中秋の名月、旧暦の8月15日(今年は10月3日)の2日後の5日に、浙江省海寧市塩官に行った。かつて塩の専売で栄えた古鎮だが、目的はこの町を流れる銭塘江が、毎年この時期、月の満ち欠けに伴う満潮時、海水が川に逆流する
海嘯(クリックでYoutubeに飛びます)現象を見るためだ。川が急に狭まり曲がっている地形が逆流を助長して、昔から観潮ポイントとして有名で、清の乾隆帝も何度も訪れたという。
あいにく10月1日の国慶節(建国記念日)から始まる8日間のゴールデンウイークの期間中。しかも日食があった年で例年より現象が大きいとの前評判で、混雑が予想された。普通なら乗り合いバスでチープに旅行するけど、帰りのバスに乗れないかも、などの可能性も考えられ、昼食と古鎮観光付き日本人向けバスツアーをネット上で見つけたので、最大の逆流が発生するとされる旧暦8月18日(10月6日)を避けて、5日のツアーを申し込んだ。12000円。背に腹はかえられない。
上海体育館隣の華亭賓館に8時50分集合。一行は18人。中国青年旅行社の日本語ガイド2人が案内してくれる。一度休憩を取り、道中はほぼ順調だったが、高速道路の塩官出口で大渋滞。出るまでに30分ほどかかり、結局、この日の逆流発生とされる12時40分のほぼ1時間前に現地着。
確かに、ものすごい人だが、立錐の余地がない、というほどでもない。この街は1年でこのときだけが大観光地化するということで、観潮節のお祭りをしている。
12時ぐらいから、川の下手の水平線あたりに白い波が立っているように見えてきた。ビデオの最大望遠で拡大して見ると、確かに逆流だ。中国人たちも「来了、来了。白色的」(来た、来た。白い奴だ)と騒いでいる。
逆流のスピードは思っていたより遅く、人間が走って追いつくぐらいだろうか。かつて堤防に乗ったりして油断したアホな中国人が流されて死亡事故も起きていたので、もっと大きな波を期待していたが、1メートルぐらいか。現在は観光資源として見物スペースが整備されていて危険ではない。入場料(120元、古鎮史跡観覧費も含む)を払ってこういうスペースに入るのでなく、勝手に川べりで見物した奴等が事故に遭うようだ。事故に備えて警官が大量に配置されていた。
最大ピーク時とされた6日に新華社が配信したニュースによると、今年は「今世紀最大」と予測されていたが、水流や天候、川底に堆積した泥などの複数の要素から、そんなに大きくならなかった、と分析していた。ただ6日の人手は60万人だったとという。新華社配信の写真を見ると、さすがに翌日のこの日は立錐の余地もないほど見物客が殺到していた。1日前に行って正解だった。