土曜日のレイトショー・・ぎりぎりセーフで間に合いました。
夕食を済ませて、車で10分もかからずに行ける映画館がある幸せ。
本当は別のを見ようとしていたのですが、そっちの時間に間に合わなくて。
でも、この映画も見たい映画の一つでした。で、これでほんとによかった。
交通事故により、記憶が80分しか持たない博士。
そこにやってきた若い家政婦と、彼女の息子が繰り広げる
〈数式〉を通しての心温まる友愛の映画です。
愛・・慈しみ深き愛とは・・・。言葉とか記憶などを越えた所で
相手を思いやる心。潔い数字のような潔さにあふれた登場人物。
原作は第一回本屋大賞を受賞した小川洋子さんのベストセラー。
監督は『雨上がる』『阿弥陀堂だより』の小泉堯史氏。
音楽は『阿弥陀堂だより』や『大河の一滴』も手がけた加古 隆氏。
ラストの素晴らしいソプラノは森 麻季さん。
私の好きな数字が〈素数〉でしたので、博士のわかり易い、
愛のこもった解説に心から頷けました。
世界に一つしかない、孤高な数字。
孤独な、でも絶対的な強さを持つ〈素数〉。
この映画を見るまで、〈素数〉と言う言葉すら忘れていましたし、
〈約数〉だって妙に懐かしく、〈完全数〉に到ってはもう感激!
〈友愛数」は奇跡・・・そんな事ありえるのだろうかと、寺尾 聰さん扮する
博士の朴訥な語り口にすっかり 酔ってしまいました。
数学は、その昔好きな科目の一つだったのですが、幾何を習い始めて、
理屈っぽい「証明」とやらがばかばかしくて、こういう学問って絶対に
私の人生に何の係わりも持たない・・なのにどうしてやらなきゃいけないの?
と思い続けていました。そして、数学が選択科目になったときはホッとしました。
それが、です。博士が語る数学は、学問と言うよりロマンなのです。
生き生きと、数字に愛と命、永遠のロマンを吹きこんでいます。
「見てご覧、この素晴らしい一続きの数字の連なりを。
284の約数の和は220、220の約数の和は284。
・・・・友愛数だ。
神の計らいを受けた、絆で結ばれた数字なんだ。
美しいと思わないかい?
きみの誕生日と、僕の手首に刻まれた文字が、これほど見事な
チェーンで繋がり合っているなんて。」
こんな神秘的な世界が目の前にあったというのに、好きだ嫌いだで
片付けていたなんて。あんな風に教えられていたらきっと・・・。
数学者って言うのは、もしかしたら、とてつもなくデリケートで、
ロマンチストなのかも知れないですね。
一つ理解に苦しむことは、“記憶が80分しか持たないこと” です。
ということは、つねに80分前までの記憶は ある、 というのでしょうか?
考えれば考えるほどわからなくなりました