Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

ダライ・ラマ台湾訪問

2009-08-28 12:57:25 | Weblog

 台湾の馬英九総統は27日、陳菊・高雄市長ら民進党籍の7首長が台湾へ招待しているチベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ14世=写真=の台湾入りを認めた。中国との関係改善で自らの地位と指導力を誇示しようとしてきた馬総統は、過去、中国側に配慮してダライ・ラマの台湾入りを許可してこなかった。今回、台風被害への対応のまずさを批判され求心力を失っている中、少しでも支持を得ようと許可したと見られる。ダライ・ラマの活動を支持する米国にも配慮したものだろう。ダライ・ラマは、台風8号による犠牲者追悼と被害者ケアのため、として31日から9月3日まで台湾を訪問する予定。
 ダライ・ラマの台湾訪問について、新華社は27日、中国国務院(内閣)で台湾問題を担当する台湾事務弁公室の報道官の発言を紹介、民進党の一部勢力が招待しているとして、ダライ・ラマは単なる宗教家ではなく、宗教活動名目で国家分裂運動をしてきており、どんな身分での訪問でも断固反対する、としている。
 報道官は、台湾の台風被害に大陸各界が手を差し伸べているときに、このような機会を利用して民進党の一部がダライ・ラマが台湾で活動するよう画策するのは、救援のためでなく中台両岸関係を破壊しようと試みる悪しき局面であり、このような悪巧みは両岸同胞の反対を招く、としている。
 ここに、ダライ・ラマの台湾訪問を許可した張本人・馬英九の名前はまったく出てこない。あくまでも民進党の一部に責任を押し付けて、大陸側が関係改善のよりどころとしている馬総統の責任隠しをしている。また、民進党の「一部」と限定しているのは、5月に民進党籍の市長級として初めて大陸訪問した陳菊・高雄市長のような「親中派」とは区別しようとしているためだ。中国共産党当局は、声高に台湾独立を叫ばない一部の穏健的な民進党幹部を取り込んで民進党分裂を招こうとしており、今回もその意図が見える。
 実際はダライ・ラマ招待の言いだしっぺが、まさにその陳菊市長だったのだが、大陸側の困惑が想像できる。ただ、新華社の報道では、そこまで分からないようにあいまいな表現で逃げている。
 ということで、中国当局は原則的・建前ではダライ・ラマの活動を批判、規制しようと各国に圧力をかけるのだが、結果としてダライ・ラマ訪問を受け入れたとしても大局的見地から、その国(地域)との関係が完全に悪化するものではないことを示している。