Takepuのブログ

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事故原因落としどころか

2011-07-28 13:46:18 | 時事
浙江省温州で23日起きた中国高速鉄道の追突脱線事故。新華社は28日午前、事故の原因は信号機の設計上の重大な欠陥により、落雷で故障した後、本来赤にならなければいけない区間で間違って青になったままで、後続列車が突っ込んだ、と上海鉄路局の安路生局長の、事故に対する初期的な原因についての分析を紹介した。

新華社のサイトによると、安局長は温州で開かれた事故調査グループの全体会議で、北京の研究設計院が設計した09年9月29日から使用している信号について、設計上の重大な欠陥があると話した。

また、地元の温州南駅の電気部門の当直者が、新しい設備に対する理解が足らず問題を軽視し欠陥を放置したままで、鉄道行政部門の職員に対する教育訓練がいたらなかったことも認めた。

と、なんとなくもっともらしそうな原因が出てきたが、昨日ブログで書いたように、落雷によって容易に電気系統の故障を招き停車してしまう中国版新幹線の車体の構造上の欠陥や、今回の事故で明らかになったダイヤ上は本来後ろを走っていたはずの列車が停車、微速前進中に、本来前を走るべき列車に追突されたという、管制システム上の問題、自動列車制御装置がうまく機能しなかったと見られる問題については触れられていない。これらの中国版新幹線システムの根幹をなす、より大きな欠陥を隠すために、とりあえず生贄の欠陥として、信号機の設計上の欠陥という、それほど全体状況に関係ないような「小さな」原因を持ち出してきたのではないか。
ついでに、温州南駅の担当者が不具合や故障を放置したという人為ミスを加え、落雷の影響もあったとした複合的な原因、という方向に持ってきているのは、昨日書いたとおりだ。

本当に早朝から会議をしたのだろうか。新華社のサイトのこの記事の配信時間は午前9時23分。中国人は早起きだ。というか前日までの事故をめぐる報道などに対応するため、前日から用意していた一定の途中経過での結論なのだろう。普通、日本での事故調なら、会議が終わった後で記者会見して、そこで発表する、という形だが、そこは「国営」新華社。会議に同席して局長のセリフをその場で記事化して配信しなければ、あるいは、事前に結論を教えてもらっていなければ、こんな早業は普通出来ない。

さらに、遺族に600万円の賠償金を支給するという、従来より厚めの補償対応も、温州駅や南駅などで遺族たちが集まって抗議をしていることに対して、体制を批判する様相がうかがえるという危機感を得たことで、まずこの動きを沈静化しよう、との出方に見える。都市部でデモなどの鎮圧に当たる武装警察らによる治安維持の予算に、防衛費と同等程度の予算を投入している中国において、大規模なデモになる前に未然に防ぐことが出来るのなら、破格の600万円など安い安い、と考えているのだろう。

ただ今のところは100人程度と、遺族関係者だけで抗議しているようで、ほかの不満分子を巻き込んでの大きなうねりになるような気配はない。中国当局は先手必勝だろう。あるいは中国のやり方に批判的な一部の西側メディアが彼らをあおって、より大げさに抗議を扱って何らかの動きを招くように仕組んでいるのではないか、と見るのは考えすぎだろうか。ややメディアスクラムが過ぎるように見える。


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