8月8日(金)に、コロー ・*・光と追憶の変奏曲・*・を見に行ってきました。日中は
これでもか、と言う位の暑さでしたが、夕方でもたいして変わりはありませんが、お日様が
遠のく分だけマシだったでしょう。会場はほどほどの人出で、じっくりと鑑賞できました。
友人が電話で薦めただけあり、小さな作品が多いにもかかわらず、どれもが目に心に
シックリと入っていく、いい絵揃い。幾つかの過去の展覧会の中で、数点は彼の絵を目
にしているのですが、まとまった数を通して見るのは初めて。彼の作品以外にもドラン、
セザンヌ、シスレー、モネ、ルノアールなどの作品も各章の中に散らばっていましたが、
これだけの数のコローを見ながらだと、コローというアーティストがそのなかでもひときわ抜きん
出た大巨匠に見えてしまいました。
展覧会は、
一章 初期の作品とイタリア
二章 フランス各地の田園風景とアトリエでの制作
三章 フレーミングと空間、パノラマ風景と遠近法的風景
四章 樹木のカーテン、舞台の幕
五章 ミューズとニンフたち、そして音楽
六章 「想い出(スヴニール)」と変奏
クリシェ=ヴェール:コローのグラフィスム(ガラス版画)
とに分かれていました。
大部分はフォンテーヌブロー(パリ南東にあり、19世紀半ばから芸術家が集まる場所となる)
などのとても落ち着いた色調の風景画ですが、人物画がこれほど魅力的だとは・・・まさに
友人が言っていた通りでした。ルーヴル美術館蔵の
《真珠の女》は、パリ
万博に展示された際、
女性の額に落ちた葉
冠の影が誤って真珠
の粒とみなされたため
に付けられたとのこと。
この作品に強い愛着を
感じていたコローは、
売却せずに生涯手元
に置いたといいます。
まさにコローの「モナリザ」
と言われる所以を実物
を見ればきっと感じ取れ
るでしょう。
(画像をクリックしてね。)
《青い服の婦人》も、美術館ニュースの表紙を飾るほどの素敵な女性像でした。これは美術館建物の入口で写しました。(クリックしてね。)1900年パリ万博で初めて一般公開されてセンセーションを巻き起こした絵 ~これこそ人物画家としてのコローの絶頂であり最も重要な傑作だとされた~ だけあり素晴らしいタッチです。コローの人物画は、家族や親しい友人だけを選んでいたので肖像画の中で、金銭のために描かれたものはひとつもなかったといいます。が、晩年のそれは、個人的な楽しみや研究のために描かれた絵が増えていったようです。この婦人像はコローが亡くなる一年前の作品で、彼のモデルを5年間務めてきたエマ・ドビニーと言われています。
左は《本を読む花冠の女あるいはウェルギリウスのミューズ》というタイトルの絵です。
彼の作品は抑えた色調でとても自然体です。見ているだけで落ち着いた心持ちになります。
第六章の「想い出」では、かつて旅した様々な場所を追想し、アトリエの中で○○の想い出、と題して作成した、幾つもの情緒的な風景画が展示されていました。
青い服の婦人の絵が彼の最晩年作であることからわかるように、最後まで描くことへの情熱を失わずに制作を積み重ねていったコロー。彼の作品を通して、静かな感動をたくさん貰ってきた心豊かな金曜日でした。
帰りには、いつも混んでいるので入った事のない「すいれん」でカフェしてきました。窓からはたしか中庭が見えるはずなのに、外はもう暗く、人もまばらな内部が映し出されていました。ケーキはどうってことない見掛けでしたが意外と美味しかったです。
夕食の支度はもちろん用意してからの外出です。私も帰宅後に遅い家食、となるのですが、カフェの時はついケーキが欲しくなってね。運動しても全く効果の見られない部分の贅肉はお菓子で出来ているのかしら・・?やばいぞ。
この日は、帰りに東京都美術館に寄ってフェルメールも見ちゃおうかな、と一瞬迷いました。ま、二ヶ所だと疲れて印象が半減しそうだからやめました。