Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

前鉄道相の党籍解除

2012-05-30 01:55:09 | 時事
中国の公式メディアは28日、中国共産党中央が汚職疑惑で昨年2月に鉄道相を解任された劉志軍・党中央委員の党籍をはく奪し司法機関への送致を決めたと発表した。重大な規律違反があったとしている。発表では、劉志軍自身が巨額の賄賂を受け取って鉄道行政の腐敗を進めた上、多額の不正蓄財をしたことが指摘されている。昨年7月23日に浙江省温州市で発生した高速鉄道事故で、“独立王国”鉄道省への批判が高まっており、その関連を日本のメディアなどは指摘しているが、なぜこの時期なのかは説明がない。
かろうじて日本経済新聞が、劉志軍が江沢民の系列に連なると指摘している。秋の党大会に向けて最高指導部の入れ替えが迫る中、江沢民系を追い込む胡錦濤総書記ら団派の攻撃と見るのが普通だ。この時期は政治局常務委員の人事をいかに優位に進めるか、いろいろな動きが出ている。
劉志軍の処分については、鉄道省に連なる元の建設相だった兪正声・上海市党委書記や、交通担当の副首相として鉄道事業を管轄する張徳江・副首相兼重慶市党委書記ら江沢民系の太子党の政治局常務委員入りをつぶすのが目的だろう。
党籍解除といえば、中国の役人としては「死」を意味するのと同じ意味で、もう浮かばれることはない。
独立王国で江沢民の金づるでもある鉄道省にメスを入れて、江沢民の息の根を止められるのか、自らの任期に終わりが近づいているこのタイミングで、胡錦濤はどこまで江沢民を追い込めるのか。

また、逆の動きも見られる。27日、党大会に向けて天津市の常務委員を選ぶ選挙が報じられ、同市党委書記で政治局常務委員会入りも取りざたされる張高麗氏が天津市代表に選ばれた。各地で代表に選出される中央指導部の指導者たちだが、温家宝首相は天津市枠で代表となった。胡錦濤総書記で安徽省で、習近平・国家副主席は上海市で、などとそれぞれの地区で「大量得票で選出された」と中国公式メディアは報じるが、香港紙が指摘したところによると、温家宝首相には「大量得票で」という表現がなかった。実際に不人気で票が割れた可能性がある。温首相は3月の全人代が終わる際、薄熙来・前重慶市党委書記の処分が決まる前日に記者会見で、「重慶のしていることは文革の再来だ。深く反省すべきだ」と強い口調で述べた。そもそも政治体制改革を急速に進めようとしている温首相には敵が多く、保守派たちの抵抗はすざまじい。天津市の張高麗書記は江沢民派。温家宝を孤立させ、政治体制改革の進捗を遅らせようと、牽制していると見ていいと思う。

一部の海外メディアは、政治局常務委員候補の10人をリストアップし、この中から5人を選ぶ投票を中国各地方代表にさせた、と報じている。現在9人の政治局常務委員が7人に減員されるのは確実だ、と報じるところも少なくない。これから夏の北戴河会議で政治局常務委員のメンバーが決まるまで、中国で起こるさまざまな事件の多くが、おそらく、この政治局常務委員の人選の駆け引きにつながるものだ、と考えて間違いないだろう。

お膝元・上海で江沢民の威信低下

2012-05-25 02:58:04 | 時事
中国大陸問題に詳しい台湾紙「旺報」は24日、先日選出された第18回党大会に向けての上海市の常務委員の顔ぶれを見る限り、90年代に絶大な権力を誇った江沢民・前総書記の「上海閥」がもはや「歴史上の名詞」となり、江沢民の影響力がお膝元・上海で急速に低下している、と指摘した。

日本の新聞などでは、18回党大会に向けて上海市代表として、市党委書記の兪正声氏が選ばれ、今秋に予定されている党大会での最高指導部の交代で、政治局常務委員に選ばれるかもしれない、と報じているが、今回の常務委員選出では、江沢民の甥に当たる呉志明が市常務委員にも政法委員会書記にも選ばれなかった、同様に江沢民の息子の江綿恒と関係が深い楊雄・常務副市長が選ばれなかった、ということに注目している。江派的には、楊雄は将来の上海市長も視野に入れていたらしい。

確かに中国共産党の地方幹部には63歳、という年齢制限があると指摘しているが、有望な幹部についてはこの年齢制限は適用されず、実際、楊雄より1ヶ月年上で常務委員に選ばれているものもいるという。

現在の上海市の最高幹部は兪正声・市党委書記、韓正・市長(市党委副書記)、殷一U+7480・市党委副書記
は順調に選出されており、彼らはかつて江沢民が上海市トップから中央へ、総書記へ引き上げようと画策し、政治局常務委員は確実とされていた陳良宇・元上海市党委書記が、北京派の胡錦濤らの画策によって失脚したあとに、上海で出世していったメンバーだ。兪正声あたりはバリバリの太子党だとはいえども、江沢民の影響力は少ないらしい。旺報は韓正にいたっては将来もっと上に行く可能性もある、と指摘している。

兪正声は中央政治局常務委員になるとしたら、年齢的におそらく1期5年で政治局常務委員会を離れることになるが、海外メディアはかつての曽慶紅のような調整役になるのでは、と指摘している。

周永康また出てきた

2012-05-15 16:33:52 | 時事
人民日報は15日、2面で周永康・党中央政法委員会書記(中央政治局常務委員、序列9位)が9日に中国政法大の座談会で行った講話を掲載した。

同大学は毛沢東、トウ小平、江沢民を核心とする三代の中央指導体制と、胡錦濤同志を総書記とする党中央が重視するなか、・・・・発展してきた、と始める。この中で「胡錦濤総書記」が出てくること8回。短い文章ではないが、「トウ小平」は3回、「江沢民」は2回、「毛沢東」にいたっては1回だ。
以前も書いたが、胡錦濤総書記に大いに気を遣い、忠誠を誓う姿勢が如実に見える。


香港メディアなどによると、英紙「ファイナンシャル・タイムス」が13日付で、周永康は薄煕来事件に連座したと見なされて、すでに権力をはく奪され、孟建柱・公安部長に移譲されており、もはや後継者を選ぶ権力もないと報じたという。このような報道に対する反発、あるいは抗議の意味合いを込めた人民日報の記事掲載と見られる。

別の香港メディアは、周永康は次の党大会で引退することを条件に、何のおとがめもなく平穏に引退できる、ということが決まった、としている。

数日前にもシンガポールの副首相と会った、という動静が伝えられているので、失脚した、ということはないのだろう。ただ、人民日報に講話が載ったからといって、周永康が前途洋々だ、というわけではなく、あくまでも党内の混乱を避けるために講話全文を載せただけで、薄のようにバッサリ切られることはないが、はい、これで終わり、ということなのだろう。

薄煕来「独占」インタビュー!?

2012-05-12 20:39:06 | 時事
産経新聞系の夕刊紙「夕刊フジ」が11日、失脚した薄煕来・前重慶市党委書記と北京市内の高級ホテル、北京飯店で食事をしながら単独インタビューした、との記事を載せた。インタビューは4月26日、とされていて、薄煕来が政治局委員と中央委員の職務停止が発表されたのは4月10日。すでに党中央規律検査委員会に軟禁状態にされた状態で事情聴取を受けているはずだが、夕刊フジの記事は、「国会新聞」の宇田川敬介次長が、以前総合スーパー「マイカル」の中国進出時の法務交渉担当を務めていたことから、大連市長時代の薄煕来や妻で英国人ビジネスマン殺害容疑がかけられている谷開来と交流があり、今回の「独占インタビュー」は、薄家族の状況について確認するため宇田川次長に捜査協力を求めてきており、この見返りとして「写真と録音はNG」との条件で会食を許されたとしている。中国の情報機関「国家安全部」の監視のもと、軟禁状態にある薄煕来と3時間にわたって会食した、としている。

記事の内容は、2000年ごろ宇田川次長が薄と谷の離婚調停にかかわったとし、薄は離婚したがったが息子の将来や本人の出世の妨げになる、として離婚をとどまった、と説明したという。谷容疑者に殺人容疑がかかっていることから、薄は妻の悪口を言い始め「離婚しておけば良かった」などと発言したとしている。

権力闘争、との見方については「マフィアと癒着し排除された市幹部の残存勢力にはめられた」と否定したという。

信じるも信じないも勝手だが、香港や台湾のメディアはほぼ抹殺状態だ。写真も録音もないインタビューは信用しろ、というのが無理だ。

中国報道に詳しい台湾紙「旺報」は、軟禁状態にある薄煕来に対して日本人が食事しながら話を聞けるというのは実に不可思議な話で、最近ボツボツ出ているさまざまな薄関連の報道と同様に、「ニュースの背後に別のニュースがある」と分析している。すなわち、中国共産党最高指導部の中にいろいろな見方があり、その自らの政治的意図を達成させるために情報を流した、という。もう少し言うと、薄煕来を擁護する勢力が、薄の失脚、スキャンダルの罪状となったものは、精神的に追いつめられた妻の谷開来の殺人事件などに端を発するもので、罪をほぼすべて「精神を病んだ」谷に押しつけて、薄の罪を軽くしよう、あるいは復活の余地を残そう、との考えから出されたものだ、と見る。最近の薄関連ニュースは大体が英国や米国からのもので、いずれも谷が精神的に追いつめられておかしな事をやった、というものが多いという。

シンガポール紙「星洲日報」も、薄煕来は党中央規律検査委員会で調査しているのに、夕刊フジの文章ではインタビューを監視しているのは、(薄に同情的な)周永康・党中央政法委員会書記(中央政治局委員、序列9位)が管轄する「国家安全部」だ、と指摘している。

この辺は、一応日本のメディアに対して礼を尽くして「ガセだ」とまでは言っていないが、うさんくさく疑わしく見ているのは間違いない。

米国で反中国の論陣を張る華字サイト「博訊新聞網」は、信頼できる消息筋からの情報として、この記事は薄擁護勢力による捏造で、完全な誤りだ、と断言している。中央紀律検査委の管轄で調べているのに、国家安全部が出てくるのはおかしい、安全部と連携があるソースのニュースではないか、としている。

そもそも玉石混交の中国報道だが、日本のメディアまで巻き込まれ、利用されるというのは、ちょっといただけない。その辺は中国や香港、海外華人メディアも見る目を持っていて、冷静だ。江沢民前国家主席死去誤報など、産経はミソをつけすぎではないか。中国問題について色の付いた目で見過ぎて、読者をミスリードするのは勘弁願いたい。

秋の党大会延期?

2012-05-10 09:54:47 | 時事
今秋に予定されている中国共産党第18回大会(十八大)で、胡錦濤・総書記から習近平・現国家副主席へ権力が移譲される、とされているが、ロイターはこの10年に一度の指導部交代の時期が数ヶ月遅れるとの見方を示した。中国の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会(現在9人)の人数についても議論があるという。

党大会の遅延は金融市場にも不安を与えるとしており、薄熙来・前重慶市党委書記の失脚を受け、中国政治体制はすでに動揺を与えているとの認識が各金融市場にある・・・と書くところがロイターっぽい。

ロイターによると、3人の情報筋が明らかにしたとして、中国共産党の最高指導部の一人が党大会の期日をそもそもの9月、もしくは10月から、11月、もしくは来年1月に延期するよう提案したという。「十八大の準備作業はまだ始まっておらず、党は本当に十八大の冬季への延期を考えている」と消息筋の一人は語ったとしている。

台湾紙・中国時報もこのロイターの考えを紹介して、薄熙来問題が新指導部に与える影響と衝撃に恐怖を抱いているため、党大会延期が検討されているとしている。

中央政治局常務委員会の定員については、胡錦濤・総書記が2人減員して7人にする考えをもっているという。これは薄事件以来、共産党青年団派(団派)が優勢となっていて、多数を制することが出来るからと見られる。一方で、2人増やして11人にするとの案もあるという。これはおそらく太子党や江沢民系の考えだろう。
 現在、次期政権で常務委員会入りが「確定」しているのは、習近平(次期総書記)、李克強(次期首相)、李源潮で、ほかにも何人か名前が挙がっているが、どの担務につくのかは党内コンセンサスが得られていないという。また、劉延東・国務委員、孫春蘭・福建省党委書記の女性陣の競争もまだ確定していないという。

党大会の期日が遅れるとの見方があることは以前も香港紙・明報の報道として紹介したが、ロイターが報じたということで、党内に延期論が根強くあることは本当だと考えていいと思う。ただ、延期になればなったで株価などに影響を与え、社会不安を招くというロイターの指摘も事実。中国指導部はギリギリまで9月開催を目指して調整していくのではないか。夏の北戴河会議が今年は白熱するのは間違いないだろう。

ただ、温家宝首相が最近露出度が高い。来年3月の全人代で首相の職を降りて引退するのはするとしても、党大会で中央常務委員をはずれて3月の全人代までレイムダック状態になるよりは、党大会延期で1月ぐらいまで中央常務委員の職にとどまったままの実権のある首相として、政治体制改革などに一定のめどをつけるなどギリギリまで仕事をしたい、との強い意欲の現れであり、その意を受けた周辺が意識的に「党大会延期」情報をリークしているのではないか。