Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

「再会の食卓」(團圓=団円)見た

2011-03-31 20:52:22 | 映画鑑賞
2010年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(2位)を獲った「再会の食卓」(原題:團圓)を見た。

賞を獲ったといえども地味な映画で、DVDになるのかなあ、と思ったので1800円払って見に行った。で、結構よかった。
舞台は上海。国民党軍兵士と1年の新婚で、お腹に子を宿したまま、台湾に「退却」する船に乗る夫に会えず生き別れになり、上海で別の男と家庭を持ち子供にも恵まれた女性のもとに、台湾で新たに妻を迎え死に別れた夫が、両岸(中台)関係緩和政策で親族訪問が可能になったことから訪ねてくる。近年の中国と台湾の関係改善から、台湾に配慮した表現が垣間見える。国民党軍が台湾に「退却」ということばを使っている。実際は「敗走」「逃走」だろうが、台湾の名誉のために「退却」にしているようだ。


ここからネタバレ注意。

数十年、子供たちのために生きてきた「愛のない生活」と、夫らにも告白し、文化大革命で不遇な日々を過ごしたこともあり、「最後には愛に生きたい。子供たちのためでなく、自分のために生きたい」と、台湾から来た夫の提案に同意し、上海の家族とはなれ、台湾で生活しようと試み、夫や子供たちに説明する。

夫はすぐに理解を示し、台湾行きに同意。子供たちは、金持ちの台湾人から金をふんだくってやれ、とか、生臭い考えから、母親を台湾に渡すのに反対するが、最終的には父親が一喝、台湾に行くことになる。

で、完全に離婚して台湾に行こうと、地区の役所に出頭すると、婚姻届は出ていない、事実婚だという。あの時代はそんな証明などなかった、というと、まず結婚写真を撮って婚姻届を出してから、離婚したらどうだ、と役所の役人が提案。それはいい、と結婚写真を撮りにいく。で、離婚届けを出そうとすると、財産分割が云々とか、面倒くさいことを言われ、その後の手続きは映さないが、どうやらちゃんと離婚できたようだ。
そもそも、婚姻届が出てないなら、それでいいじゃん、そんな面倒くさいことをすると返って……、と思ってみていたら案の定だった。中国の映画はしばしばこういう極端な描写が多く、われわれが見ると馬鹿みたいだな、と思うことがあるが、どうやら中国人は本当にこのように極端な考え方をするようだ。

で、酒宴で酔っ払った勢いで、上海の夫が「数十年も連れ添ったのに、愛がない生活と言われるとは思わなかった。でももう終わりだ、自分の楽しみのために生きる」と本音を漏らす。「本当は軍の中で出世できると思ったのに、子連れの哀れな女に会ってしまった。同僚は国民党兵士の妻は止めろ、といったのに、くっついてしまって、出世の道が閉ざされた」と、妻の前で心の中に閉まっておいた思いをぶちまける。そこで軽い心臓の発作を起こし、入院を余儀なくされ、妻は台湾行きを断念せざるを得なくなる。

台湾に夫が戻り1年がたち、立ち退きで郊外の広い高層マンションに移り、上海の夫は車椅子生活となり、孫娘と暮らすが、返って子供たちが寄り付かなくなる。孫は彼氏が米国に行き、2年間待つという。というような現代の中国の問題点にも触れている。

明るい話ではないが、また、ちょっと話に極端なところがあるが、まあ、良い出来だったと思う。

桜開花

2011-03-27 09:10:37 | Weblog

日本は地震で相変わらずバタバタと大変。関東では計画停電、国の規定を超える放射性ヨウ素が検出されたくさんの野菜が出荷停止、ガソリン不足で価格が高騰と、日本にいれば毎日こんな暗いニュースばかり。

で、開花宣言って報道されたのかなあ、と思うぐらい、ニュースは毎日地震と原発ばかりだが、近所の桜がほころび始めた。気象台に近いので、この地区の標準に近いのでは。3月22日に開花宣言したようだ。ぜんぜん気がつかなかった。昨年より8日遅く、平年より4日早いとのこと。見ごろは3月末から4月上旬か。去年は3月29日に「桜満開」とこのブログに書いていた。
ただ、今年はここのところ冷え込んだり風が強い日もあったので、一部花びらが散ったところもあった。

嫌なことばかりではなく、桜が咲いて春が来る。さあ、がんばろう。

農作物で慌てぬよう

2011-03-19 14:22:02 | 時事
塩問題で露呈した、中国のデマに振り回される状況。上海などでは買いすぎた塩を商店に買い戻してもらおうと圧力をかける厚顔無恥な者まで出てきている始末だという。

さて、日本政府は福島県の牛乳(原乳)と、茨城県のホウレンソウについて、含有放射性物質が規定を超えるとして、出荷停止を決めた。これに対する反応はどうなるだろうか。



パニックを恐れる中国当局は極めて低調にこのことを報じているようだ。
で、牛乳といって思い出すのは、メラミンが混入された粉ミルクによる中国の乳幼児の被害だ。生乳を水で薄めるケースがしばしばあり、そのことがばれないように、メラミンを混入したという。牛乳のたんぱく質濃度を測る際には、その窒素含有量を測定することから、窒素含有の多いメラミンを混入したのが原因のようだ。来日した中国人が大量の日本製粉ミルクを購入して帰る姿がしばしば空港などで見られたが、今後、日本製粉ミルクはどうなるだろうか。別に中国人に買ってもらわなくても結構だが。

かつて香港にいた際、日本でO157問題が騒がれたことがあった。香港メディアは神経質なほどに日本製食品のO157感染問題を報じ、日本系百貨店やスーパーからカイワレ大根などが姿を消したことがあった。今回、牛乳もホウレンソウも当該地区の産品は流通していないそうだが、日本のその他の地域の牛乳や野菜が風評被害の影響を受けないか、全く関係ない塩であれだけ騒いだ国ゆえに、心配だ。


ちょっと古いデータだが、日本の文部科学省が毎日空気中の放射性物質の含有量を発表している。先日の中国各都市のグラフと同様のもののようだが、宮城や福島で、恐らく数値が高いために観測不能で数値が出されていない以外は、茨城、栃木、群馬、埼玉など関東北部地方で数値が高いが、それ以外の地域にはほとんど影響がないことが見て分かる。高い数値でも健康被害を受ける数値より低いとされている。いわんや、数千キロ離れている外国に人的影響を及ぼすことはないだろう。

もちろん、これはあくまでも政府側の発表だ。政府は原発の半径20キロ~30キロ外への避難を勧めているが、米国政府などは大使館員や領事館員のほか、自国民に対して80キロ外に出るように指導している。

もちろん、どちらが正しいとはいえないが、なるべく遠く離れたほうがよいに決まっている。逃げる場所がある外国人らは逃げるのは正しい。放射性物質の影響は短期的にはないと日本政府も説明しているが、長期にわたって観測を続ければ、がんなどの影響がないとはいえないかもしれない。またあまり時間がたってしまえば、被ばくとの因果関係を証明することは難しくなるだろう。

それは今、原爆症や水俣病、石綿(アスベスト)によるじん肺障害を起こした患者に対する国の保障がなかなか進まないのを見ればわかる。もちろん、一義的には病気にならないことが一番だ。因果関係を証明するのがどれほど大変かは、これらの患者団体による訴訟の様子を見ても分かる。

それから、日本では「五十戦士」などとは全く報道されていない。これは英雄を見つけ出して報道する他国メディアの癖なのかもしれない。英での報道で5人が殉職したとされているが、東京電力の作業員が死亡したとの発表も報道もない。日本政府や東京電力が隠しているとの考え方があるかもしれないが、圧倒的に多い日本のメディアが「5人死亡」に気がつかず、おそらく1、2人しかいない英国メディアがこんなスクープをできるわけがない。日本メディアに対して日本政府が口止めしている、報道管制しているということもありえない。どこか外国のメディアのように……。はっきり言ってガセネタだ。情報の信頼性を吟味せず、衝撃的なニュースをかいつまんで騒ぐのは外国での報道の悪い癖だ。

東京電力側はあくまでも加害者だ。それは社長が謝罪したことからも明らかだ。仮に「五十戦士」が活躍したとしても、そのことによって東京電力や政府の原子力発電政策に対する追及をゆるめるわけではない。責任が軽減されるわけでもない。

同様に、外国からの救援隊について多少の報道はあるが、中国隊が外国の救援隊で一番遅く20日に離日した、とか、高い評価を受けた、などとの報道も日本では、失礼ながら、ない。もちろん感謝している。が、日本では救援活動は淡々と行われているのは当たり前で、救援隊にドラマティックに焦点を当てることはあまりない。20日、80歳のおばあちゃんと16歳の少年が地震発生から9日ぶりに奇跡的に救助されたが、ニュースの焦点は彼ら本人であり、彼らを助けた日本の救援隊ではない。

それは救援隊を模範人物として学習して愛国心を鼓舞するような政策とは、日本が一切無縁な社会だからだ。

中国で原発のデマ頻発

2011-03-17 20:40:27 | 時事
東北関東大震災発生から一週間。自制的な日本とは違って、中国では大騒ぎ。中央電視台などのテレビ局はNHKなどの映像を使いながら特番を延々と流し続けている。

で、中国語のネット上に以下のような地図が出回って大騒ぎになっている。題して「核輻射拡散示意図」(核放射拡散予想図)。この図は日本の原発で放射性物質が漏れた後、3日でベーリング海にとどき、6日後にはアラスカに、10日以内に米大陸西海岸に到達するという。

日本ではそんなの知らなかったでしょ。中国では専門家が、こんなのはうそ、と公式に否定しなければならないなど、大騒ぎになった。
中国での報道によると、この図はまず米国で出現したが、製作者は不明。実際に放射性物質が拡大する兆候はないと、中国では報道されている。

あと、食塩を買い求める人が激増、塩不足になっているという。

これも、ヨウ素を含む塩を取っておけば放射性物質の吸収を抑えるとの予防効果があるとかのデマが飛び交っているため。そんなわけない、と容易に理解できると思われるのだが、これが中国だとそうもいかないらしい。これも公の媒体が、「まったく関係ない」と繰り返し報道、塩の流通は正常に戻った、とパニックを抑えるような報道を続けている。なんたるこっちゃ。本当の現場がある日本でさえ、こんなデマは飛び交っていない。まったく、中国のデマの程度に低さにはあきれ果てる。

18日付の党中央機関紙「人民日報」は中面で大きく「我が国の食塩は9割が塩田からのもので、盲目的に購入する必要はない」とする文章を掲載した。“日本の原発付近から流れてきた”とされる海水を利用した塩でない、ということか。

で、日本から放射性物質が風に流れてやってくる、とまことしやかに信じているらしい。これも新華社が中国各都市の大気中の含有率をあらわすグラフを提供して、自然にある状態を下回っており、危険ではない、日本からの影響は各都市で見られない、と説得している。

このグラフで面白いのは、丹東(遼寧省)、広州(広東省)、重慶、ラサ(チベット自治区)で、もともとの数値が高いこと。丹東は北朝鮮の新義州と川を挟んで対峙している場所だ。北朝鮮が核開発している影響があるのでは? 広州には中国で4カ所10炉稼動している原子力発電所のうち、大亜湾原子力発電所(2炉)、嶺澳原子力発電所(2炉)が近い。重慶はもともとの工業都市で、工場の排気ガスの濃度が極めて高い、といわれているところ。ラサはいわずと知れたチベット自治区の区都で、極秘裏に核兵器開発しているとか、核廃棄物の廃棄場所がある、などの話がある。特にラサで他より一段と高いのは要注目なのでは。

ちなみに、あと中国国内の原発であと2カ所は秦山原子力発電所(浙江省)の5炉と田湾原子力発電所(江蘇省)の1炉で、いずれも上海に近い。ただ、上海や杭州では、このグラフ上ではそれほど高くない。

いずれも日本からの放射性物質が流れ着いてきたものとは関係なく、中国の核物質管理上の問題ではないのか。それも、この数値もどこまで信用できるかわからない。

日本で被災地の人々がデマにも惑わされず、粛々と戦っているのに、こんなに遠く離れた中国でこんな騒ぎになっているとは。

計画停電

2011-03-15 23:40:56 | 時事
首都圏では、東電の失態により計画停電が始まったという。昨日から都心に向かう通勤電車の多くが影響を受け、うちの実家は私鉄が止まり、陸の孤島状態になってしまっている。

私が住んでいるのは首都圏から遠く離れたところなので、電気も交通機関もOKなのだが、それでもきょう、あるメガディスカウントストアーに行ったらこのざま。

インスタントラーメンの棚はまったく品物がなかった。首都圏に非常用物資として優先的に送っているのか、あるいは、この地のあわて者が買い占めたのか。そもそも非常用食料としてインスタントラーメンを連想するところから発想が貧困すぎる。栄養はないし油は多いし、被災地で弱った胃腸に負担をかけるだろう。
この店には2.5リットルとかのでかいミネラルウオーターのペットボトルもなかった。
近所の普通のスーパーにはどっちも普通にあったが。

で、今晩、ついにうちの実家も停電になったらしい。ロウソクはあったが、ちょうど具合のよい燭台が見当たらなかったので、仏壇から拝借してきたらしい。また、風呂の水は汲んでおいたが、お湯を沸かすのはガスだ、と達観していたら、タイマーは電気なので、お湯を沸かせない、と嘆いていた。幸い、すぐ停電状態から回復したので、問題はなかったようだ。僕が子供のころは時々停電もあったが、最近は極めて珍しくなって、勝手がわからなかったようだ。
80年代に中国・成都で留学中、計画停電があって、これは昼間は工場に重点的に電気を送り、一般家庭は朝から夕方まで電気が途絶え、夜になると電気がつく。「蜀犬日に吠ゆ」(四川は曇りの日が多いので、四川の犬はたまに太陽が顔を出すとびっくりして太陽に向かって吠える)というぐらい、成都は曇りの日が多くて、留学生寮はオール電化だったので、暖房もとまり、かといって暗いので本も読めず、ベッドの中で乾電池式のラジオを聴くか、昼寝ぐらいしかすることがなかったことを思い出した。


で、停電の際、母親に思いのほか好評だったのが、シャレで買って母親に渡しておいた手回し充電ラジオ兼懐中電灯。写真のようなもの。置きっ放しで電池の消耗などの心配もしないで、手で回せばすぐにライトがつくので大変便利だったという。とても安いものなので、ラジオはFMだけだが、エリアニュースを聴くならこれでもよかろう、との結論になった。僕が一応持っているのは、このほか、手回しで携帯電話の充電もできる優れもの。サイレンも鳴る。ソニー製などは5000円前後するらしいが、100均ショップだったか、1000円ちょっとで買えたので、ないよりまし、興味があるという方はどうぞ。

ところで、首都圏に住む弟の話によると、誤解を承知で言うと、今回の地震のバタバタの中、携帯電話はドコモが一番通じたらしい。弟はiPhoneユーザーだが、ソフトバンクも、またauもドコモに比べるとつながりにくかったという。
これでスマートフォン移行にまた二の足を踏んでしまう。

「唐山大地震」上映無期限延期

2011-03-14 18:13:34 | 映画鑑賞


新たな公開時期や対応策も未定とのこと。残念だが仕方がないか。

近年、中国での最大ヒット映画となった「唐山大地震」の中国での上映は2010年7月。当地を揺るがし、映画の中でも舞台回しとして触れられている四川大地震(2008年5月12日)からまる2年経過していた。中国人の頭の中では、震災もある程度客観視できるようになった時期だろう。

夏休み映画の大御所、馮小剛(フォン・シャオガン)監督は、四川大地震を題材にインスピレーションを感じたことで、1976年という32年前の唐山大地震を振り返って映画の題材にと考えたのは間違いない。ただ、中国人的な地震に対する感覚と、地震大国・日本での大地震の発生頻度は違う。地震が身近な日本人にとって、震災はあまり客観視できるものではない。

今回の東日本での大震災は、四川大地震や唐山大地震と違って、津波が街や田畑を飲み込むというあり得ない光景を我々の目に焼き付けた。もちろん、スマトラ大地震も津波が問題になったが、被害対象となった地域が、今回はあまりに広すぎた。続いて、原子力発電所に深刻な打撃を与えて、単なる地震の被害を超えた複合災害となった。映画の街が崩壊するCGはできばえも良く迫力があるが、もはや現実に起きた災害の前では単なる絵空事でしかない。CGが良くできていたとしても、今の日本では何の評価も得られないどころか、不快感と恐怖を与えるだけだろう。電力不足から、日本で初めて計画停電も実施された。不謹慎かもしれないが、もはや映画よりドラマチックだ。

ましてや、がれきの下に埋まった姉弟のどちらか一人しか助からない、どちらかを選べ、と強いられるシチュエーション。弟を選んだ結果、片腕を切断せざるを得なかったというエピソード。東北大震災だけでなく、あまりにNZ地震(足を切断して救出された男性がいた)とも似すぎたストーリーに、フィクションとして見ることなどできないだろう。

それでは、中国のように発生2年後に封切られることができるだろうか? 松竹にとっては運が悪かったということで、そのころDVDを発売したりテレビなどで放映するのが、最後の可能性なのかもしれない。


映画「唐山大地震」上映できる?

2011-03-13 11:11:12 | 時事
3月11日、予想だにしなかった宮城県沖と茨城県沖で大型の地震が発生、1000人以上の死者が出ていると報道されている。先日のNZの地震でも日本人が何人も亡くなるなど、ちょっと地震が立て続いているが、26日から封切予定の中国映画「唐山大地震」はそのまま上映されるのだろうか。

映画の公式サイトを見ると、まさに11日から東京の九段会館で試写会が予定されていたが、この地震で専門学校の卒業式中だった九段会館では天井が崩落、2人が亡くなるという痛ましい事故が起きた。まさか、この九段会館で試写会ができるわけもなく、このあと数回にわたって九段会館での試写会が予定されていたようだが、いずれも中止になった。なんという皮肉なことだ。

ただ、配給元の松竹はこんなことではへこたれず、上映をすすめるのではないか。NZ地震発生後も募金活動をするなど支援をおこなっている。東日本大震災に対しても様子を見ながら支援活動を行うことになるのだろう。映画ではCGで撮影された地震の様子が、今回、われわれがテレビなどで日々目にしている実際の映像とダブり、あまりいい気持ちはしないが、その辺はどうするのだろうか。ただ、映画の内容は地震そのものだけでなく、その後の被災者たちの人生をも描いており、もしかしたら被災者たちを勇気づけるものになるのかもしれない。ただ、今はまだ刺激が強すぎるだろう。日本での上映はタイミングがよすぎるといえばよすぎる、悪すぎるといえば悪すぎる結果になってしまった。

ところで、12日、福島第一原発で水素が充満して爆発、従業員4人が負傷する事故があった。日本テレビは爆発の瞬間を何度も映像で流し、爆発前の施設とその後の骨組みだけになった施設を映していた。写真は日本テレビから。

ただ、NHKは爆発の瞬間は一度も流さず、爆発前と後の映像を比較して見せているだけだ。固定の定点観測カメラでずっと映像を撮り続けているはずだから、日本テレビのような映像をNHKも持っているのだろうが、爆発の瞬間はあまりに刺激的ということで、あえて流さなかったのだろうか。枝野官房長官の会見でも、「マスコミは抑制的な報道を」と原発政策を意識したような発言をしていたが、日本で初めての炉心溶融が起き、原発施設が爆発して負傷者が出ているのだから、原子力政策に対して批判をするのは当然だ。NHKの政府寄りの報道姿勢には疑問だ。

ところで、共同通信が「中国人が『非常事態にもかかわらず日本人は冷静で礼儀正しい』と絶賛する声がインターネットの書き込みに相次いでいる」との原稿を配信していたが、もちろん、四川大地震で救援物資を運ぶトラックを襲い、水や食料を奪うなどの暴動は日本では起きることはない。阪神大震災でも助け合いのコミュニティーが形成されていった。ただ、これは日本人独自の特徴だとはいえないのではないか。

おなじ漢民族の血をひく、台湾の人々もきわめて冷静に地震と戦っていた。
1999年9月21日台湾中部で発生した台湾大地震を取材する機会があった。21日の午後には台中県の被災地に入った。テントの中で弁当を食べている人々も、口々に「恐ろしかった」と話していたが、基本的には冷静でパニックになってはいなかった。22日にはタクシーをチャーターして埔里に入った。写真は埔里の学校内に設けられた救急の診療所。

すでに蕭万長・行政院長(首相)=当時=が到着していて、現地の要求を聞いていた。負傷者も順序良く治療を受けていて、校庭ではたくさんのテントが張られ、避難民が騒ぐこともなかった。

当時の最高指導者、李登輝総統は戦前、京都大学農学部で学び、文芸春秋が愛読書という日本通だが、阪神大震災の初動で村山富市政権の対応が極めて遅く批判を浴びたことをよく知っていて、台湾当局の初動はすこぶる早かった。発生翌日に訪れたが、山の中の埔里にも救援物資はたくさん届けられていて、弁当が山積みになっていた。負傷者を校庭を離着陸するヘリコプターで次々に町の病院に運んでいた。


写真の倒壊したビルは台北市内でそんなに多くない、大きなダメージを受けた「松山賓館」というビルで、日本人一人が亡くなるなど多くの死傷者を出したが、住民や関係者はビルの前に用意されたスペースで静かに救援活動を見守っていた。ここで瓦礫の下から130時間ぶりに兄弟が救出された、というエピソードもあった。
写真を撮ったのはすぐそばの仏教施設のビルから。ここでは尼さんたちが積極的なボランティア活動を行っていて炊き出しや不明者捜索の手伝い、被災者の心のケアなどを行っていた。当時すでにトルコ大地震などにボランティアで出動し被災地での活動については多くのノウハウを持っていた。

今回、中国の救援隊も日本に派遣されたという。このような痛ましい震災が度々起きてほしくないことはやまやまだが、日本の被災地での貴重な経験を自国にフィードバックして、迅速な救援活動とそのノウハウを(起きてほしくないが)次の機会に生かしてほしい。

ダライ・ラマ引退表明

2011-03-10 20:34:11 | 時事

チベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ14世が10日、自らのサイトで、14日から始まるチベット亡命政権の議会で政治的な指導者の地位から引退する手続きをとると表明した。ロイターは早かったから単独インタビューかと思ったら、そういうわけでもないらしい。ただ西側のメディアのほうがチベット問題に敏感で反射神経がいいのだろう。

中国側は外交部の定例会見で姜瑜報道官が言及した。テレビ報道などによると「これまでも引退する引退すると人をだましてきた」と、話していたようだが、外交部の公式サイトにはその部分は書かれていない。

英語のサイトまでは確認していないけど、中国語で書かれていないということは、国内には知られたくないということか。

ダライ・ラマとしては自分の存命中に亡命政権の先行きをきちんとしておきたかったということだろう。院政を敷く、敷かないは別として、権力移譲をきちんとすれば混乱も起きず、個人的なカリスマ的指導力ではなく、システムとして亡命政権が維持できると考えていたのだろう。ひるがえって、中国側は、ダライ・ラマ個人がひどいやつだ、と個人攻撃することによって亡命政権の非正統性を主張してきたわけで、ダライ・ラマが表舞台から去ると、亡命政権勢力を批判しにくくなる。

もし対中強硬派が主導権を握ったら、もっと急進的になり、中国にとってはより恐ろしい存在になりかねない。ダライ・ラマの悪口を言っても彼は独立を求めているわけではなく、国内での一定の自治を求めているわけで、引き続き権力を握っていて、突然去って政権が混乱した、というシナリオのほうが中国当局にとっては都合がよかっただろう。

椎茸うめっ

2011-03-10 19:29:09 | 飲食
会社で仕事が始まるぞっと席についていたら
「いりますー?」と同僚が袋いっぱいの椎茸を持ってきた。

会社の先輩の山で取れた椎茸という。すげ、山持ち。
「あんまり多くは失礼なので。多くの人にいきわたるように」と少し遠慮して、それでも10個ぐらいはいただいた。
さて、どうする。実は一番うまいのは、網に載せてそのまま火であぶって、醤油をちょっとかけていただくのだという。
ありゃありゃ。うちはの台所はIHだあ。火は出ないぜ。
で、明日のお弁当にも使っちゃお、っと、ちょっと貧乏くさく、昔食べた料理をイメージして、いろいろ野菜や肉と一緒に炒めてみた。

それがこれです。抜群にうまかったです。Tさん、ゴチになりました。あざーっす。

入っているのは鶏肉とピーマンとニンジンとタマネギとブロッコリーの茎の部分。
まず鶏肉を一口大に切って、軽く塩コショーして片栗粉をまぶしておく。フライパンに油を敷き、生姜の刻んだのを投入し、肉を炒める。
すぐに醤油と紹興酒をふりかけ、ちょっと色がついたら、切っておいた椎茸とすべての野菜を投入。
ちょっと炒めにくかったので酒をふりかけ、中華スープの素をパラパラと入れる。片栗粉のおかげで、あんかけのように粘りが出てきた。
肉に片栗粉をまぶした皿に、片栗粉がちょっと残っていたので水を少々入れて、炒め終わりにかけて、もう少しとろみをつけてみた。

醤油と酒とほんのちょっとの中華スープの素で、思い通りの味が出せた。椎茸は肉厚で歯ごたえ十分。野菜に歯ごたえは残り、ちょっととろみあり。大満足。明日の弁当もこれ。

タイ料理

2011-03-09 19:57:28 | 飲食
割と気に入っていたエスニック料理、というか、タイを中心とした東南アジア料理の店に久しぶりにランチを食べに行った。
ランチ時間には、たくさんの料理を並べていて、いくつかに区分された皿に好きな料理を盛りながら、最後にご飯をもらって食べる、というやり方。台湾などで「自助餐」と言われるバイキング方式だ。もうやってなかった。残念。ランチメニューがいくつかあって、その中から選ぶやり方になっていた。

ということで、グリーンカレー。ちゃんとタイ米を使っていた。ただ、手抜きというか、日本人に会わないと思っているのか、レモングラスは入っていないみたい。割と濃い目の味だった。

単品で鶏肉とカシューナッツ炒めも頼んだ。中国語で「腰果鶏丁」と言われるものだ。けっこう辛い、というか大きな口内炎ができていたので染みて痛い。

定食みたいなやつ。グリーンカレーとおかず2品。ま、前のやり方と中身的には同じようなものだが。生春巻きもついている。結構リーズナブル。

デザートに単品でココナッツミルクアイスを頼んだ。シャーベットみたいな感じ。結構うまい。定食にはタピオカ入りココナッツミルクがついていた。

全人代はじまる

2011-03-07 14:21:04 | 時事
全人代が始まった。温家宝首相の政府活動報告はもちろん総花的だが、日本の媒体はネット規制について触れるところが多かった。これについては、全人代よりも前にすでに、胡錦濤総書記が中央党校で講演しており、新たなものはない。次期5カ年計画ものとか、不動産価格抑制などでは注目を集めにくいだろうと、キャッチーな「言論の自由」問題に触れた、恣意的な報道姿勢は感じる。
翌6日の新聞各紙の社説で、中国全人代に触れたのは毎日と日経。日経は一般的なテーマに触れた普通の社説だったが、毎日は出色だった。

引用すると:
………中国の「社会主義市場経済」は共産党政府の高官と一部の資本家が結託した「特殊権益集団」が、市場の富を吸い上げるシステムである。「太子党」と言われる高官の子弟はその核心だ。だから貧富の格差が生まれるのは当然なのだ。格差を調整するには、特殊権益集団の既得権を押さえなくてはならない。だがそれを実行する官僚が既得権益層にいる。言うはやすく実行は難しい。………

現在中国が直面していて、政治改革が進まない最大の理由をこのフレーズが端的に言い表している。おそらく中国には睨まれるだろうが。

毎日社説は続いて、中国の鉄道相と中国新幹線事業を中心となって進めてきた運輸局長が汚職疑惑で摘発されたことを紹介した。毎日は日々の新聞では中国報道が薄い傾向があるので、初報かもしれない。そのため中国高速鉄道の安全性について警鐘を鳴らしている。

おそらく「木語」コラムの金子専門編集委員の筆によるものだろう。多くの人に知ってもらいたい中国の現状分析だ。

確かに、今冬、異常気象で各地で大雪が降った際に、「動車」と呼ばれる中国新幹線は各地で「安全運行のため」スピードを大幅に落として、全国の交通網に大混乱を与えた。ネット上などではこのときから、中国新幹線の運営と安全性について疑問の声が上がっていたようだが、このことと関係があるかもしれない。

で、6日にはまた「中国茉莉花革命」の抑圧のニュースだ。三十数都市で呼びかけられていた集会を、中国当局は徹底して監視、阻止し、取材に訪れた外国人記者にも厳重な持ち物検査や事情聴取をして、数人が連行されたという。7日の日経新聞は、公安当局者の言葉として「集会の呼びかけや情報の拡散、扇動に対する外国メディアの関与を疑っている」との見方を紹介している。当局は監視の目を中国駐在の外国人記者に向け始めた、と伝えている。

そもそも中国当局は、外国人記者を、その国を代表するスパイではないか、と見ているふしがある。常駐記者や一時的な取材で中国を訪れると、J-1(常駐)やJ-2(一時)のような、一見して記者とわかるビザを張られる。学術交流ならX、ビジネスならFだ。かつて旅行はLだった。今は日本人は短期の旅行ならビザ不要なので、どうなっているかわからない。

かつてJビザを押されたパスポートを持って観光旅行目的で中国入国を試みると、入管の係員がパスポートの中にJビザの記録を見つけて入国できないことがあったという。

先日の外交部定例会見で、欧米記者と1時間以上にわたり報道官がデモ取材についてもめたと伝えられたが、欧米記者の中には、中国の民主化運動に個人的シンパシー、あるいは組織(国や政府)を通じて支援しようとする意図があるのかもしれないし、少なくとも中国当局はそう見ているのではないか。

茉莉花ってどういうこと

2011-03-03 16:59:58 | 時事

3日付毎日新聞3面にこんな記事があった。
かなり突出した考えだが、なるほどと思うところもある。すごいなあ。つまりは、中国ジャスミン革命は当局側が煽って民主活動家をあぶり出して確保する手段だった、ということか。
この「木語」の文脈では、中国当局の思惑は、西側の扇動で発生させようとした「ジャスミン革命」ゆえ、西側文化の象徴であるマクドナルドやケンタッキーフライドチキンの前で起こそうとした、と読める。こんなこと書いちゃって大丈夫かなあ。

そこまでうがった見方かどうかは別として、少なくともこの集会を呼びかけた人々は、中国を本気で民主化させようとは思っていないはずだ。それは以前書いた。
胡錦濤が社会管理強化を訴える演説を行ったまさにその翌日に、制圧されることを覚悟で、なんの青写真もアピールも戦略もなく集会を開いても効果はない。ただ、社会に不満を持つやじ馬たちを集めるだけだ。僕は、海外で操っている民主活動家が、当局側の制圧能力や覚悟がどのくらいか、試したのでは、と見たが。

日本では携帯電話利用の入試問題投稿事件が、予備校生逮捕という事態を招いたが、中国でデモの連絡を携帯電話を使って行えば、同様にすぐに捕捉される。危険を侵してまで、万を持して民主化運動を進めようという雰囲気は伝わらない。

いずれにしても報道の自由を確保するために1時間以上、外交部定例会見で喧嘩することはともかく、命を張ってまで、あるいは常駐記者の資格を失ってまで取材するほどの事案ではないということだ。

もし当局側が煽ったものと考えるなら、中国共産党内の派閥争いの末に導かれたものとの考えも出来るだろう。すなわち、尖閣諸島沖で中国人船長が逮捕された際の中国側の抗議デモの時に書いたが、胡錦濤総書記や温家宝首相までもが日本側に強く抗議したのは、共産党中央指導部内で派閥抗争があり、軍などの強硬派を取り込むため、日本に対して弱腰だと見られないようにあえて強く当たった、というのと構造が似ているのではないか。

温家宝首相は、政治改革を進める方針を示したが、その後の中共中央の方針は、真逆の方針を示し、人民日報では間接的に温首相を批判するような論調が出たのも事実。民主化に温情的な温首相や胡総書記にダメージを与えるため、民主化デモを煽ってそれを鎮圧させるような筋書きを考えたことも、うがった見方としては出来る。

ただ、5日から始まる全人代を前に、混乱は避けたいはず。ちょっと飛ばし気味の感じはする。


外交部定例会見

2011-03-02 10:32:39 | 時事



3月1日の北京での中国外交部の定例会見。2月27日、中国全土27地区で呼びかけられた「中国ジャスミン革命」の集会取材で、日本人を含む西側報道関係者が、中国の公安当局によって拘束されたり、カメラなどの機材を没収、破壊されたことについて、質問が出たという。

外交部のサイトに掲載された会見の質疑応答を見ると、「外国人記者が取材中、公安当局者と衝突した。今後、中国側は再発防止のために何か施策は?」との質問に対し、スポークスマンの姜瑜・報道局副局長(新聞司副司長)が「外国人記者は中国国内においては中国の国内法規を尊重し、守って取材してもらいたい。関係部門(公安当局)が法に基づいて必要な措置をとるのは、公共の秩序と安全を守るためである」と答えた。さらに「もう一度強調しておきたいが、外国人記者の合法的な権益を守るという、中国政府の法に基づく政策は変わっていない。われわれは引き続き、外国人記者の法に基づく合理的な取材に対し、便宜を図り協力していきたい。各国の記者は中国各地で取材する際、その地の法規に基づき、理解を深め、互いに良好な取材環境を維持するよう、希望する」と答えたとされている。写真に示したようにきわめて淡白な受け答えになっている。

日本などでの報道では、この部分について欧米記者と1時間以上やりあい、NHKのテレビニュースでも「取材申請しましたか」と、なかば逆ギレしたような発言まで映像で伝えられた。

北京五輪以降、北京での外国人記者の取材について、相手側が同意すれば事前の当局への申請は必要ない、と、取材への規制が緩やかになったという。それについて逆行するような発言だったが、公式の外交部のサイトには記されていない。1時間以上もエキサイトした記者会見内容に外交部側も、まずいと感じたのか。

そもそも、中東の政変を引き起こした「ジャスミン革命」の影響を受け、ネットなどで参加を募った「中国ジャスミン革命」なる行動は、中国当局にとってどんな手段を使っても押さえ込まなければならない。ましてや中東のイスラム教徒らの行動は、中国でももっとも敏感な新疆ウイグル地域を触発させてしまう可能性がある。取材申請が必要なくなった、という事例をこの際、逆行させ外国人記者の取材活動を制限させてでも、中国での動きを封じ込める必要がある。そう考えるのが普通だろう。

中国ジャスミン革命関連で連行された民主活動家は、国家政権転覆扇動罪が適用されての容疑による身柄拘束という。最高刑は死刑だ。中国の報道機関に対する考え方は西側とは違う。中国社会に奉仕するためのものだ。西側ジャーナリストも「報道の自由」を御旗に油断をして取材活動をすると、この罪状が適用されかねない。「入郷随俗=郷に入れば郷に従え=」というわけではないが、自らの身と取材相手を守りながら、結果として必要な取材結果を勝ち取る方法を常に考えなければならないだろう。一方で、報道の自由を求める訴えは続けていかなければならない。

3月5日からは年に一度の中国で国会に相当する、全人代(全国人民代表大会)と政協(全国政治協商会議)が始まる。施政に不満を持つ人々が北京に上京して為政者に直接訴える「上訪」の動きが出てくる可能性もある。地方指導者が会議のため北京に上京し、留守になった各地方でなんらかの行動が起きる可能性も否定できない。ここ数日は中国で政治的にもっとも敏感な時期になるだろう。