先週のことですが、久しぶりに上野まで、夫と二人でバルテュス展を 見に行ってきました。
バルテュス夫人、節子・クロソフスカ・ド・ローラさんのことは 以前から知っていたのですが、バルテュスの作品は、雑誌や 新聞で見ていたものの、実際に見るのは初めてでした。 ピカソをして「20世紀最後の巨匠」と言わしめたバルテュス、 本名バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ。(1908~2001) 11才の時に描いたという、愛猫ミツの物語以来、ネコはバルテュスの なくてはならないモチーフとなっています。ネコに同一化したバルテュス は、自分を「猫たちの王」と呼ぶようになったそうです。
(朝日新聞より)
猫と並び、生涯好んで描いたのは、「少女」をモチーフにした絵。 「少女」はバルテュスにとって、「この上なく完璧な美の象徴」でした。 しかし、それらの絵の多くはかなり挑発的というか、刺激的なのです。 それゆえに世間からは賞賛と誤解だらけだったようです。 チケットにも使われた「夢見るテレーズ」もしかり。子供から大人への 過渡期~性への目覚め~が感じられます。 フェロモン漂う少女の傍らで、皿を舐めている猫。いや、バルテュスです! ドキッとしてしまう構図ですが、大勢の老若男女がそろってそれらの絵 の前に群がり、じっと凝視しているんですから、なんとなく気恥ずかしい 気持ちに・・・。
《決して来ない時》
《キャシーの化粧》
これは、「嵐が丘」の挿絵に取り組んでいたころの絵ですが、挿絵と ほぼ同じでした。ヒースクリフと令嬢キャシーを、その状況が似ていた ことから、自分と名家の娘である恋人アントワネットに重ねていたと 思われます。 バルテュスの描く人物は、なんだか人形のようで滑稽な描写が多く 見られますが、自画像となると、ほぼ全部が男前なんですね。 自画像《猫たちの王》を見たとき、あっ、ダルビッシュだ!と、一瞬 思ってしまいました。似ていませんか? 子供のころから日本への造詣も深かったようで、絵の中にもその影響 を多く見てとれます。
(webより拝借)
この展覧会の見どころは、スイス・ロシニェエールの邸宅グラン・シャレ に今もそのまま残っているアトリエの再現が、その一つでしょう。 日本での展覧会ということで、節子さんが一大決心をして、特別に、 初めて再現したそうです。 制作中は家族も入ることが出来なかったというそのアトリエで、画家は 朝から日没までのあいだ、自然光の下で、お昼もとらずに制作に没頭 していたということです。
夫の感想は、「上手いんだか下手なんだかよくわからなくなるが、絵が なんだかやけに脳裏に焼付くんだよね」・・・は、ちょっと同感。
孤高の画家といわれるバルテュス。いまだにグラン・シャレで、着物を 着て過ごしている節子さんがいるからこそ、今回のこの展覧会は 私たちにとって、とても身近に感じたことでした。
帰りはずっと行ってみたかったカフェへ寄りました。 それはまた次のブログ記事にすることにします。
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