中山道ひとり歩る記(旧中山道を歩く)

旧中山道に沿って忠実に歩いたつもりです。

・芭蕉の道を歩く
・旧日光街道を歩く

夜更かしこそ楽し(カリブ海クルーズ6)

2009年03月28日 10時03分28秒 | 船旅
0033
(プロムナード=遊歩道)
0013
(船内のプロムナードを階上から)
0055
(プロムナードのショップ、コーヒーやケーキは無料)

(船内での時間つぶし)
今回の船旅ははじめに書いたが、カリブ海のクルーズである。
カリブ海についてのボクの知識は、物語「宝島」に出てくる、
一本足の海賊 シルバー船長と、ジム少年の手に汗握る冒険物語。

それと以前アメリカを訪ねたとき、ニューオルリーンズに寄ったが、
ミシシッピー川から流れ込む肥沃な土に育まれた海草を食べて大きくなる
牡蠣の美味しかったこと。
そのカキが育つガルフ・オブ・メキシコ(メキシコ湾)がカリブ海であること、
昔は海賊のメッカであったこと、
そしてアメリカの州ごとなぎ倒す、強大なハリケーンが発生するところ、
チェ・ゲバラが理想郷を求めたキューバがあるところ、
メキシコに隣接する美しい海があるところ程度の知識しかない。

そのメキシコ湾の島々を巡るのが今回のクルーズである。
このクルーズには終日クルージングと言う日が二日間ある。
この二日間は、周りは海以外に何も見えない。
0014
(プールのある階)
0016
(プールで親子が戯れる?風呂?深さ1.6mとある)
0050
(丸いプールの横にある四角のプール)
0039
(日光浴)
0040
(日光浴2)

3千人の乗客は、プール、図書館、日光浴、トレーニングマシーン、パターゴルフ、
崖のぼり、ダンス、ウオーキング、ジョッギング、カジノ、
バーで酒を飲みながらだべるなどに興じるのである。

ボクは金槌でプールは駄目、賭け事は嫌いで、
賭けるならゴルフも囲碁もトランプもお断り。
図書館にある本は英語ばかりで1ページ読むのに30分も掛かるようでは無理だし、
北欧から行ったわけでもないから日光浴もしたくない、第一皮膚がんになってしまう。
ダンスは、酔っ払ってホステス相手にチークダンスは出来るが、
まさか年取ったカミサンとジジイがチークダンスでもあるまい。
高所恐怖症で崖登り(ロック・クライミング)などおぼつか無い。
0043
(ロッククライミング)
0057
(ダンスのエクササイズ)

できることと言えばウオーキングかジョッギング、トレーニングマシーンで
ウオーキングくらいしか出来ない。
いずれの場合も広がる海と照りつける太陽を眺めるだけで面白くも何もない。

結局、ベンチに腰を下ろし、泳いでいる子供やその父兄、
ヴォリューム満点のビキニのご夫人を見ているか、
音楽を奏でる楽団員の一挙手一投足を見ている程度のことしかなく、
マッタク退屈でそのうちうつらうつら寝込んでしまう。

似たもの夫婦で同じような時間にお昼寝をして、
同じような時間に良い気分で目覚めて、
「これぞ優雅なクルージング」と一人合点しているだけで、
晩飯は何にしようかぐらいしか思い浮かばない。
0037
(当たり前だが回りは海)
0045
(日陰の椅子もあるが回りは海だけ)

ボクのように夜九時には寝る体勢の毎日を送っているものには、
ディナーの後にコーヒーでも飲んで、すこしお散歩をして、
お風呂ならぬシャワーを浴びたらもう寝る時間になってしまう。
夜は劇場で毎夜、ミュージカルや演劇が催行されるが英語での上演では、
見る気にもならないと同行の人に話す。
(ボリュームにご注意!クリックすると音楽「80日間世界一周」がながれます。)

ビクター・ヤング 80日間世界一周


四日目の夜は、英語で「新婚さんいらっしゃい」のような番組があるという。
英語なんか解らなくても、面白い見世物だという。
あーあ、英語なんて苦手だが、
それでもなんか面白そうだと、カミサンをつれて劇場を覗く。

昔、北京で京劇を見たとき、カミサンには日本語同時通訳のイヤホーンを借りた。
ボク自身は英語の字幕が出るというので借りなかったが、面白いほど良く判った経験がある。
今回も話しの内容は良く判ったが、何しろカミサンに同時通訳しなければならず、弱った。
どうしてかというと、
司会者が「最初のデイトの時何処まで行きましたか?」の質問に
回答者は三組いて、
A組は「キスまで」
B組は「手をつなぐ程度」
C組は「最後まで」と答え

司会者が「最後までとはSexまでということですか」と訊ね、
C組の女性が「イエス」と答えたからだ。
同時通訳者としては、通訳しかねたが、
カミサンを見ると大声で笑っている。
なるほど、英語がわからなくても面白いはずだ。

「ところでボクたち何処まで行ったんだっけ?」とカミサンに聞くと
黙って右二の腕を抓られた。

司会者はさらに突っ込んで質問したが、
同時通訳もはばかられ、ここで書くのも遠慮しておきたい。
後はご想像にお任せする。露骨過ぎて、劇場を後にお茶にした。

ある日、日本人のスケーターが出演すると言うので、
眠い目をこすって、アイスショーを一度見た。
これもホリデイ・オン・アイスを見たことがあるわれら夫婦に言わせれば、
これがショウ?と思わせるもの。
4回転のジャンプが一回あったものの、後はリンクをスピードを上げて
滑走する程度の見世物である。
ミュージカルもニューヨークのブロードウエイで観た「ダンシング」や、
東京の劇団四季の演じる「キャッツ」とは比べることが出来ないほど。
すべて無料だから仕方がないとはいえ、時間つぶしにしてもヒドイ。

これで何がタキシードだ、フォーマルだ、といいたくなる。
先方に言わせれば、いいえこれはプレミア船ではなく、カジュアル船といわれそうだが・・・
フォーマル、タキシードで思い出したが、
料理も東京の家の近くのイタリアンレストランで頂いたほうがよほど美味しいし、
第一ネクタイもスーツも何も要らない。
要るのはお金だけだ。それも高々二人で五千円あれば事足りる。
ワインももうこれ以上飲めませんと言うほど飲んでもである。

プロムナードを乗組員が仮装行列をするといっても、
夜10時過ぎでは寝ぼけ眼で部屋から覗いても楽しいとはお世辞にもいえない。

もっと若い年代に参加していればきっと面白かったことだろう。
お酒を飲んで羞恥心を捨てて、下手な英語をしゃべって、ボクよりはるかに背が高く、
大きな手の平の、腕には金髪のうぶ毛のあるアメリカ人女性とダンスをする。
ダンスをしたことがないから、
相手の女性にダンスのステップを教わりながらフロアを動き回る。
きっと楽しいに違いない。
ワルツ、タンゴ、チャチャチャ、ルンバ・・・
エーイ面倒だ! 
いちいちステップを教わっているわけにも行かない。
チーク・ツウ・チークでごめんよ、これで勘弁ね、と行きたいものだ。
0046
(どんな場面か想像して下さい)

若いときはこんなこと平気で出来たのに・・・
ブロークン・イングリッシュでつまらないお喋りして、
ニコニコ夜明けの三時ころまで遊んでいても、
翌朝にはシャンとしていられたころが懐かしい。

つまりボクのように早寝早起きの年寄りには、クルーズの楽しみは少ない。
一度は乗ってみたかった客船も、いかに豪華客船と言おうと船の中の生活はつらい。

話は違うが、
もう一つしてみたい旅行がある。
それはオリエント急行に乗って、イタリアを縦断することだ。
これも早くしないと、面白くもなんでもない旅行になってしまうかもしれない。
時は待ってくれず、どんどん先に行ってしまい、年齢は嵩んでしまう。




ルームキーパー(カリブ海クルーズ5)

2009年03月22日 07時54分34秒 | 船旅
001
(タオルを折ったサル)

(ルームキーパー)
乗船のチェックインが終わるころには、お昼を過ぎている。
誰もがお腹を空かしているから、
頭に浮かぶのは「レストランは何処?」だ。

デパートの館内案内と同じものが、各所に張り出してある.
これもすべて英語であるが、日本人とはいえ誰でもレストランぐらいは読める。
ただアメリカ人に比べれば見つけるのがすこし遅い程度の差しかない。

三階の船尾にあることを確かめると、まずは自室へ直行して、
手荷物を置いて、スーツケースが到着するのを待って、
これを部屋の中に入れればOK。
それが終われば食堂へ直行できる。
万一スーツケースが届いていないときは待つしか手が無い。
しかし幸いスーツケースは程なく届いた。

驚いたのは、持ってきた人が恐ろしいような黒人で、
見上げるばかりの大男であったことだ。
しかし、スーツケースを渡すときに出会った黒い大きな瞳は、
無邪気そのもので、にこやかに
「ハロウ!」と
手を出されたときは少々戸惑ったが、黒い大きな手は分厚く、
柔らかく包み込まれる様な安心感があった。
女性なら、きっとこの笑顔の瞳と分厚い柔らかな手のひらで、
一度に心惹かれるに違いない、と思った。

握手が終わるや即座に、用意したチップを渡すと
「サンキュウ」と言って引き続きペラペラと何か言ったが、
どうやら自分の名前と、この部屋の担当である旨話したように思う。
正式な名前は覚えていないが、
ニックネームは「サム」と言うことだけは覚えた。
航海中このルームキーパー、サムとはよく顔をあわせたが、
遠くからでも愛想良く手を挙げて挨拶をした。

われわれ東洋人は、東洋人の中でも、中国、朝鮮、
フィリッピン、日本人など即座に区別がつくが、
アメリカ人、イングランド人、ドイツ人、
スペイン人、フランス人などなかなか区別がつきにくい。
白人から見れば日本人のAさん、韓国人のBさんを判別が難しいと思われるのに、
たった一度会って握手したぐらいで、沢山の人を覚え分けられないと思うが、
何十室と担当するであろうに、お客商売と言いながらよく顔を覚えるものと感心した。
002
(タオル芸術の犬)

ルームキーパーの特技としてタオル芸術の創造がある。
日本人が器用に色紙折りをするように、
湯あげタオル、お手拭タオル、顔拭きタオルを上手に折って、
猿や蝙蝠、犬等を造る。
まさかあの「サム」が作っていると思えないから、
ある時訊ねたことがある。
「あのタオルは誰が造っているの?」
するとサムは自分を指差し、ニコニコして「ボクだ」という。
「That’s fine!」と英語らしい英語(?)で答えたつもりだ。

毎朝、室内のベッドメイクするたびに、
取り替えてくれるタオル類で創る造形物は思わぬ感激である。
しかも雲突くような黒人の大男が太い指でどんな顔して
折りたたむのか想像するだけで楽しい。
004
(蝙蝠)
000
(蛸=オクトパシー)
003
(ワン君)





レストランの失敗(カリブ海クルーズ4)

2009年03月17日 09時24分40秒 | 船旅
0025
(メインダイニングのメニュウ、日本語で書いてある。暗いところで撮ったので読めるでしょうか?)

(レストラン)
レストランは3種類ある。

バイキング方式のレストラン
メインダイニング、以上は無料。
それに有料レストラン 二つ。

バイキング方式のレストランは朝早くから夜遅くまで開いている。
料理は好き勝手にさらに盛り付けて食べれば良い。

メインダイニングは、
夕方の決められたドレスコードで着飾ってディナーをいただく。
もちろん朝も昼も食べることが出来るが、注文してから時間が掛かる。
ボーイにスープ、サラダ、メイン料理、デザート、飲み物の注文をする必要がある。
日本語が通用しないのでとても面倒。
飯なんか食べた気分にならない。

そうそう大事なこことを忘れていました。
チップですが、旅行費用の中に含まれており、改めて支払う必要はないのです。
これは下船の前日、お別れパーティの席上、
レストランのウエイター、ルームキーパーetc.宛てに、
小袋に分けたチップを添乗員から渡されるので、
そのチップをそれぞれに渡せばよく、現場でその都度渡すことはしない。
それにしても3千人から貰うチップは、一人ごとには少なくても、
3千倍になりますので馬鹿にならない金額になるはずで、
一月に2回出港するので、従業員にはまずまずの金額になるのでしょう。
それにしても月に二回3千人もの観光客がいるというのは、
日本もそうですが、アメリカも平和だなあと感じます。
もっともアメリカ人の旅行費用は、一番安い船室でわずか599ドル
(日本円にすれば約6万円)で比較的参加しやすい。

話をもとにもどす。

メインダイニングは無料であるが、他に有料レストランがある。
これはお金を出して料理を注文して食べる。
これはイタリアンとステーキハウスとハンバーガー屋さんがあった。

さて、当日の夜は、
ドレスコード:フォーマルで、皆さん着飾って食事の席に。
0026
(料理の一部)

食事テーブルについては、乗船時に頂いたシーパスカード
(船内でのクレジットカード兼身分証明書)にメインダイニングの席が定められている。
七泊分の夕食の席が決まっていて、八人は毎回同じ人と食事をすることになる。
そこで話が弾み親しくなると言う寸法である。
0058
(メインダイニングの席、こんな感じ。暗くて見難い写真でごめんなさい)

ボリュームにご注意!
クリックするとレイ・チャールズの唄
わが心のジョージア/レイ・チャールズ



テーブルはアトランダムにセットされているのが理想的で、
つまり日本人半分と白人半分のテーブルにセットされていれば面白いと思った。
ところが、旅行社の余計な気配りで、
日本人は日本人同士のテーブルにセットが変更されていた為か、
毎夜テーブル番号が変わることになってしまった。
夕食時になると添乗員がダイニング待っていて、
日本人客を誘導している。

初日は、添乗員がなんだかんだ世話を焼いて、
何がなんだか分からないうちに
食事は終わってしまった。
呑み助のボクの記憶に残ったのは、
一本のワインを何人かで分けて、支払いも分けてくれると言うことと、
飲み残したワインは、明日の夜に飲むことが出来るということだ。

さて、翌日。
定刻よりすこし早く集まる習性のまじめな日本人客が三組、
ボクがダイニングに入る前に来ていた。
着席場所が分からず、うろうろしているところへボクが行ったと思し召せ。

メインダイニングに添乗員は来ておらず困ったが、
それはそれ、昔取った杵柄と言っても、もう50年も昔に取った杵柄であるが、
今では日本語でさえ思い出せない歳になっているのに、
なれない英語を思い出しながら
「この席はボクの席?」と訊いた。
もちろん席番の入ったカードを見せながら。
聞いた相手は、胸に金ボタンを六個もつけた紺色のベストに
紺色のタイトスカートに身をくるんだ、
目の大きな、髪の毛もシッカリ結った大柄の黒人女性であった。
黒人の目は見る見るうちに大きく見開かれ、怒りの表情で何か言った。
0111
(レストランのスタッフ)

きっと「私はウエイトレスでは無いわよ!」と言ったに違いない。

しまった、ウエイトレスとお客さんと間違えてしまった。
こんな時は、言葉をほとんど忘れかけていたことが役に立ち、
何を言っているか判らない振りをするのには好都合である。
身振りだけで「ゴメンナサイ」を言って、自分の席へ移動した。

これが世間で言う年寄りの逆地獄耳というものだ。
(ボクの言う逆地獄耳とは、都合の悪いことは聞こえぬ振りをすること。(笑)
まさか外国で地獄耳を持ち出すことになるとは・・・

ところで地獄耳って英語でなんと言うのだろう・・・

追記:地獄耳=The sharp ears


客船のチェックイン(カリブ海クルーズ3)

2009年03月11日 09時14分54秒 | 船旅
0001
(バスと併走するモーターボート)

(二日目:乗船手続き=英語ではチェックインという(笑)
フロリダのホテルを出てフリーウエイを港まで行く。
道路の左右は湿地帯だそうで、
道路に沿って川?というか水溜りがつながっている。
ガイドさんの話では、時々ワニが寝そべっているというので、
退屈しのぎに目を凝らしているとところどころに鰐が寝そべっている。
一つ二つと勘定をしているうちに左側が開けてきて、
水平線が見える海になり半島が突き出ているような先に、
小さな四角の白い建物が見えてくる。
それが最終日にたずねる「ポートカナベラルのNASA航空宇宙研究所」と説明がある。
少し走ると乗船予定の白い船が停泊しているのが見える。
0000
(海のはるか先に見えるポートカナベラル)

0020
(かすかにNASAと読める?)
0003
(13万8千トンの客船、乗組員だけで千人を超す)

全長338m、全幅48m、乗客定員3114名、乗組員1180名、
ボクの予想を覆す豪華客船である。
乗組員1180名に驚いた。
乗組員はすでに乗り組んでいるが、乗客は3千人を越す人がチェックインをする。
当然受付場所も学校の体育館のような大きさで、
入り口には4列ほどでお客の長い行列ができている。
パスポートのチェックはもちろんのこと、
一艘の船に一人でも伝染病を持った人が、インフルエンザに罹っている人が、
いや保菌者が居ると瞬く間に3千人に感染してしまう。
そのチェックで時間がかかって仕方が無い。
しかも英語圏の人だけならともかく、
ボクたち夫婦のように英語なんてさっぱり解からない、
を自慢にしている人もたくさん居る。
英語圏の方はそれでも2600名ほど居ることが後でわかったが、
それにしても2600名のチェックインを朝から始めても相当な時間を要する。
英文のチェックシートのほとんど「NO」の欄にチェックを入れて、
無事チェックは通過する。
船内での買い物、途中の乗下船の身分証明を兼ね備えた
「シーパスカード」を貰って終わり。
000
(シーパスカード)

いよいよ乗船するに当たり、今度は船側の儲け主義が顔を出して、
一組ずつ記念写真を撮る。
二人なら二人に、四人なら四人に、写真の構図が好いようにポーズを取らせる。
日本人夫婦はこんなときポーズのとり方を知らない。
ご主人は直立不動の姿勢で立ち、奥様は一歩下がり気味でつつましく亭主に寄り添う。
これが典型的な日本人の写真ポーズ。
カメラマンが、ああしろこうしろと言うのだが、
聞くほうは、なにぶん英語に不慣れな方たちが多く、
なかなか写真も上手く撮れない。
カメラマンは後で買ってもらう都合があるから良い写真を撮りたい。
ところがお客は言うことが解からず上手くポーズをとってくれない。
ただただ時間がかかるだけだ。

こんなときは旅慣れたものの勝ちだ。
ボクたちの番が回ってきて、ボクがカミサンの肩に手を回し、
ぐっと抱き寄せればそれで事足りる。
老いぼれ爺さんのボクと少し若いカミサンが二人で照れ笑いして
「ハイ!ポーズ!」でシャッターが押されて終わる。
コロンブスの卵(*)もこんなものであったに違いない。
な~んだ簡単なことだと次からのご夫婦はさっさと写真を撮ってもらい船内へ消えて行く。

「な~んだ簡単!」と言うが、前の二組は散々てこずって、
ポーズを取っていたなんてことは、皆さん忘れている。
000_2
(肩に手を回して「ハイ!ポーズ!」)

(*)コロンブスがアメリカ大陸を発見し、其の報告をしたとき、
「なーんだ、そんなの簡単だ、誰にもできる」と皆に笑われた。
コロンブスは目の前にあったゆで卵を「これを立ててみてください」と訊く。
その場の皆さんが挑戦するも誰も卵を立てることが出来ない。
コロンブスはやおら卵を手にして、ゆで玉子の尻をテーブルに叩き付けて、
玉子を立てて見せた。結果を知ってしまえば、誰でも出来ることでも、
最初に実行した人の偉大さを教えた良い例。

船は広い。それでもレストランはどこにあるくらいは分かる。
半日も掛けて、チェックインしたので、まず腹造りとばかりレストランに直行。
食べ物は何がどこにあるか分からず、
そうかといってお腹が空いているのは三千人の乗客全てで、混雑極まりない。
やっと席を探して、料理を取りに行こうとするが、せっかく確保した席を空ければ、
また誰かに席を取られてしまう。仕方なくカミサンに料理を先に取りに行くようにして、
ボクは席を確保して待つことにした。
0011
(レストラン入り口の果物の彫刻で「いらっしゃいませ})
0012
(レストランの入り口)

以前にも書いたが、カミサンは一人娘で育って、
成人するまで総て母親におんぶに抱っこの生活だったので、
沢山の人を掻き分けて、要領よく料理を取るのが下手である。
皆さんが終わるのを待って、それからやおら手を出すころには、
品物は大体なくなっていることが多い。
その点ボクは、六人兄弟の真ん中に生まれ、
早い者勝ちの生活に慣れているので、何をしても素早い。
それに考えが人とすこし違って、
順当な筋道と逆方向からの筋道からの両方から物事を考える癖が付いているので、
例えば、皆さんが品物を順番に取って行くようなところに、じっと並ぶことはしない。
まず最初に、並んでいる料理のテーブルをぐるりと見て歩き、
どこに何があるかを頭に入れ、皿だけ先に頂戴して、
料理を皆さんが取る逆の方向からほしい料理を頂戴して行くと言うようなことは出来る。

ビュッフェ・スタイル(日本ではバイキングスタイルという)の料理では、
自分の好きな料理だけを好きなだけ、何回でも取ることが出来るので、
必ずしも順番に品物を取る必要は無いのである。

のんびり屋のカミサンが必要なものをお盆に載せて食事をはじめてから、
ボクはスタートしたが、何がどこにあるかをカミサンに聞いてから、
さっと料理を皿に盛り、ゆっくり食事にありついた。
0006
(レストランの中、アルコール以外は全て無料)

船内案内は比較的判りやすい。
添乗員から迷子になる人が結構いると話しがあったが、
とても迷子にはなりにくいと思った。

十三万八千トンの客船の構造は、
十五階建てのホテル兼
スポーツジム兼
結婚式場兼
劇場兼
バー兼
ダンスホール兼
図書館兼
コンビニ兼
ゴルフ場兼
喫茶店兼
土産物屋兼
衣料品店兼
何でも屋。
この船内の探検を午後からすることにした。



船旅の服装(カリブ海クルーズ2)

2009年03月06日 08時25分10秒 | 船旅
(船旅の服装)
旅行社のパンフレットを見ていたら、
船舶のグレードという項目を見つけた。
プレミアムとかカジュアルというのである。
非常に堅苦しいフォーマルなプレミアム船、
クイーンエリザベス二世号で代表される。

それに反してリラックスしたカジュアル船があると言う。
カジュアル船では、先入観としての堅苦しさ、脱フォーマルで、気楽に行けそう。
そのように判断した。

カリブ海クルーズは、そのカジュアル船である。
これならボクが踏んだ二の足をぐいと前へ押し出してくれる。
クルーズ入門の船旅と旅行社のパンフレットにも書いてある。
「百聞は一見にしかず」とばかり、
嫌がるカミサンを連れて旅行社の説明会に出かけた。
説明会では、旅行者を集めなければならないから、
お客さんが旅行に行きやすいように誘導するから、堅苦しい話はしない。
0063
(フォーマルウエアの人たち)どの写真もクリックすると拡大されます。

しかし7泊八日の船旅でも2日間のフォーマルの日、セミフォーマルが一日、
残りがカジュアルの日である。

そこで質問した。
「フォーマルとはどんな格好?タキシードに蝶ネクタイ?」
「いえ、上下同色のスーツで大丈夫です。着物なら問題ありません。
女性の方は着物の方が多いですよ」という。

他のお客さんが
「浴衣でもよいの?」と質問したら、少し考えて
「ちょっと浴衣は・・・」と口を濁した。

本当のことを言うと、「浴衣」は字を見ると、
日本人には、夏の風呂上りに着る寝巻きみたいな印象があり、
言葉が悪いから正装とはみなされない。

しかし、いにしえの時代、たとえば芭蕉の時代には、
紺色の模様を染め、赤い花をあしらった一片(ひとえ=裏地の無い、
つまり浴衣のような)の着物は、
女性を表現する上ですこぶる優雅な着衣であったはずである。

日本ではともかく、外国人には、これはれっきとした着物であり、
彼らには正装に見えるはずである。
このボクの考えが「手を挙げて反論しろと」しきりに進めるので、
よせばよいのに手を挙げてしまった。

「浴衣というから、寝巻きみたいに聞こえるが、
裏地なしのひとえの着物なら大丈夫でしょ?」と言ってしまった。
担当者は返事に窮して「ご判断にお任せします」と逃げてしまった。
0067
(フォーマルも、ブレザーにネクタイで十分)

(お勧めは、箪笥の中に眠っている、もう二度ときることもない振袖の着物。
日本では既婚者は着ないルールらしいが、外国に行けば日本ルールはない。
外国ルールでやってのけよう!華やかできっと大受けするに違いない。
船内の外国人から、一緒に写真を撮らせてほしいと頼まれ、
自分の時間が無くなるくらいになるように思われる。)

話を戻す。
フォーマルウエアとはどんなのをいうのかと、
Xデパートのフォーマルウエア専門売り場に立ち寄って、

「船旅をするのですが、フォーマルとはどんな服装ですか?」と尋ねたら
金ボタンが六つ着いた濃紺のブレザーを見せてくれた。
「ボクは小柄だから二つボタンでもよいのですか?」と聞いたら
「はい結構です」という。

なんだブレザーなら、合服夏服合わせて十着ほど持っている。
二つボタン三着、三つボタン二つ、四つボタンは三着、六つボタンニ着だ。

それでも不安で、Yデパートのフォーマルウエア売り場で同じ事を聞くと、
「タキシードに蝶ネクタイ、ハイカラ-のシャツ」なんていう。
「どれですか?」と聞くと、ヘチマ襟のタキシードと、
ヨーロッパスタイルのタキシードを見せてくれた。

ヨーロッパスタイルのタキシードは、
何のことは無い日本では略礼服と言い、
葬儀のときや、結婚式のときに着る黒い服のことである。

考えたら、イギリス王室御用達ブランドで、おしゃれなスタイルの一つボタンの、
それも夏物の薄い生地の礼服を持っていることを思い出した。
(これでよし、ブレザーにしようが、タキシードにしようが、どちらも持ち合わせがある。)
デパートの皆さんに悪いが、何も買わないでお礼だけ言って、
感謝の気持ちを込めて深々と頭を下げて帰ってきた。

フォーマルといえば靴もフォーマルシューズを持っていた。
結婚式は孫でも結婚しなければもう履くことも無い。
葬式はあるかもしれないが、兄弟姉妹か、
倅や娘の連れ合いのご両親のときしか使うこともあるまい。
これも長い先のことで、ボクが先にあの世へ行くほうが早いようだから、
今のうちに使っておこう、と言う気になった。

カミサンは説明会で聞けば簡単なワンピースと
上下のスーツでもあれば事足りると考えたようだ。
0061
(あまり気にしないで良さそう。素敵なドレスをお持ちなら是非お召しを!)

説明会が終わって、担当者に会って、今着ている服装を見てもらい
「この服装でフォーマルと考えてよいか?」と聞いたら、
「ネクタイを着用していただければ結構です。」という。
そのときの服装は二つボタンの濃紺のブレザーに
グレーのパンツ姿でノーネクタイであった。
カジュアル船だからあまりかしこまって考える必要は無さそうである、
と勝手に考えて船旅を申し込んでしまった。

旅は、「カリブ海クルーズ」。
初日 アメリカのフロリダのオーランドへまず行きそこで一泊。
二日目 13万8千トンの客船にチェックイン。
三日目 終日クルージング
四日目 ハイチのラバディ入港。プライベートビーチで一日自由散策
五日目 ジャマイカでオーチョ・リオスに入港。ダンズリバーの滝登り
六日目 英国領 ケイマン諸島のジョージタウン入港。島内観光とアカエイ見物
七日目 メキシコ:コスメル入港:トゥルムのマヤ遺跡観光
八日目 終日クルージング
九日目 フロリダのポートカナベラル入港:ケネディ宇宙センター観光
十日目 飛行機で日付変更線を通過し
11日目 帰国 の予定

さてこの初クルージング、どんな失敗が待っているのだろう?
0009
(同じ港に停泊していたディズニーの船)




初めての船旅(カリブ海クルーズ 1)

2009年03月01日 09時44分26秒 | 船旅

(クルーズの客船、13万八千トンある)

(初めての船旅)
旅をするものにとって、船旅は憧れの旅行である。
ボクも世界を旅行し始めてから一度は船旅を楽しみたいと思っていた。
しかし、なかなか実行に移せなかったのには理由がある。

1.船室によって旅行代金に差があること。

  旅行者の募集内容を見ても、100日間世界一周で例をとれば、
  A船室は2千万円、E船室は3百万円也の差があることである。

  日本のフェリーでも特等室から三等室まであり、
  特等室は個室のツインベッドになっているが、三等室は雑魚寝である。

  飛行機のファーストクラスとエコノミーの差ではなく、歴然とした大差があることだ。
  何よりも旅行代金が高額になること。やっぱり、これが一番の理由かな。
  同じ場所を旅行するなら飛行機で行くほうがよほど安いのである。


(陸上にあれば15階建てのホテルのようなもの)

2.この船室の差(代金の差)によって、船内の扱いが違うと想定されること。 

  たとえばレストラン、AレストランはA船室以外の方はお断りと格差があると想定される。
  船室によってきっと乗務員の扱いも違ってきそうである。
  日本では食事くらい金さえ払えば、どこでも食べさせてもらえる。
  一見(いちげん)さん(初めてのお客さん)お断りというお店も日本ではあるそうだが、
  そんなところはこちらで願い下げである。 


(客室に行くエレベーター)
 
3.船室外では、フォーマルウエアを着なければならない。

  なんか上流社会のパーティにでも参加しなければならない雰囲気があることだ。
  気取った格好で気取った食事をし、堅苦しくもクラシック音楽を聴きながら、
  二時間もかかって過ごす食事中は、マナーを守ってナイフ・フォークを使い、
  スープをすする時は音を立てないとか、背筋を伸ばしてスプーンを口に運ぶとか、
  レディの気を逸らさないように気使いして、
  豊富な話題でスマートなおしゃべりをしなければならない、などなどである。
  飯くらい好き勝手に食べさせてほしいものだ。
  何よりもフォーマルウエアとはどんな服装かさえ知らない。
  それにパーティでの社交ダンス。
  ボクだけかもしれないが、
  大和心の日本男児に女性の手をとりリードして踊るなど照れくさくてできるわけが無い。
  社交ダンスは(チークダンスはお得意だが)一度もやったことが無いのである。


(格好良いフォーマル・ウエアの人)

4.搭乗客は日本人が少なく、毎日を英語で話さなければならない。

  英語はそれこそ50年も昔に勉強して、
  そのころは日本の外国人向けの英語放送も難なく理解できたが、
  今では英語放送も理解できず、日本語ですら話すのに困るくらい
  言葉が出てこない。まして英語と来たら話したい単語がまるで出てこない。
  書いたものなら何とか思い出せるのであるが・・・
  船旅を億劫に思っていた理由はこんな理由であった。  
  まだほかにもある。


(アメリカからのお客さんが2600人)

ここまでお読みいただいた読者の皆さんは、
「それなら船旅なんか止せばよろしいじゃありませんか」と仰るに相違ない。

でも旅人は、一度は船旅をしてみたいものである。