Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

漢字統一への道

2009-08-15 03:28:33 | Weblog
 中国と台湾、香港は違う漢字を使っている。つい数十年前まで4人に1人が文盲という状態だった中国大陸では、なんとか新聞など簡単な文章が読める1000字をまず覚えさせようと、従来の漢字を簡略化した「簡体字」を普及させた。一方、台湾や香港は従来からの簡略化されていない「繁体字」を使用している。パソコン上では文字コードも別々で、漢字を使う日本も含めて、3種類の文字コードがある。簡体字は「GB」など、繁体字は「BIG5」など。
 かつては書くのに大変だということで文字の画数を簡略化してきた中国大陸では、パソコンの普及で画数が多くてもそれほど大変でない状況になってきていることから、これらを統一しようという動きが出ている。
 中国教育省と国家語言文字工作委員会は12日、標準漢字表について今月31日まで広く意見を求めるとした。一方で、教育省語言文化情報管理局の李宇明局長は、社会が混乱しないために繁体字を復活させることなく、ただ漢字の簡体化は限定的なものとすると言明した。

 大陸のこのような動きを報じた台湾紙・中国時報によると、最近、中国の中央電視台(テレビ局)が繁体字を復活させるか否か、専門家の討論番組を放送したことを紹介している。「50年以内に簡体字を廃止してはどうか」「簡体字は山賊版漢字」などの文章を発表した「中華文学選刊」の王乾編集長によると、簡体字は漢字の本来の表意文字としての形状や意義を失ってしまい、文化を語る資格はない、と考えている。ただ現在すでに簡体字に慣れている大陸の人々が混乱しないように「識繁書簡」、すなわち「読むのは繁体字、書くのは簡体字」とし、読み間違いを招きかねない簡体字のギャップを埋めるためにも繁体字を理解する必要がある、との結論に達している。
 正論だと思う。このままでは大陸の中国人は、漢字を忘れハングル文字しか読めなくなって自国の古典を理解できなくなった韓国人と同じ道をたどるだろう。

 台湾では馬英九総統が「正字」運動として繁体字の普及と世界遺産登録を目指している。
 以下は台湾総統府の広報文の抜粋。
 台湾の馬英九総統は今年の元日、台北市政府文化局が主催する「第5回漢字文化フェスティバル―2009新春書初め大会」に出席、他の政府関係者15名と共同で「天開一筆、潤澤蒼生、漢字文化、廣被四海」(天が一筆書けば、人々は潤い、漢字文化は、世界に広がる)の16文字を揮毫し、馬総統は「漢」の字を書いた。
 馬総統はあいさつのなかで「数年前に中国大陸湖南省長沙を訪れた劉兆玄・行政院長が、展覧会場にあった一枚の漢の時代の国書を見て一文字ずつ声に出して読んだところ、後ろにいた米国人の夫婦が『どうして2000年も前の文字を現代人が読めるのか』と驚いた。それに対して劉院長は『台湾では誰もが読めます』と答えた。ところが、大陸のガイドは読めなかった。なぜならかれらは正体漢字ではなく、簡体字しか知らなかったからであった」とのエピソードを紹介し、馬総統が台北市長時代に始めた「漢字文化フェスティバル」の開催目的が、これら人類の貴重な文化を保存するためであることを力説した。また、馬総統は、台北市長時代に漢字を「世界遺産」として国連に申請しようとしていたことを明らかにした。
 馬総統は「われわれが台湾で用いている漢字は『繁体字』ではなく『正体字』と呼ぶべきだ。少しも繁雑でないからだ。正体字を理解したうえで、書くときの字体は漢字であればどちらでもよいという方式で、両岸の差異を縮めていきたい」との考えを示した。【総統府 09年1月1日】

 一方で、台湾側は中国語のローマ字表記を中国大陸で使われている表記に統一する通達を出し、歩み寄りを見せている。これまで英字新聞などで見られる中国語のローマ字表記がばらばらで、混乱していた。たとえば毛沢東は中国大陸では「Mao Zedong」だが、台湾などでは「Mao Tsetung」だ。とか言いながら馬英九は自分の名の英語表記を「Ma Ying-jeou」としているなあ。大陸では「Ma Yingjiu」だ。
 中国語をご存じない方のために書くと、このローマ字表記は大陸では「ピンイン」と呼ばれる発音記号で、漢字はすべてこのローマ字で表記できる。ローマ字と声調記号「 ̄」「/」「V」「\」さえあれば、中国語は正確に音読できる。

検閲ソフト見送り

2009-08-15 03:05:06 | 時事
 中国政府は、国内で販売するすべてのパソコンに官製検閲ソフト「グリーン・ダム」搭載を義務づけるとして6月に発表した方針を見送ることを決めた。新華社によると、李毅中・工業情報化相は13日記者会見し、このソフトについて、各方面の意見を広く聞いて、強制的に搭載を義務づけないことにした、と語った。
 李工業情報化相はこのソフトを搭載する理由はあくまで、未成年に有害なわいせつ画像を見せないためで、政府には親たちから「子どもを救ってほしい」と、涙ながらの要望があったとして、2006年からこのソフトを入れ始めたことで、学校やネットカフェなどの公共の場所ではこのソフトを入れたパソコンは有害なサイトを遮断できることになったという。これらは公共の利益のためであり、責めを負う物でないと言い訳している。
 李工業情報化相は、このようなソフトはあくまでも広範な消費者の選択の自由を尊重し、市場原理に沿って個人の希望で入れるべきもので、6月の政府の発表はその辺について十分に考慮されておらず、多くの人々に強制的なものとの印象を与えてしまった、とある意味、政府の「拙速」な方針を反省した。発表段階では7月1日からこの規則を適用するとしていたが、前日の6月30日になって急きょ延長を決めていた。ただ、今後も学校やネットカフェのパソコンには搭載を義務づけることにしており、いつまた中国当局がこの問題を持ち出すか、警戒が必要だ。
 グリーン・ダムは、3分ごとに画面をキャプチャーしてどのサイトを見たかソフト管理者が把握できたり、中国当局が定めた特定のキーワードのサイトを遮断する機能があるという。まさに中国当局が隠ぺいしたい少数民族の独立問題や西側の反中国情報を遮断しようとする意図がみえみえで、さすがに西側の大手パソコンメーカーもこのソフト搭載拒否を表明するなど、中国での商売の障害となる可能性が出てきて、中国当局も泣く泣く「見送り」を発表したようだ。

 イラストは中国のヲタクの手によるグリーン・ダムを風刺するもので、もちろんガンダムのパクリ。「RX-78」とせず、「68」としているのは、中国語の発音で68はLu(Liu)・Baで、グリーン・ダムの中国語「緑●(土へんに貝)」と同じというところから来ているとみられる。女の子の「風紀」の腕章が笑えるね。やるな中国のヲタク。