中山道ひとり歩る記(旧中山道を歩く)

旧中山道に沿って忠実に歩いたつもりです。

・芭蕉の道を歩く
・旧日光街道を歩く

言問橋と長命寺の桜餅(旧日光・奥州道中を歩く 11)

2013年06月03日 12時00分32秒 | 日光・奥州道中ひとり歩る記
(言問橋先の東京スカイツリー)

(言問橋)
(言問橋西)の信号を右折すると、言問橋に出る。
言問橋も先は押上駅に行くが、そこには全国的に超有名な建造物、
「東京スカイマークツリー」がある。

言問橋名前の由来は、いろいろ説はあるが、
(伊勢物語の在原業平が詠んだ歌、
・ 名にしおはば いざ言問(ことと)わむ 都鳥 
          我が思ふ人は ありやなしやと 
                  在原業平
の古歌に由来していると言うのが、もっとも納得のいく説)
(墨田区観光協会両国案内所)と言う。

(名にしおはば・・・の歌が入っている言問団子の看板)


ボクの記憶では、
浪曲師の三門博氏の十八番「唄入り観音経」の出だし、
♪遠くチラチラ灯りが見える あれは言問、
こちらを見れば 誰を待乳(まっち)のもやい舟。
月に一声雁が鳴く 秋の夜更けの吾妻橋・・・・♪
は、テレビが無い時代に、ラジオにかじりついていた親父さん達の、
大層人気があった一節である。

子供の頃、両親が真剣にラジオに聞き入っていた姿は忘れることが出来ない。
優に半世紀を越す今も、瞼に焼き付いて離れない。

もう一つ忘れられないのが「言問い団子」で、
これはうわさに聞いていた団子屋さん。
団子屋さんが有るか無いかも、実は知らない。
この言問橋に行ったら、団子屋さんが在るか無いかを確かめて、
在れば是が非でも自分では食べて、
カミサンのお土産に一折買って帰ろうと、決めていた。
桜橋の先左側にある団子屋で売っているらしい。
美味しい団子ではあるが沢山は食べられないと言う。

言問い団子と書くと、「い」の字が余分のように思えるが、
「い」が無いと、団子を売っているお店の名前―固有名詞―になってしまう。
このお店のほかに桜餅で有名なお店にも是非寄ってみたいと思っていた。
(言問団子)
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言問橋を渡ると右手に牛島神社の屋根が見える。
この神社は、小説家 堀辰雄が、
「メランコリック(*)な眼差しをした牛」と、
表現した「撫で牛」がいることで知られている。

(*)外国語を使うのが好きでないボクには、
「メランコリック」と言う言葉が、どうも解かり難い。
実際に「撫で牛」を見ると解かるが、
非常に物憂い眼差しをした牛である。

神社脇は、水戸徳川家下屋敷の庭園になっており、
美しく手入れされた池のある庭園を、
ご近所のお年寄りが散歩を楽しんでいた。
(牛嶋神社)
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(撫で牛)
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(水戸徳川藩の下屋敷庭園)
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目指す言問い団子は、言問橋を渡って信号を左折、
(見番通り)を行くと電柱に「言問だんご この先」の案内看板が目に付く。
この看板に沿って進めば良いに違いない。
この通りには料亭が多く看板が沢山見られる。

(見番通りの案内)

(言問だんごの案内看板)

(料亭の看板)

少し進むと左手に「すみだ郷土文化資料館」があり、
今、(描かれた戦争孤児―孤児たちの心と表現)と題する、
テレビでも紹介された企画展が催されている。

(すみだ文化郷土資料館にある佐多稲子の旧居跡)
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(展示された戦災孤児の絵)
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(展示された戦災孤児の絵2)
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(見番通り)はまだ続く。
先へ進むと左手に、「三囲(みめぐり)神社」がある。
(「三囲(みめぐり)」の由来は、土中から発見された老翁像の周りを、
白狐が三度回って消えたと言う縁起に由来する。)(墨田観光協会)
この神社は句碑や歌碑が残っているが、
どちらかと言うと、三井家の繁栄祈願の神社と言う感じがする。

(三囲(みめぐり)神社横にある古い鳥居)
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(三囲神社正面の鳥居)
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さらに、左手に弘福寺があり、(勝海舟が参禅をし、
森鴎外がこの寺にお墓をと願ったという黄檗宗の寺院である。)
(墨田観光協会)

(弘福寺本堂)
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さらに、江戸時代から続くさくら餅屋―長命寺の桜餅の山本や―の長命寺は、
今や、長命寺幼稚園かお寺かどちらが本業と思われるお寺になっているが、
(三大将軍家光が鷹狩の途中、急な腹痛に見舞われ、
ここの井戸の水で薬を服用した所、
治まったことが長命寺の寺名の由来となった。)(墨田観光協会)

(長命寺)
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(長命水の井戸)
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この長命寺の門前を過ぎると、
「言問だんご、この先」の案内が消えて、T字路に突き当たり、
(見番通り)もここで終わる。
そう言えば、(見番通り)を来る途中、
「向島墨堤組合 見番(けんばん)」の立派な建物があった。
この辺りにある料亭に芸者衆を送り込む手配を、
今でもここでしているに違いない。

(墨田墨堤組合 見番)
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「言問い団子」の場所がわからないので、通りがかりの人にお訊ねすると、
(T字路を左折し、坂を登った突き当たりにあります。)の返事。
T字路を教えられたとおり左折すると、なるほど上り坂になって、
すぐ又T字路になり信号がある。
信号の向こうに、少年野球場と看板があるが、
うしろは木の葉に覆われて「言問団子」屋らしき建物は見えない。
左手に野球場の更衣室かと思われる建物が見えるので進むと、
どうやらこれが「言問団子」屋らしい。
建物はシャッターが下ろされているが、
ショウウインドウらしきものが見える。
近づくと、言問い団子のショーウインドウである。
本日休業の紙がぶら下がっている。

(休業の言問団子屋)
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仕方なく今日は長命寺の桜餅でも食べて帰ろうと、
来た道を戻り今度は、隅田川土手沿いの道を行く。
長命寺の裏手ではあるが、土手沿いのこのお店は営業していて、
お客様も沢山入っている。
お店に入って桜餅を一つ注文、同時にカミサンへのお土産も求める。
桜餅は、三枚の桜の葉で、あんこの入った餅を包んであるが、
普通、桜餅は包んだ葉ごと全部食べるが、
出てきた桜餅の桜の葉は、かなり大きくてどうやって食べようか、
思案しながら、出てきた桜餅をカメラにおさめていると、
隣の席の人が桜の葉ごとパクリと食べたのを見て、
一番上の桜を剥いで、桜餅を葉ごと喰らい付いた。
塩味のついた桜餅と餡子の甘い味が程よくかみ合わさって、
美味しく頂戴して帰路に着いた。
(長命寺桜餅の山本や)
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(出てきた桜餅とお茶)
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(桜の葉は一枚剥いで食べた)
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桜餅の山本やには、その昔二階に、
歌人の正岡子規が大学予備門の頃、三ヶ月ほど下宿をしていた。
向島周辺の墨堤や自然を好んだらしく、

・向じま 花咲くころに 来る人の
       ひまなく物を 思ひける哉
・花の香を 若葉にこめて かぐはしき
         桜の餅 家つとにせよ
・から山の 風すさふなり 古さとの
         隅田の桜 今かちるらん

と墨堤の桜を偲んだ和歌を詠んでいる。

話は戻って、
家に帰って得意げにカミサンにお土産とばかり、
桜餅の包みを開いてだす。
包みを開くと、
(この桜餅の桜の葉は、乾燥を防ぐためのもので、
桜の葉を剥いでお召し上がりください)、
と注意書きがあった。

しかし、お店では桜の葉ごと食べたので、
カミサンには、桜で包んである餅を、
三枚の葉ごと食べて見せた。
勿論注意書きは、カミサンの見える場所においておいたが・・・。(2013.4.17.)

(長命寺の桜餅の山本やの菓子箱)
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