森の中のティータイム

離婚を経験し子供達も独立 
暮らしの小さな発見をノートに。

小太郎の冒険

2012-10-12 | 動物

去年の今頃、私は昼夜を問わずシッポを探し求めて近所を彷徨っていた。
あれから一年も経ったなんて。

       

そんなことを思いながら過ごしていた数日前、ふとした心の緩みがあったのか
外出先から戻り玄関ドアを開けた瞬間、足元の隙間から小太郎が外に出てしまった。
とっぷり日も暮れた7時過ぎ。 もう辺りは真っ暗だ。

咄嗟に荷物を玄関に放り出して慌てて追いかけた私に、娘もついてきた。
初めは裏庭で嬉しそうに逃げながら時折「あーん」と鳴いて待つような感じだった小太郎が
やがて近づく気配だけで怯えたように「う~~」と唸ったり、ピューマみたいにビュ
ンビュン右に左にと走り始めたので、これはまずいと私たちも「待ち」の作戦に移った。

小太郎の好きな焼きササミのおやつや、お気に入りの玩具「カシャカシャぶんぶん」
を振り、近づくのを待つ。以前家に入れるために捕獲する際成功した「洗濯ネット」
を、その日たまたま購入してきていたのでそれも持参し「こんなものを買ったのも
このためだったのか」とその時は神の思し召しのように思った。

小一時間後、とうとうこちらに近づいてきた小太郎に人差し指の匂いを嗅がせ
私の手に顔を摺り寄せてきた! 洗濯ネットの出番だ!!被せようと私が足を踏
み出した瞬間…大きな石に足をとられ、つんのめってしまった。
すかさずスルリと身をかわした小太郎は、遠くに逃げてしまった。

もうしばらく捕まらないだろうことは、小太郎のその時の恐怖に怯えた表情で
判った。「もう信用しない」という人間不信の顔。
そしてやがて夜の闇に消え姿が見えないまま30分くらい過ぎただろうか。
私は焦りながらも、昔同じような経験をしたことを思い出した。

          ・・・・・・・・・・・・・・
それは10年以上前のこと。
ご近所で野良猫が産んだ仔猫姉弟が、早くに母猫に独り立ちさせられてしまい
お腹を空かせて鳴いていたところを、お隣の家が飼ってくれることになった。
我が家の娘たちに一番懐いていたので本来はウチが飼いたかったけれど、上の
娘は猫アレルギーで、下の娘はノミアレルギー。それは以前我が家に入りびた
りだった隣家の飼い猫が自由に外に出ることでノミまで我が家に持ち込み発覚
したことだった。

その子が前月にいなくなってしまうまで仔猫の母猫と仲良しだったことで、
仔猫たちの父猫だった可能性もあり、結局お隣が引き取ろうということになった。
その姉弟猫の姉の方は賢くとびきりの美描で人懐こく誰にも可愛がられる子
だったが、弟猫は少し臆病で身体能力も姉よりかなり劣っていた。名前は
「ちびこ」と「ちびお」と名付けられた。

ある日お隣の奥さんが慌てて「首輪を着けたらちびおが逃げた」と家に来た。
首輪は奥さんの手縫いの布製だったという。
私も捜索に加わり、暫くして姿を見つけた時には首輪が「猿ぐつわ」状態になり
ちびおはますます怯えて逃げ回る。
結局その日は捕まえられず、ご主人が「しばらく待ったほうがいい」というので
捜索を打ち切った。

翌朝早く起きて娘と二人で探し、しばらくして道路を隔てた駐車場の車の下で
ちびおを見つけたがやはり怖がって近づかない。でもかなり衰弱していること
が目に見えて判った。水さえ飲めなかったのだから無理もない。
祈るような気持ちで私は「ちびお、お願いだから来て」と何度も小声で言った。

そのとき、ちびおは目を閉じてゆっくり私に首を差し出した。
私は娘から用意していたハサミを受け取り、急ぎたい気持ちを抑えながら
傷つけぬよう首輪をカットした。:: その瞬間、ちびおはゆっくり草むらに
横たわり目を閉じた。娘に水を持ってきてもらい、私も娘もポロポロ涙が
こぼれるのを止められずにいた。

ちびおはその後一年くらいで病気で死んでしまったけれど、あの経験から
どんなに可愛い首輪を見つけても私は猫に必要のない限り着けられないでいる。

          ・・・・・・・・・・・・・

あの時の怯えたちびおの顔が、この時よみがえってきた。
くるさんのブログで掲示される「迷いネコ」たちも、何か月後かに
戻ってきたときにはかなり衰弱したり痩せているらしい。
「捕まるときは衰弱したとき」というけど、そんなことは出来れば避けたい。

小太郎はそれから公園や道路脇の植え込みでも見つけてはさっと姿を消し、私たちが
入れない「立ち入り禁止」の工事現場で堂々と用を足したり木に登ってみたり。
諦めかけた頃、疲れたのか草むらに寝転んでいた小太郎を呼ぶと再び近づいて
きた。油断したところを今度は上からしっかり抱き上げ、ぎゅうぅっと抱えて離さず
家に戻ったのが午後10時45分。4時間近くも外にいたことになる。

そのまま風呂場に直行し待ち構えていた娘に丸洗いされる小太郎(笑)
どんなに泣き叫んでも溝の中まで走ったんだから仕方ない;
私も娘も何か所も虫に刺されて痒い。必死だったせいでその時まで
殆ど感じずにいたけど(笑)

やっぱり平凡な日常が何より。

 

 

でもいつも隙を見計らってるっぽい小太郎。

        

油断したらきっとまた同じことをする。
お外は楽しかった?きっと昔のことを思い出しちゃったんだね。
可愛い寝顔はお外を駆け回る夢を見てるから?

       

       か、可愛くはないな (^-^;)

福太郎のような「遊ばない子」には「既成の玩具よりもウールの毛で作った手作りが良いらしい」
と娘が言うので、猫たちに何か作ってみようかと試作中(家出されたら困るから・笑)

 


    *********************

カメラが無い生活は本当に不便で、長らく日記を更新する気がしなかった。
こちらは雑記ブログなので、画像が無いと記事も何だかシマラナイ気がして。
けれどもそういう記録写真に限らず、私は生活のあらゆる場面でカメラ
を使っていることを、この間に自覚した。

例えば自分で髪をカットするとき。
要所要所カメラで後姿を確認しながら、少しずつ進める。
それから家の模様替えをするとき。
肉眼で見ただけでは判別できなかった不揃い感などを確認できる。
カメラはあらゆるモノを客観視させてくれる重要なツールなのだ。

絵を描くときも、私はよく鏡に映して途中確認する。左右逆に観た時でも
変に見えないことが絵の仕上がりを左右すると以前こちらに書いたこと
があるけれど、もう一つ、カメラを通して観るととデッサンの狂いなどが
判り、とても便利。

なので「シャッターユニット」の取り替えをしてもらって無事返ってき
たカメラは、再び私から酷使される運命に(笑)

食器棚の目隠しとしてガラス部分に張っていた生成りの布(左右)が色褪せたので
チェッカーガラス風シートにしようかそれとも好きなグレー×生成りの布?(中央
実はシーツで代用)と迷い中。これも比べるためにカメラに撮ってみる。
       

ついでに捨てる段ボールをカットして、フェルトを被せアクセサリーボードを。
上のセリアのものを真似てみようと作ったら角が・・ちょっと丸くなり過ぎ;
作り直すの面倒だなー。

 

カメラは正直だわ;


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6 コメント

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Unknown (Maria)
2012-10-12 20:52:36
最初の(写真の下の)三行を読み終えるか終わらないかと同時にハッと息を飲み込みました!
と同時に《この子は戻って来る!》と直感しました
しばらく読み進む内に 私の感は間違っていたのか…とウッスラと思いましたが
やれやれ、戻って来て良かったですね^^;
サスペンス&アクションを観たような刺激的な文章でした

カメラも再生!ですねこちらもヨカッタですね
それにしても色々な使い方をしていらしゃるのですね
私ももう少し何かに利用出来ないか 脳みそを動かさなければ^^;

段ボールにフェルトを被せる…アイディアですね!
海外から届いたカードを葉書ファイルに入れて整理しているのですが
せっかくのカードが届いた途端しまわれるのでは寂しいなと思っていて
でも、コルクボードに貼るのでは味気ないし…と思っていました
私ももう少し考えてみようかしら
何か自分らしい飾り方^^♪

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Unknown (かぜこ)
2012-10-12 21:45:53
小太郎ちゃんが戻り安心しました。戻るまでwildroseさんが、どんなに落ち着かない時間を過ごされたことか。。。私も同じような経験をしたことが何度かあります。
いろんな表情の写真は一緒に暮らす人でないと撮れない写真だなーと思いながら楽しませていただきました(^-^)
返信する
ドキドキしました! (みなあん)
2012-10-14 01:49:48
小太郎くん、本当に良かったですぅ~。(泣)
どうか癖になることなく、「やっぱり我が家が一番!」と思ってくれますように。

私も首輪はしない派なのですが、単純に「室内飼いだし、鬱陶しいだろう。」と思ってのことでした。
ただ災害時などの緊急用に、猫数分の胴輪式のリードと、それぞれの連絡先付ネームタグを用意してセットしています。(使う機会がないよう祈りつつ)
でも教えていただいたエピソードのような、命にかかわるアクシデントって本当に怖いですね。
日常の中の、しかも良かれと思ってのことが大惨事にならないよう、注意していきます。

ところで、いつも暮らしの中の創意工夫を見せていただき、ありがとうございます。
それに以前教えていただいた安東英子さんはもちろん、先日ticaさんにご紹介されていたメタルラックなど、収納を考える上でとても参考になっています。
無謀にも「自分でやってみようかな..。」と思い始めているので、wildroseさんの影響は大きいです!
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Mariaさん  (wildrose)
2012-10-14 14:54:03
以前、Mariaさんのブログで「みいちゃん」のエピソードを拝読したとき
本当に一編の物語を読んだようでした・・。
私にはMariaさんのような素晴らしい文章力がないのが残念ですが
緊迫した状況を読み取ってくださってありがとうございます ^^

あれからドアの開け閉めにはとても気を付けるようになりました。
でも喉元過ぎれば・・ってことが多いですから、「うっかり」が命取りですね!

カメラをあれこれとんでもない使い方していますが ^^; 
本来の用途の写真技術はさっぱり進歩しない私です(笑)
そういう意味で、パソコン買い替えの時も「無くてはならない理由」が
ちょっと人と違うことが多かったです~(笑)

そんなこんなで家の中も「我が家サイズ自分流」です。
でもMariaさんの仰る「自分らしさ」が許される稀少な部分ですものね♪
Mariaさんならきっとセンス良いアイデアが浮かぶと思います☆
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かぜこさん (wildrose)
2012-10-14 15:03:45
コメント有難うございます♪
かぜこさんのお宅でもそんなことがあったんですね!
仰る通り「もしかしたらこのまま帰ってこないかも」と
深刻な事態を想像して、じっと待つなんてとても無理でした。

でも本当はこんなときこそ「落ち着いて」行動するべきだと
反省しました。
動物って言葉は理解しなくても、人の「気持ち」はダイレクトにキャッチしますから。
お互いこれからも気を付けましょうね ^^
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みなあんさん (wildrose)
2012-10-14 15:47:16
我が家の猫たちにも、緊急時と通院の際に付ける胴輪式のリードをそれぞれ用意していますが
連絡先ネームタグは用意してなかったので、これから準備することにします。
色々気付かせてくださって有難うございます☆

3.11以来、災害時での猫との避難対策を話す機会が増えました。
犬を飼っている友人は、引っ張るカートタイプを早くから購入しています。

我が家でも今ある背負うタイプのキャリーバッグ以外にどんなタイプのキャリーを用意したら
人間一人で二匹の猫を連れて逃げられるかをシミュレーションしてみたり
迷いに迷ってまだ検討中でしたが、急がないといけませんね!

私のようなずぼら人間の考える一工夫なんて・・ホント
「散らかって見えない小細工」ばかりでお恥ずかしい限りです;(笑)
みなあんさんの「整理整頓」ができていれば問題なしですよ。
やはり「清潔に勝るインテリアなし」ですから!(反省)

安東英子さんも掃除しないお宅では家人を叱咤される厳しい部分もお持ちですし
お部屋のリフォームが完成した後、依頼主さんと一緒に泣かれる姿をテレビでよく拝見しました。
お人柄の部分でも尊敬できて大好きなんです。

そうそう、小太郎の失踪時、福太郎は家でオーンオーん鳴いていましたが
戻ってきてお風呂に入れられているときも風呂場の外でドアに張り付いて心配そうに鳴いていました。
普段仲が悪いクセに、猫ってホント不思議ですよね ^^
ご心配をおかけしました~。
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