自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

99%が1%に支配される時代~何故怒らないのか!

2016-07-07 16:04:43 | 自然と人為

 戦争責任者・A級戦犯者(岸信介)の孫(安倍晋三)が、戦争に反対した共産党と共闘を組む野党を批判しているが、「首相遊説 必ずウケる野党批判」だそうだ。しかし、共産党の排除はヒットラーと同じ独裁への道の危険な手法であることに注意して欲しい。しかも、その一方では「アベノミクス」のエンジンをさらにふかすと「格差拡大策で経済が成長するという嘘」を平気で公明党とともに叫んでいる。公明党も自民党と共に99%の国民と共に歩む道より1%の支配者への道を歩むのが政治の目的だと思っているのだろう。
参考: 海外メディア東京特派員らが語る 日本「報道の自由」の危機
     報道規制を語らう、不自由で非民主的な自由民主党 江川紹子(2015年6月28日)
     
     遂にイギリスのエコノミスト誌も安倍首相の報道規制を批判!
     安倍晋三政権と「日本会議」とNHKの繋がりについて


 安倍政権となって政治の質が変わったように見えるが、それは何時から始まったのだろうか。TBS「時事放談」スペシャル(2016年7月3日)は、2004年4月の第一回からを再放送しているが、この政治の変化が小泉政権からのものであることがよく分かる。日本列島をアメリカの不沈空母に例えた中曽根と土井たか子の「改憲 vs 護憲」の対談や鶴見と筑紫の「日本をもてあそぶアメリカ」の対談も記憶に残したい番組だ。小泉内閣はアメリカのイラク戦争(その後泥沼となるテロとの戦い)に手を貸し、それは安倍政権の憲法解釈によって集団的自衛権を認める戦争法(平和安全法制)へとつながっている。また、小泉首相が守旧派とした国会議員の政治の中心には99%の国民がいたが、「小泉内閣の失われた5年」で1%のための政治に変わってしまった。
 戦後60年もするとアメリカに盲目的に追従する2代目、3代目の政治家の発言力が増加する一方で、竹中平蔵(経済財政政策担当大臣)のように、人間よりもお金を大切にする経済学(新自由主義)が大手を振って闊歩するようになってしまった。いずれも現場に関心もなければ責任も持たない政治家や学者の大弊害であり、大人災である。
参考: TBS「時事放談」スペシャル① 2016年7月3日
     TBS「時事放談」スペシャル② 2016年7月3日
     小泉純一郎 総裁選で再選(2003年)  
     小泉 純一郎 内閣総理大臣(第87代、第88代、第89代)


 私の中学時代までは地域に住む殆どの人は農業や家内工業で暮らし、「サラリーマン」という人種がいることは知らなかった。大学時代まで”人間万歳”の武者小路実篤が大好きで、”人間失格”の太宰治の良さが理解できなかった思いが残っているが、これも育った環境と時代の反映であろうか。今ではサラリーマンが殆どで、大企業が世の中を支配する時代になってしまい、太宰治が脚光を浴び、武者小路実篤の書画と出会うことも無くなってしまった。なぜ、”人間失格”の太宰治が生き残り、”人間万歳”の武者小路実篤が表舞台から姿を消したのか? 物質的には便利になっても、心は救われないということか。
 宗教は99%の庶民の心を救うためにあるが、宗教とつながった政治は何を目指しているのだろう。組織や地域を代表する政治家が、出身母体よりは自分の利益を大切にすることもあろう。しかし、幸福実現のために仮想敵国を想定し核武装まで必要だと主張する姿からは、幸福とは何だろうか、宗教とは何かと考え込んでしまう。

 「テロは絶対に許さない」という叫びは、美しくも空しく響く。「大量破壊兵器がある」との理由でイラクを先制攻撃し、フセインを処刑したアメリカのブッシュ政権に協力したイギリスのブレア政権の問題について調査していた英国は、イラク報告署を公表した。日本でも小泉政権が国連ではなくブッシュ政権に同調した。NHKの解説委員はどこの国もテロで危ないと言っているが、ダッカのテロでは「日本人だから助けてくれ」と懇願しても殺された。安倍首相がカイロで『イスラム国と戦う周辺諸国へ2億ドル支援する』と発言したことから、イスラム国は日本人を『標的』に決めた (2)と思われる。日本を守るために必要とされる「集団的自衛権」が日本人の命を危険にしている。『人道支援のため』といくら説明しても、仮想敵国を想定することはその仮想敵国からは明らかに敵と思われる。
 参考: 明らかとなった集団的自衛権行使容認論者の「腹の中」~安倍総理の最側近・北岡伸一氏の詭弁

 英国の国民投票で「英国のEU離脱」が決定したのを知り、複雑な国際政治と経済の問題を二者択一の多数決で決めるという「民主主義」のルールの怖さと、日本の憲法を大切にしないで「民主主義」の後に国民の意思を誠実に政治に反映させる方法が残されているのかを考えさせられた。
 もともとEUは平和のためのヨーロッパの連合体として大きくなってきたが、国際平和と国際競争力の矛盾を政治は克服できるであろうか。ノーベル平和賞は、どう評価されるのかという問題はここでは触れないが、EUにノーベル平和賞は笑えない冗談という記事もあり、佐藤栄作氏ノーベル平和賞(1974年):沖縄返還と密約の問題や沖縄基地返還に一歩も近づいていないし、2009年オバマ大統領ノーベル平和賞は「核のない世界」に一歩も近づいていないように、現実の政治の成果を伴っていないことだけは指摘しておきたい。

 グローバル化は人々の交流を拡大する一方で、大企業の支配と国際競争力の強化を当然とする考え方も大きくしてきた。日本経済新聞(2016年7月4日)社説「世界を視野に競争力の高い農業実現を(参院選 政策を問う)」のように、人間が生きていく原点の農業にまで「国際競争力」を求める時代になっている。人類は自然の一員であるが、経済や政治が「自然のものさし」も「人工のものさし」も「国際競争力」という一つのものさしで計ってしまう。これも99%の国民の為ではなく、1%の支配者の為に政治がある時代の反映かもしれない。そう思っていたら、リサ・ジュリアーニ著「米国は、国ではなく、企業である」と出会った。

 ペリー来航(1853年)後の「アメリカは南北戦争(1861~1865年)で疲弊し、国家破産状態にあった。『陰の勢力』は一体どこにいるか(EJ第4309号)より引用」 その武器を日本の内戦に使おうと輸入したグラバーは江戸城無血開城(1968年)により思惑が外れて破産し、三菱(1)(2)に救われた。
 我々は西郷隆盛や坂本龍馬が好きだが、世界を支配しているのは明治維新当時からグローバル企業とグローバル金融であった。日本の歴史も世界の歴史の中で動いている。しかも世界を動かしているのは、昔から世界の99%の庶民ではない・・・学ぶべき課題が増えた。
参考: トーマス・ブレーク・グラバーが産んだ大日本帝国とその壮絶な終焉
     1871年の法律、アメリカ合衆国が“アメリカ合衆国会社”という企業になった経緯


 「グローバリズムとは世界支配を目指す巨大資本の旗印であり、別名ファシズム。イタリアに君臨したベニト・ムッソリーニは1933年11月に『資本主義と企業国家』という文章を書き、その中で巨大資本が支配するシステムを『企業主義』と呼んだ。これは資本主義や社会主義を上回るものだと主張、それが彼が言うところのファシズムだ。全体主義だとも表現されている。
 1938年4月29日にフランクリン・ルーズベルトはファシズムについて次のように定義した。『もし、私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化することを人びとが許すなら、民主主義の権利は危うくなる。本質的に、個人、あるいは私的権力をコントロールするグループ、あるいはそれに類する何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。』 巨大資本が国を支配する世界を築き上げようとしているという点で現在は1930年代と酷似している。

 人は様々な見方や考え方をしている。権力を持つ支配者に従うことが自分を守ることだと思う人も多かろう。しかし、私は自然の一員として生きる人間を大切にしたい。アルンダティ・ロイも言っているように「自分たちを守るのが森や山や川であることを知っているから」。
 アルンダティ・ロイ
「“自由”や“民主主義”や“平和”といった、いくつかの高尚な旗印を乱発しながら、あらゆることが自衛の名のもとに行われている。こうした行動の背後にある動因は遥かに陰険だ。仲間たる全てのアジア諸国に対する人種差別、攻撃的な‘例外主義’(ヨーロッパと北アメリカに学び取り入れた)や欧米への従順な服従。そういう世界に、我々は暮らしている。偉大なインド人思想家アルンダティ・ロイの言葉を言い換えれば“今や黒は白と呼ばれ、戦争は平和と呼ばれる”。少なくとも、欧米と日本では、そうだ!」

 7月10日は参院選だ。『サンデーモーニング "風をよむ"』では、先月から参院選を取り上げている。支配者の言いなりにならないように、あるいは棄権しないように、あなたの1票を大切にして欲しい。私は全国区の比例では「福島みずほ」が当選してくれることを祈っている。私の代わりに頑張ってくれているのに、今回は危ないと聞くから。東京都では「三宅洋平」に期待している。私の代わりに頑張ってくれそうだから。しかも二人とも99%の立場にいることを忘れない人だと思うから。

安倍総理の暴走がなぜ止められないのか

初稿 2016.7.7 更新 2020.2.23

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