Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

馬総統が国民党主席兼任

2009-07-27 08:33:35 | Weblog
 台湾の馬英九総統が、与党・国民党主席を9月12日から兼任することが決まった。26日に実施された党員選挙で投票率57.79%。得票率92.51%で信任された。党内基盤強化と中国との関係強化を目指すと見られている。
 馬総統は国民党が野党だった05年の台北市長時代にも党主席を務めていたが、市長2期を務め退任したあとの07年、市長時代の首長特別支出費の一部の横領容疑で起訴され(一、二審とも無罪判決)、主席を辞任していた。
 馬英九は総統当選後、党派を超えた全台湾を代表する総統となるため、国民党主席にはならないと表明していた。今回の党主席選はもともと呉伯雄・現主席が続投に意欲を見せていたが、馬総統が主席との兼任に意欲を見せたため立候補せず、事実上、馬総統の信任投票となっていた。これについて馬総統は党主席信任後の会見で、「昨年のリーマンショック以降、台湾経済は危機的状況に直面しており、このような劇的な変化がなかったら党主席になろうとは思っていなかった。今回の主席兼任は権力拡大を意図したものでない」と言い訳していた。
 国民党は、連戦名誉主席と呉伯雄主席時代に中国共産党との対話が実現、一定の進展を見せており、馬主席としても中国との経済・通商交流を手始めとして、交流と対話を進めていきたい考えだ。馬総統は会見で、「本日閉幕した世界オリンピックスの開会式で『中華民国総統』の名義で開会宣言できたのは中国側の善意で、これはこれまでの中台関係の改善が導いたものであり、相互理解が進み、異論を棚上げした結果だろう」と話した。馬総統は「現実を直視し、相互信頼を築き、論争を棚上げして、双方とも勝利する」の16字(正視現実、建立互信、擱置争議、共創双贏)を党政治綱領に加えるべく、9月の党大会に図るとした。
 中国当局にとって、「中華民国=台湾」を国家として当然認めておらず、最高権力者の総統も認めていないため、トップ会談は不可能だった。だから実務は交流民間団体を通じて行ってきた。もし馬英九総統が国民党主席としての身分だったら、共産党総書記である胡錦濤・国家主席と、国民党と共産党の代表として会うことが可能になる。蒋介石と毛沢東以来の国共トップ会談も可能になる。これまで連戦や呉伯雄にゆだねていた中国との交渉を、自らの手で行ってイニシアチブを握ろうというのが馬総統の狙いだ。ただ、台湾内には、このように政治や特に経済の分野で中国一辺倒になるのを不安視する声もある。

 国民党が26日夜発表した開票結果は、選挙人数53万3739人、投票総数30万8462票、投票率57.79%、無効票1万7619票、馬候補の得票数は28万5354票、得票率92.51%。台湾メディアは、馬氏が市長を務めるなど支持率が高く、国民党支持者が多いはずの台北市や隣の台北県で投票率が過半数を割ったというニュースに注目していた。

 呉伯雄主席は27日、中国の胡錦濤・国家主席が中国共産党総書記の名義で、馬主席当選に祝電を送ったことを明らかにした。30-40字で、おおむね従来の就任を祝う祝電だという。中国側も気合が入っているのかも。独立派の陳水扁から国民党の馬総統に政権交代し、チャンス到来とばかり、統一に向けて台湾に攻勢をかける可能性が高い。

川越ぶらり

2009-07-25 12:00:28 | Weblog

 NHKで現在放映中の朝ドラ「つばさ」の舞台になっている埼玉県川越市に久しぶりに行った。小江戸と呼ばれ、「九里四里うまい十三里」と、江戸から川越までの距離(十三里)を引っ掛けて栗よりうまいとされるサツマイモが特産。「十三里」ってサツマイモのこと。って今は芋を栽培しているわけではないけど、芋を使った和菓子が有名。明治の大火で江戸時代の頑丈な蔵造りの家が焼け残り、その後、蔵作りの商家がたくさん建てられ、江戸情緒をかもし出している。
 「つばさ」では主人公の家が老舗の和菓子屋「甘玉堂」で、甘玉(あまたま)という黒くて丸い和菓子がウリ、ということになっているが、もちろん、ドラマの中の架空のお菓子。
 本当の川越では「亀屋」という老舗の和菓子屋がある。亀の甲羅を模した六角形のモナカが有名だが、店をのぞくと「黒玉」という和菓子を発見。これが甘玉の元祖かな? 黒糖を使っているけど、ほんのりとした甘さでしつこくなく上品で美味しかった。

 これ以外にも生菓子をいくつか購入。もちろんモナカもお土産用に購入。和菓子ってきれいだなあ。「亀屋」も含めてあちこちの店で「・・・のつばさ」といったような菓子を売っていた。

 「亀屋」のそばには冒頭の写真の「時の鐘」がある。川越のシンボルで、筆者の少年時代には鐘の建物の下でおばあちゃんが醤油をつけただけのシンプルなお団子を焼いていた。
 その団子の店は少し離れた「菓子屋横丁」にも店を出しているよう。菓子屋横丁の一番奥に、地元・川越商業高(現市立川越高)出身の女優、桜井淳子さんが紹介した店があり、芋羊羹を買った。羊羹といってもゼラチンが入ったぷりんとしたものでなく、ホクホクで本当の焼き芋を食べているよう。完全に裏ごしせず芋の繊維が残ったような食感で甘すぎず美味。

川越商業の女子の制服は今では希少なセーラー服で、川商のセーラー服を着ていた桜井淳子さんは、美少女で本当に目立っていただろうなあ。ミュージカル俳優の市村正親さんも川商OB。
川越高といえばもともと県立がある。県立川越高は蔵造りの通りから時の鐘の前を抜けしばらく歩いた突き当たり。昔の川越城の敷地にある。川越城本丸御殿は高校の隣に移築されているが、現在大規模な保存修理中のようで見られなかった。

新疆事件で豪映画祭ボイコット

2009-07-23 22:25:27 | Weblog
 今月24日に開幕する第58回メルボルン国際映画祭で上映されることになっていた中国映画3作品が上映取りやめになった。同映画祭で「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長のドキュメンタリー作品が上映されることを受け、中国人監督が抗議の意を示した。新華社が23日、オーストラリア紙を引用する形で報じた。
 上映取り止めになるのは、中国の著名な映画監督である賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の「河上的愛情」と同監督プロデュース、香港の唐暁白監督の「完美生活」、趙亮監督の「上訪」の3作品。8月上旬に上映予定だった。彼らは今後二度とこの映画祭に参加せず、参加予定作品を撤回して、抗議の意を示すという。
 新華社によると、この映画祭にはカーディル議長のドキュメンタリー作品が上映されるだけでなく、同議長が開会式にゲストとして招待されているという。賈樟柯は映画祭実行委に対して、「7月上旬にウルムチで発生した暴力事件で多くの人が亡くなった。遺族たちはカーディル議長と世界ウイグル会議がこの事件に大きな責任を負っていると考えている」との手紙を送ったという。
 中国国内での映画上映には中国当局の許可が必要で、内容によってはこれまで上映禁止となる作品が出ている。張芸謀監督の「活着(生きる)」は、文化大革命の負の部分を描いたことが当局の意に沿わないのか、中国国内での上映が許可されていない。中国の映画監督にとっても、当局に睨まれるのは避けたいと考えるのは当然で、このような行動に至ったと見られる。
 賈樟柯監督は「三峡好人(長江哀歌)」で06年のベネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)を受賞している。

ウイグル族射殺増

2009-07-19 12:53:19 | Weblog
 新疆ウイグル自治区で5日発生した騒乱で、警官が12人を射殺したと中国当局が認めた。その人数の根拠や、なぜこの時期に公表したのかなどは不明だが、今後増えていく可能性もある。

 香港紙・明報によると、新疆ウイグル自治区のヌル・ベクリ主席(省長に相当)は、5日のウルムチ市の暴動で警察が警告を聞き入れない12人の「暴徒」を射殺したことを明らかにした。中国当局が今回の暴動で警察側が射殺した人数を明らかにしたのは初めて。18日までの騒乱での死者は197人になった。
 ロイターやシンガポール華字紙「聨合早報」などの取材に対し、ヌル主席は「いかなる法治国家でも、市民の利益を守り暴力犯罪を阻止するために武力行使は必須だ」と語り、12人を直接、あるいは間接的に撃ち、3人はその場で死亡、9人は病院で死亡したことを明らかにした。
 まず空砲で威嚇したが聞き入れず、武装し破壊略奪をしたので撃ったとしている。7月5日の際は多くの市民がレンガや棍棒、鈍器で頭を殴られて死亡しており、警察は最大限に自制して行動していたと弁護した。
 また13日の警官が3人のウイグル族を射殺した(と書いてあるので、病院に運ばれた1人も死亡した模様)事件の経緯について、当時3人は麻袋に武器を入れてモスクを訪れ、信徒たちに「聖戦(ジハード)」を促したがモスク側が拒否したため信徒を襲い、警備人員と衝突し最終的に射殺されたと解説した。
 これとは別に、デモの原因だとウイグル族亡命組織「世界ウイグル会議」が主張する広東省でのウイグル族と漢族の衝突事件について、単なる個別の事案に過ぎないとして、ウルムチの余剰労働力を東部沿海地域に出稼ぎに出す政策は引き続き行うと言い切った。

 この背景には、上海や広州など経済発展が進む沿海地域と経済的に遅れた内陸部の格差を解消するため中国当局が実施している「西部大開発」政策がある。ウルムチにも政府が多額の資金を投入し、その資金と一緒に漢族企業家や労働者も移住、人口比はもはや逆転している。共通中国語(普通話)が苦手なウイグル族は漢族に雇われず、仕事にあぶれ、漢族に故郷を追い出される形で広東省などに出稼ぎに行っている。本末転倒だ。ウイグル族が漢族の故郷への流入を快く思わないのは当然だ。自身ウイグル族であるヌル主席や、その他の中国当局指導部はそうは思わないのだろうか。

台湾徴兵制廃止

2009-07-16 06:38:59 | Weblog
 台湾紙・中国時報は15日、台湾で1949年の中台分断以来続いてきた男子の徴兵制を、95年生まれ以降には適用せず、2015年から完全に志願制に移行すると報じた。台湾では従来は学業を終えた男子に2年、08年からは1年の兵役が課せられているが、馬英九・国民党政権になって中台間の緊張が緩和したことを受けたもの。また、徴兵制で膨らむ人件費の削減を狙った措置。志願制度にして兵士の能力を高めるほか、余剰予算は兵士の待遇アップや兵器購入などに当てられると見られる。
 台湾国防部は、不公平感をなくすために、徴兵制が廃止されても4カ月間の軍事訓練の義務を課すとしている。
 同紙はまた、台湾国防部が現在12人いる上将を10人、将来的には8人にするほか、少将、中将などの将官を100人減らすリストラ策も検討していると報じた。リストラに伴い、年間人件費は1億5000万台湾ドル(450億円)程度削減できると予測している。
 また、軍人数を現状の27万5000人から6万人減らして21万5000人にし、うち陸軍を13万人から10万人程度に減らすとしている。
 軍幹部リストラについては、先に陳水扁政権末期に少将、中将など大勢の将官が破格の昇格をしたのは、将官ポストが100万台湾ドル(300万円)から200万台湾ドルで買われていたからだと地元メディアにすっぱ抜かれ、馬英九総統が徹底調査を指示、法務部(法務省)などが再点検していた。

新疆2人射殺

2009-07-15 03:16:11 | Weblog

 新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで13日、警官がウイグル族に発砲、2人を射殺した。新華社が報じた。ウイグル族住民が中国治安当局に殺害されたと報じられるのは初めて。
 新華社の報道によると、13日午後2時55分ごろ、パトロール中の警官が、3人のウイグル族が棍棒や長刀を持ってウイグル族の群衆を追いかけているのを発見、威嚇発砲したが、抵抗したため法に基づき2人を射殺したという。1人は負傷し病院に運ばれた。
 7月5日の最初のデモ勃発のときも大勢のウイグル族は死亡しており、一部は警官らによるものとみられるが、特に報道はなかった。14日の新華社電は警察当局の情報として、150人の信徒を従えたモスクの指導者に三十歳代の男が近づき、「聖戦だ、聖戦だ。我々とともに進もう」とテロ活動を強いようとしたという。描写が変に細かくて不自然だ。今回、3人の様子を詳細に伝えたのは、おそらくウイグル族の目撃者が多く、事件そのものを抹殺することができないと当局が考えたためではないか。ウイグル族住民の反発が増長しないよう、一定の話をでっち上げて自己防衛しているのではないか。現場にいたウイグル族住民の証言と異なった部分があると、日本メディアは現地から報じている。
 中国当局は、海外で少数民族独立運動を扇動する組織を「三股勢力」と呼び、外交部(外務省)の定例会見でも、ウイグル族の独立運動組織に、いかなる国家も援助しないように強く求めている。中国当局は、事件が激化し、独立運動が西側諸国の同情を惹くことを想像以上に警戒している。「新疆ウイグル自治区に平穏は戻った。民族融和は進みウイグル族が怪我をした漢民族に献血した」など、歯の浮くような話を新華社を通じて配信している。
 インド・ダラムサラでダライ・ラマ14世に率いられたチベット亡命政権は、米国やフランスなど西側諸国のシンパシーと支援を受け、北京五輪聖火リレーの時のように中国当局に大きなプレッシャーをかけることができた。米ハリウッドなど目立った支援で、「7イヤーズ・イン・チベット」のような映画が撮られるなど、チベット問題は世界中の人に知られることになった。
 これに対してウイグル族の独立運動はチベットほどではない。このまま時が過ぎて次第に忘れられ、一部のみが過激にテロを続けるようなことになると、彼らの立場はますます悪くなるのだが。
 香港の明報を見たら、世界中の中国系学者158人が14日、中国当局によって拘束されているウイグル族学者の釈放を要求する公開書簡を連名で発表したと報じていた。この学者は中央民族大学准教授のイリハム・トフティ氏(40)で、漢族とウイグル族の融和を訴えるウェブサイト「ウイグル・オンライン」の開設者。広東省の玩具工場でのウイグル族と漢族の乱闘に関して「サイトでデマを流した」として7日に当局に拘束されたという。
 公開書簡は「イリハム氏はウイグル族と漢族の融和に尽力してきており、中国政府が誤りを認め、氏を釈放しなければ両族の団結に影響を与える」と警告している。

新疆騒ぎ

2009-07-11 05:22:28 | Weblog
新疆ウイグル自治区で5日起きた騒乱は、イタリアでサミット参加中の胡錦濤・国家主席を急遽帰国させるほど、中国指導部を震撼させる出来事になった。
毎週金曜日はイスラム教徒にとってモスクで礼拝する最も重要な日。10日金曜日、中国当局は安全確保のため、ウルムチ市では礼拝を中止するよう指導した。写真は05年夏にウルムチ市を訪れたときの二道橋市場そばのモスク。

中国当局が礼拝禁止を決めた本当の目的は、もちろん安全確保のためではなく、ウイグル族たちが一堂に集まり、“よからぬこと”を相談することを阻止するため。逆効果なんじゃないかな。公の礼拝を中止させられたことで、かえって彼らが地下にもぐり、“もっとよからぬこと”を相談する口実を作ってしまった。宗教にとって弾圧されればより燃えるわけで、信仰心の高まりはかえって、反中国当局、反漢民族の意識を高揚させてしまう。イスラム教徒にとって死者は殉教者になるわけで、彼らが死を恐れず戦うことはイラク戦争でも明らかだ。

ところで、中国共産党当局は、ウイグル族たちのデモ、騒乱を事件発生早々から一貫して「世界ウイグル会議」とラビア・カーディル議長が首謀者だと決め付け、ことあるごとにそう宣伝している。一方、カーディル議長は関与を否定している。もちろん中国国内のウイグル族たちが、独自の考えでデモを計画していたとはいえないが、世界ウイグル会議が関与していたかどうかに関わらず、そもそもが暴力的なデモだったとは考えにくい。むしろ中国国内のウイグル族たちに、漢族と中国共産党当局に対する不満が鬱積していて、公安側の強硬的な阻止行為を受け、張り詰められていた糸がプッツリ切れるように爆発したと考えるのが普通だ。
チベット族とダライ・ラマ14世の場合と同様に、中国当局は国内の民族融和を図るため、諸悪の根源は海外の一部扇動者にあると押し付け、国内のウイグル族の反抗は多めに見ようとの考えだ。
にもかかわらず、最悪の状況は、ウルムチで漢族がウイグル族排斥のデモをはじめたことだ。こん棒など武器を持って、イスラム教徒にとって最も神聖なものであるモスクに投石するというおろかな行為を招いてしまった。
胡錦濤が急遽帰国したのも、おそらく漢族がこのような行動を起こしてしまったことを受けたものだと考えられる。漢族の行動には海外の扇動者に責任を押し付けるわけにはいかないからだ。
新疆ウイグル自治区の混乱は一筋縄ではいかず、チベットのように数年にわたり緊張が続くと考えられる。