Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

汪洋が政治協商会議主席

2018-01-25 11:34:40 | 時事

新華社が政協の名簿発表。やはり汪洋は前評判通り政協主席内定のようですね。今年も3月4日開幕かな。全人代は5日か。国家副主席に引退?扱いの王岐山が選任されるのかどうか。韓正は筆頭副首相になるんですね。

なんだよ国民党、最初からそうしとけば

2017-05-21 19:53:44 | 時事
台湾の最大野党、中国国民党の主席選挙が20日あり、馬英九総統のときの副総統で行政院長や高雄市長を歴任した本省人の呉敦義が過半数の得票を得て当選したという。候補者は6人と国民党主席選挙史上最多とのこと。8月20日に就任し任期は4年。



国民党は馬英九政権が、末期に、学生運動の処理をあやまり、中国大陸の共産党政権とベッタリしすぎて経済政策で大陸一辺倒となり、学生らの就職難を招き、学生らが立法院を占拠したひまわり運動を招き、政権を独立志向の民進党に渡していた。

党内の混乱を収拾するため、馬総統は国民党主席を退き、2015年1月、若手のホープ新北市長の朱立倫が主席に就任し、バタバタの手続きで16年の総統選挙での国民党の総統候補となったが、民進党の蔡英文に惨敗、国民党主席の職を辞し、完全野党となったあとは、呉敦義ら重鎮らはいずれも党主席選挙立候補を避け、総統候補で引きずり下ろされていた副主席の洪秀柱が党主席選挙の資格を得て、主席となった。共産党との統一志向がかなり強い洪だったが、他に候補がおらず、国民党の求心力の急速な低下は避けられなかった。

今回、有権者47万6147人中、投票者数27万6423人で、呉敦義が14万4408票で得票率52.24%、次点の洪秀柱5万3063票19.2%▽郝龍斌4万4301票16.03%▽韓国瑜1万6141票5.84%・・・以下省略、と、圧倒的な得票で、最初から主席選挙に出てればよかったジャン、とも思える。

ただ、外省人の洪と違って、本省人の呉敦義は台湾本土派の感覚の強い高雄市長を務め、大陸の共産党との共同歩調をとるのはちょっと難しいのではないか。洪が統一に向けて突っ走ろうとして支持率を失う中で、老骨に鞭打ち、党勢の退潮を阻止しようというのはわかるが、あまりに混迷しすぎ。

で、台湾の自由時報の報道によると、中国側トップの習近平が共産党中央委員会総書記の身分で呉敦義氏の党主席当選に祝電を送ったという。


自由時報によると、1988年7月の国民党第13回党大会で当時の趙紫陽総書記が李登輝党主席に祝電を送って以来、96年にミサイル演習などで中台関係が緊張した中でも江沢民は97年8月、李登輝に祝電を送っているという。ただ、このときは「総書記から党主席へ」ではなく、「中共中央委員会から国民党中央委員会へ」となっており、李登輝の独立色を警戒した様子がうかがえたという。その後、外省人で中国と関係がよい連戦が2001年に党主席に当選すると、江沢民は連戦の名前を入れて送ったという。
で馬が2005年に当選すると、当時の胡錦涛は馬に「先生」の呼称をつけて送ったという。その後、朱立倫のときも同様だったが、女性党首となった洪のときはもちろんミスターにあたる「先生」は使わず、あなた、Youの敬称に当たる「您」になったという。

で、今回の呉敦義は「先生」は復活したが、敬称の「您」ではない「你」を使っているという。中国側が本省人で統一志向の薄い呉敦義を軽く見ているのかどうか、民進党に近い自由時報は、「なんか連想させる」というふうに記事を締めくくっている。

選挙結果に対して、国民党の中でもやはり統一志向の薄く、馬英九の政敵で馬から陥れられてぎりぎりで失脚を免れていた王金平・前立法院長は呉敦儀に対して、求めがあれば国民党の改造のために協力する、と述べたという。国民党も馬政権時代の中国一辺倒からかなり距離を置いたものになる可能性があるようだ。

ウナギ密輸NHK力作

2016-12-26 13:22:24 | 時事
先日、NHKのクローズアップ現代で放映した、台湾のウナギの稚魚を中国大陸、香港経由で密輸入している事案。台湾ではウナギの稚魚の海外輸出禁止の法律ができたが、その裏をかいてヤミで中国大陸を経由して日本などに送られてきているという。



身近な問題だが、いろいろと考えさせられた。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3901/1.html

台湾のウナギの稚魚は台湾が実効支配する金門島から、たった4キロしか離れていない福建省(たぶん厦門)に持ち込まれて、そこから香港に運ばれて香港の業者にわたり、表向き違法性がなくなった稚魚が日本などに送られる「ウナギロンダリング」が行われているということ。

そもそも金門島と厦門の交易は、中台断絶時代にヤミで行われていた交流が、その後「小三通」として日の目を見て合法となり、いまでは大っぴらに行われているもの。馬英九政権時代の中台蜜月が、一方でこのような非合法な密輸を生み出しているのも興味深い。番組ではNHKのスタッフがウナギの稚魚に似せた疑似餌をビニール袋に入れて持ち込み、何のチェックもなかったことも報告された。単なる伝聞で紹介する新聞記事などと比べ、実際に手を下してリアリティーを高めた番組構成だ。時間と金があるといえばそれまでだが。

結局、土用の丑の日にウナギの需要が高まる日本では、日本産の稚が魚が成長するのを待っては土用の丑の日に間に合わないので、それより早く成長する台湾のウナギの稚魚を一気に受け入れざるを得ない、という事情もあるらしい。

土用の丑の日にウナギを食べる、というあまり科学的でない習慣が、業者らによってひろめれ、日本人はこの日に合わせてウナギを食べなければ、と強制されるような気持ちになり、消費が増える。自分としては安い時に早めに入手して冷凍しておいて、土用の丑の日前後に食べるようにしているが、業者に踊らされない消費行動が必要なのだろう。

遼寧省いじめ

2016-10-02 01:02:34 | 時事
遼寧省の全人代(全国人民代表大会)代表が買収による選挙違反を指摘されて大量に資格を失ったり、遼寧省の企業が北朝鮮企業との不正常な取り引きを指摘されたり、遼寧省の失態が表ざたになっている。権力闘争の反映のような気がする。李克強総理の立場を危うくしようと外堀を埋めようとしているのでと勘ぐってしまう。

台湾南部地震 一斗缶

2016-02-09 02:55:17 | 時事
台湾南部の台南、高雄を襲ったM6.4の地震。死者38人が確認され、100人規模が依然行方不明で予断を許さない。
ただ、日本のメディアには現れているが、倒壊、多くの犠牲者を出した台南市永康区の16階建てビルは、鉄骨の代わりにつながっていない空洞の一斗缶が多く見つかり、違法建築ではないか、との声が出ている。

台湾メディアを検索してみても、現段階では人命救助最優先で、原因関係や責任の追及はその後になるようで、あまり多くの紙面を割いた報道はされていない。

一斗缶について、99年9月21日に台湾中部を震源に、M7.6の地震が発生、2400人が犠牲になった集集大地震のときも、見受けられた。
社命で発生当日の午前便で台湾に飛び、正午過ぎには台北に着き、その日のうちに台中県の被災地で取材した。このときににも救助の指揮に当たった消防隊員は「違法建築の疑いがある」と話してくれた。


その後、台湾メディアが鉄骨の代わりに空の一斗缶が使われて容易に崩れる、と指摘していたが、今回もまったく同じような構造のビルのみが被害を受けているようだ。映像で見る限りは、この十六階建てのビルの周りはそれほどダメージを受けておらず、また、この程度の震度でこれだけ多くの犠牲者を生むのはj考えにくく、「人災」の文字がちらつく。

おそらく日本だったら、違法建築の責任者を追及して全国に同様事案はないかどうか調査を始めるだろう。耐震偽装やくい打ち不正以後に日本政府の肝いりで調査したり、原因究明したり。日本人の感覚では当たり前だが、中国では全く、台湾でも16年たっても、当時の被害を教訓とすることもなく、また違法建築を調査、取り締まることもなく、今回の地震を迎えてしまったと言うことか。

99年地震の当時の総統は李登輝、行政院長は蕭万長。国民党政権がこのときの違法建築を徹底して改善しなかった、という責任を負わせられるのか。当時の台南市長はすでに民進党の人間で、その後現在の頼市長まで民進党市長が続いているので、民進党に火の粉が降りかかってくるのか。

写真は99年の地震の際、発生翌日に被災地の埔里に赴いた蕭万長・行政院長。

おりしも台湾総統選を終え、5月20日の蔡英文総統就任式までの政権移行期に起きた今回の地震。民進党があまり露骨に国民党攻撃をすれば、台南の市長の責任も問われるし、国民党を攻撃しても、相手は李登輝だし。李登輝は阪神淡路大震災のときに、日本の村山富市首相の初動が極めて遅かったことを、愛読する日本の週刊誌、月刊誌などで熟知しており、集集地震が発生したときは、自らも含めて直ちに対策を実現に移すなど、迅速な対応が目立ったという。


中国外交部会見で「台湾総統」

2016-02-08 02:02:54 | 時事
2月5日の中国外交部の定例会見で、台湾「総統」という言葉が現れた。極めて異例、と台湾の中央通信が報じた。数日たっても外交部のサイトから消えずに残っている。



中身は:
最近台湾「総統」蔡英文のフェイスブックが、中国大陸からのたくさんのネット攻撃を受けているが、中国政府が裏で糸を引いている、と見るものがいるが、どうか?

という質問で、
外交部の陸スポークスマンは
まず、台湾は中国の一部分だということを指摘しておきたい。主権問題のいくつかの言い方に及ぶが、我々は一つの中国の原則に基づいて処理したいと考えている。質問についてだが、私はそのような証拠を知らない。事実、ネットの安全については日々様々な話が飛び交い、根拠のない言論や評論について、我々がそれら一つ一つに我々が答えたとしても、時間の無駄だ。

というような内容だ。台湾の中央通信はこのような場合は、「台湾地区の指導者」などの表現を使うはずだが、いままで消えずに残っているのは?などと邪推している。
ちなみに台湾の総統はまだ馬英九のはずだし、質問者の間違いだが、それらも正確に言ったままを記録している、という考えなのだろうか? 春節休みに入って、そんなサイトの訂正など大した問題ではない、ということなのか。
いずれにしてもあまり深く考える必要もないような気もするが。

台湾選挙分析記事

2016-01-17 14:48:23 | 時事
16日に投開票された台湾総統選挙と立法委員選挙。野党・民進党の蔡英文候補が新北市長選、先の総統選の敗北を乗り越え3度目の正直で当選した。5月20日の就任式で初の女性総統となる。

同時に実施された立法委員選挙でも民進党が単独過半数を軽々と超え、113議席中68議席を獲得(6割)、台湾憲政史上初の執政党となる。

台湾メディアのまとめをながめてみて気づいたことがいくつか。



蔡主席は得票率56.1%の圧勝とはいえ、2008年の馬英九初当選の時の得票率58.4%には及ばなかった、という声があるが、敗北したとはいえ、4割は取っている(08年は2大政党による一騎撃ちだった)。今回の国民党は3割しか取っておらず、票の失い方はハンパでない。



投票率が下がった。今回の投票率は66.2%と、1996年に民選総統選が開始されてから初めて7割を割ったのだという。前回投票して今回投票に行かなかった人は単純計算すると約150万人。国民党の朱立倫候補は民進党の蔡英文候補に300万票の差をつけられていることから、前回の国民党支持者の多くが今回棄権したとの見方ができるのではないか。すなわち、国民党の王如玄・副総統候補の軍宅転売問題で軍関係者や元軍人の「鉄票」、従来から国民党の支持基盤だった客家が、蔡主席の父親が客家だったことや国民党政権の施政に批判を強めてきたことなどから、棄権を含めた意思表示をした可能性がある。
総統選では客家の多い新竹、苗栗も民進党の得票が上回っている。国民党が従来の支持基盤を地滑り的に失ったと見ることが出来るのではないか。



昨日も書いたが、アイドル歌手周子瑜の国旗問題は、タイミングがあまりにも悪すぎた。緑の十字の中央に台湾島が描かれた民進党の旗をふるならともかく、中華民国・台湾が国旗としている青天白日満地紅旗をふることが台湾独立なら、台湾のあらゆる公共施設が台湾独立を標榜していることになる。中国大陸政権がいちゃもんをつけるように、中国と台湾が同じ土俵で活動する国際的な舞台では、台湾は「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」として、旗も5つの輪と梅の花の「五輪旗」を使うなど十分に譲歩してきた。大陸側は、「台湾は中国の一部」と、「中国台北(チャイナ・タイペイ)」を求めているが、そこまでは譲歩していない。返還以降「中国香港」「中国マカオ」などの表記はすでに使われている。それと同じというニュアンスだ。

中国大陸を主たる活動拠点にしている台湾出身の歌手が青天白日満地紅旗をして「台湾独立」と中国大陸政権に媚びるなら、これは「売国」ともいえる行為なのではないか。

台湾の人々がそう考えても無理はない。黄安はこの発言で台湾から総スカンを食いそうだ。


台湾ダブル選挙 民進党圧勝

2016-01-17 03:08:50 | 時事
16日投開票なった台湾総統選で、前評判通り民進党の蔡英文主席が過半数をはるかに超える得票で圧勝した。中国大陸との接近や経済失政で評判がガタ落ちになった国民党の馬英九総統のしりぬぐいに追われた国民党の朱立倫主席に圧倒的な大差をつけた。


(中国時報のサイトから)

それだけでなく、同時に投開票された立法委員(国会議員)選でも全113議席中民進党が68議席を獲得する歴史的勝利となり、蔡英文政権は安定的に運営される見通しとなった。

選挙分析はともかく、今回の選挙は国民党の失策があちこちに目立ち、国民党は解党的打撃を受けたと見られる。

まず、国民党の総統候補選出のゴタゴタ。先の主要都市市長選で完敗した責任を取って党主席を辞任した馬英九総統の後を受けた党主席となった国民党若手のホープであり切り札の朱立倫・新北市長は当初、総統選への立候補をしないことを表明。呉敦義副総統も、党内実力派の本省人、王金平・立法院長(国会議長)も出馬しないことで、軽量級の洪秀柱・立法院副院長のみが立候補を表明、周囲があれは無理だろうと冷ややかに見る中、党内の正式な手続きをクリヤーして正式に国民党公認候補になってしまった。洪女史は現政権の中国政策を超越するような親中発言を繰り返して、総統選はともかく立法委員選にも不利だと国民党内の不安を招き、結局ウルトラCの党内手続きで嫌がる朱立倫主席を総統候補に引っ張り出さずを得なくなった。

馬英九総統が空気を読めない性格を最大限に見せた習近平・中国共産党総書記兼国家主席とトップ会談したのも逆風だったろう。馬や習はこの会談が国民党にとって有利にはたらくと思い込んでいたのだろうが、若者が立法院議場を選挙した「ひまわり革命」以来、中国に偏りすぎる姿勢はマイナスととらえられることにKYの馬英九は気づいていなかった、というか、自分のことだけを考え、国民党や後継の朱立倫のことなどこれっぽっちもかんがえていなかったのだろう。

副総統候補の汚職問題。朱立倫・国民党総統候補の副総統候補に指名されたのは王如玄女史。戦後国民党とともに台湾に渡った軍人のための住宅「軍宅」を転売して莫大な利益をあげていたとし、批判を受けた。国民党の「鉄票」と言われた軍関係者や元軍人の支持を急速に減らした。

国民党にとってさらに追い打ちをかけたのは、投開票日直前になっておきた「国旗問題」。韓国ガールズユニット「TWICE」メンバーの台湾出身歌手周子瑜が番組の中で中華民国旗(青天白日満地紅旗)を持っていたことに対して、中国大陸で活動する台湾出身歌手黄安が「周は台湾独立運動を支持している」と批判した。中国のファンから批判を受けた周は動画サイトなどでの謝罪に追われたが、今度はこれを見た台湾人が反発。「何もわからない16歳の少女が中国の圧力で屈辱的に頭を下げさせられた」などの意見があふれた。大陸との交流を進める政策を主張している国民党だが、朱立倫候補もフェイスブックで周に優しい言葉をかけて火消しを図ろうとしたようだったが、事件のタイミングが悪すぎた。中国寄りの国民党に大きな逆風となったことは間違いないだろう。

立法委員選挙まで民進党に過半数を取られ、壊滅的大敗となった理由の一つに、この投開票日直前の事件が影響していたのではないか。

まるで陳水扁が二期目総統選投開票日前日の遊説中に狙撃を受けて軽傷を負ったのが追い風になったのに似ているような気がする。

台湾の選挙には、言葉では説明できないような、何かが起きる。

中国と台湾が分断後初のトップ会談

2015-11-04 01:47:46 | 時事
台湾からの報道によると、台湾の馬英九総統と中国の習近平国家主席(共産党総書記)が7日、シンガポールで会談するという。3日夜、台湾総統府の報道官が明らかにした。台湾側は4日に立法院や野党に説明し、大陸委員会が会見するという。馬総統も5日に会見するという。




1月に予定されている台湾総統選挙と立法委員選挙のダブル選挙で劣勢が伝えられる国民党が、この中台トップ会談で勢力を取り戻すことが出来るのでは、と馬総統は考えているのだろうか。また3月までの自身の任期中にレイムダック状態だが、なんとか成果を出して総統を退任しようとでも思っているのだろう。

ただ、国民党は総統選公認候補に決まっていた洪秀柱・立法院副院長が中国との統一を志向し親中的発言を頻発させたことで、党内では「台湾の民意とかけ離れているのでは」との危惧と不安が広がり、ダブル選の立法委員選挙を戦えないとかなりの突き上げがあった。朱立倫・国民党主席は結局、正当な手続きを経て選出されたはずの洪女史を総統選候補から強引に降ろし、臨時的な緊急的な手続きで朱主席自らが新たな総統候補となった。まだ任期が残る新北市長の辞任と総統選立候補、そして(おそらく)敗退は免れないが、それでも立法委員選挙でのなだれを打っての大敗を避けようとした。国民党内のその共通認識は「台湾人民は親中を受け入れていない。選挙に負ける」というもので、人心を得られていない馬総統は1月の次の選挙のことを顧みず、自らの手柄のみのために中台トップ会談を仕掛けたとみられる。党内に亀裂が走るのではないか。あるいは馬総統が党内でまったく相手にされなくなるかもしれない。

台湾からの報道にあるように、両岸平和や経済問題について話し合うだけで、具体的な文書に調印したり連合声明を出すことはないという。中台関係に劇的な変化がみられるような出来事になるとは思えない。

馬総統は昨年の地方首長選挙で大敗した責任をとって国民党主席を辞任しているが、国民党主席でない「中華民国総統」の馬英九に会うということで、習総書記は「中華民国の代表」に会うという理屈になり、事実上「1つの台湾、1つの中国」を認めることにはなりはしないか。国民党が野党時代に、あるいは総統でない国民党主席と中国側のトップは会談しているが、「総統」と「国家主席」が会うのは初めてのはずだ。

習総書記としては、来年、蔡英文民進党主席が総統に当選し政権交代となれば、台湾との対話の可能性はきわめて低くなるため、なりふり構わず馬総統側の提案に乗った、というところだろうか。台湾の人心をあまり把握していない、理解できない中国共産党側とすれば、中台関係が良好になれば、台湾人民は中国に好意的になり、国民党への支持が高まり、ダブル選挙で民進党の大勝に歯止めがかけられるのではないか、と勝手に思っているのではないか。

そうなるか、ならないかは来年1月までのお楽しみだ。




一人っ子政策廃止

2015-11-01 23:59:15 | 時事
中国共産党第十八期五中全会で、1979年以来続いてきた中国の「一人っ子政策」を止め、二人まで産むことが出来ると決定した。
同日公表されたコミュニケ(公報)では、様々な政策の一番最後に2行ほど触れられているに過ぎない。

「計画出産を堅持するのは基本的な国策であり、人口発展戦略を完全なものにするため、一夫婦が2人の子供を産むことができる政策を全面的に実施し、人口の老齢化に積極的に対応する」



その後、新華社などが様々な解説を載せているが、結論として、計画出産が完全に廃止されて、出産が自由化されたわけではないこと▽一人っ子政策が「二人っ子政策」に変わったに過ぎないこと▽2人目の出産に関しては、申請し許可を得てからでないと出来ないこと▽一人っ子政策の廃止は人道的観点からというより、あくまでも高齢化による労働人口の減少に対応するという経済的要因によるということ--などを指摘することが出来る。



2014年に一人っ子同士の夫婦の場合、2人目を認める、という暫定政策が導入されたが、新華社によると、2015年5月末までに全国145万の夫婦が2人目の申請を出し、139万の夫婦で手続きを済ませたという。2014年の出生人口は2013年に比べて47万人増えたという。

ただ、農村などを中心に違法に2人目を出産し戸籍に入ってない、いわゆる「黒孩子」がいることから、人口動態的にはどれくらい影響があるかは不明だ。また、都市部を中心に子供の教育に多くの費用をかけることから、2人目は経済的に無理、一人で十分、という考えが広まっていて、「二人っ子政策」を享受するのはおそらく、あまり経済的に恵まれていない農村部になるのではないか、と予想する。都市部と農村部で貧富の差がますます拡大するとみられる中で、農村人口ばかり増えることで、中国の将来の高齢化への対応にメリットがあるか、といえば、やや悲観的だ。失礼な言い方をすれば、「貧乏人の子だくさん」となれば、教育を受ける機会が都市の豊かな階層に比べれば劣り、不本意な就業に甘んじなければならなくなる。これまで「安価な単純労働力」によって発展してきた中国経済が曲がり角を迎えて減速傾向にあり、ハイテクなど高付加価値の産業育成が待たれる中、経済的観点から見ると優位には思えない。

また、農村戸籍を暫定的に都市戸籍に移す、という政策もとられているが、都市戸籍を得ることで農民工が「虎の子」の土地を奪われてしまうことを避けるため、あまり普及していないと聞く。人口問題を解決するためには、この都市と農村の貧富の差、社会保障の格差を解消しなければ先には進めないと思う。このままでは中国も「中進国のワナ」から抜け出すことは難しいのではないか。



南京大虐殺を世界記憶遺産

2015-11-01 16:36:38 | 時事
ユネスコで南京大虐殺の資料が世界記憶遺産に決まったという。
日本政府は「遺憾。ユネスコへの拠出金停止も考える」と、当時はすごい剣幕だったが、拠出金停止は踏みとどまったようだ。

ユネスコの世界遺産選出を批判して拠出金停止をするなら、日本が選ばれたこれまでの世界遺産への正当性も否定することになるからだ。
南京がだめで、明治日本の産業革命遺産やシベリア抑留が良い、と単純に言うわけには行くまい。

南京大虐殺のどこが遺憾なのか。


好意的に解釈すると、中国側は30万人、日本政府は最大20万人という犠牲者の数が見解の相違ということでまとまっていないことに対して、意見の一致をみてから、世界遺産に申請すべき、ということか。



中国側の立場にたてばそれは無理でしょ。まえも書いたように、南京大虐殺記念館に「300000」とのプレートがあるように、当局として30万人と喧伝していて、それを日本が文句を言ったからと引っ込めるわけにはいかない。
それをすれば、まさに習近平政権が「弱腰」「親日」とレッテルを貼られて、政権維持そのものがピンチになる。

ただ、この剣幕を日本のマスコミがそのまま報じると、まるで「南京大虐殺の幻」というような、大虐殺そのものがなかったような主張がそこはかとなく流れていくように見える。

いうまでもなく、日本の歴史学者の見解では最大20万人、数千人から数万人まで、犠牲者の数はさまざまなれど、南京に進駐した日本軍が民間人を含めた中国人を大量に(ここの数字に見解の相違があるのだろうが)殺害した、というのは日本政府も認めているわけで、南京大虐殺がなかった、それなのにユネスコがある、とお墨付きをつけた。それはけしからん、という論理にはならないはずだ。

それでは、同時に決定されたシベリア抑留に関する舞鶴の記録はどうなのか。旧ソ連、現ロシアは案の定、文句を言ってきた。
シベリアで苦しんだ方々や関係者には理解に苦しむかも知れないが、ソ連側の立場にたてば、南京についての日本の主張も同じようなことを言っているのではないか。

官営八幡製鉄所など、明治日本の産業革命遺産はどうなのか。
朝鮮半島から大量の労働者を動員させ、八幡製鉄所は1894年の日清戦争で清に勝利したことで得た戦時賠償金の一部を投入して造られた。
当時の大日本帝国の国家予算の数倍、と言われる賠償金を清に強いたことで、清の国力が衰え、その後辛亥革命を成功させる遠因になったかもしれないが、一義的には、清の国民、中国の納税者に苛酷な課税を強いたとは言えないか。

歴史にイフ=Ifはないかもしれないが、清が日清戦争を経ていなければ、西欧の文化や技術を導入しながら中国の価値観は生かす「西体中用」の考えに基づいた洋務運動によって清の近代化が進んだかもしれない。

日清戦争だったり、辛亥革命だったり、日中戦争、その後の国共内戦と、中国の庶民にとっては、政権の奪い合いで戦乱は続いたわけで、落ち着いた日々を過ごすために、清だろうが、民国だろうが、人民共和国だろうが、平和であればいい、とは言えまいか。

だから、現在、戦闘状態を停止させたゆえ、共産党政権は維持されているのであり、その政権が維持される正当性とは、日中戦争の状態が終わり、国民党政権との勝利の上で戦闘状態を終わらせたことだろう。
台湾にある国民党政権(いまは複数政党制で民進党政権になる可能性大だが)との統一を考える共産党としては台湾の中華民国政権を全否定するわけにはいかず、いきおい、戦前の日本の軍事進出をかたきにせざるを得ない。

その辺を考えれば、なぜ南京の犠牲者が30万人で、一歩も引かないか、理解できまいか。


国民党ひどいね。

2015-10-29 02:52:40 | 時事
来年1月の台湾総統選挙で、国民党総統候補として、男どもが逃げまくる中、唯一〝男気〟を見せていた洪秀柱女史が、中国との統一を志向する発言を続けたことで、総統選とダブル選挙となる立法委員選挙で「勝てない」と、洪女史を引きずり下ろす動きが顕著となり、結局、元のさやに収まった。今回は民主党の蔡英文主席には絶対勝てない、と政治経歴に傷をつけたくないと総統選挙への立候補を見送っていた朱立倫・主席が総統候補にならざるを得なかった。おそらく、総統選には勝てないうえに、せっかくの新北市長も任期途中で辞任したうえに、その後の市長選で国民党が勝てる補償もない。国民党は、立法委員選に勝てない、との各地の候補者の要望を聞いたことで、朱主席の政治経歴に傷をつけるだけでなく、せっかくの新北市長の席も失うことになる(たぶん)。

次の興味は、国民党の副総統候補に誰がなるか、だ。事実上名誉職の副総統は4年、もしくは8年縛られる。本省人で台湾庶民から人気がある王金平・立法院長(国会議長)は次の立法委員選挙で立候補できるかも疑問。議席が得られるかどうか。馬英九総統とは関係が悪く、年も年なので、朱立倫総統候補のもとで副総統候補に収まることが出来るか。

常識的には総統候補に決まっていたのに引きずり下ろされた洪秀柱女史が副総統候補になればいいのかもしれないが、それでは立法委員選挙の候補者たちが納得しないだろう。

いずれにしても、今回の総統選挙は国民党にとって、次の総統を云々するよりは、総統選は負けても、ダブル選の立法委員選挙でなんとか議席を確保するのが最大の目標だ。洪秀柱では戦えない、との声が出てくるに決まっている。


国民党は朝令暮改

2015-10-09 01:36:28 | 時事
来年1月の台湾の総統選挙に、与党・国民党が候補者に機関決定していた立法院副院長(国会副議長)の洪秀柱女史(67)を降ろそうと、国民党は7日、中央常務委員会を開き、来週、臨時党大会を開き、総統選候補者について協議することを決めた。洪候補の公認を取り消し、党主席の朱立倫・新北市長(54)を公認候補とする方針。



そもそも、7月の公認候補決定については、朱主席も、呉敦義・副総統も、王金平・立法院長も出馬表明せず、唯一立候補した洪女史に決まってしまった経緯がある。総統選立候補を決めている野党・民進党の蔡英文主席に世論調査などで大きく水を開けられ、総統選で惨敗するのを避け、政治経歴に傷がつくのを避けようと、朱主席初め、党の有力者たちは立候補をひかえていたが、総統選で負けるのはともかく、総統選とダブル選挙で行われる立法委員選挙(国会議員選挙)を、洪女史では戦えないと立法委員らから不満の声が上がっていたという。

その原因は洪女史が主張する「一中同表」に代表される中国大陸との統一を志向する政治姿勢で、現在の馬英九総統が親中的な立場を取っているにも関わらず、国民党内ではあまり中国寄りになると選挙を戦えない、との考えが広まっているのだろう。

ただ、以前書いたように、朱主席が新北市長の任期を残したまま辞任し、総統選挙に臨むというのは、新北市民を裏切ることになるほか、当初、出馬しないといっていたにもかかわらず、突然手のひらを返し、正式な手続きを経て選ばれた洪女史をやめさせて、総統選の敗北は織り込み済みで、立法委員選挙を戦おうとの姑息な考えが、台湾住民に受け入れられるのか。

国民党は人心をさらに失い、総統選だけでなく立法委員選挙でも民進党が大勝利し、台湾の独立色が強まり、大陸との緊張が強まる可能性も考えられる。

洪女史は仮処分申請をすることも示唆し、7日の中央常務委員会の会場外では、国民党の方針に反対する人々がデモを起こしていたという。党が割れることも考えられ、台湾政治は大きな転換点に至るかも知れない。


台湾総統選は女の戦い

2015-07-24 03:08:48 | 時事
来年1月に実施される台湾総統選で、与党・国民党は馬英九総統の後継として、洪秀柱・立法院副院長=衆院副議長に相当=(67)を党公認候補として確定した。すでに立候補を決めている民進党の蔡英文主席(58)と、台湾初の女性総統をかけて争うことになる。総統選には元国民党の重鎮で、李登輝党主席=総統時代に離党した宋楚瑜・親民党主席(73)も再度立候補をほのめかしており、保守票が分裂し民進党に有利になる可能性もある。

先の台北、高雄など主要都市の首長選挙で大敗した国民党は、当時党主席を兼任していた馬英九総統が党主席を辞任、唯一市長の議席を守った新北市長の朱立倫氏を新主席に決めたが、朱党主席や呉敦義・副総統、本省人(台湾本土出身)で庶民に人気のある王金平・立法院長(衆院議長)はいずれも立候補を固辞、洪女史が世論調査などで公認候補に必要な支持率を取れず、結局臨時的な措置で自らのところに候補要請が来るだろうと見込んでいた男どもの予想が外れ、洪女史が正式に国民党の総統選候補に確定した。



そもそも朱主席はせっかく当選した新北市長を任期途中で辞任し総統選に回るとなれば、「無責任」「新北市を見捨てるのか」との批判も受けただろうし、党勢からいっても今回は民進党の蔡英文女史(58)には勝てないだろう、自らの経歴を傷つける必要もなかろうと、立候補を固辞したのではないかと見る。洪女史は事実上の捨て駒だろう。ただ、天下の国民党が一定期間の総統選挙について、勝利の可能性は極めて薄い、ということで、党首でなく、党内ナンバー4、5、6あたりの候補者を立てるということは、党としてプライドはないのか、と言いたい。朱立倫主席は、それほどまで自分を守りたいのか、ということだ。確かに馬英九も台北市長時代にインタビューしたが、そのとき、総統選には立候補しない、台北市長の二期目の任期が残っているから、任期を全うしなければ台北市民に失礼だ、との考えを示した。朱主席の考えもそれに近いものがあろう。ただ、台湾の最高権力者を選出する選挙の候補人として、与党がナンバー4、5、6あたりの人材を候補者とするのは、有権者に対する冒涜だと思う。



で、洪秀柱とはどんな人物なのか。中文資料に当たってみると、
父親の出身地は中国浙江省、本人は台北生まれ。位置付けとしては外省人だ。父親は大陸では専売局に勤め、1946年に台湾に入り台湾糖業公司の工場の副管理師となり、白色テロの時代には拘束され、その後無罪判決が確定したが、「思想的に動揺がある」との理由で政治犯が送られた緑島で3年間の感化教育を受けた。その後、釈放されたが政治犯とのことで就職できなかったという。貧しい家庭状況のなか、洪秀柱は「家には三日に二度は警察が訪れていた」と回想している。四人兄妹の2番目で、父親のえん罪を晴らすために裁判官の道を目指し、中国文化学院(1980年に大学に昇格)法学部に入り、家庭教師のアルバイトや奨学金で家計を支えたという。1970年に卒業、司法試験に落ちたため、教員不足を解消するための台湾当局の教員養成プログラムを受講し教員となった。

国民党の外省人と言えば、特権階級や裕福な家庭のエリートが少なくないが、洪秀柱は父親が受けたえん罪やその結果被った貧しい生い立ちから、馬英九らとはやや違ったスタンスをもっている。国民党に対して手放しの賞賛、というわけではないが、「国父孫文が創設した国民党は、優良な主義思想を持つ組織だが、一部の不心得者が権力を乱用し私利私欲に走り現在の局面を迎えている。私は国に身を捧げるために入党する」と1981年に入党、1990年に立法委員(国会議員)となる。

洪秀柱の政策で注目されるのは両岸関係に関する「一中同表」。馬英九総統は現在は中国ベッタリの評価が固まっているが、これまでの対中関係の原則は「一中各表」。すなわち、「一つの中国の原則は尊重するが、一つの中国は大陸側は中華人民共和国、台湾側にとっては中華民国。一つの中国、という大原則さえ尊重すれば、中国がどちらを指すかはそれぞれ(各)の解釈(表現)でよい」というもの。

洪女子の「一中同表」は、もっと大陸よりの考えだ。すなわち、大陸と台湾は相互に承認しあい隷属関係にはならず、憲法の民主価値と民意を受けるとの条件下で、中華人民共和国と政治協議を進め、中台両岸の平和協議を締結し、中台両岸が安定的に発展するようにする。短絡的に言えば、「一つの中国」の概念について、中国大陸側の歩調を合わせる、ととられかねない。馬英九総統よりさらに大陸にコミットした考え方だ。

やや突出した危険思想なので、現在は表明することを意識的に避けている。封印している。ただ、一中同表を主張することで、洪秀柱の思想的ベースが理解しやすいと思う。




7月7日は七夕、盧溝橋事件の日

2015-07-08 15:26:43 | 時事
7月7日は北京西南郊外の蘆溝橋で1937年、日本軍と国民党軍が衝突し、日中戦争の戦端となった蘆溝橋事件(七七事変)の記念日。
この橋のそばにプロパガンダ目的で建てられた展覧館(完成前に2度蘆溝橋に行ったので参観したことはない)で開かれた記念式典に、昨年は出席した習近平国家主席が今年は参加しなかったので、
日中関係改善への中国側のサインか、と報じたところもあった。
7月7日付の人民日報には1面には抗日関係の原稿、論文はなかった。


ただ、中央電視台の新聞聯播では、中国共産党トップ7の党中央政治局常務委員全員がこの展覧館を視察した、とのニュースを伝えており、やることはやっている、との見方もあるとは思っていた。
翌日の報じ方をみてみよう、と1日待つと、



7月8日付の人民日報1面は、政治局常務委員が視察する写真付きで、蘆溝橋事件について触れている。
事前に(記念すべき7日以前に)視察したのかなあ、ともテレビを見て思ったが、
人民日報の写真説明には7日、となっている。
会場にまで行って、式典に参加しなかった習総書記以下は何してたのか。
その下には、「抗日戦争精神は永久に民族に記憶される」とする本紙評論員の文章も掲載されている。

確かにトップは党中央の集団工作会議についてで、七七事変は二番手の扱いであるうえ、写真も政治局常務委員がならんだもの。

いまさら、日本批判をことさらにするというより、腐敗が目立つ党の引き締めのために党幹部の教育を図ることで、
習指導部への求心力を強めることが、優先事項であるような人民日報の扱いだ。

ただ、1面にちゃんと報じているように、日本へのけん制は忘れていない。あくまでも安倍晋三首相の戦後70年談話の内容次第で、
日中関係がどうなるか、中国側も談話の内容を見てからでないと、次のアクションはなかなか起こせないだろう。
それでも一時期の反日を利用しての求心力維持、という事態からは一歩進んでいることは、日中関係改善にとって明るい状況かもしれない。