Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

四川でまた地震

2013-04-24 02:17:36 | 時事
2008年の地震の記憶も新しい四川省で20日、マグニチュード7規模の地震が発生した。200人近くの死者が確認され、負傷者も1万2000人を越えたという。

08年に地震が起きてから何をしていたのか。震源地に近い宝興県で住民ら200人が「腹減った。寒い」とかかれた横断幕を手にデモを起こした、と微博などで伝えられているが、本当に寒いならその横断幕も体に巻けばいいわけで、ちょっとうさんくさい感じもする。一方で、あれだけの大地震を経験して、個人レベルでなんの備えもしていないのか、と中国人の危機感のなさに改めてあきれてしまう。
そういえば、08年の地震の直後に、成都市の網友と話をしたときも、「なんの備えもしていない、もう成都では地震は起きませんから」とあっけらかんと話していた。当局がそういって安心させているのか、のど元過ぎれば熱さ忘れるのか、同情するのにつらいところもある。

中国のケースと比較するのもおこがましいが、先日発生した淡路島付近を震源とする地震では、幸い、一人の死者もでなかった。けがをされた人はお気の毒だが、阪神大震災を経験し、関西では地震に対する備えが行き届いていて、その結果、人的被害は最小限にとどめられた、と賞賛していい結果だったと思う。それに対して、四川省では・・・・だ。

ただ、政府の救援物資が届いていないのは事実のようで、また、四川大地震以降に建設された建築物も多くが被害に遭っていることから、地方政府の高官が中間搾取して、耐震建築の費用もピンハネして、結局地震に耐えうる住宅を整備できず、今回の被害拡大を招いたといえそうだ。政府がなにか政策を示しても、末端の市民レベルまでその恩恵が行っていなかった、といういつもの中国の貧乏な庶民のみが損をするシナリオが今回も明らかになったようだ。

李克強首相は直ちに被災地に向かったようだが、それは1976年の唐山大地震のときの周恩来首相も、前回の四川地震の温家宝首相も、今回も同じ。首相とその取り巻きを北京から運ぶぐらいなら、その代わりに救援物資を送ればよい。当局のスタンドプレー以外の何者でもない。


写真は1999年の台湾大地震の発生日翌日の震源地近くの埔里という町の役場前だが、発生日翌朝にして弁当などの救援物資が山積みになっており、救援隊が食していた。「余っちゃってるし、この暑さでは腐っちゃうから、食べてけば」と誘われたが、一応単なる傍観者にしてお邪魔虫なので、丁寧に断り、用意していた備蓄食糧のパンをかじった。

馮小剛監督が2010年の映画「唐山大地震」で、あれだけ地震の恐怖を描いたのに、結局ボランティアの滅私奉公さと地震の前での人間の無力さを知らせただけだった。人々を啓蒙して地震に対する備えをすすめるにはいたらなかった。

ある意味、政府の責任だろう。人災といえると思う。

それから、中国当局が外国の支援を断ったという。尖閣諸島問題に起因する日中関係悪化や鳥インフルエンザに、今回の地震が加わって、習近平新政権は大きな試練を受けている。日中関係など、二の次だが、外国の救援隊を受け入れることによって、中国の海外に伝わってほしくない事柄まで伝わってしまうかもしれない。今回の宝興県のデモしかりだ。また、震源地の西には甘牧チベット族自治州がある。何人ものチベット人焼身自殺者を出している。ここまで外国人勢力に入り込まれてチベット問題について突っ込まれたら、習政権としては言い逃れができなくなる。市民の安全より政権の安定、被災民救済より内政混乱回避・・・・。かわいそうな老百姓。親も政権も選べない。