中山道ひとり歩る記(旧中山道を歩く)

旧中山道に沿って忠実に歩いたつもりです。

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お茶ー近くて遠い国(中国紀行 6)

2020年07月22日 20時03分49秒 | 中国紀行(近くて遠い国)
(お茶)
何度も書いるが、ぼくの頭の中によほど印象に残っているのであろう。
パール・バックの「大地」、英文では{Good Earth}、
これを大学一年の夏休みに、
初めて原書に手をつけて読んだので、すこぶる強烈に記憶に残っている。
それは物語の出だしが、大層印象的であることも手伝っている。

その物語の冒頭は、
貧農の主人公が朝暗いうちに起きだして、お湯を沸かし、
家の奥から流れて来る父親の咳を聞きながら、
お茶を入れるシーンである。

「コンコン」と咳き込む咳の音を英語では
「cough cough」と表現するとか、
お茶を入れるシーンでは、
カールしたお茶の葉が器の中で、
柔らかく開いていく記述に、
中国ではお茶の葉を茶碗に入れてお茶を飲み、
お茶の葉も食べるのだなあ、
とか新しい発見をしたものである。

今年(2006)三度目の中国を訪れて、
茶碗の中に直接入れたお茶の葉が、
お湯を注ぐと開いていくさまを観察できたが、
この時初めてパール・バックの「大地」にある、
お茶の著述を体感した。

このお茶は江沢民氏から、
エリザベス英女王に送られたといういわく付のもので、
本来緑茶は、いったん蒸したお茶の葉を素手で揉み、
乾燥させたものであるが、
このお茶は摘んだものを、
そのまま緑色が変わらぬ程度に焙烙(ほうろく)で炒ったものである。
お茶屋さんに入ると、このお茶を炒る匂いが充満していて、
ほうじ茶を思い出させるが、
暑い日には私たち見学者を爽快な気分にさせてくれる。

一番茶、二番茶とお茶の入れ方など聞きながら、
入ったお茶をいただくのであるが、
長年胸中に温めていた中国茶への憧れからか、
とてもおいしくお茶をいただいた。
これは中国でのお茶を売るためのデモンストレーションで
あることがわかっている人たちは、
「一番茶、三缶で一万円!」といわれても、
誰も返事をしないし、素知らぬ振りである。
売り手もなれているとみえ、
三缶がやがて四缶になり、5缶になって、
さらに二番茶が一缶オマケについて一万円になる頃、
本当に買いたい人が
「オマケを二番茶でなく一番茶にしてくれません?」と言う。
売り手は困った顔をするが、
やがて折れる。
見学者十数人の中で、
一人でも商談が成立すればOKと全員が腰を上げる。
こんな光景が旅行中に何度かあるのは、
疲れる。

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さて、この銘茶の生産地には、お茶の博物館があり、
その横にお茶畑がある。
一番茶とは、春になり最初に出た芽を摘んだものが一番茶であり、
一番茶を摘んだ後に出るお茶の芽を炒ったものが
二番茶になるという説明である。
一番茶、全部で六缶にしてもらって、
一万円で買ってお茶を帰国後落ち着いてから飲んでみると、
お茶に湯を注ぐと、日本茶ではお湯がグリーン色に変色し、
お茶の香ばしいかおりが広がるが、
このお茶は香りこそすれ、
お湯に色は付かない。
全くの白湯である。

飲んでみれば日本茶と変わりなく、
おいしい。
しかしなんとなく物足りないのは、
食べ物飲み物を目で食べてしまう
習慣が付いているからであろうか?
その事情を説明しながら、お土産として子供たちや、
知り合いに配った。
茶碗に残ったお茶の葉は、
お召し上がりくださいというのも付け加えた。
その後、お茶の緑色が出ないことに不満を感じて、
このお茶の葉を細かく砕いて粉にし、
抹茶のように、一匙茶碗に入れてみると、
緑茶になり、味も豊かで、
ますますおいしく感じた。

こうして、長年抱いていたお茶の葉を食べる
「茶の湯?」に大満足、
イギリスのエリザベス女王に、
このお茶の入れ方を教えて差し上げたいものである。

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