ほよほよさんぽみちNEW

いつでも君のこと好きだったよ

蜜柑の木

2016-08-28 18:22:04 | 日記

 私の住んでいる家は3代目。 

 

 2代目の持ち主が植物好きだったようで、狭い敷地に小さなミョウガの畑があったり、葡萄の棚があったり。 リフォームするときに抜いてしまいましたが、紫陽花や金木犀もありました。

 

 あんまり普通はないな、と思うのが南西角に植えられた蜜柑の木。 実は滅多になりません。 ひとつだけ実をつけたとき、息子がピアノの先生に「蜜柑がなった」と言ったら、「家で蜜柑がなるなんていいね」と言われたそうですが、1個だけだとは言えなかったみたいです。そして、その蜜柑1個は食べたのかどうだったのか忘れましたが、皮はお風呂に浮かべて楽しんだことは覚えています。

 

 葉っぱに蝶が卵を生むし、隣の敷地まで枝が伸びるので、もう切ってしまおうと決めたことがありました。

 

 直径5センチほどの幹を地面から30センチくらいのところで切りました。 かわいそうだな、と思ったのですが、心を鬼にして切ったのでした。

 

 でも。 蜜柑の木はまた、ぐんぐん伸びだしたのです。 それを見たときは、ごめんごめん、もう切らないよ、と謝って、それからは枝を払うくらいにしています。

 

 2代目の持ち主はリビングの南西の角の部分をほんの少しだけ増築して、そこに西側に広い窓、南側に縦に細長い窓を造りました。 そこは私のお気に入りの場所で、机を置いて、家にいるときはほぼそこにいます。 夏の終わりになると、はっとするほど美しい黄緑色の光がそこから入ってきます。

 

 それは、蜜柑の木の影なのでした。

 

 窓はすりガラスなので、ぼんやりとした緑色の影だけが映って、かき氷に檸檬とメロンのシロップをかけたようでとても涼し気です。

 

 何度か歌に詠んだら、このあいだの山城歌会で「印象派の絵のような輪郭のないものを詠みたかったんでしょう」と言われてから、私はひとりで「印象派の窓」と呼んでいます。

 

 その窓にはヤモリがきてかわいいてのひらを見せてくれたり、ぺろっと舌がみえたりすることもあります。

 

 きょうは風がとても強くて、蜜柑の枝が大きく揺れています。

コメント
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