Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

成龍のこと

2009-04-21 16:06:10 | Weblog
香港映画スターのジャッキー・チェン(成龍)が4月18日、海南省博熬(ボアオ)でのアジアフォーラムの記者会見で「自由すぎると香港や台湾のように混乱する。中国人は管理したほうがいい」と発言、香港や台湾から厳しく批判されている。
基本的人権は管理とか混乱とかと比べられず不可侵のもの、という考え方が定着している日本人にとっては「あり得ない」と思うのは当たり前。日本の閣僚がこんな発言をしたら一発で更迭だ。ただ、ジャッキーは中国大陸でのフォーラムの場ゆえ「中国共産党指導部に忠誠を誓って、いいとこ見せよう」ぐらいに思った発言なのかもしれない。
実際、香港映画界がかつて黒社会と関係があったり、台湾の陳水扁前総統が総統時代のファミリーの汚職で収監されるなど、ジャッキーにとっては苦々しく思っていた事案だったと思う。ただ、だからといって公の場で「人権は管理されるべきだ」と発言しては人格が疑われても仕方がない。
ただ、当の中国人たちは「基本的人権」に対する感覚が希薄なのか、いろいろな考えを見せてくれた。
「人民日報」(中国共産党中央機関紙)のホームページ「人民網」内にある閲覧者の書き込み欄「強国論壇」を見てみると、
「ジャッキーは監獄に行け」「ジャッキーは“植民地教育”を受けている、“小日本(日本の蔑称)”の広告塔だよ」
というのがある一方、
「まったく同意」
みたいなのも少なくない。ここでなぜ「小日本」が出てくるのかは不明だが。
「ジャッキーには自分の考えを表現する自由があるわけで、つべこべいうやつは反民主、反自由のバカだ」
と、民主や自由をはき違えて、理解できないケースも見られて面白い。
「ジャッキーは自分は中国人だと認識しており、金持ちになった後は機会あるごとに自らは愛国だと宣伝している。その考え方はいいんじゃないの」
と、割と鋭いところを突いたモノもある。
「ジャッキーは香港の中国人だから、大陸の中国人がしてきた苦難を体験してない。彼が何を言っても大陸人は相手にすべきではない」
これに「苦難って?」という質問が来ると、
「猫は全人口の0.5%の中国人を殺したけど、香港人は殺してない。(中国)大陸では何千万人が猫のおかげで餓死したけど、香港人は餓死してない」と“中国人の苦難”を説明している。「猫」と書かれているが、中国語の発音では「毛」と同じ。いうまでもなく毛沢東批判なのだが。中国共産党おひざ元の「人民日報」内のサイトで削除されずに残っている。

ま、「文革期に江青・四人組に利用され、晩年に誤りを犯した」というのは毛沢東に対する中国共産党の公式見解だから、それに外れたことは書いていない。だからいいのかなあ。
強国論壇は左派的な書き込みが多いのと、当局が管理してふさわしくない発言を削除している場合もあるので、必ずしも中国人民の意見を代表しているわけではないかも、と思って、メル友の中国人たちに聞いてみても、「許せない」という常識派もいれば、「中国政府が管理すれば表面的には安全だ」と現実派、肯定派もいる。
「基本的人権」と「愛国」が対立軸にあるという彼ら中国人の考え方は、自分たちの自由が束縛されることが共産党の望むところだ、と分かっているからだ。