Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

中国の旗、台湾の旗

2012-08-18 01:58:16 | 時事
「朝日新聞」にもちょっと載っていたが、中国福建省厦門(アモイ)市の「厦門商報」紙の16日付の1面で、香港の保釣団体の成員が尖閣諸島に上陸し、中華人民共和国の国旗「五星紅旗」と、「中華民国」を標榜する台湾当局が現在も国旗として使っている「青天白日満地紅旗」を掲げている写真で、「青天白日満地紅旗」を赤く塗りつぶして掲載していた。

ネット上で読者らから抗議を受け、中国の簡易ブログの公式ページでパソコンのレタッチソフト「フォトショップ」で加工したとして謝罪したという。
原画は以下のように、真ん中の旗が「青天白日満地紅旗」だ。

「厦門商報」によると、この写真の下に「保釣人士が高らかに国旗を掲げ、上陸に成功。人民日報サイトから」と説明が書かれている。17日段階で、「人民日報」のサイトからこの写真を見つけ出すことは出来ないが、「一つの中国、一つの台湾」「二国論」など台湾独立の状態を認めない中国共産党中央の機関紙である「人民日報」が、台湾を政治実態として認めた「青天白日満地紅旗」の写真掲載を許したのだろうか?
ただし、上の写真は見つからないが、「人民日報」サイト内には、「青天白日満地紅旗」を掲げた保釣抗議船の写真が何枚も掲載されている。

1996年10月、香港と台湾の保釣人士が魚釣島に上陸した際、「五星紅旗」と「青天白日満地紅旗」を立てた。当時は香港返還前。香港の一般紙はこの2本の旗を並べた写真を掲載したが、香港の中国系紙「文匯報」と「大公報」は、「青天白日満地紅旗」部分をトリミングして「五星紅旗」のみが写った写真を掲載した。「中華民国」たる台湾を認めないという配慮からだ。

当時は台湾独立派として中国共産党政権が忌み嫌う李登輝が台湾総統だった時代だ。現在は中国と一定の友好関係を維持している馬英九総統だとしても、原理原則は譲れないはずだ。それゆえ「厦門商報」は旗を赤く塗りつぶした写真を掲載したのだろう。現在の同紙のサイトでは、五星紅旗のみが写った写真に差し替えられている。

香港返還前に、香港が中華人民共和国の支配下になってもドル箱の台北ー香港路線を維持しようと、台湾の中華航空(チャイナエアライン)は、垂直尾翼に青天白日満地紅旗が描かれたすべての機体で、旗を潰して梅の花に描き換えたほどだ。
一方で、曽健成ら、香港の保釣人士たちは、その辺の原理原則に疎いのか、わざとやっているのか、はたまた最も急進派の連中ゆえ反中国なのか、台湾の保釣人士が今回、台湾当局から抗議船の出港を許可されなかったことから、彼らの代わりに「青天白日満地紅旗」を立ててやったようだ。そのくせ、沖縄県警と海保に逮捕されると、中国当局に庇護を求めるなど、やっていることがちぐはぐだ。そもそもそういう連中なのだが。

その逆、台湾の保釣抗議船が尖閣諸島近海に来たとき、船に「五星紅旗」のみを掲げて、「青天白日満地紅旗」を持ってきていなかったことがあった。台湾当局は真っ青になって、けしからん、認められない、とコメントしていたが、中国側はその辺について、最近は鈍感になっているのだろうか。
台湾各紙によると、台湾の保釣人士の出港を阻止したにもかかわらず、香港の連中によって尖閣諸島に「青天白日満地紅旗」が掲げられた今回の事態について、台湾当局は困惑しているという。
馬英九総統は少し前、尖閣諸島の開発について日台中が協力して行うのはどうか、と提案している。一中一台を認めない中国側からは一蹴されたが、日本を巻き込んで台湾が生存空間を得ることが出来る、台湾にとってはグッドアイデアだと思う。日本も台湾を巻き込んで、中国に、台湾と日本と共同開発するよう認めさせると、尖閣諸島の領有権問題は一定の解決策が見いだせるのではないか、と見られる。

釣魚島上陸は選挙運動

2012-08-16 14:00:11 | 時事
15日、尖閣諸島に泳いで上陸し、沖縄県警と11管に逮捕された香港の保釣団体の成員のなかに、前香港区議員の曽健成(56)がいる。民主党の武闘派、というか行動派で、もともと労働者だったが、1989年の天安門事件で政治に目覚め、返還前から香港で釣魚島防衛問題のデモでは先頭に立って、香港の民衆からは「阿牛」と親しみを込めて呼ばれ、結構な人気者だった。2011年の区議会選挙で落選し、調べてみると、来月9日投開票の香港立法会選挙の普通選挙枠で、新界西地区から立候補していた。所属政党は「社会民主連線」。2006年に創設された、民主派の中でももっとも急進的な団体だという。


96年9月、万年落選議員で保釣活動家の陳毓祥(デビッド・チャン)は、船を仕立てて、泳いで尖閣諸島上陸を企て、船から海中に下りるさいにロープに足が絡まり、甲板に頭を強く打ち付け死亡した。このときは香港返還直前で、返還前後の過渡的な議会である臨時立法会の議席に滑り込むべく、「愛国」を全面に出してデモンストレーションしたとの見方ができる。

曽前区議は、万年落選議員ではないが、同じような意図だったのではないか。立法会は現在は職能別代表と直接民選が混じっている。今回は定数が60から70に増え、うち5議席は区議枠からの直接選挙、5議席は直接選挙枠となる。次回2016年は直接民選になる可能性もある。特に、今年3月に選出された香港特区のトップ、行政長官の選挙は次回2017年は直接民選になると言われている。この選挙のやり方など政治体制改革を話し合うのもこの立法会だ。9月の立法会選挙は候補者がひしめき合っており、激戦になると予想されている。曽前区議がこの選挙での当選に狙いを定めて、釣魚島上陸行動で従来からファンの多かった香港の庶民レベルの興味と関心を引こうとしていたとみるのは、間違いないと思う。

他方、日本当局に身柄拘束されたとしても、中国当局は日本に譲歩しないとの確信もあった。8月上旬から、中国共産党最高幹部らが河北省の避暑地、北載河に大挙集まり、非公式な臨時会議を開く、いわゆる「北載河会議」が始まった。今秋に開かれる予定の中国共産党第18期大会(十八大)で、共産党のトップ9と言われる最高意志決定機関、中央政治局常務委員会のメンバーのうち、次期総書記と首相に内定している習近平、李克強以外の7人が交代するのが規定方針で、人事駆け引きが続いている。自分の影響力を残したい胡錦濤・総書記と、薄煕来・前重慶市党委書記失脚後に影響力が後退したと言われる江沢民・前総書記のグループが、それぞれ息のかかった部下をトップ9に入れようとしている。胡錦濤側の勢力が強ければ、2人減らしてトップ7に戻すとも言われている。香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」のサイトによると、温家宝首相が地方視察を始めたという官製報道(15日新華社電。14、15日に浙江省杭州などを視察)が出たことから、北載河会議は先週で終了したのは確実、との見方を伝えている。

このような政治状況の中で、中国政府が日本に甘い顔を見せれば、保守派=江沢民グループから攻撃と批判をうけ、思い通りの人事構想が駄目になる可能性が高い。中国政府は、そのつもりはなくても、日本に強い態度を見せざるを得ない。ただ、日中国交正常化40周年の年に、両国関係が決定的に悪化するのを望まない、というのは日中とも考えている。そういうときの尖閣上陸は、中国当局=胡錦濤政権にとってもやっかいなはずだ。江沢民系の保守勢力があおった可能性が大だ。

単純に中国の政治勢力を一体と考えるのではなく、いくつもの権力構造がそれぞれの意図を持ってこの行動をあおり、また抑制していると考えるべきだろう。


北載河会議始まった模様

2012-08-06 18:53:40 | 時事


6日の人民日報が1面で習近平・国家副主席が河北省の北載河で専門家グループと会談した、と報じた。習副主席以外に、劉延東・国務委員(閣僚級)、李源潮・中央組織部長、令計画・中央弁公室主任らが同席したという。
北載河に中共の幹部が続々乗り込み、いよいよ秋の十八回党大会の人事などを決める「北載河会議」が始まった模様。