ほよほよさんぽみちNEW

いつでも君のこと好きだったよ

日曜日は短歌の日 真中朋久『火光』

2015-06-14 23:13:36 | 日記

 去年は「水曜日は短歌の日」ということにして、ここに水曜日ごとに読んだ歌集の紹介などをしていたのですが、ずいぶんご無沙汰していました。

何曜日は何の日と決めてしまうと、義務的になって自分もしんどくなってくるので、決めずにゆるゆる続けてゆきたいと思っています。

 

 そういえば、ほよほよさんぽみちNEWになって1年が経ちました。 ぱちぱち。

 

 それでは、真中朋久『火光』より。

 

 ・裡に龍がゐるのではなく龍の背にからうじて住んでゐるにあらずや

 ・二度死ぬことはあらねど再びを殺されるといふことあり死者には

 ・雨しぶく高速道路の車輪しゃりん白い炎にまみれる車輪

 

 タイトルにも「火」がついていますが、全体的に火のイメージに覆われているような気がしました。

強さと表現すればいいのか、熱さと言えばいいのか。 簡単には近づけない熱を歌が纏っているようです。

雨の中のタイヤのしぶきさえも白い炎にまみれています。

 

 ・久しく触れざりし楽器なりひきよせて調弦をはじめる

 

 ギターでしょうか。 久しぶりに弾こうと思って調弦をはじめているという静かな場面なのに、

「ひきよせて」あたりに強い力があって、ぼんやりと爪弾くという感じではない、ちょっと怖いような

緊張感が漂っています。

 

 ・わが裡にほろびゆくものほろびたるものがおまへをほろぼす かならず

 

 息がとまりそうな迫力です。

 

 ・ぢぢむさくあるとしいへばしたしくも常磐木は冬を迎へる

 

 「ぢぢむさい」という言葉は私が京都にきてから知ったのですが、

かっこ悪い、さえないの最上級みたいに使うようです。 前川佐美雄の『植物祭』に

 

 ・はかならしいわが行く末かかなしくてぢぢむさい掌(て)に覗きこんでる (前川佐美雄 『植物祭』)

 

 という歌があって、これを読んだときは衝撃的でした。「ぢぢむさい」なんて言葉をよく歌にいれたなぁと

思ったのでした。 ところが、真中さんのこの歌集にも「ぢぢむさい」の歌が入っていて、驚きました。

 

 ・ときはぎのしたかげくらし 俺の歌を読むな俺の歌を書き写すな

 

 ・・・・もう書き写しました。 この歌にも寄せ付けないオーラがでています。 

 

 最後に穏やかで美しい歌を。

 

 ・水の器すなはち光の器にて靄こめし水面はひかりをたたふ

 

 ・

 

 

コメント
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