自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

相撲道から武士道へ、そして「人間として生きる価値」を全世界の教育の基本に!

2017-12-09 17:14:16 | 自然と人為

 相撲は廻し一本で、土俵上で相手を倒すか土俵外に追い出すシンプルな格闘技だ。それでも勝つための力と技を鍛える必要があるが、さらに己に勝つ精神力が必要であり、これを相撲道と理解している。
 一方、武士は刀を持つ。刀をちらつかせて自己主張するのではなく、帯刀することで他者を尊重し、己を律するのが武士道だと思う。

 新渡戸稲造は「宗教教育なしに道徳をどう学ぶのか」と尋ねられ、日本の心を世界に伝えるために、七つの道徳(義、勇気、仁、礼、誠、名誉、忠義)について、プラトンやニーチェなど西洋の思想家の言葉を飲用しながら『武士道』(BUSHIDO: The Soul of Japan)を1900年にアメリカで出版した。
 ▽不寛容社会を生きる道しるべ 新渡戸稲造 教養とは何か
 ▽不寛容社会を生きる道しるべ 新渡戸稲造 真の武士道
   後編〔再〕12月12日(火)昼12:00~12:45

 2018年度から義務教育における「道徳」が評価を伴う「特別の教科」に格上げされるが、ある小学1年生向けの教科書に対する検定結果が話題となった。その教科書では、物語にパン屋を登場させていたところ、指導要領の「国や郷土を愛する態度」の観点で不適切だとして、「パン屋」を「和菓子屋」に修正することが求められたそうだ。
 道徳は世界共通に「人間の生きる価値」を教えるものだ。新渡戸稲造が「武士道」で日本の心を世界に伝えたように、日本人に日本の誇りを教えるためにあるのではない。

 「道徳を教える」ことに熱心なのは、思慮浅く我儘で、政治の私物化の誤りを認めようとしない安倍首相らしい。アメリカの属国(基地)で苦しむ沖縄を放置する一方で日本の文化を誇り、韓国に対してはお金では償えない女性の人権問題慰安婦像問題を批判し、北朝鮮に対してはアメリカのトランプ(その政治状況をオバマがナチスを例に警告)と一緒になり正義面して戦争を煽り、Jアラートで国民を不安にさせて政権を維持しようとしている。安倍首相は祖父の岸信介以来アメリカにとって都合の良い操り人形である。アメリカの戦争等に自衛隊を協力させるためにに憲法9条を変えようとしている。同じ党員からでさえ何故か、「日本が米国本土防衛の“盾”(焦土)になる」可能性を問われて何も答えていない。

 NHKを含めて様々な世論操作がなされ、国民は真相を知ることが出来なくなるだろうが、戦争をさせたい欲望に飢えた連中から平和を守るためには、何が何か分からなくなっても、最後の一線で国民が憲法9条を死守せねばならない。政治とは国民の生活と命を守る仕事であり、権力により自分の考えを国民に押し付け、国民を黙って従わせることではない。危険極まりない「道徳筆頭落第生」に道徳教育を主張する資格は全くない。
 
 「道徳とは何か」と問うことはできても、「道徳を教える」ことはできない。ましてや道徳を教科書で教えて答えの評価までするとは、日本の記憶重視の教育の弊害を絵にかいたようなもの。「道徳を教える」ことはできなくても、「倫理学を学ぶ」ことはできる。倫理学研究者の品川哲彦氏は「倫理学は自分自身の深みをのぞきこみ、自分を自分にたいして明らかにしていく営み」であり、倫理学には、プラトンやアリストテレス、カントやヘーゲルなど哲学の読み解きが欠かせないとしている。新渡戸稲造の武士道の説明と通じる所がある。

 最近、理不尽な暴走事故殺人事件が多発し、世間にぎすぎすした苛立った不安が充満している。人間の生活が自然から遠のき、人工の世界で他者と対立した欲望のストレスの中で生きているからだろう。
 しかし、我々はこの宇宙誕生138億年、地球誕生46億年の歴史(2)の一瞬を生きているに過ぎない。その一瞬を生きている我々が人間関係を破壊し、地球を破壊することは許されない。
 4分でわかる!? 宇宙138億年
 サイエンスZERO 地球誕生のミステリー

 「人間として生きる価値」を全世界の若者が考え、「戦争で自己主張する政府を認めない」社会を目指すのが、世界の教育の基本である。そういう時代を目指さなくてはならない。それこそ我々が今を生きる価値ではないか!


初稿 2017年12月9日

最新の画像もっと見る

コメントを投稿