Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

薄熙来処分、18大11月開幕

2012-09-29 02:34:29 | 時事
薄熙来・前重慶市党書記、中央委員の党籍と公職の解除が決まった。
朝日新聞の連載記事「紅の党」を見るまでもなく、大連市長時代、遼寧省長時代、商務部長(大臣)時代および重慶市党委書記時代に重大な党の紀律違反を犯し、王立軍・前重慶市副市長兼公安局長の四川省成都の米総領事館への亡命事件、妻の薄谷開来受刑者の英国人ビジネスマン殺害事件について職権を乱用し、重大な誤りを犯した、としている。職権を利用して謀をし、巨額の賄賂を受け、数多くの女性と不正常な関係を結び、人事規律に違反した・・・・などとの罪状を挙げ、司法機関に送致することを決めたという。
女性との不適切な関係、ということまで書いていることから、よりスキャンダラスにあおって薄の犯罪を断罪することへの正当性を高めているのか。そもそも、女優のチャン・ツィイーの枕営業との情報とか、大連市長時代につるんでいた企業家の徐明に女性を斡旋してもらっていたとか、大連で一番人気の女子アナが行方不明になっていた、とか、女性問題もいろいろネットにあがっていたが、個別の事案についてどう、というより、そのような傾向も裏づけしたということだろう。本人にとっては非常に不名誉なことだ。

中央委員の資格を停止されたときから今までも「同志」の肩書きは残っていたが、中国共産党中央政治局が審議し、批准したこれらの罪状を示す中国共産党中央規律検査委員会の「薄熙来の重大な規律違反案についての審査報告」では、今回党籍解除となったことから、ついに「同志」でなくなり呼び捨てになっている。
後段に
「全党全国各民族人民は、胡錦濤同志を総書記とする党中央の周りに緊密に団結し、中国的特色ある社会主義の偉大な旗を掲げて、(・・・ここからが問題だが)小平理論と『三つの代表』の重要思想の指導を受け、科学的発展観を深く徹底し、・・・・」と続くのだが、中国共産党の常套句、「小平理論」「三つの代表」「科学的発展観」の前に「毛沢東思想」が入っていない。いうまでもなく、小平理論は名前のとおり小平、三つの代表は江沢民、科学的発展観は胡錦濤と、それぞれの最高指導者を示している。一番肝心な毛沢東が触れていないとは。まさか、中国共産党が毛沢東思想から離れたとは思えないが、毛沢東の威を借りて文化大革命のときのように、革命歌を歌ったり回顧主義に走ったり、軍事クーデターを起こそうとしたりして権力を掌握しようとした薄熙来の処分に関する文章の中には「毛沢東思想」はふさわしくない、と考えたのか。仮にそうだとしても、薄熙来の罪状は毛沢東思想に基づくものではない、と断罪すればいいわけで、毛沢東思想が入っていないのは結構恐ろしいことのように思える。

10月中旬にも十八大が始まると香港メディアも予想していたが、11月8日に開催することになった。習近平国家副主席の健康状態に問題ないとするなら、この薄熙来の処分に時間がかかり、ここまで開催日発表が遅れていたのか、それにもまして、11月開催というのもかなり遅い。これから1ヶ月その辺の思想的締め付けを厳しく進めていくのだろう。尖閣問題でドタバタしているような暇はないだろう。あるいは共産党の結束を深めるために、尖閣を人身御供にして愛国心を鼓舞していくのかもしれない。

映画「温故一九四二」完成

2012-09-25 02:20:09 | 時事
日中戦争期に飢えに苦しむ中国河南省の人々を、敵軍だった日本軍が軍糧を与えて救ったという実話に基づくルポルタージュ「温故一九四二」(劉震雲作、1994年)の映画化を進めていた、中国映画のヒットメーカー、馮小剛(フォン・シアオガン)監督が「一九四二」を完成させたようだ。ネット上に予告編がアップされている。

予告編を見ると、かなり大掛かりな戦争シーンやCGなども使われているようだ。日本の戦闘機の特撮などはややショボイ感じもするが。

馮監督が「温故一九四二」の制作に意欲を燃やし、なんども脚本を書き直していた、とは聞いていた。その辺はこのブログでも紹介した。馮監督の中国版ツイッター「微博」(ウェイポー)でも、実際に重慶で撮影に入っていたなどと書き込まれていた。

馮監督自身がバリバリのヒットメーカーで「集結号」や「唐山大地震」と「非誠勿擾1、2」などヒットを飛ばしまくっており、興行収入も桁外れで制作費的には問題なかったのだろうが、日中のこのご時勢で、新たな問題も出ていると心配する。

中国で2010年に大ヒットした映画「唐山大地震」は、実際に中国の河北省唐山市を震源に1976年7月に発生し、北京などにも被害を与えたM7.8の大地震を描いたもので、このブログでも紹介したが、日本で封切が決まり、試写会も何度かこなした11年3月、東日本大震災がおき、配給元の松竹は無期限上映延期を決めた

日中戦争中に日本軍が中国人民に食糧を与えて助ける、というある意味、親日的なテーマは、尖閣諸島問題で国交正常化40周年記念式典が中止になった今の情勢下でなくても、中国の観客にはなかなか受け入れにくいのでは、と心配してしまうが、馮監督はもともとこのルポルタージュの映像化に執念を燃やしており、完成したということだろう。すでに撮っちゃっているわけだから、お蔵入りにするわけにもいかないし。こんなに、国交正常化以来最悪の日中関係になるなんて予測できなかっただろうし。
ただ、「唐山大地震」が日本でいまだロードショーできないように、「一九四二」もなんだか運の悪い作品になってしまうのではないか。
今回の予告編は「国際版」ということで、中国国内に上映されるものではないようで、まず海外で賞をとるなどして景気づけをして、国内に凱旋するという戦法なのか。中国の人にも見てもらいたいし、日本でも上映してほしいと思う。

この映画で、日中のギスギスした関係が少しでも緩和されればいいのになあ、と思ってしまうが、どうなるだろう。

習近平副主席姿見せる

2012-09-15 13:43:20 | 時事
9月5日のクリントン米国務長官との会談をドタキャンした次期総書記予定者の習近平・国家副主席が2週間ぶりに姿を現した。北京の中国農業大学で全国科学普及日の記念行事に出席している写真2枚を新華社が配信したようだ。

9月1日の中央党校始業式での演説以来、動静が全くなかったとして、初期の肝臓腫瘍を摘出したとか、水泳で背中を痛めたとか、心臓発作を起こしたとか、交通事故に遭ったとか、それで北京の301病院に入院していたとか、またまた暗殺が企てられたとか、ネットの玉石混淆の情報に、大手メデイアも右往左往させられていた。

大手メディアのソースとなっていた米国にある反体制ニュースサイト「博訊」は、序列9位の賀国強・中央政治局常務委員とともに交通事故にあった、との情報を流し、その後、打ち消していたが、14日になって、習副主席は、18会党大会の準備作業と尖閣諸島問題による対日問題の処理で多忙を極めており、党と国家の一大事に全力投球している、と伝えた。内外が自らの進退について云々していることに対しても「言わせておけ、俺たちはやるべきことをやるだけ」と意に介していない様子だったなどと伝えている。

写真2枚だけで、健康問題や外傷があるなし、などについてはまったくわからないが、具体的な言葉や原稿の中身が配信されていないことから、習副主席からすれば「言いたいやつらには言わせておけばいいが、面倒くさいので顔ぐらい出すか」ぐらいの感じでの写真配信か。テレビなどで動いた画像がないことから、歩くのはぎくしゃくしているが、それを隠すための静止画だけの配信なのか。

中央電視台(CCTV)の夜のニュースでは動く習副主席の画像も報じられたようだ。特に健康状態に問題はなさそうだとのことだという。CCTVのネット配信動画が見られるが、4分半ほどのニュースの中で歩いたり、子供と談笑したり、観衆を前に演説したり、と取り立てて変化はなさそうだ。特にやせた、という感じでもなかった。

習近平が雲隠れ?

2012-09-11 02:30:52 | 時事
9月5日に予定されていた米国のクリントン国務長官と習近平国家副主席の会見が、中国側の申し出により4日、ドタキャンとなった。習副主席はこれ以外にシンガポール首相やその他の外交行事も顔を出すことをせず、9月1日の中央党校の始業式での演説が10日に配信になるなどしているが、9月1日以降の動静が明らかになっていない。

最初は、日本の尖閣諸島領有について米国が理解を示していたことから、これを牽制するために、わざとヒラリー国務長官との会見をドタキャンしたとの説も流れた。2005年、来日中の呉儀・副首相が小泉首相との会談をドタキャンしたことがあった。小泉首相が靖国神社を参拝したことへの面当てだ、との見方もあったが、靖国参拝した小泉と会談することで中国国内の反日派による自らへの攻撃を心配した、との考え方もあった。いずれにしても中国は政治的な思惑で決まっていた外交事案をドタキャンする〝前例〟があることから、尖閣諸島問題が原因との考え方が当初広まった。

記者の質問に楊潔チ外相は、「いろいろ取りざたされる問題ではない。深読みするな」と答えたという。ただ、具体的な動静が明らかにならないと、いろいろな憶測を呼ぶ。

その後、日本メディアが、習副主席は水泳中に背中を痛めて療養中、との情報を流した。賀国強・政治局常務委員の動静も聞かれないため、二人が自動車事故に遭った、とか、習副主席は水泳で背中を痛めたのではなく、刺された、暗殺の標的になった、とのネタも流れ、どうなっているんだという状況になってきた。

胡錦濤国家主席(党総書記)がウラジオストックのAPECに出席したり、温家宝首相が大地震があった雲南省に慰問に行くなど北京を離れていることから、「政変」の可能性はあり得ないと思える。
かつて、1971年に林彪事件が起きたときは周恩来首相らの動静が一時、不明になり、直後の国慶節パレードが中止になる、などの事態が起きた。今回はそこまで深刻ではないようだ。

米国に本拠を置く反体制サイト「博訊」は当初、賀国強とともに交通事故などの情報を流していたが、10日、これを全否定、習近平副主席は、10月上旬に予定されている第18回党大会の準備で多忙を極めている、として、今月20日には、党大会の準備事項を決める第17期七中全会が開かれると伝えた。

王立軍・前重慶市副市長兼公安局長が起訴されたこともあり、18大前に薄熙来・前重慶市党委書記の処分も決まるだろうとしている。

で、18大での中国共産党の人事について、海外メディアの見方はかなり収斂されてきた。すなわち、政治局常務委員会の定員は9人から7人に減員されること。胡錦濤が望んでいたこの7人制実現のために、胡錦濤は中央軍事委主席に居座ることなく、腹心の李克強・副首相(首相に内定)を中央軍事委副主席に推すことを条件に完全引退すること。習近平の腹心の栗戦書が中共中央弁公庁主任に決まったこと、現弁公室主任で胡錦濤の腹心の令計画主任が格下げとなり、統一戦線部長を兼任することで、胡錦濤の思惑通りに人事が進んでいないこと、などが明らかになってきている。
政治局中央常務委員が7人に減員となると、薄煕来のライバルで胡錦濤一派の汪洋・広東省党委書記の政治局常務委員会入りや、共産党青年団出身ののエース、胡春華・内モンゴル自治区委書記の次の次の総書記をにらんだ2階級特進での政治局常務委員会入りも難しそうだ。胡錦濤は「次」でいいや、と令計画も含めて今回の昇格は見送ったと見られる。

北載河会議を終えても最終決定は出来ていないとみえ、その結果、米国務長官との関係をドタキャンするなど習近平副主席があわただしく動いていたり、栗戦書や令計画の人事が観測気球的にあげられているのではないか。

北京国際マラソンの日程は、公式ホームページではまだ報じられていないが、一説によると10月14日らしい。18大はそれ以前に行われるとの見方が有力だ。

阿牛(曽健成)は落選

2012-09-11 02:12:28 | 時事
9日投開票の香港立法会選挙で、新界西選挙区から立候補していた尖閣諸島に上陸した活動家、阿牛(牛ちゃん)こと曽健成は落選した。

そもそも香港の選挙の投票率はきわめて低い上、民主党を離脱してもっとも急進的な民主派である社会民主連線を作ったとしても、一方で愛国を訴えて中国側から資金を得て釣魚島防衛運動をしているチグハグさを香港の有権者も見抜いていたのか。
泳いで島に渡る能力があるぐらいでは、大事な行政長官選挙の選挙方法を審議するメンバーには選ばれない、ということか。
香港のメディアもきわめて冷淡で、特に牛について触れるような報道は見られない。

ただ、この選挙の投票日前日に、民主派の伸長を危惧した梁振英・行政長官は、先に内定していた「愛国心教育」を香港で義務づける方針を撤回した。それでも民主派は3分の1を獲得したということで、香港の民主はそこそこ機能していくのか。選挙結果だけでは分からないが。