Takepuのブログ

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新疆手紙

2009-08-03 23:37:45 | Weblog
 世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長の息子と娘ら親族が、母に宛てて「罪」を知らせ反省を促す手紙を出した、と新華社が3日、手紙全文の中国語訳を載せて伝えた。中国当局のマスコミによる宣伝工作の姑息なやり方がうがかえるひとつの例だ。

 手紙は、ママ、ニンハオ(ママ、こんにちは)で始まり、カーディル議長の息子のカハル、娘のジェシェンクリ、弟のマイマイディ(いずれも漢字の音から類推して表記)の連名で書いたと冒頭にある。「党と政府に多くの有利な条件を提供してもらい、あなたは事業に成功したのに、(独立分離活動の)誘惑に駆られ監獄に入り、その後、寛容なる政府によって米国に出国した。米国に行く前、一切の分裂活動に参加しない、と宣誓したのに、あなたはそれに背いた」との非難から始まる。
 一方で、「私たちは穏やかに過ごしたいのに、7月5日の残忍な暴力事件は見たくなかった。あなたが原因となってウルムチでは多くの罪のない各民族の群集が命を失い、店や車を破壊され、各民族の団結と和睦関係が壊された。なぜ? それはあなたによってだ。それでも政府は私たちによく接してくれる。周りの人たちも常々『あなたの母親がやったことで、あなたたちとは関係ない』と言ってくれる。あなたは米国に出て、その後の新疆の変化を知らない。今は生活が向上し、努力と勤勉のおかげで各民族に何の差別もなく、多くの金持ちが生まれ、高いビルが建っている。政府がいろいろな優遇政策をしてくれるおかげだ。あなたには、新疆の各民族の安定を壊すことなく、他国の挑発に乗ることなく、各民族にもう二度と罵られることのない人になってもらいたい」と綴られている。

 またウルムチでの暴動での被害者に謝罪する手紙を出したことも伝えられた。この手紙には、6月26日の広東省の玩具工場での衝突事件について、カーディル議長がホームページに捏造した写真を載せ、死者が2人なのに50人死亡したとデマを流した、とし、また7月5日の動乱の6時間前にカーディル議長から電話があり「大事件が起こるだろう」と言われた、と書かれている。事件は母親と世界ウイグル会議に責任があり罰せられるべきだ、と断定している。

 いずれも息子らのほか、カーディル議長の孫、姉、息子の嫁など親族12人の署名をつけて7月24日にウルムチで書かれたとされている。

 これをそのまま受け取る読者がどれだけいるのだろうか。「差別」があったから多くのウイグル族がデモに参加したわけで、貧富の差が大きくなっているのも、これまでの報道を見ても明らかだ。一部は故郷を離れ遠く広東省まで出稼ぎしなければならず、その結果、玩具工場での漢民族との衝突事件が発生した。
 この「手紙」が出たことで、カーディル議長の親族ら関係者は事実上の軟禁状態に置かれていることが容易に想像できる。命と、あるいは生活と引き換えに、この手紙を書いたことにして署名を書かされたのだろう。こんなことがかえって逆効果なのは明らかなのだが、無知な中国人民はこれを読んで残された親族に同情して、カーディル議長への怒りをあらわにするのだろうか。


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