江口君図鐔 大月光興
謡曲「江口」に取材した作。西行が遊女に詠みかける「世の中をいとうまでこそかたからめ 仮のやどりを惜しむ君かな」
遊女が「世をいとう人としきけば仮のやどに 心とむなと思うばかりぞ」と応じたという。
この鐔の図には江戸時代の禅僧東海沢庵和尚の詞書がある。
さらに興味深いのは、一休禅師が遊女地獄太夫と和歌を交わしているという伝承も重ねられていること。
遊里を歩く一休に地獄太夫が詠みかける。
「山居せば深山の奥に住めよかし ここは浮世のさかい近きに」
「一休が身をば身ほどに思わねば 市も山家も同じ住処よ」
一休がこれに応える。