Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

中国人権で人民日報論文

2012-01-29 22:03:39 | 時事
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」が報告書で中国の人権状況を避難したことを受け、人民日報は29日付2面の下部分を使って「人権の名を借りた政治化報告で、中国の人権の進歩を否定することはできない」とする「劉傑」名の論文を掲載した。

論文は以下のような内容だ。

 今年は人権攻撃の主な矛先を政治上の問題に置き、中国政府が正常に維持してきた社会の安定、国家安全保障、国連安保理常任理事国としての正常な投票行動などを攻撃目標としている。人権報告ではなく、人権に名を借りた政治報告だ。
 報告では、西側国家に沿って公然と中国に圧力をかけている。「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は自らを一つの政治組織として、人権上の政治目的を実現させようと謀っている。
 近年、中国の人権の進歩は広く知られており、世界でもっとも良好な経済発展に伴い、人権状況も歴史上最良の時期となっている。中国はすでに国情にあった人権発展の道を歩んでいる。報告はこれらを認めず、「推測」や「伝聞」、「想像」によって、この1年の「事実」をねじ曲げている。
 冷戦終結後、西側が自らの政治制度への優越感や、異なる政治制度への偏見が見受けられ、西側の政治制度が唯一の合理的な普遍的な価値だと思いこんでいる。報告は「中国崩壊論」までほのめかし、経済では崩壊を望めない中国を、人権という政治的な武器で内部から崩壊させようとしている。報告で「アラブの春」が「中国政府を不安に陥れている」とするのがまさにそれだ。
 中国は政治制度と経済において大きな収穫を得た。「北京共識(コンセンサス)」は、中国モデルがより多くの国々の発展の参考になる、との考えを示している。中国は自省と自覚を持って、人権領域で足りない部分についてさらに改善させ、そのために批評や意見を受け入れたい。もし13億人の中国人民の社会制度に、政治民主や思想自由、権利保障がないなら、どうして、たった30年でこれだけの発展を導き、未曽有の経済奇跡を達成できただろうか。

現状での、中国当局の人権問題に対する考え方を示しているとみていい。経済が発展すれば人権も発展するというノー天気な発想こそが、今の中国の最高指導部の考えなのだ。「金さえ稼げば文句はあるまい」ということだ。

この論文には、四川省の自治州で自殺者や、当局からの発砲で死亡しているチベット族の動きなど、少数民族の人権問題には全く触れていない。おそらく人権問題ではなく「独立か、自治か」の内政問題である、として抗議は受け付けないだろう。
それは来月米国を訪問する次期最高指導者、習近平への風当たりを意識しているのだろう。
大統領選を控えたオバマ大統領は、米国内の反中派をなだめて票獲得を謀るためにも、中国に対して「チベット」や「人権」カードを切らなければならない。オバマ習会談で「人権」を持ち出すのは想像に難くない。この論文は、中国の人権に対する公式見解を示すとともに、習近平が余計なことを言わなくても、この論文を上なぞりすれば、弁解になるだろう、という指南書なのだろう。

元高雄県長馬政権入閣

2012-01-29 17:44:10 | 時事

台湾総統選挙で民進党の蔡英文候補が国民党の馬総統が敗れたのは、民進党の地盤である南部で十分な票が取れなかったと以前書いた。特に2010年の市長選で、高雄市と高雄県が合併して民進党は候補統一に失敗、高雄県長だった楊秋興候補が獲得した41万票分が、12年の総統選では国民党に流れたのでは、と書いた。

台湾のメディアは29日、この楊秋興氏が行政院政務委員になる、と報じた。政務委員とは無任所の大臣の扱いであり、事実上の入閣、ということだ。記事を読んでみると、今回の選挙で楊氏は、馬総統の政治理念に賛同し、馬陣営を応援したらしい。その結果の高雄市での馬陣営の得票だ。楊氏の馬陣営応援を僕は知らなかったが、計ったような得票にはびっくりだ。馬英九総統は今回の選挙での「功績大」と評価し、入閣となったのだろう。

ところで、楊氏は高雄市長選落選後、日本の高知の大学で博士課程の研究中だとのこと。かつて五星級県長と評価されたこともあった有用な人材を、民進党は、高雄市長選では邪険に扱い、結果として国民党に寝返らせて総統選で痛い目にあった、ということだろう。

大陸人マナー香港人罵倒

2012-01-27 11:52:29 | 時事
タイバーツの暴落に始まるアジア通貨危機を、中国の資金援助でしのいだ香港。リーマンショックで米をはじめ世界各国が景気低迷するなか、独り勝ちの中国の恩恵でなんとか生きながらえているが、香港市民権を得るため妊婦が香港に殺到して、香港市民が出産したくても病院予約が取れにくくなっている実態や、香港ディズニーランドで子供に立ち小便させたり上半身裸で闊歩されたり、大陸からの有無を言わさぬマナーの悪さに我慢ならないようだ。

こんななか、香港の地下鉄内で子供に飲食をさせ、香港人に「マナー違反だ」と注意され、逆ギレした大陸の観光客の様子がネットに流れた。香港人も甲高い声で広東語で大陸親子をののしり、最後には男性がなだめ、その場はおさまったようだが、これを見た香港人、大陸人ともに醜いネット上の争いが続いている。


このうち、孔子の73代目直系子孫を名乗る北京大の孔慶東教授が、この事案に触れ「香港人は、英植民地時代を引きずる西洋の犬だ」と暴言を吐き、問題になっている。

確かに、英国植民地時代の香港では英語と広東語が公用語になっていた。最初に香港を訪れた80年代には、共通中国語(国語=普通話)がほとんど通じず、筆談混じりで意思疎通をしたものだ。これは中国からの文化侵略を恐れた英国が、わざわざ広東語を公用語にしたとされ、香港人は広東語を話すことで大陸の中国人とは違う、と優越感に浸る精神があるようだ。孔教授の話には一定の理屈はあるが、言い方が悪すぎる。

「私は香港人であり、中国人ではない」という考え方が、今の香港で広まりつつあるようだ。
97年の香港返還を前に、96年のアトランタ夏季五輪で、英植民地・香港として最初で最後の金メダルが、ウインドサーフィンの李麗珊(リー・ライシャン)によってもたらされた。このときの香港での大騒ぎは、香港人アイデンティティーの高揚感がピークとなったようだった。返還を前に「共産主義・中国に飲み込まれてしまう」との恐怖からか、ことさらに香港人アイデンティティーが強調された時期だった。

これがあっという間にひっくり返る。同年9月の尖閣諸島問題勃発だ。万年落選議員の保釣(釣魚台防衛)活動家の陳毓祥(デビッド・チャン)は、船を仕立てて、泳いで尖閣諸島上陸を企て、船から海中に下りるさいにロープに足が絡まり、甲板に頭を強く打ち付け死亡した。香港では「保釣英雄」として追悼式典が開かれ、中国国内でも「烈士」として評価されたことで、「中国とは違う」という香港人アイデンティティーは急速に衰え、尖閣諸島の領有権を訴えることで「我々は中国人だ」との考えが広まり強まった。

その時以来の香港人アイデンティティーの勃興は注目していい。香港が中国にハンドオーバーしてからすでに15年。中国と大陸人のイヤなところをいくつも見てきた香港人は、いよいよ、自分たちと大陸人を差別化して、突き放そうとしている。
そのような動きにタイして、孔慶東のような大陸の「知識人」は理解を示すどころか、口汚くののしって、文化程度の低さを露呈させている。

「1国2制度」の原則下で民主的で自由な社会、経済運営を補償されているはずの香港で、中国からの圧力が日に日に高まってきて、香港人も嫌気が指すほどになっている。大陸側がこの対応を誤れば、話は香港だけでない。
香港が西洋文化の影響を受けて、中華思想とは一線を介しているとするなら、台湾は50年間の日本植民地時代に日本文化の影響をもろに受けて、これまた大陸が考える「中国人」のアイデンティティーと違ったものを持っている。
これらを理解しないで、「同じ中華民族、同胞ではないか」との価値観を押しつける中国は、現在では、金もうけさえできればいいだろう、資金援助さえすればついてくるだろう、と相手の文化やマナーを理解しないで拝金主義のみを唯一と考えて、その価値観をごり押ししている。
一方で、ひとたび吸収してしまったら、相手を尊重することなく、中華思想剥き出しで干渉してくるとして、香港・台湾に大きな警戒感を与えているはずだ。

台湾の総統選もこの拝金主義が台湾人アイデンティティーを押しのける形になったが、いつまで続くのだろうか。孔慶東(彼は悪名高き「孔子平和賞」の選考委員でもある)の醜さばかり強調される報道だが、それを受けた香港、台湾の反応がどうなるのかも興味深い。

蔡英文敗因分析

2012-01-16 06:49:28 | 時事
14日投開票された台湾総統選で、民進党の蔡英文候補は、台湾全域で伸び悩んだのが敗因のようだ。特に有権者が最も多く、国民党支持が強い北部で、2年前の5市長選のときを上回るような追い上げが今回は見られなかったこと。それから民進党の地盤である南部でも、そこそこ大勝したが、他の地域で負けた分を補うほどの圧倒的な大量得票に至らず、逆に国民党がそこそこ健闘したことで、全体として票の上積みが国民党の馬英九の票数に届かなかったということのようだ。

台湾紙「聨合報」のサイトに掲載された選挙データによると、有権者数が最大の新北市で、1007551票。国民党の馬英九・呉敦義ペアは1245673票。もちろん外省人比率が高く、国民党支持者の多い北部の大都市では国民党が強いのだが、国民党の大票田で勝つか接戦にならなければ当選の可能性は低い。

2010年11月の5大市長選で蔡英文主席が新北市長に出馬した際の得票数は1004900票。対する当選した国民党の朱立倫候補(市長)は1115536票だった。国民党のほうがこの2年間の票数の伸びは大きい。2年前に追い上げたときは、蔡英文は市長に当選してしまうと、市長任期途中で辞職し総統選に出馬しなければならず、無責任と批判を受ける恐れがあることから、かえって僅差で落選して党勢拡大に努めるほうがよかった、と書いた。2年間で国民党を脅かすまでの得票は得られず伸び悩んだ。

また、民進党の大票田で支持基盤である南部の最大都市、高雄市では蔡蘇ペアが883158票、馬呉ペアが730461票。同様に2年前の高雄市長選と比較すると、陳菊女史の821089票に対して国民党候補は319171票。市長選のときには、ダブルスコアで圧勝だ、民進党はすごい、と喜んでいたのだろうが、このときは高雄市が高雄県を吸収して1人の首長を選ぶ選挙だったため、高雄県長だった楊秋興氏が民進党を離党して無所属で立候補、414950票を獲得した。

単純な足し算ではないだろうが、高雄市では今回の総統選で、2年前の国民党候補が獲得した票に加えて楊秋興氏が獲得した票も失った計算だ。単純に民進党票と考えるなら82万プラス41万の123万票が出なければいけないのだろうが、楊氏票は国民党が奪ってしまったと考えられるのではないか。高雄は台湾最大の貿易港を持つ工業都市で、中国との経済的結びつきも強い。中国とのビジネスを考慮に入れ、本来支持していた民進党を嫌って「独立よりメシ」と、国民党に投票した人が少なくなかったと考えられないだろうか。かつて民進党の母体を作った美麗島事件が発生した高雄だが、今回、民進党はその聖地で目いっぱいの得票が出来ず、結果として涙をのんだ。

市県別に見ると、国民党の16勝7敗で、人口比はあるにしても、国民党の勝ちだ。民進党は、人口の多い台北、新北で国民党に勝ち越せないまでも、その地盤を揺るがす高得票をした上で、台南、高雄など地盤の南部での大量得票でその差分を埋め合わせ、結果として総得票で上回らなければ勝てない選挙だった。その肝心の南部票がそこそこの勝利で、苦手な選挙区の負け分を埋め合わせるほどの大量得票にならなかった。

台湾総統選中国反応

2012-01-15 09:51:04 | 時事
14日投開票された台湾総統選で、国民党の現職、馬英九総統が再選を決めた。中国との関係改善とそれに伴う経済回復、両岸の緊張緩和と政治的安定を有権者が求めた結果だろう。民進党の蔡英文主席はそれなりに票を伸ばして健闘したが、現職の壁を覆すまでには行かなかった。


中国側は14日当日の20時45分付で人民日報のサイトに論評を掲載。「台湾人民の決定的選択」と題した「谷雨」名の論文で、中国当局が台湾独立派の蔡主席ではなく、中国との現在の関係を継続してくれる馬総統が再選されたことへの安堵感が示されている。(翌15日の人民日報4面右端に「台湾地区両項選挙述評」と題して掲載された)
「谷雨」はもちろんペンネームだが、この意味は二十四節気の一つで、春の最後の一段で、雪が消え、霜が消え、寒さが終わり、暖かな春が来る、との意味があるという。中国側の思いをうかがえるペンネームだ。

論文の内容は:

 馬英九の当選は、台湾人民の選択であり、平和、発展、安定を求める台湾の主流の民意だ。中台両岸関係の更なる発展を進め、両岸同胞の更なる利益を創造する台湾同胞の共通の願いとなる。
良好な政治経済環境と持続的な経済発展は、両岸関係の安定と切り離すことは出来ない。その安定とは「九二共識(92年コンセンサス)」という交渉の前提に基づいている。この3年間、中台両岸は、まさにこの「九二共識」の基礎のもと、平等な貿易交渉や三通の実現を果たし、両岸の人々の交流は拡大し、経済関係が正常になり協調体制が整った。
 これらの利益は台湾人の心の中に「九二共識」の重要性を深く刻み込むことになり、今回の選挙では、自らの未来をかんがみて投票にいたった結果が、馬総統の当選となった。国民党の連戦・名誉主席のいう「今回の選挙で両岸の平和、経済発展を犠牲にすることは出来ない」。現在、選挙結果は多くの人々の願いに合致したということだ。民進党の蔡英文主席が選挙前に言ったいわゆる「台湾共識」などというものは、もし本当に「台湾共識」などというものがあるとするならば、「九二共識」こそが「台湾共識」なのだ、ということだ。
 きょう、台湾民衆は選挙をへて、新たな歴史の1ページを描きあげた。

と、中国共産党政権と台湾の馬総統以降の国民党政権が交渉するに当たっての前提条件となる「中国は一つ」(中国側)、「中国は一つ、中国の解釈はそれぞれにまかせる=一中各表」(台湾側)という「九二共識」を、台湾の有権者が選択した、との考え方に基づき、従来の中台交渉を引き続き進める考えを示している。
また、中国共産党中央の台湾弁公室と国務院(政府)の台湾弁公室は14日22時29分、新華社を通じて、「台湾地区2項選挙結果へのスポークスマンの談話」を発表した。

 われわれは台湾地区の指導者と民意代表選挙の結果に注意を払ってきた。過去4年の事実をに対して、中台両岸の平和的発展は正確な道であり、多くの台湾同胞が支持していると、再度表明したものになった。われわれは台湾社会の安定と人民生活の幸福を願っており、引き続き台湾独立に反対し、九二共識堅持という共同の基礎のもと、両岸関係の一層の平和的発展の新局面と、中華民族の偉大なる復興へ力を尽くしていきたい。

中国側は台湾側の解釈に暗黙の了解をしつつも問題がある九二共識を唯一無二の台湾との交渉の前提条件として堅持し、台湾とさらに接近して関係改善、将来の統一をにらんだ経済的影響力を果たしていこうとしているようだ。香港返還の際の「一国二制度、港人治港、50年不変」と同じような意味合いをもつものになるだろう。

馬英九総統再選

2012-01-14 21:24:26 | 時事
台湾総統選挙の結果は、国民党の現職、馬英九総統が再選する運びになった。

得票率は馬英九・呉敦義陣営51.5% 民進党の蔡英文・蘇嘉全陣営45.7%、親民党の宋楚瑜・林瑞雄陣営2.8%という傾向だった。思ったより宋楚瑜の票が伸びなかったようだ。二桁はいくのでは、とも思ったのだが。これで政界引退となるのだろうか。「棄宋保馬」が進んだことで、馬英九の票が逃げなかったのが勝利の要因だろうか。

蔡英文は敗北の責任を取って民進党主席を辞すると表明した。前回総統選で民進党の謝長廷・総統候補が取った票数をはるかに上回ったようだが、潔く身を引くようだ。陳水扁が逮捕、有罪判決を受けて低迷した党勢をここまで回復させ、内外情勢が前回とは違ったとはいえども、前回の謝長廷より大幅に得票を伸ばした蔡英文の功績は小さくないだろう。このまま党主席を退かせるのは惜しい感じもする。
次に誰が党主席になるのか。絶大なリーダーシップを持つような人材がいるとは思えず、次の4年間でまたゼロから新しい党主席=総統候補を有権者に浸透させるには大変な労力が必要なのではないか。万年野党への道を歩んでしまうのではないか、との危惧がある。

ダブル選で行われた立法院委員(国会議員)選挙は、最終的には国民党64議席、民進党40議席、親民党3議席、その他5議席、無所属1議席となった。国民党が過半数を獲得し、総統選と合わせて完勝。第2次馬英九政権は順風満帆な船出となるのか。
少なくとも対中政策は今後も持ちつ持たれつでいくのだろう。経済依存度も増していくのだろう。有権者は台湾アイデンティティーより、経済をとったということか。

選挙分析はデータが出てから後日。

Google中国復帰か

2012-01-13 07:25:42 | 時事
米検索サイト最大手のGoogle(グーグル)は、中国当局が求める一部情報の非表示や事前検閲制度を受け入れず、中国側との交渉が決裂、2010年3月に中国市場から撤退し、中国事業を香港に移していたが、2年が経過し、中国市場に復帰すると発表した。台湾紙の工商時報が報じた。

報道によると、グーグルのアジア太平洋地区のダニエル・アレグレ総裁は、グーグルは中国で多くの技術者や事務職、経理を雇用する計画で、特にアンドロイド・マーケットを中国で推し進めたいとの希望を持っているという。おそらく中国移動(中国移動通信、チャイナ・モバイル=中国最大の移動体通信事業者)か中聯(中国聯合通信、チャイナユニコム=中国の巨大通信事業者にして携帯電話サービス)と組んで、無線通信事業を進めたいと考えている、と報じている。

工商時報が引用するウオールストリートジャーナルの中国語版には、中国の60%のスマートフォンやタブレットPCはグーグルのアンドロイドをOSとしているが、アンドロイド・マーケットは中国に進出していないため、グーグルは中国でネット商店を展開するに当たり、まず中国側による厳格な審査を受ける必要がある、と書かれているという。

グーグルが中国から撤退したことで、グーグルの中国での検索シェアは09年第四四半期の36%から11年第三四半期では17.2%と激減、ほとんどは中国国産ネット検索の「百度」に奪われ最大の恩恵者になった、としている。

グーグルの2010年の利益は400億米ドルだが、中国市場はその2%にも満たない、としている。

グーグルまでもがついに、世界で一人勝ちの中国市場の軍門に下ってしまったということか。当時、中国国内の民主活動家らに、検閲を受けないとして最も信頼されていたgmailが、ハッキングを受けるなどしてプライバシーを守りきれず、撤退を決めた経緯がある。検索やメールなどの事業はどうなるか知らないが、検閲や検索内容への干渉を受けないように、当初の考えは貫いてほしいとは思うが、この辺については報道では触れられていないようだ。

李遠哲博士は蔡支持

2012-01-12 23:38:12 | 時事
台湾総統選まであと2日。前回のブログで支持表明の行方を指摘していた李遠哲博士が、ついに口を開いた。

台湾からの報道によると、台湾のノーベル化学賞受賞者で前中央研究院長の李遠哲博士は12日午後8時40分、民進党が台中市で開いた演説会の舞台に上がり、初めて公の舞台で蔡英文候補支持を表明した。

報道によると、李博士は、最近日本メディアは日本の指導者を検討するに当たり、最後には決断力があるか、責任感があるか、協調性があるか、の能力を条件として提起している、との報道を引用し、現在アジアの指導者の中では、蔡英文のみがこの条件を持っている、と発言した。

さらに、蔡英文主席が陳水扁総統の時代の行政院副院長(副首相)だったとき、IT企業に不正な融資をする手助けをしたほか、その企業の役員に納まった、と国民党側が攻撃し蔡主席のイメージダウンを狙う選挙運動を進めていることについても触れ、「汚職などではなく、行政院の生産技術産業への成功事例だ。信じられないのなら数年後の発展を見てほしい」と弁護したという。

前日には李登輝元総統も蔡支持の新聞広告を台湾閣有力紙に掲載しており、国民党の馬英九総統陣営との争いは激化している。民進党主席ゆえ、独立色の濃い李登輝元総統らの支持を得ているが、マイナスイメージにはならないだろうか。すでに「老害」と取られても仕方がないほど権威が失墜した李登輝元総統だが、自らが提起した「二国論」のそもそもの起草者ともいわれる蔡英文主席を応援するのは当たり前。むしろ中間派にドン引き惹されるのではないか、とも危惧する。そのため、李前総統の支持表明が変な風に解釈されて票を失うのは困る、と李遠哲博士は直ちに蔡主席への支持を表明したのではないか。

台湾総統選もうすぐ

2012-01-05 02:23:36 | 時事
14日投開票の台湾総統選も、予定された3回ずつの正副総統候補によるテレビ公開討論会も終わり、3回目の総統討論会では、やはり中国との問題がクローズアップされたようだ。経済問題も大きな争点だが、やはり最大争点は、中国は一つ、との前提で中台交渉を進める国民党が主張する「92コンセンサス(九二共識)」をとるか、独立派の民進党候補の蔡英文・党主席が主張する、台湾の現状を踏まえて台湾全体の民意を尊重すべきだ、という「台湾コンセンサス(共識)」をとるのか、外国人も興味深い争点になっている。
台湾各メディアは世論調査の結果を公表している。

外省人の比率が高く、国民党に好意的な報道をする聯合報系列や、もともと香港の媒体だったリンゴ日報は国民党の現職総統、馬英九候補が優位とする、わりと離れた数字を出しているが、国民党寄りと見られている中国時報の数字が競っているのは興味深い。民進党に好意的な自由時報は思ったとおり、とても競った数字を出している。20%前後が世論調査に対して態度未確定としているうえ、外省人が多いマスコミの報道でもこれだけ競っていることから、実際はもっと拮抗しているというのが台湾での見方だという。

投開票直前になって、中国に進出している大手企業が相次いで馬英九支持を打ち出している。海運・航空大手、長栄集団(エバー・グリーン・グループ)の張栄発総裁は3日、民進党の蔡主席の表敬を昨年中に拒否した、と明らかにした、との報道が伝わってきた。昨年のうちに明らかにすればいいのに、投開票直前になって、このようなアナウンス効果抜群の情報を出すのは、長栄側の意図だけでなく、台湾マスコミの思惑もあるだろう。張総裁はこれまで選挙関係の発言を控えてきたが、3日のマスコミ各社との懇談で、馬英九総統らが掲げる92コンセンサスを支持、台湾が安定を保てるのは、中国との関係改善が大きい、として、蔡主席が主張する台湾コンセンサスを批判したという。

陳水扁が初当選した2000年の総統選挙のとき、投開票日前日に、台湾知識人の中でもっとも尊敬されているノーベル化学賞受賞者、李遠哲博士が陳支持を表明、有権者が雪崩を打って陳投票を決めた、との分析もある。張総裁の発言が選挙結果にどう影響するか見ものだ。今回も李博士は直前になって蔡支持を表明したりするのだろうか。

ただ、中国に進出する大手企業は、得てして低所得者層に冷たい、と見られており、反動で民進党の蔡英文支持が増える可能性もある。中国問題を経済の分野だけでとらえるとしても、最終的には中国経済に飲み込まれてしまうのではないか、中国がくしゃみをすると台湾は風邪を引く、中国が風邪を引くと、台湾は肺炎になってしまう、と警鐘を鳴らす人は少なくない。台湾は中国経済への依存度を高めるべきではなく、ベトナムやタイ、フィリピンなどにリスク回避すべきだ、とは李登輝氏が総統時代に指摘していたことだ。僕もそう思う。

中国側はそんな台湾の雰囲気をつかめきれず、中台が密接ならば馬英九に有利だろう、とおせっかいを焼き、台湾へのさまざまな優遇政策を打ち出している。中国のことを嫌いな有権者はそれをうざったく思い、国民党を避ける投票行動も十分考えられる。中国大陸に進出している企業の台湾人従業員に選挙運動するため、国民党の宣伝隊は中国入境を許可するのに、民進党関係者は入境出来ないらしい。こういう露骨な選挙妨害、内政干渉も台湾に伝われば、反国民党のトーンが強まるのではないか。
あと10日を切り、台湾情勢は目を離せなくなってきている。