降、世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長の悪口やウイグル族による犯罪などを、中国メディアがすっ飛ばし気味にたくさん流そうとしている恐れはある。

映画「雨が舞う」を見た

2009-08-09 20:53:43 | 映画鑑賞
 映画「雨が舞う」雨絲飛舞~金爪石残照~を見てきた。台湾の台北市そばにある金爪石という名の金鉱山に日本植民地時代に暮らした日本、台湾の人々の証言で構成されたドキュメンタリー。1930年代に最盛期を迎え、金鉱石は基隆から船で大分の佐賀関の製錬場に運ばれたという。日本が戦争を遂行するための金を供給し続け、戦後は国民党政権によって接収されたが、1987年に環境問題から閉山となった。
 映画「非情城市」の舞台として有名になり現在は観光客が殺到する九份から山ひとつ越えた近所にある。
 当然といえば当然だが、70、80歳代の台湾の人たちの達者な日本語はすごい。「当時の教育はよかった。立派で優しかった先生が懐かしい」と語る。体制はともあれ、植民地台湾で教鞭を取った人たちの理想を実現しようと台湾人にも暖かく接した真摯な仕事ぶりには頭が下がる。ただ日本鉱山は会社のシステムとして鉱山でのきつい仕事は台湾人にすべて押し付け、日本人は管理部門でおそらく本土よりいい暮らしをしていた。それでも台湾のほかの地域より給料などの条件もよかったので、彼らは金爪石で働き続けたようだ。
 台湾当局は金山周辺のいくつかの施設を保存して博物館化している。行ってみたいなあと思わせる映像だった。車で前を通ったことがあると思う。
 勉強になった。良質のドキュメンタリーだが、最後のほうはいただけない。今になって現地で作られた歌を流すのは結構だが、それを聞いた日本人が涙を流すのはちょっと。画質がわりと荒いのも興味深い。僕が持っているビデオカメラ、ザクティでも撮れそうなレベル。ということは逆に可能性にあふれている、ともいえるのかな。映画を撮ろうとは思わないけど。

 ということで、映画を見た後、昼食はまた南翔饅頭店の福岡の支店にて小籠包を食べた。写真手前の3個が黒豚肉、奥の3個が蟹味噌の小籠包。東坡肉(トンポーロウ)=豚の角煮=と炒飯も。前回「味が落ちた」と書いたが、名誉回復、今回は美味しかった。時間によって味に差が出来るのかなあ。

 東坡肉は日本人向けに癖があまりなくて普通すぎ。やはり杭州の天外天の、素焼きの甕に入った東坡肉が一番だな。でもこれにビール1杯飲んで3000円は高すぎ。

手紙は無理やり書かされた

2009-08-06 11:16:15 | Weblog
 ウルムチ騒乱について、世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長の親族が議長を叱責する手紙を書いたとして、中国当局が手紙を公開したことについて、同会議側が「親族が中国当局に脅されたため」とする見解を出した。
 台湾の中央通信が6日、伝えたところによると、世界ウイグル会議のスポークスマンはボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対して「手紙は親族が自ら望んだ状況下で書かれたものでは断じてない。中国政府が捏造したものか、中国政府によってすでに書かれたものに、脅迫されたかあるいは強制されて無理やり署名させられたものだ」と語った。
 カーディル議長が米国に行ってから、親族はずっと中国政府の監視下に置かれ、2人の息子は刑を受け、娘は軟禁状態だという。

絶妙バーガー

2009-08-05 00:10:17 | 飲食
 「美味しくなかったら返品して代金も返す」としたロッテリアの「絶妙ハンバーガー」の返品率が0.2%だったという。時事通信が4日、配信した。食べてみて気に入らず、半分以上残っていれば、1人1個までに限り、買った当日中に返品を受け付けるという企画が話題だった。7月16日の発売から31日までの約2週間のキャンペーン中にロッテリア側は返品率を1~5%と予測していたらしい。

 ということで、こういうものはすでに食べていたのだ。「返品OK」というのはロッテリア側の味に対する自信の表れ、ということだったが、食べてみると、「絶妙」というほどのことはなく、まあ、こんなもんか、という程度。チーズバーガーのほうが美味しかったかな。バンズパンがあまり美味しくなかった。そうはいってもわざわざ面倒くさい手続きをして返品するほどでもない、ということかな。ロッテリアも「絶妙な味と支持された」などと勘違いしないでほしいなあ。

せんとくん

2009-08-04 23:24:02 | Weblog
会社の同僚が「せんとくんクッキー」をもってきた。デザインが微妙。

色が2種類あるらしい。

あけてみたら、クッキーそのものがせんとくん。微妙。味はただのクッキー。

おそまつ。なむーっ。

新疆手紙

2009-08-03 23:37:45 | Weblog
 世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長の息子と娘ら親族が、母に宛てて「罪」を知らせ反省を促す手紙を出した、と新華社が3日、手紙全文の中国語訳を載せて伝えた。中国当局のマスコミによる宣伝工作の姑息なやり方がうがかえるひとつの例だ。

 手紙は、ママ、ニンハオ(ママ、こんにちは)で始まり、カーディル議長の息子のカハル、娘のジェシェンクリ、弟のマイマイディ(いずれも漢字の音から類推して表記)の連名で書いたと冒頭にある。「党と政府に多くの有利な条件を提供してもらい、あなたは事業に成功したのに、(独立分離活動の)誘惑に駆られ監獄に入り、その後、寛容なる政府によって米国に出国した。米国に行く前、一切の分裂活動に参加しない、と宣誓したのに、あなたはそれに背いた」との非難から始まる。
 一方で、「私たちは穏やかに過ごしたいのに、7月5日の残忍な暴力事件は見たくなかった。あなたが原因となってウルムチでは多くの罪のない各民族の群集が命を失い、店や車を破壊され、各民族の団結と和睦関係が壊された。なぜ? それはあなたによってだ。それでも政府は私たちによく接してくれる。周りの人たちも常々『あなたの母親がやったことで、あなたたちとは関係ない』と言ってくれる。あなたは米国に出て、その後の新疆の変化を知らない。今は生活が向上し、努力と勤勉のおかげで各民族に何の差別もなく、多くの金持ちが生まれ、高いビルが建っている。政府がいろいろな優遇政策をしてくれるおかげだ。あなたには、新疆の各民族の安定を壊すことなく、他国の挑発に乗ることなく、各民族にもう二度と罵られることのない人になってもらいたい」と綴られている。

 またウルムチでの暴動での被害者に謝罪する手紙を出したことも伝えられた。この手紙には、6月26日の広東省の玩具工場での衝突事件について、カーディル議長がホームページに捏造した写真を載せ、死者が2人なのに50人死亡したとデマを流した、とし、また7月5日の動乱の6時間前にカーディル議長から電話があり「大事件が起こるだろう」と言われた、と書かれている。事件は母親と世界ウイグル会議に責任があり罰せられるべきだ、と断定している。

 いずれも息子らのほか、カーディル議長の孫、姉、息子の嫁など親族12人の署名をつけて7月24日にウルムチで書かれたとされている。

 これをそのまま受け取る読者がどれだけいるのだろうか。「差別」があったから多くのウイグル族がデモに参加したわけで、貧富の差が大きくなっているのも、これまでの報道を見ても明らかだ。一部は故郷を離れ遠く広東省まで出稼ぎしなければならず、その結果、玩具工場での漢民族との衝突事件が発生した。
 この「手紙」が出たことで、カーディル議長の親族ら関係者は事実上の軟禁状態に置かれていることが容易に想像できる。命と、あるいは生活と引き換えに、この手紙を書いたことにして署名を書かされたのだろう。こんなことがかえって逆効果なのは明らかなのだが、無知な中国人民はこれを読んで残された親族に同情して、カーディル議長への怒りをあらわにするのだろうか。

言論の自由とチベット語人民日報

2009-08-02 11:23:35 | 中国旅行
 中国共産党のニューリーダーの一人、広東省トップの汪洋・共産党省委書記は30日、「中国には言論の自由がある」と発言した。胡錦濤国家主席兼総書記の一派に連なる共産主義青年団出身で、叔父に汪道涵・元上海市長をもつ、「太子(プリンス)党」と呼ばれる2世グループ。中央政治局委員である汪書記の「言論の自由」観が垣間見られて興味深い。
 31日付の広州日報によると、30日、広州市内で行われた外国記者との会見で、ドイツ誌記者が「中国で腐敗が起きる原因は、中国政治に言論の自由が乏しいからではないか」と質問したのに対し汪書記は「中国の憲法に、中国公民は言論の自由を有すと明確に規定されており、従来、言論の自由がないというわけではない。今日、われわれは十分に平等であり、率直にここで交流できており、これはすなわち言論の自由の表現だ。記者のみなさんが言論の自由のある国家というのは、政府の内閣が頻繁に代わり、議会がバタバタする国だろう。もしこのような“言論の自由”が13億の人口を抱える中国で発生したら、耐えられないことになる。文化大革命期間中、“大鳴、大放、大字報、大弁論”の言論の自由を許した結果、多くの人々の基本的人権が尊重されず、国民経済が崩壊しかねない状況になった。それぞれの国家には言論の自由についてそれぞれ異なった標準があり、われわれは自分たちの標準を他人に押し付ける気はなく、またあなた方も我々にその標準を押し付けてほしくない」。長いがこのような発言だったらしい。
 汪書記のように、中国人が言論の自由というと、何でも好き勝手に話す事だと思っているらしい。我々の感覚で言論の自由とは、意見を発する権利を守ること、またその言論で人を傷つけることのないよう発言の内容を吟味する機関があること、政府にコントロールされない独立した報道機関を持つなどを含むと思うが。

言論の自由と、中国の宣伝工作に関連して8月1日に人民日報がチベット語版を出した。全4ページで毎日発行、チベットほか四川省、青海省などで無料配布するらしい。だいたい、共産党バリバリの指導が書かれた新聞を、仮にもチベット語で書かれていたからと言ってチベット人が読むだろうか。中国人(漢民族)の発想の貧困さを今更ながら実感する。とりあえず、そういうものを出しておけば、俺達的にはノルマ達成という程度の考えなのだろう。民族問題を根本的に解決させようなどとは考えていないのだろう。チベット語なので、何が書いてあるかさっぱりわからないが、1面腹のカラー写真を見ると、兵隊が五星紅旗(中国国旗)を振っており、寒気さえ覚える。