鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

蟻通し宮図鐔 安親

2023-06-10 | 鍔の歴史

蟻通し宮図鐔 安親

 

安親の同図。

「かきくもりあさせもしらぬ大空に 蟻通しとは思ふべしとは」

と奉じると・・・曇った空が晴れて・・・

宮人が灯りを頼りに出てくる場面が描かれる。

 

 

 


蟻通し宮図鐔 長義

2023-06-09 | 鍔の歴史

蟻通し宮図鐔 長義

 

紀貫之が蟻通し宮の門前を馬に乗ったまま通り過ぎようとした。すると馬は神を恐れて動かなくなってしまう。宮人は和歌の神であることを告げる。貫之は

「七わたに曲れる玉のほそ緒をば 蟻通しきと誰か知らまし」

と和歌を詠み、さらに・・・

 

 

 


遊行柳図鐔 三題

2023-06-07 | 鍔の歴史

遊行柳図鐔 三題

 

この辺りから奥州路。

「歌枕」でしか知らぬ、まだ見ぬ憧れの異国を前にする西行。

 

「道の辺に清水流るる柳陰 しばしとてこそ立ちどまりつれ」

柳の陰にうたた寝をしている図が多い 長義

 

しばしの休憩から腰を上げて・・・

正光

 

奥州への想いをふかめているのであろうか 宜時

 

西行と思われる僧が佇むこの場面はどこであろうか。奥州のいずれか・・・小柄と同じ宜時の作。

 

 


富士見西行図縁頭 二題

2023-06-03 | 鍔の歴史

富士見西行図縁頭 二題

 

歌枕を訪ねての旅の途中、雄大な富岳を前にする西行の一首。自らの行く末を想って詠んだもの。

 

「風になびく富士の煙の空に消えて ゆくへもしらぬわが思ひかな」

 

富士見西行は、装剣小道具では好まれて描かれた。

この後に奥州へと足を運んだのであ


吉野桜図鐔 加賀

2023-06-02 | 鍔の歴史

吉野桜図鐔 加賀

 

吉野に暮らした西行は桜の和歌をたくさん遺している

「吉野山人に心を付けがほに 花より先にかかる白雲」

 

「空はただ雲なりけりな吉野山 花もて渡る風と見たれば」

 

「山人よ吉野の奥にしるべせよ 花も尋ねんまた思ひあり」

 

「何となく春になりぬと聞く日より 心にかかるみ吉野の山」

 

「深く入るは月ゆゑとしもなきものを 憂き世忍ばんみ吉野の山」

 

「吉野山花の散りにし木の本に とめし心はわれを待つらん」

 

「吉野山高嶺の桜咲きそめば 懸からんものか花の薄雲」

 

「人はみな吉野の山へいりぬめり 都の花にわれはとまらん」

 

 

 


柳竹に鶯図小柄 堀江興成

2023-06-01 | 鍔の歴史

柳竹に鶯図小柄 堀江興成

 

藤原定家自選歌集『拾遺愚草』に取材。

花鳥十二ヶ月図揃い小柄より一月

 

花 「うちなびき春くるかぜの色なれや 日をへてそむる青柳のいと」

 

鳥 「春きてはいく夜も過ぎぬ朝といでに 鶯なきゐる里のむらたけ」