Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

中国国内十大ニュース

2011-12-29 01:25:26 | 時事
新華社は28日、2011年の中国国内10大ニュースを発表した。
1、不動産価格を安定させ、1000万の住宅を創出した。
2、全人代で法律体系を整え、240の法律と706の行政法規(条例)と、地方の法規8600余りを制定した。
3、第12次五カ年計画はうまくいった。価格も安定した(ホントかいな?)。
4、今年度初めて「三公」を公開し、監査を受けた。(三公とは公用車の使用、公用旅行、公用の宴会、を指すという)
5、中国共産党結成90周年で、胡錦濤総書記が重要講話を行った。
6、中国高速鉄道追突事故で多くの死傷者を出し、事故調査の結果が多くの注目を受けた。


折しも28日、国務院が最終報告書の結果と関係者54人の処分を発表したが、さすがにこれだけ大きな事故を年越しとするのは無理だろうということで、ギリギリで出してきたもののようだ。同時に十大ニュースに加えるというのも、極めて恣意的な感じだ。ネットで騒いできた人々への配慮だろう。
事故は信号の故障と従業員の研修不足などの原因に、当日の報告が遅れたり、それを隠ぺいしようとしたことなどが重なって発生、重大化したと総括している。
かといって、これによって鉄道事故再発防止が出来るのか、といえば、まあ、無理だろう。報告書の最後に「事故調査グループは事故が暴露した問題を受けて、8つの方面に対して改善措置を建議した。すなわち、鉄道主管部門に、鉄道運輸企業と設備生産企業は事故の教訓を深くかんがみ、科学的発展観を貫徹し、安全発展理念を強く打ち立て、高速鉄道技術設備の製造と研究開発、管理を強化し、高速鉄道の安全運行の規則や制度、基準を完成させ、技術設備の安全な導入を厳格に進め、運輸安全管理と従業員の教育訓練を進め、鉄道安全制作の応急管理を強化し、高速鉄道全体を計画的に配分して発展させる計画をつくり、それをもって高速鉄道のの安全性を健全に持続的発展ができるよう進する」と、翻訳のまずさもあるが、よくわからん、なんのこっちゃ、という理念を述べているにとどまり、具体的な再発防止策には全く触れていない。

あんまりたいしたことないけど、残りの4つは、

7、天宮と神舟の中国の宇宙船がドッキングに成功、中国の宇宙事業が発展。
8、辛亥革命100年で、先人を思い、団結、奮闘、心を合わせて復興する。
9、6中全会が文化強国との新たな方針を示し、国を挙げて上も下も文化建設に燃えている。
10、極貧扶助の進み、1億以上の低収入人口に恩恵を与えた。

なんのこっちゃ、という十大ニュースだ。北朝鮮のスローガンともあんまり変わらないようなトーンだな。

スパイ映画「秋喜」を見た

2011-12-26 14:10:05 | 映画鑑賞
2009年10月の国慶節休み期間に上映された国民党と共産党のスパイ映画「秋喜」をネットで見た。この時期は中国建国60周年の「建国大業」や、やはりスパイ映画の「風声」が封切られた年だ。


監督は孫周。と言えば、かつてとても気に入った「心香」(邦題・心の香り)の監督だ。これは京劇役者の父母の確執で、田舎のおじいちゃんに預けられた京劇のうまい男の子の話で、田舎でおじいちゃんに嫌々四書五経を読まされたり、同年代の女の子と知り合ったり、おじいちゃんといい仲の近所のおばあちゃんにかわいがられたり、その死を目の当たりにするなど、成長する物語。
これ以外には「漂亮媽媽」(邦題・きれいなおかあさん)、「周漁的火車」(同・たまゆらの女)などを撮っているらしい。いずれもコンリーかあ。実はジャッキー・チェン主演、プロデュースの「神話(THE MITH)」とか、「荊軻刺秦王」(同・始皇帝暗殺)などに出演しているらしい。

中国ではテレビドラマの「潜伏」や、あるいは李安(アン・リー)監督の映画「色戒 ラスト・コーション」が大ヒットしてから、中国では抗日戦争期や国民党と共産党が争っている時代のスパイ映画、ドラマが目白押しになっている。

ここからは作品の中身に触れるネタばれになるので、ご注意。

「秋喜」も、中華人民共和国の成立を毛沢東が宣言した1949年10月1日以降も、国民党が支配していた広州で、放送局処長にして国民党幹部のもとで放送局部下として忠誠を誓うフリをして情報収集する共産党のスパイ(郭暁冬)の話。
どうやら国民党は台湾に逃げなければいけないらしい、と、いうときに、共産党の指示で台湾に潜入して諜報活動をし続けるように決まり、北京に行く気満々だった妻(彼女も共産党の活動員)だが、泣き叫び、結局広州を離れさせる。
「秋喜」とは二人が雇っていたメイドさん(江一燕)の名前で、夫婦が党の活動について密談しているときに、サンダルを履かず裸足で食事などを持ってきて、ドアの外で耳を澄まして二人の話を聞いている。二人は情報が洩れるかも、と秋喜を叱責し、今後はサンダルを履け、と命じる。

一方で、主人公は台湾に潜入することになり、「私も処長についていきます」と、相手を安心させて書類などの情報を入手、共産党の連絡員に伝える。処長は共産党のスパイに疑心暗鬼になり、多くを見つけ出し殺す。自分の部下に対しても疑いを持つが、主人公は同志の処刑を目の当たりにして、ぎりぎりで切り抜ける。

妻が広州を離れた後、主人公は身の回りの世話を秋喜にしてもらうが、秋喜はご主人に愛情を感じるようになる。最後に台湾を離れる前に、処長と銃を撃つ練習をした際、的の布の裏側に秋喜が縛られていて、我知らず主人公が秋喜を射殺してしまうことになった。

最後におそらく主人公は上司と相撃ちになって死ぬのだろうが、台湾に潜入して諜報活動を続けていたのなら、それはそれで面白かったなあ、とも思う。実際に、台湾に潜入している(していた)共産党の諜報員もいたのだろうが。

それと、秋喜は、田舎の父親が自分の船に共産党の人間を乗せた、というだけで殺された、という身の上で、国民党に憎しみを持っているが、共産党の関係者だったのだろうか。あくまでも濡れ衣、あるいは主人公を陥れるために、処長が捕らえて殺させたのか。立ち聞きしていたのも、実は情報員だったのか、まったく関係ないのか、秋喜の背景、というか状況が謎のままで、ちょっとすっきりしない。まあ、謎の女として描きたかったのかもしれないが。彼女は「南京!南京!」に出演していた。日本兵の慰安婦に、と自ら一番最初に手を上げた気の強い売春婦を演じた。薄幸の女性を演じるとハマるタイプかもしれない。

広州の雰囲気がいろいろ出ていて、撮影はどんな風にしたのだろうか、とセットや風景を見ていても楽しい。


排ガスが大気汚染の元凶

2011-12-22 01:44:22 | 時事
12月20日付の人民日報が「車の排気ガスが大気汚染の重大な原因だ」とする調査結果を掲載した。環境保護部が発表した2011年「中国動力車汚染防止年報」によるもので、第11次5カ年計画期間(2007-2011年)中の全国の自動車の排気ガスの放出状況をまとめた。結果として、中国は2年連続で自動車販売世界一となったことから、排気ガスが大気汚染の重大な原因となっている、としている。


環境保護部の陶徳田報道官によると、中国の動力車保有台数は第11次五カ年計画期間に1.18億台から1.9億台に増加、年平均10%増という。うち、自動車は3088万台から7721万7000台と、150%増だ。うち12.8%が国の排ガス規制の基準を満たしていないという。

自動車保有台数が急増したことで、大気汚染が深刻となり、このうち北京周辺などで頻発するスモッグや酸性雨、光化学スモッグなどの原因として、車の排気ガスが密接に関係している、と指摘している。人口密集地域では自動車も多く、排気ガスが人々の健康に直接影響を与えている、ともしている。

とか、言っているにもかかわらず、今や米国を抜いて世界一のCO2排出国である中国が、このまま大気汚染問題を放っておくわけにはいかないだろう。何とかしてくれないと世界中が迷惑する。

映画「関雲長」見た

2011-12-19 11:38:03 | 映画鑑賞
中国のGW映画で1番の集客だったという三国志の関羽と曹操を描いた「関雲長」を見た。アクションスターとしていま一番アブラがのっている甄子丹(ドニー・イェン)が関羽を演じ、曹操を姜文が演じている。関羽が思いを寄せる劉備の妻役に孫儷。

この映画には劉備も諸葛孔明も出てこない。関羽と曹操の男の友情と義、生きていくために殺生をしなければならない無常を描いているようだ。

この辺からまたネタばれです。映画を楽しみたい人は読まないほうが。

映画は関羽が孫権軍に捕らえられ首をはねられて、その首が曹操のところに運ばれてきたところから始まる。棺おけの中に木で作られた体の部分に届けられた頭を合わせて葬り、曹操が送るところから始まる。

そういえば、魏の曹操の本拠地、河南省洛陽の駅から南下し、龍門石窟に向かう途中、左側に関林(関帝廟)があり、その中に関羽の首塚があった。映画のこのシーンで関羽の首を葬ったところがこの首塚なのか。石碑に小さな穴が開いていて、そこにコインを入れると、関羽のうなり声が聞こえる、という言い伝えがあるという。当時、いまは日本の500円硬貨よりちょっと小さい1元コインがあるから、それなりに投げ入れた後の反応もあるのだろうが、最初に行った80年代は、中国のコインといえばイ分か1イ分ぐらいだったか? 風が吹けば飛んでしまうようなアルミ硬貨だった。音も聞こえたかどうか。関羽のうなり声というより、風が吹いた音が聞こえただけのようだった。

で、話は過去にさかのぼり、関羽が曹操の義理を受けて人質というか、曹操のもとに身を寄せることになり、そこで、曹操は関羽の人柄をいたく気に入ったので、ここに残れ、劉備のところに帰るなとしきりに進めるのだが、劉備のところに戻るという考えは変えない。曹操は未練はありながらも関羽を尊重して、途中の通行手形を出す。しかし、関羽を暗殺しようと企てた魏皇帝の追っ手が、あちらこちらに散らばっていて、それらを倒しながら戻っていく。

三国志の中の中国人にとっては誰でも知っている一場面のようだ。日常会話でも使うような、ことわざになるような趣深いせりふもでてくる。

ブルース・リーの師匠を演じた「葉問」とはまた違った、青龍刃を使っての甄子丹のアクションは見事。みてくれは貧相な若い兄ちゃんのようで、とても関羽のイメージではないが、まあ、それはご愛嬌。

姜文が演じた曹操も人間味あふれた魅力的な人物として描かれていて、最近の傾向として、たんなる残酷な悪役、という曹操像から離れ始めているようだ。

孫麗は映画の中のきれいどころ、というかイロモノ的に美女を配したのだろうが(美女といえるのかどうか)、あまり効果的とは思えない。

レッドクリフの成功以降、三国志の部分部分を映画化するのが増えるのかもしれない。ただ、この映画は三国志を知らない外国人らにとってはちょっと苦しいかもしれない。ストーリーは単純なので、背景を事前に理解していれば特に難しい映画ではないと思う。

上海蟹

2011-12-14 14:42:32 | 飲食
今年の東日本大地震発生直後にオープンした新駅ビル内には台湾の鼎泰豊(ディンタイフォン)があり、近くの総合ショッピングモールには上海の南翔饅頭店がある。小籠包競争は激しいのか、それにしては客はそんなに多くない。上海・豫園内にある小籠包の名店、南翔饅頭店の支店に久しぶりに出かけた。

この時期、ここにはあると思ったら、やっぱりあった。上海蟹。さすがに上海で食べるよりはお高いが、それもちょっとだけ。


蟹ミソ入り小籠包と紹興酒を含むドリンク、蟹ミソ入り春巻きのセットメニューもあった。競争で価格帯を広く、選択の幅が広がるようになってきたのか。


前菜に牛肉の冷菜。五香粉が効いていて、中華だ。日本の食べ物ではない。

豚肉の小籠包。もっともオーソドックスなやつ。ジューシーでおいしい。鼎泰豊より皮は存在感があり、具は歯応えがある。

蟹ミソ入り小籠包。蟹ミソが冷凍なのか、やや生臭い感じも。同行の上海人には評判が悪かった。

鶏空揚げの黒酢ソースかけ、いわゆる油琳鶏。黒酢ゆえ、味が深い。

豚肉の角煮。いわゆる東坡肉。長崎でもよく見られるような角煮まん、だが角煮が甘すぎず八角の香りがする。中華だ。

蟹を開いたところ。いわゆる「母」でメス。オスは「公」。オスのほうが季節的には先に食べごろになり、メスのほうが時期がやや後。卵がいっぱい。最初から半分に切られているのはどういうことか。ちょっと茹ですぎかなあ、とも思ったが、いろいろあるのでしょう。冷凍で持ってきているのかな。

映画「西蔵往事」見た

2011-12-12 16:01:34 | 映画鑑賞
会社で留守番の泊まりだったので、ネットで映画を2つ見ることが出来た。2つ目は「西蔵往事」。西蔵とはチベットのこと。漢族の女性監督、戴瑋による今年4月の作品。


日中戦争終結前の1944年、連合国側は抗日戦争を戦う蒋介石の中国軍を支援するため、インドからヒマラヤを越え雲南省や重慶に物資を運んでいた。険しい気象環境と山々に阻まれ、1500機の輸送機が墜落、3000人近くの犠牲者が出たという。そんな時代のチベット人の村の物語。当時のチベットは、一時期、清朝から保護区とされ、辛亥革命後の中華民国時代は英国軍が駐留するなど、半独立状態にあった。

ここから映画のあらすじにも触れます。ネタばれです。ご注意。

主人公の米国人パイロット、ロバートは中国へ向かう途中、輸送機が墜落、目を傷め山の中をさまよい、ただ一人、チベット族が住む村にたどり着く。村人は西洋人を見たことがなく「紅毛鬼」と恐れ、そこで「妖女」と仲間はずれにされていたチベット人女性、雍措が世話をすることになる。外国人の殺人犯を調査するため国民党の兵士が村に来て、捜索を命じる。村の長は農奴の江措に「殺人犯を捕まえたら自由の身にしてやる」と約束する。雍措はロバートに身の危険が及んでいると感じ、逃がすが、江措はロバートこそが殺人犯だと思い込み、追う。

チベット族の話を漢族の監督が撮るという奇妙な感じ。中華人民共和国成立(1949年)直後の1950年に人民解放軍がチベットを侵攻(共産党側は「和平解放」と呼ぶ)、1963年製作の「農奴」という映画も、チベット政権下で圧制に苦しみ、共産党による“解放”で奴隷の身分から自由のみになった、というプロパガンダ映画だ。学生時代に池袋文芸座でやっていた中国映画祭で見た。当然、オールモノクロ、体制側がどのようにチベットを治め、洗脳しようとしているのか、垣間見られる映画だった。45年たって現代になったが、この映画も、農奴や女性を村八分にする封建的、後進的な地域として当時のチベットを描いている。作品としてはわかりやすいが、恣意的な感じがする。

中国辺境に米軍の輸送機が墜落して、現地の女性と・・・・、というのは、1986年に香港の厳浩(イム・ホー)監督が撮った「大菩薩」というのがあった。物語の取っ掛かりは同じだ。「大菩薩」の場合は米兵が雲南省の少数民族、イ族の村にたどり着き、奴隷として扱われるが、同じ奴隷の境遇の女性と結ばれ、子供も出来るが、戦後、彼を捜索しに来た軍により、村を離れなければならなくなる・・・・という話だった。

当然、家の中に掲げられているはずのダライ・ラマの肖像画も、詳細なチベット仏教の祈りの様子もない。ただ、マニ車を回し、五体投地をしながらラサを目指す様子を映し出すぐらい。チベット人がこの映画を見たら、どう思うだろうか。

映画「東風雨」を見た

2011-12-11 15:33:22 | 映画鑑賞
2010年の中国映画「東風雨」を見た。
戦前に摘発された国際スパイ事件「ゾルゲ事件」で死刑となった尾崎秀実(ほつみ)も出てくる上海を舞台としたスパイ映画だ。
范冰冰(ファン・ビンビン)も女スパイ役で、中国で有名となった日本人俳優、矢野浩二や、竹本孝之も特高役で出てくる。


ここからはネタばれです。ご注意を。

尾崎が拘置所で死刑になるところから物語は始まる。映画では1941年12月8日の真珠湾攻撃について、日本が米国を攻撃するという情報を尾崎が中国に送った、としている。これは史実に合うのだろうか。尾崎は1941年10月に逮捕されている。時制が前後するのではないか。

もうひとつ、取り調べに対して尾崎は「私は中国共産党員だ」と答えているが、これも疑わしい。資料によると、尾崎は大阪朝日新聞の上海特派員として1928年11月から32年2月まで上海で勤務している。この間、中国共産党とも接触があったのは間違いない。朱徳を描いた「偉大なる道」や「女一人大地を行く」を著した中共党員で米国人ジャーナリスト、アグネスス・メドレーと交流を持った、というかもっと深い付き合いだったことは良く知られている。が、その後、情報の連絡については、日本では無線機を使っておそらくモスクワのコミンテルンに直接行っていることから、コミンテルン本部の機関に属しているとは考えられても、中共党員という、その当時はコミンテルンの下部組織という低い身分だったとは考えにくい。
また、わざわざ内閣の書類を写真にとって、そのフィルムを(感光してオジャンになってしまう可能性もあるのに)現像しないで(現像はしてたのかもしれないけど)船で上海に運ぶという、のんきにゆっくりと情報をつたえるなぞ、当時でもスピードが遅すぎでは。中国に船で送るより、無線か電話か、何かほかの方法でソ連に直接送ったはずだ。

当時の中共は、1927年に蒋介石の上海クーデター(4・12クーデター)で攻撃を受けて国共合作が崩壊し、コミンテルンの指導下にあったいわゆる「李立三路線」の時代だ。天下の毛沢東大先生もまだ実権を握っておらず、ソ連のいうことを聞いて都市で蜂起しては失敗し、今では「右翼日和見主義」と批判されるなど、勢力が弱体だった時代だ。毛沢東らが江西省瑞金に「中華ソビエト共和国臨時政府」を樹立したのが31年11月。その後、34年に瑞金を放棄し長征と呼ばれる大逃亡の途中、貴州省遵義での会議(1935年1月)で、半ばクーデター的に毛沢東が政治と軍事の最高権力を握ることになる。

尾崎の仕事として特筆されるのは、日本の「南進」政策をコミンテルンに情報として送ったとされることだ。南進が実際に行動にうつされたのは40年のフランス領インドシナへの進駐。当時のソ連としては日本の関東軍が満州・ソ連国境から攻めてくるのか、あるいは米英などの経済封鎖で資源が入りにくくなってきたため、特に石油確保のため、それから援蒋ルートを断つために東南アジアに進出するのか否か、が焦点になっていたはず。それによって、ソ連にとっては欧州戦線のナチスドイツに当たる軍備を増やすか、極東に大きな戦力を保持しておくのかどうか、大きな戦略上の選択だった。尾崎はときの首相、近衛文麿のブレーン(映画では「秘書」となっているが、誤り)として第1次近衛内閣の嘱託となり、また近衛主催の朝食会に参加(ここは映画も正しい)、近衛の政策決定に大きな影響を与え、あるいは情報を入手できる立場になっている。37年には朝日新聞を退社、39年には満鉄調査部嘱託職員となっていた。

映画を見ている人たち、というか映画評論家、あるいは中国の映画担当者は、おそらく尾崎秀実が実在の人物で、物語の一部が実話であるということを知らないのだろう。中国映画(もちろん、あくまでもエンターテイメントですから)に良く見られる、歴史の歪曲、というか事実誤認が、この映画にも見られる。時代考証をきちんと行うのか、あくまでも娯楽作品なのか。

ところで、この映画の監督は柳雲龍という俳優で、監督兼主演、だという。初監督作品だとのこと。だとすれば、1970年生まれとまだ若いが、ゾルゲ事件なんて知っていたのか。あるいは脚本か、プロデュースがこういうことを考えていて、それを映像的に実行に移しただけなのか。

大陸でも台湾総統選注目

2011-12-11 11:23:52 | 時事
来年1月14日に投開票される台湾総統選。10日は副総統候補3人によるテレビ公開討論会が開かれた。

中国メディアも限定的ながら、台湾総統選について報じており、ただ、
台湾総統→台湾地区指導者
副総統→副手
台湾総統選→台湾大選
立法院選→民意代表選挙

などと、「中華民国」という国である、ということを認めていない、という前提から、いちいち言い換えて報道している。それでも逃げられない場合は「」をつけて、かつて日本のメディアが台湾の省庁について「外交部(外務省に相当)」「政務委員(閣僚に相当)」などとやっていたような、逃げ方をしている。いま、日本のメディアは「…に相当」をやめて、事実上の省庁であるように表記している。「外交部(外務省)」「政務委員(閣僚級)」のように。実際、台湾に名前はともかく、自らの元首を民主選挙で選ぶ政治実態があるということで、いちいち大陸の意を受ける必要もあるまい。悔しかったら、国家主席の直接選挙をやってれば……。
報道についても、馬英九・呉敦義の国民党の正副総統候補や、親民党の宋楚瑜・林瑞雄ペアについては肯定的な報道をする一方、独立派の民進党の蔡英文・蘇嘉全ペアの弁論については、汚職に対する弁解に終始した、とか、いちいち露骨に悪いことのみ報じている。おとなげない。もちろん、選挙報道で平等性・公正性を保てない報道機関では、国家元首の民選などできるわけがない。所詮、「中国的特色のある社会主義民主」なんだろう。


この模様は台湾のテレビ局はもちろん、香港の鳳凰台(フェニックステレビ)でも見ることが出来たようで、中国版ツイッター「新浪微博」で「台湾大選」で検索してみると、いろいろな意見が寄せられている。ネット上でこの弁論の様子の動画のサイトアドレスを何度も張り付け、おそらく中国大陸でも鳳凰台やその他のサイトで総統候補、副総統候補の演説をそのまま見て、台湾の「民主度」を実感しているようだ。

「うらやましい、嫉妬する、恨むよ」「3人の候補が記者の質問に答えている。中国の汚職官僚にできるかね」「なるほど台湾が中国と統一したい、と言わないわけが分かったよ。民主制度が徹底している」「いつか台湾が中国と統一して、直接選挙で台湾の指導者を国家副主席にする、とか、言っているけど、国家主席にしたっていいわけでしょ?」---と、自らの国家元首を直接選挙で選ぶ民主的な方法を目にして、びっくり、かつうらやましがっている様子が手に取るようにわかる。「僕なら宋楚瑜に当選してもらいたい。なぜなら統一をにらんでいるから。馬英九は『独立しない、統一しない、武力行使しない』と言っているし」と無邪気なものもある。台湾の選挙や民度を揶揄するものもあるが、少数だ。おそらく体制側が流したものなのだろうが。民意の爆発にこんな瑣末な言論は押しやられている。

また、
台湾の選挙は我々に以下のことを教えてくれた。
1、もともと華人は民主できる。人種とは関係ない。
2、もともと選挙は民衆の顔色をうかがって弁論するものだ。代表とは関係ない
3、もともと政治運営理念は先に民衆に伝えなければならず、与党の理論は関係ない
4、もともと民主は多党制で競争するもので、一党独裁は関係ない
5、もともと誰が政治をつかさどるかは選択されるもので、熱愛や感激は関係ない
6、もともと党首は批評され問責されるべきで、偉大や英明は関係ない

と、皮肉をこめて理知的に整理して共産党政権を批判する文章もある。何度も転記されている。熱愛や感激、偉大や英明には、笑ってしまう。写真の下のほうに掲載されている。

時代は変わった。95~96年、中国は台湾の総統選挙を妨害しようと、台湾近海でミサイル演習までして恫喝したこともあったのに。
ネットの発展・普及や中国国内の成熟度を考えると、今回初めて台湾の総統選挙が国内の民衆レベルへ生のまま伝わっているのではないか。これが中国国内を変えていく力になるだろうか。

第2回孔子平和賞はプーチン

2011-12-10 02:31:05 | 時事
ヴォイス・オブ・アメリカ(VOA=美国之音)のサイトによれば、8日、北京で第2回の孔子平和賞(和平奨)の表彰式があり、ロシアのプーチン首相が選ばれた。今年は4人のロシア人の女子留学生が代わりに孔子の金製(本物か?)の置物と記念碑を受けたとのこと。

去年は台湾の連戦・国民党名誉主席だったが、やはり表彰式には出席せず(当たり前)、6歳の少女が代わりに賞を受けたが、今回も本人は現れなかったという。

孔子平和賞の選定委員16人の主席となっている、孔子の第73代末えいの孔慶東・北京大教授は選考理由について「プーチン氏はロシア大統領、首相時代を通じて、ロシア人民の福祉政策を進め、特に2011年にNATOのリビア爆撃に反対し、世界平和維持に大きな貢献をした」としている。
孔教授は「米国はヤクザ国家で強盗国家だ。米国は成果以上のすべての人の平和を破壊した。この世界で米国がある限り、我々に平和はない。だから全世界各国の人民は立ち上がって、このヤクザと逃走を進めなければならない」と、なんと恐ろしい言いぐさ。

今年の賞の候補者には、台湾の親民党の宋楚瑜主席や南アフリカのゾマ大統領、ドイツのメルケル首相や国連安保理のアナン前事務総長、それから昨年も候補者となっていたビル・ゲイツ、中国の科学者の袁隆平、北京政府が選んだほうのパンチェン・ラマ11世がいたという。

また香港紙「明報」のサイトによると、もともと北京香山植物園の山荘内で授賞式は予定されていたが、当日午前9時になって場所が変わり、約3キロ離れたレンガ工場街の農家で行われ、当初の10時半の予定が20分遅れて始まったという。孔子の金の像については金含有量や製作者、市場価格などについては明かさなかったという。バッタモンだな。

今年のノーベル平和賞の授賞式が10日に予定されていることから、それに先だって世界の注目を浴びようとしたのだろうが、違う意味でまた笑いの種になりそうだ。

2012年中国の祝祭日

2011-12-07 00:41:14 | 時事
毎年載せていると、それなりに注目度が高い、来年の中国の祝祭日。
今年も5日付で中国国務院弁公庁が発表した。国務院のサイトには6日朝掲載された。


一、元旦は1月1日から3日まで3日間。残念ながら12月31日の大晦日は出勤。
二、春節(旧正月)は1月22日から28日まで7日間。21日(土)と29日(日)は出勤。暦では来年は1月23日が春節のようです。
三、清明節(墓参り)は4月2日から4日まで3日間。3月31日(土)と4月1日(日)は出勤。
四、労働節(メーデー)は4月29日から5月1日まで3日間。4月28日(土)は出勤。
五、端午節は6月22日から24日の3日間。
六、中秋節(中秋の月見=今年は9月30日)と国慶節(建国記念日=10月1日)は、9月30日から10月7日まで8日間。9月29日(土)は出勤。

ということで、黄金週間(ゴールデンウィーク)は1月22日からの春節休みの7日間と、9月30日からの中秋節・国慶節休みの8日間。
毎年書いているが、くれぐれもこの時期に旅行などで中国を訪れることのないよう。景色を見ずに中国人の大群をみることになります。道路も観光地も電車も国内線航空機も超満員。一気に中国が嫌いになることでしょう。念のため。


野田首相訪中とりやめ

2011-12-06 21:02:58 | 時事
そもそも12月12、13日に訪中予定だったという野田首相。
昨日の香港紙だったか中国紙だったかに、12月13日は南京大虐殺の74周年で、今年は大規模な式典を計画しているが、いまのところ日本の外務省関係者が事前に南京の下見をした、との情報はなく、日本の首相は果たして南京大虐殺のこの時期に南京を訪問するのだろうか、と書いていた。

写真は以前掲載した南京大虐殺記念館前のオブジェ。名のある芸術家らによる、虐殺に苦しむ人民をいろいろ並べている。

やはり、延期になった。ここまで引っ張っての延期ということは、外務省は能なしなのか。中国組ならそのくらいのことはわかるだろう。12月13日をはずして予定を組むぐらい当たり前のことだ。もし野田首相が日本の首相として初めて南京を訪問するつもりがあったのなら、それはそれですごい。ただ、防衛相のことで野党とうまくいかないことが、南京訪問で野党との関係悪化を助長する、程度のことを考えて延期するとするなら、それは小さい、お門違いだ。

今回は中国側から、この時期をはずしてくれないか、との申し出があって、両国で延期を検討していたという。この時期は南京大虐殺74周年のイベントが計画されていることを念頭においていたらしい。逆にいうと、中国側も微妙なこの時期に騒ぎは勘弁してくれ、ということだろう。南京で大規模な日本首相訪問反対運動やデモが起きれば、それを鎮圧するのは容易ではない。あるいは、それを外国のマスコミに見られ、世界に報道されてしまうことはまかりならん、という考えだろう。
こんな時期を選ぶのには、当初中国側には、この際、日本の首相に南京を訪問させてしまえ、とのスケベ心があったのだろうか。それが可能ならば日中間の歴史的な軋轢はかなり解決されるのではないか、と胡錦濤政権最晩年のチャンスに一気に進めようとしたのだろうか。考えるに日中の市民感情はそこまで穏健になっていない。先日発表された調査でも、日本人の中国への感情はやや良くなったとは言えども、それは数字のまやかしだろう、依然として深刻な状態にあるといえる。
当初のもくろみより日中関係が好転していないと悟り、この時期に急に延期を決めたのなら、日本だけでなく中国側の日本担当者もお粗末といわざるを得ない。外交部のサイトを見ると、今日(6日)の外交部の定例会見では訪中延期には触れていなかったようだ。

昨日のその新聞には、日本の歴代首相としては、廬溝橋には村山富市(95年)と小泉純一郎(01年)が、満州事変(9.18事変)が勃発した遼寧省瀋陽の抗日記念館には橋本龍太郎(97年)が、それぞれ訪問したが、南京大虐殺祈念館にはまだ誰も訪問していない、と報じていた。

すでに中国でここまで報じられているわけだから、中国のネット発言者たちは「野田は逃げた」と一斉に非難を浴びせるだろう。

あんまり日中関係にいい方向の事案ではないなあ。

北京周辺霧深刻

2011-12-06 18:00:36 | 時事
北京など中国北部の霧が深刻だ。高速道路は封鎖し、新華社のサイトによると、北京首都空港も5日午後3時段階で、1時間以上遅れが出た航空便は118におよび、結局発着219便が欠航となったという。4日の午後5時ごろから濃霧が襲い、視界550メートル、夜は300~400メートルとなった。5日午前9時になって1~1.5キロとなり、やっと部分的に遅延が復旧したばかりだったという。

新華社によると、中央気象台は北京・天津地区、河北省中南部、山東省西部、山西省東南部、浙江省北部と西南部、福建省西北部、江西省中南部、湖南省西南部などで視界1000メートルの霧が発生、部分的には200メートルになっていたという。

これで気になるのは、大気汚染についてだ。霧によって大気が停滞することとなり、汚染物質の濃度が上がっているという。北京環境保全観測センター空気質量自動観測室によると、汚染は軽度だが、健康な人々にも何らかの症状が出るとしている。また、専門家は高齢者や子供、心臓病や肺病患者らは戸外活動を最小にすべきだ、と警告している。

この霧の大発生は、そもそも中国の深刻な大気汚染と無関係とはいえない、と指摘する識者もいるという。

冬になれば霧で交通が麻痺して大気汚染が深刻となって住民が病気となるなど、一国の首都としての機能を果たせるのだろうか。中国の都会を訪れると、どこへ行ってもどんよりと曇ったような空が多く、かつてチベットや新疆、四川省や雲南省の奥地で見たような深い藍色にも見える空の色をほとんど見ることはできない。車の渋滞もひどすぎる。ひとなみの先進国の首都として機能させたいなら、中国当局はまず、大気汚染の解決に力を入れるべきだろう。

ゴーヤ撤収

2011-12-06 01:09:05 | ゴーヤ日記

初めてベランダで栽培したゴーヤ。いよいよ最後の収穫。12月まで小さな実が幾つかついていて、こんな寒くてどこまで大きくなるのだろう、と思ったが、ほとんど成長は止まっていたようだ。最後に3つ収穫して、のびていたツルも片づけた。
結局小さいゴーヤが10個ほど収穫できただろうか。3回ほどゴーヤチャンプルを作ることが出来た。まあ、プランターやネット、土など投資額約2000円に対して、売り物にならないゴーヤ10個では全くの赤字。ツルもそれほど広がらなかったし、そもそもベランダの奥行きがあるので、グリーンカーテンをしなくても室内に日差しが入り込むことはなかったし。
毎日水をあげて、植物が少しずつ成長していくのをみるのは結構楽しかった。
来年も、今度は買ったゴーヤから種を取り出すのではなく、最初から栽培用の種を買うか、あるいは苗から育てれば、あるいはもう少し多くの収穫が望めるのかもしれない。もう少し早めに栽培を開始すればいいかなあ、と考えている。
ネットなどの栽培方法が書いてあるところでは、ゴーヤは連作が効かない、ということなので、土にもう少し堆肥などを混ぜて、栄養分を補給するなどして土の質を改善する必要があるかもしれない。

半年間楽しめて、ゴーヤさんありがとうございました。今年のゴーヤ日記は終わりにします。

台湾総統選TV弁論、民意調査結果は?

2011-12-04 09:41:38 | 時事
4日の台湾各紙は、3日に実施された総統大選テレビ弁論を見ての世論調査結果を掲載した。

聨合報は、「双英(馬英九、蔡英文)ともに支持率を同率下げ、馬呉(国民党)39%、蔡蘇(民進党)32%、宋林(親民党)10%だった。これはテレビ弁論の1週間前に実施された調査結果の馬呉40%、蔡蘇35%で、6ポイントの差だったことから、やや差が広がったということだろう。

恐れていた、というか、予想していたとおり、というか、蔡がちょっと評価を下げたということか。

聨合報が掲載したTVBSの結果によると、弁論会の表現が最もよかったのは、との質問に対し、30%が馬英九、27%が蔡英文、宋楚瑜20%だったという。支持率については、馬、蔡ともにポイントを下げ、馬が38%、蔡32%と6ポイントの差は開きも縮みもしなかったという。宋は5ポイント上げて12%となった。

中国時報の調査では、馬の表現がよかったというのが32%、蔡がよかったが30%、宋は14%。5.6%が今回支持対象を変えたと答えたという。支持率は国民党の馬呉ペアが40%、民進党の蔡蘇ペアが33%、親民党の宋林ペアが9%、未決定者が19%で、国民党と民進党の差は7ポイントとなった。

調査対象のうち昨日のテレビ弁論を見たとする有権者の9%がテレビ弁論の結果、支持対象を変えたと答えており、「馬に変えた」、「蔡に変えた」がいずれもそれぞれ1.8%ずつ、「宋に変えた」が0.6%で、1.4%は誰に変えるかまだ未定、としている。

いずれも、それほど直接的な投票結果につながるような数字は掲載されてはいないが、国民党支持というか統一派が多いというマスコミ界の数字とはいえ、馬が優位な感じはする。

これ以外に、無作為なサンプリングをしないで誰に投票するか、という設問に対しては蔡が圧倒的に支持されており、固い票が多いと見られる。馬と宋はやや浮動票頼みの部分が多いようだ。思ったほど、蔡のダメージは数字には表れていないようだが、それでも蔡陣営は見せ方について再検討を図るべきだろう。


台湾総統選挙テレビ討論会

2011-12-03 19:09:49 | 時事
来年1月14日に投開票される台湾総統選挙まであと40日ほど。何気なくネットで台湾のニュース専門衛星TVチャンネル「TVBS」を見たら、総統選の候補者によるテレビ公開討論が放送されていた。
公共テレビ、中央通信、中国時報、聨合報、リンゴ日報の共同主催による「2012総統大選テレビ弁論」で、まずマスコミ各社の質問を受けた後、3人が互いに質疑応答を重ね、最後に5分ずつ総括演説を行った。
総統選に立候補しているのは、

国民党の馬英九・現総統。


民進党の蔡英文主席


かつて国民党の秘書長や台湾省長を務めた後、李登輝政権時代に国民党を割った親民党の宋楚瑜主席。

結論的にいうと、馬英九はこれでもか、というほど民進党と陳水扁前総統、民進党総統候補の蔡英文に徹底的な攻撃を仕掛けた。むしろ現政権の失政を攻撃して討論を有利に進めたいはずの蔡英文のほうが、陳水扁前総統の恩赦について、国民党と大陸の共産党の間で中台交渉の前提条件となっている「九二共識」と、それが「存在しない」として新たな「台湾認識」を主張していることについての詳しい説明、蔡総統が誕生したとして民進党政権に中国側との交渉の余地があるのか、など、厳しい質問に対して十分な説明がなされているとは思えなかった。

宋楚瑜は、政策テーマについて得手不得手が多すぎて、すべての質問に的確に答えているとはいえなかった。ただ、全般的には有権者の心をある程度掴めるような発言をしていた。

蔡英文はかなり損をしているように見えた。準備不足だったのか、参謀の戦略がよくなかったのか。TVBSの放送では、画面下に解説をしている評論家たちによる意見が書き込みで下の写真のようにリアルタイムで文字で現れており、

その反応がなかなか面白かった。マスコミ関係の人々は高学歴の外省人が少なくなく、国民党寄りといわれることが多く、討論の仕方がまずかったことを考慮に入れても、概して蔡英文に対して厳しい意見が多く見られた。ちなみにこの写真は、番組の最後のほうでみられた「今回の討論会で一番よかったのは、まさにこの即時評論だ」と自画自賛している。

馬英九は5分間の総括演説で「馬英九は国民党を変えた。民進党は蔡英文を変えた」と発言した。たぶん、これが一番キャッチーなフレーズになったのだと思う。すなわち、馬英九は総統として国民党に対して指導力を発揮して改革を進めた、と自画自賛をした一方、中台関係を悪化させた李登輝元総統のブレーンとして「二国論」起草にかかわったといわれるほどの独立派だった蔡英文が、民進党の総統候補となって、とんがった発言を控えて中国との交流も視野に入れた穏健な発言をするようになったことを強烈に皮肉っている。

このテレビ討論を見て有権者は3候補をどう判断したのだろうか。明日あたりの台湾のメディアが世論調査の結果を公表するのではないか。馬英九に肉薄したとも、あるいは逆転したとも言われた蔡英文の評価がどうなっただろうか。あるいは第3の極をになっている宋楚瑜にそれなりの評価が得られて、逆に国民党票を食うことになるのか。投開票まで40日、まだまだ最終的な判断材料とはならないだろうが、台湾の選挙に注目が集まればよいが。