西葛西のI眼科に行った帰りは、用事で日本橋のデパートへ。
眩しい日差しの下、橋のたもとのところで何人かの中高年グループが写生に励んでいました。地域のお祭りも始まったようです。どことなく聞こえてくるピーヒャラの音色と提灯などで、あたりは和の雰囲気が流れているように感じられました。ちなみにこのお祭りは橋の手前(東京駅側)のもので、日枝神社の氏子地域による山王祭です。日枝神社といえば赤坂と思っていましたが、広範囲の地域を巻き込んでのお祭りなんですね。提灯に書かれた企業名はさすが都心。日本橋を渡った先は神田明神の氏子地域なので、お祭りの時期が異なります。
用事を済ませたあと、細川護煕展を覗いて来ました。
政界を60歳で引退してからは、(元々は母方の祖父、近衛文麿が保養のために建てたという)湯河原の不東庵で、晴耕雨読の生活を行っている細川家のお殿様。この展覧会を通して、細川氏の生き方にとても感銘を受けました。
先月エルメスでの「市井の山居」展でも、細川氏の様々な分野の作品を目にしましたが、パリ展開催を記念しての今回の展覧会で、更に多くの陶芸、書、漆などの作品 約120点を拝見し、「殿様の趣味」の域を越えたそれら作品群に見入ってしまいました。陶芸も志野、唐津、信楽、高麗など、現地から良質の土を取り寄せるなどして、より良いモノ作りを追求、実践されていますし、花器、茶椀や水差などの茶道具のほか、陶仏や狛犬なども、(たとえお手本の作品をもとにしたとしても)よく出来た、味わいのあるものでした。焼物に花を添えていたのは草月流などの生け花。「書」においては古典や漢詩、和歌などの中からご自身の好きなものを書き写しているそうですが、読んでいてとても気持ちのいい字体だなぁと思いました。さりげなく上手いんです。そして書の内容も、氏の思いが表われている様でよかったです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/2d/e1574982213f675365d7d9b2a40cf591.jpg)
《黒茶碗》2008年
細川氏が目指しているのは桃山の陶工、初代・長次郎の楽茶碗だそうです。会場で流している映像でも、漆黒の深さを追求し、工夫を重ねている姿がありました。
美的センス、冨と名声に恵まれ、それを最大限に生かし切っているイメージの細川氏でしたが、展覧会を観覧後、
無慾一切足(欲無ければ一切足り)
有求萬事窮(求むる有れば万事窮す)の
良寛の生き方や、兼好、長明、西行、大雅、道元など、気高く生きた先達に思いを馳せ、そのような人たちを見習いたいと思っている、一人の修行僧のような姿に変わっていきました。
出口のところに展覧会にちなんだ物品が売られていましたが、何冊もの著作をパラパラ捲っていたら一冊読んで見たくなり、「跡無き工夫~削ぎ落とした生き方~」と言う本を購入。帯の裏側の「終章」から抜粋されたこのような文章に引かれたから。
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もう一つ、書物の中に島崎藤村の「千曲川旅情の歌」の詩句が紹介されていました。それには「昨日またかくてありけり 今日もまたかくてありなむ ・・・」から始まっていましたが、「小諸なる古城のほとり・・・」で始まる詩句の、そのあとに続く内容をしみじみと読んだのは初めてだということに気が付き、あちらこちらに素晴らしいものが転がっているというのに、なんとなく見過ごしているほうが多いんだな、と気付きました。 細川護煕
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本当は近くのデパートで開催中の、もう一つの美術展にも寄る予定でしたが、手荷物が次第と重く感じてきたし、目も疲れたので次回に回しました。なのに遅いお昼は5階のスウィングで。スポーツ用品売り場の奥の、昔ながらのどうってことないつくりがかえって落ち着きます。昔は前がガラス張りで、ハワイアンやダンスなど、友の会サークルの練習風景が見れたんですけど、今はただの壁。リニューアルされてもおかしくない古さなのに・・・そのままにしてほしい気もします。
日本橋は、祭りだ、祭りだ~!
そして世界は、 サッカーワールドカップ2010
南アフリカ大会開催だ~!
ガンバレ、日本!!
ガンバレ、ブラジル!!